甘いカラダのつくり方~本物の恋の仕方教えます~

恵喜 どうこ

文字の大きさ
25 / 46

第二十五話 背に腹は代えられない

しおりを挟む
 ものすごい痛みが全身を襲っている。
 どこもかしこも鉛みたいに重たくて、指先をわずかに動かすのがやっとだった。
 目は開いているから視界は良好だけど、喉がカラカラに渇いているから声がうまく出せなかった。
 痛みの正体はそう『筋肉痛』。
 
 翌日に結果が出るということは若さの象徴でもある。
 それにしたってこの倦怠感。
 そしてこの痛みは尋常じゃない。
 まあ、それぐらい体を酷使したということに他ならないんだけど、どうしたものか、どうしたものか、どうしたものか……
 水飲みたい。
 おなか空いた。
 っていうか、服着たい。
 
 記憶は昨夜帰宅したときまでで途絶えている。
 ご飯を食べるような気力もなく、とにかくどっぷり疲れ果て、そしてなにより重たくなったまぶた。
 汗にまみれてどうしようもなくなった体は汗臭くて、ぼんやりしながらシャワーを浴びたまではよかった。
 体が温まってホッとしたのもあったんだ。
 なにも着ないでベッドにダイブして、寒いなと思って目が覚めてみれば、ほら体が動きませんよという大惨事に至っている。
 
 ――どうしたもんかな、マジで。

 何度となく悩んでみても打開策がまったく浮かばない。
 体は重い。
 疲労感は残っている。
 そしてなによりちょっと動かすだけで痛いこの体が恨めしい。
 ああ、こんなときに彼氏でもいようものなら電話でもして「助けてほしい」と言えるのに、生憎そういった相手はいない。
 では親は? 
 こんなときに親なんか呼べるわけがない。
 真っ裸で寝ている娘を見てどう思うだろう? 
 こんな姿を見られたら恥ずかしくて実家にもう帰れない。
 助けてほしい。
 本当に心から助けてほしい。
 そうだ。
 この際、人は選べない。
 数少ない知り合いの中で助けてくれそうな相手を思い起こす。
 
 美波……仕事中だろう。
 倫子さん……女性に見えるけれど中身は男性。
 倫子さんのお店のオネエサマ方、これも同じく中身が女性の男性ばかり。

 龍空、問題外。

 ピンポーン。
 と、こんなタイミングで鳴る呼び出しチャイムに嫌な予感と、少しのラッキー感が入り混じる。
 出れば助けを乞えるが、出た先にいる人物によっては地獄絵図だ。
 時計は午前七時半。
 お店に行くという約束の時間はすでに過ぎている。
 となると、呼び鈴を押したのは心配して様子を見に来てくれた倫子あたりであってほしい。決してあのバカホストでないことを祈る。
 祈る。
 祈ります。

 なんとか体をベッドから引きずり下ろす。
 その反動で引きずられたシーツを引っ掴み、なんとなく体に巻きつける。
 けれど立ち上がれるほど力の入らない体ゆえに、匍匐前進よろしく這うように玄関先へ向かう。
 床に擦れる体も痛いが、途中の家具という障害物を避けるのに四苦八苦して動かす体はキシキシ痛んで、じっとしているよりもかなりつらい。
 それでも何とかずり這って玄関に向かう。
 首を無理やり動かしてドアノブを見ると、ラッキーというのか、安全性に欠けすぎているというか、玄関の鍵はしっかり開けられている。
 扉さえ開けてくれれば誰でも中へ入ることが可能な状況だ。
 あとは「開いてますよ」と言うだけなのだが、そもそも声がガラガラの状態でそれをどうつたえていいのやら……

 またしてもチャイムが鳴る。
 なかなか粘ってくれている。
 二回もピンポンピンポン押してくれた。
 わかってます。
 私、ここまで来てますよという言葉が出ないだけなの。
 そんなに何度もピンポン押さなくてもわかってますから、黙って扉を開けてもらえないだろうか?
 沈黙が落ちる。
 帰ったか。
 足音は聞こえないから立ち去ったかんじもしないけど、黙ったまま扉の前で立っているのはなぜなのか? 
 瞬間、ドンドンドンドンとけたたましく扉を叩く音が響き渡り、目を見張る。

「愛希! 愛希! ねえ、なんで返事ないの! 出かけてる? ねぇ! どうしたの! 大丈夫!?」

 という一番聞きたくない声が否応なく鼓膜に響き渡る。
 ああ、神様はなんて無情なんだろう。
 一番あり得ない人物をこうも寄越してくれるとは。
 いや、この際背に腹は代えられないか。
 裸に近い状況は見ている相手だし。
 もっと恥ずかしいこともした相手だし……

 ――ええぃっ、ままよ!

