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第三章
シアとヴァノン…①
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アバニ達をそそのかした奴の顔がやっぱり思い出せない。
手がかりも無いし、困ったわ。
「おいっ!」
「何です?」
「掃除に来たというわりには手が止まっているが?」
「あら、失礼しました」
再び、ハタキを動かせば、ホコリが宙に舞っていく。
「ゲホゲホッ!あの、ホコリだらけですけど、いつ掃除したんですか?」
ヴァノン、否、お師匠様は黙ったまま、後ろを向いた。
「ちょっと!それ、どういう反応ですか!」
「別にお前に掃除をしてくれとは頼んでいない」
「普通、弟子と言えば、師匠の身の回りの世話をするものでしょう?」
「それ、何情報だ?」
「小説?」
「はあ…。いつの時代の小説だよ。全く、そういうのは勘弁してくれ!第一、この店には貴重な聖装飾物も多いんだ。うかつに動かしたら…」
「あっ!」
積み上がっていた紙の束が頭上に落ちてきた。
「ほら、いわんこちゃ…」
「きゃあっ!」
「凄いな!お前は曲芸師か何かなのか?」
両手にはいかにも歴史のある高級茶器と置時計。足には宝石があしらわれた腕輪。
要は上から落ちてきた聖装飾物と思われる品物をキャッチしている状態なのだ。
そして、頭上スレスレの所で止まっているのは大きな壺。
これがぶつかったら私きっと死ぬわね。その心配はなさそうだけど。
何せ、師匠が寸前の所でキャッチしているから。
今、気にするべきは床に散らばった紙類で滑らずにいられるかどうかの方である。
またお師匠様に背中から抱きかかえられている状態なのもちょっと申し訳ない。
「20年ぐらい前の芸風発言やめてください」
「古いのか?」
「こんな時に言う言葉じゃないって言ってるんです」
「とにかく早く、回収してください」
「ああ…」
離れていくヴァノンの腕や背中の感触にホッと息をついた。
「もう、掃除はやめてくれ」
「とりあえず、今はそうしておきます。あれ、これは?」
「うん?」
周囲に散らばった資料が目に止まる。
どれも黄ばんでいて古い。
時計の設計図や絵画の下絵やアクセサリーのデザイン画が描かれていた。
「知られている聖装飾物の一覧だ」
「こんなにあるんですか?」
ざっと確認しただけでもかなりの数千点はある。
「この辺りにある資料は大体、エミストロートの作品だな」
エミストロート?
その名前、お父様も言っていたような…。
「誰なんです」
「知らないのか?」
「悪かったですね」
「調整師として生きるなら、エミストロート・ユニアだけは覚えておけ」
生涯の仕事にする気はないんですけど…。
「何せ、装飾師で唯一、名前が分かっている人物だからな」
「そうなんですか?」
「世間的にという意味ではあるが…」
じゃあ、他にも名前分かってるんだ。
ややこしい言い回しはやめて欲しい。
手がかりも無いし、困ったわ。
「おいっ!」
「何です?」
「掃除に来たというわりには手が止まっているが?」
「あら、失礼しました」
再び、ハタキを動かせば、ホコリが宙に舞っていく。
「ゲホゲホッ!あの、ホコリだらけですけど、いつ掃除したんですか?」
ヴァノン、否、お師匠様は黙ったまま、後ろを向いた。
「ちょっと!それ、どういう反応ですか!」
「別にお前に掃除をしてくれとは頼んでいない」
「普通、弟子と言えば、師匠の身の回りの世話をするものでしょう?」
「それ、何情報だ?」
「小説?」
「はあ…。いつの時代の小説だよ。全く、そういうのは勘弁してくれ!第一、この店には貴重な聖装飾物も多いんだ。うかつに動かしたら…」
「あっ!」
積み上がっていた紙の束が頭上に落ちてきた。
「ほら、いわんこちゃ…」
「きゃあっ!」
「凄いな!お前は曲芸師か何かなのか?」
両手にはいかにも歴史のある高級茶器と置時計。足には宝石があしらわれた腕輪。
要は上から落ちてきた聖装飾物と思われる品物をキャッチしている状態なのだ。
そして、頭上スレスレの所で止まっているのは大きな壺。
これがぶつかったら私きっと死ぬわね。その心配はなさそうだけど。
何せ、師匠が寸前の所でキャッチしているから。
今、気にするべきは床に散らばった紙類で滑らずにいられるかどうかの方である。
またお師匠様に背中から抱きかかえられている状態なのもちょっと申し訳ない。
「20年ぐらい前の芸風発言やめてください」
「古いのか?」
「こんな時に言う言葉じゃないって言ってるんです」
「とにかく早く、回収してください」
「ああ…」
離れていくヴァノンの腕や背中の感触にホッと息をついた。
「もう、掃除はやめてくれ」
「とりあえず、今はそうしておきます。あれ、これは?」
「うん?」
周囲に散らばった資料が目に止まる。
どれも黄ばんでいて古い。
時計の設計図や絵画の下絵やアクセサリーのデザイン画が描かれていた。
「知られている聖装飾物の一覧だ」
「こんなにあるんですか?」
ざっと確認しただけでもかなりの数千点はある。
「この辺りにある資料は大体、エミストロートの作品だな」
エミストロート?
その名前、お父様も言っていたような…。
「誰なんです」
「知らないのか?」
「悪かったですね」
「調整師として生きるなら、エミストロート・ユニアだけは覚えておけ」
生涯の仕事にする気はないんですけど…。
「何せ、装飾師で唯一、名前が分かっている人物だからな」
「そうなんですか?」
「世間的にという意味ではあるが…」
じゃあ、他にも名前分かってるんだ。
ややこしい言い回しはやめて欲しい。
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