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第一章
突然の別れ…②
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「誰がこんな…」
「お姉さま…」
「何?」
「ごめんなさい。ごめんなさい」
「ルシアが謝る事はないわ。貴女は何も悪くないんだから」
「違う!」
ルシアはフラフラと立ち上がり、バルコニーへと向かう。
「ルシア?何をしてるの?」
「全部、お姉さまの言う通りだった!」
「えっ!」
「殿方を甘く見ていた私がバカだったの!」
「いいのよ。だから、こっちに戻ってきて!」
「もういい!もういい!」
振り返ったルシアの姿は月夜に輝く女神のように美しかった。
儚く、そして涙にぬれる瞳がまっすぐにこちらを見ていた。
今まで見た事もない微笑みをたたえて…。
「さようなら。お姉さま」
その瞬間、ルシアの体は宙をまっていた。
伸ばした手は妹に触れるのを拒む。
騒ぎを聞きつけた来賓者や使用人たちの騒ぎ声も耳に届かなかった。
どうしてこうなったの?
なぜ、つなぎとめておかなかったの?
抱きしめておかなかったの?
私はただこの場にマーシャン家は無害だと伝えに来ただけなのに。
なぜ、妹が地面の上で血を流して倒れているの?
呆然とバルコニーの下を見ていた。
背筋が凍り付いたように動けなかった。
★★★
「何がどうなってるのよ!」
お母様の悲鳴に似た怒号が降り注いでも、何も感じない。
髪を掴まれ、引きずり回されても叩かれたはずの頬も背中も冷たいままだ。
どうやって、マーシャン家の屋敷に帰ってきたのか覚えていない。ただ、目の前には動かないルシアが寝ているだけ。あの騒動からまだ数日なのに…。時間の感覚がない。
また、お母様の手が振り下ろされそうになるが、お父様とラルフに抱え込まれてかなわない様子だった。
「ただ、マーシャン家は皇家の敵ではないと示すだけでよかったのに!なぜ、ルシアが死んで帰ってくるのよ!全部、エルのせいよ」
「お母様、やめてください。お姉さまが誰よりも悲しんでいるんですよ」
純真無垢なラルフの叫びにお母様は泣き崩れ、父はその肩を抱き寄せた。
「すまなかった。私がふがいないばかりに。お前につらい思いを…」
「おやめください。お父様。私がルシアから目を離したから。ごめんなさい。今は…」
耐えられなかった。ようやく、悲しみと怒りがこみあげてくるようで、その場から逃げ出し、自室へと走り出た。逃げたかった。すべてが夢であって欲しいと思った。
確かにあの子はよくも悪くも世間知らずだったし、調子にも乗っていた。
でもだからって、こんな死に方はあんまりよ。
だって、ルシアにはいいところも沢山あったのよ。
なんだかんだいって、私を慕っていてくれた。
可愛い妹。
ごめんね。私がしっかりしていなかったから。
『もう、お姉さまは真面目すぎるのよ。もう少し力を抜いたってバチは当たらないわ』
「ルシア!」
妹の姿が瞼の裏に焼き付いているような感覚がした。
けれど、手を伸ばしても誰もいない。
重たい体を起こした。泣き疲れて眠ってしまったらしい。
しかし、部屋中に立ち込めた煙で残っていた眠気は吹っ飛んでいく。
何かよからぬ事が起きていると直感して部屋を走り出た。
そこは火の海だった。
「お姉さま…」
「何?」
「ごめんなさい。ごめんなさい」
「ルシアが謝る事はないわ。貴女は何も悪くないんだから」
「違う!」
ルシアはフラフラと立ち上がり、バルコニーへと向かう。
「ルシア?何をしてるの?」
「全部、お姉さまの言う通りだった!」
「えっ!」
「殿方を甘く見ていた私がバカだったの!」
「いいのよ。だから、こっちに戻ってきて!」
「もういい!もういい!」
振り返ったルシアの姿は月夜に輝く女神のように美しかった。
儚く、そして涙にぬれる瞳がまっすぐにこちらを見ていた。
今まで見た事もない微笑みをたたえて…。
「さようなら。お姉さま」
その瞬間、ルシアの体は宙をまっていた。
伸ばした手は妹に触れるのを拒む。
騒ぎを聞きつけた来賓者や使用人たちの騒ぎ声も耳に届かなかった。
どうしてこうなったの?
なぜ、つなぎとめておかなかったの?
抱きしめておかなかったの?
私はただこの場にマーシャン家は無害だと伝えに来ただけなのに。
なぜ、妹が地面の上で血を流して倒れているの?
呆然とバルコニーの下を見ていた。
背筋が凍り付いたように動けなかった。
★★★
「何がどうなってるのよ!」
お母様の悲鳴に似た怒号が降り注いでも、何も感じない。
髪を掴まれ、引きずり回されても叩かれたはずの頬も背中も冷たいままだ。
どうやって、マーシャン家の屋敷に帰ってきたのか覚えていない。ただ、目の前には動かないルシアが寝ているだけ。あの騒動からまだ数日なのに…。時間の感覚がない。
また、お母様の手が振り下ろされそうになるが、お父様とラルフに抱え込まれてかなわない様子だった。
「ただ、マーシャン家は皇家の敵ではないと示すだけでよかったのに!なぜ、ルシアが死んで帰ってくるのよ!全部、エルのせいよ」
「お母様、やめてください。お姉さまが誰よりも悲しんでいるんですよ」
純真無垢なラルフの叫びにお母様は泣き崩れ、父はその肩を抱き寄せた。
「すまなかった。私がふがいないばかりに。お前につらい思いを…」
「おやめください。お父様。私がルシアから目を離したから。ごめんなさい。今は…」
耐えられなかった。ようやく、悲しみと怒りがこみあげてくるようで、その場から逃げ出し、自室へと走り出た。逃げたかった。すべてが夢であって欲しいと思った。
確かにあの子はよくも悪くも世間知らずだったし、調子にも乗っていた。
でもだからって、こんな死に方はあんまりよ。
だって、ルシアにはいいところも沢山あったのよ。
なんだかんだいって、私を慕っていてくれた。
可愛い妹。
ごめんね。私がしっかりしていなかったから。
『もう、お姉さまは真面目すぎるのよ。もう少し力を抜いたってバチは当たらないわ』
「ルシア!」
妹の姿が瞼の裏に焼き付いているような感覚がした。
けれど、手を伸ばしても誰もいない。
重たい体を起こした。泣き疲れて眠ってしまったらしい。
しかし、部屋中に立ち込めた煙で残っていた眠気は吹っ飛んでいく。
何かよからぬ事が起きていると直感して部屋を走り出た。
そこは火の海だった。
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