 腹を決めて扉に少し体を近づけてからコンコンと返す。
 刹那、ドンドンという音も声も静まり返り、代わりにバンッと勢いよく扉が開かれた。
 扉を開けた当人が部屋の中へ飛び込んでくる。
 けれど、これもものすごく悪いことに飛び込んだ先に私の右手があったんだ。
 龍空は思いっきり私の手を踏みつけた。

 ――いったあああぃっ!

「うわぁぁぁぁッッッッ!!」

 私を見つけた瞬間に目を剥いた龍空が絶叫と共に扉を開けて外へ出ていく。
 バンッと大きな音を立てて閉まる扉とともに、またしばしの沈黙がやって来る。

 逃げたよな、あいつ。
 叫び声あげて逃げたよな?

「なにやってるの、愛希ちゃん?」

 扉をゆっくりと開けて、そろそろと入ってくる龍空が苦笑いを浮かべていた。

 ――それはこっちの台詞だ、バカホスト。

「……くれ」
「え? なに? もっとはっきり言って」
「たすけてくれ……」

 か細い声で答え、彼の脚に縋る自分のなんと情けないことか。
 状況がやっと掴めたらしい龍空は「ああ」というように大きくうなずくと、私の体をコロンと転がして仰向けにさせると膝をつき、私の両ひざを立たせてからひざ裏に腕を差し入れた。
 膝を動かされるだけで強烈な痛みが走って思わず顔が歪む。
 ラッキーなのは顔が筋肉痛でなかったことだけだ。
 瞬間、体が重力を失ったかのように宙に浮く。
 龍空が私のことをお姫様抱っこして静かに靴を脱いだ。
 先ほどまで私が寝ていたベッドへと運んでくれる。
 ベッドの頭側の背もたれを利用して座らせるような姿勢で私を下ろすと、そのままキッチンへ行って冷蔵庫から出した水をガラスコップに注ぎ入れて戻ってきた。

「飲める?」

 小さくうなずく。
 飲めなかったら口移ししようとこの男なら言いかねない。
 案の定、グラスに己の口元を運ぼうとする龍空を睨みつけると「冗談だよお」と言いながら、コップを私の口元に近づけて飲ませてくれた。
 冷たい水が渇ききった大地に吸い込まれるかのように喉を潤していく。
 勢いよく水を飲みほした頃には、声はまともに出せるようになっていた。

「さっきなんで逃げたのよ?」
「だってホラーだったんだもん」

 怖かったんだよと彼は苦笑いして続けた。

「髪がこうバサッと顔を覆ってさ。ホラー映画のあれみたいだったんだよね。ほら、シーツだったし、這ってたし……」

 彼が説明したホラー映画はなんとなく察しができた。
 それでも逃げることなかったんじゃないか――とツッコミたい元気が出てこない。
 だって体がバッキバキに痛いんだもの。

「ねえ、愛希。筋肉痛、楽にしてあげようか?」

 顔の筋肉を緩めた龍空がそう投げかけた。
 明らかにヤマシイものが透けて見えている。

「だってさ、練習しないと間に合わないでしょ?」

 時計をトントンと指さしながら言うあたりが憎らしい。
 振り付けはなんとか体に覚え込ませたものの、完成度は低い。
 マリリンの怒声が頭を横切っていく。

『あんた、明日もちゃんと来なさいよ! 来なかったら絞め殺すわよ!』

 遅刻だって許された状況じゃなかろうに。
 これでは指一本痛みで動かせない。
 いや、そもそも行けないし。

「たまにはさあ、オレをとことん信じてみない? ほら、やらしいことはしないから、たぶん」

 絶対と言うべきなのに『たぶん』と濁して笑うこの顔を思いっきり引っぱたきたい。
 それでもあと4日でなんとかしないといけないのに、思い切り時間を無駄にしている。それならば、万に一つの可能性とやらに賭けてみようか。
 もしもこいつがやましいことをしでかしたときは、体が動くようになってから死ぬほどそお返してやればいいだけの話だ。

「頼んだ……でも絶対に変なことしないでよね」
「うんうん。素直な愛希ちゃん、オレ大好きよ」

 どうしたらこの減らず口を失くさせることができるんだろうか?
 すると龍空はタンスのところまで歩いていくと「ねえ、下着どこ?」と振り返った。

「は?」
「パンツ穿いてる?」
「穿いてない」
「じゃ、とりあえず着替えしようよ。さすがにシーツじゃやりにくいもん」
「着替えてからなにするのよ?」
「そりゃ、筋肉痛治すんだよ」

 語尾がウキウキ、ワクワクと上がっているように感じるのは勘違いではなかろうよ。
 そう思いながら服の場所を龍空に教えると、躊躇せず龍空はそこを開けた。

「ベージュだらけ。あっ、黒がある。っていうか、全部レースとかお飾りついてないじゃん。おっ! 勝負下着見っけ。って、ピンク? ベージュに近いね、この色」
「悪かったわね。レースは洋服に響くから嫌なの。ベージュはなんにでも合わせられる万能ものなの。見た目より実用性重視で買ってるの。文句ある?」
「んー、オレ的につまんない」
「別にあんたを喜ばせるために買ってない」
「じゃあ今度、すごいのプレゼントするね!」
「いらない」
「それじゃあ、今度こっそりここに入れておくよ」
「犯罪だ」
「足すんだから盗まれるよりいいじゃん」
「そういう問題じゃない」

 龍空は笑いながら下着を選ぶと、違う引出しからTシャツとハーフパンツを取り出して私の前に置いた。

「さて問題は着替えだけど……手伝ったほうがいい?」
「……手伝ってもらいたくない……けど……」
「けど?」
「着替えられない」
「了解。なるべく見ないように手伝うねぇ」

 嬉々とした表情浮かべて、龍空は下着の端と端を両手で摘まむように持ち上げた。
 
 楽しんでいる。
 この男、心からこの状況を楽しんでいる!

 ゆっくりと足を持ち上げて、下着を通す。
 丁寧に、慎重に、肌に触れないように。
 約束通り見ないように顔を横に背けながら、ゆっくりゆっくりと通していく。
 そろそろと持ち上がる下着がなんともいやらしく感じるのは私だけなのか?
 それでもなんとかしっかり下着は身につけられた。
 それと同じように今度はハーフパンツに足が通る。

「なんかさ。すごくエッチな気分にならない?」

 龍空がハーフパンツをあげながらそんなことを言い出した。

「余分なこと言わなくていいから、さっさとして」
「ああ、なんかそれ聞くとすごく興奮するね」
「あんたってやつは!」
「冗談だよお。そんなに怒らないで。うまく着替えさせてあげられないじゃない?」

 コイツに頼んだ自分を呪おう。
 それでも龍空は私の肌には触れないようにしっかり肌から離してハーフパンツも穿かせてくれた。
 次は上着の番なのだが、龍空が選んだカーキ色のTシャツは少し小さめのサイズのもので、着たら体のラインがはっきりわかるものの上に、今はブラをつけてない。

「さすがにブラをつけるとなると、肌触らないわけにはいかないんだよねぇ」
「スポーツブラがあったでしょ?」
「あれ? あったけ?」
「いいから持ってきて!」
「なんだ……つまんない」
「リク!」

 その一声にリクはしぶしぶ腰を上げ、また下着をあさりだした。
 棚の奥のほうから見つけ出すと、戻ってきて私の腕を通した。

「生乳、拝みたかったなあ」
「その口に杭を突っ込もうか?」
「あはは。まあ、先のお楽しみにしようかなあ」

 なんとしてもそっちへ話を持っていきたいらしい。
 男って本当にどうしようもない生き物だ。
 低俗というか、おバカというか。

「えっと、ごめん。ちょっと手首触るよ。一瞬痛いと思うけど、これは我慢ね」

 そう言うと龍空は私に腕を組ませると、言った通り手首を持ち上げた。
 首を通すと、また肌に触れないように静かにブラを脇下まで押し下げた。
 Tシャツを着るときも同じことを繰り返した。
 なんとか無事、裸という状況下からは脱出できたものの……さて、ここからが問題だった。
 首をコキコキ鳴らして腕まくりをし、顔をパツパツ二回叩いて私をしっかり見つめる龍空がにやりといやらしい笑みを浮かべてた。

「さて、はじめようかぁ、愛~希ちゃん?」

 ニシシシシ……これまでに見たこともないような悪寒のする笑顔を湛えた龍空に嫌な予感が背筋を這う。
 逃げようにも逃げられない状況下で、龍空はお尻を軸にしていとも簡単に私の体を回転させた。
 そう。
 いとも簡単に。
 ベッドサイトに足を下ろすような形に体を方向転換させると、覆いかぶさるように龍空は身を重ねてきたのだった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

お隣さんはヤのつくご職業

古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。 残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。 元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。 ……え、ちゃんとしたもん食え? ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!! ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ 建築基準法と物理法則なんて知りません 登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。 2020/5/26 完結

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

初色に囲われた秘書は、蜜色の秘処を暴かれる

ささゆき細雪
恋愛
樹理にはかつてひとまわり年上の婚約者がいた。けれど樹理は彼ではなく彼についてくる母親違いの弟の方に恋をしていた。 だが、高校一年生のときにとつぜん幼い頃からの婚約を破棄され、兄弟と逢うこともなくなってしまう。 あれから十年、中小企業の社長をしている父親の秘書として結婚から逃げるように働いていた樹理のもとにあらわれたのは…… 幼馴染で初恋の彼が新社長になって、専属秘書にご指名ですか!? これは、両片想いでゆるふわオフィスラブなひしょひしょばなし。 ※ムーンライトノベルズで開催された「昼と夜の勝負服企画」参加作品です。他サイトにも掲載中。 「Grand Duo * グラン・デュオ ―シューベルトは初恋花嫁を諦めない―」で当て馬だった紡の弟が今回のヒーローです(未読でもぜんぜん問題ないです)。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

処理中です...