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蓬莱の傀儡子、弟子をとる
蓬莱の傀儡子、襲われる
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沈清澈が去った後、時間を置いてから店をでた天月。『朧月楼』の小葛には多めに銭を渡し、礼を言うと、彼女は喜んで手を振って彼を見送った。
仕事道具を入れている木箱を背負い、何げない顔で鬼が行き通う花街を歩く。大口開けて何かの肉の串焼きを齧る牛の妖怪や、チョロチョロと走り回る小鼠のような集団まで、本当に多種多様な妖怪がいる。
(さっきまでこの国の祓業、鏡泉峰の次期当主がいたというのに、呑気なものだよなぁ……)
本来、力のない人がここに入れば、たちまちのうちに食われてしまう。ただし天月は力のない人だが、体は傀儡なので人として見られていない。だが清澈は別だ。彼ほど実力のある術師であれば、この街は火の海と化している。
本来ならば、彼の仕事は魔を祓い、穢れた場を清めることであり、この街も例外ではない。だが清澈は、この街を黙認している、それどころか仮面をかぶって変装してまでこの街をぶらついているのだ。
(本当に、呑気なものだ……)
清澈の気分が変われば、この街は消えてしまうのに、それを知らない通行人たちの楽しげな様子を見て、天月はため息をつく。周りはお祭り騒ぎだというのに、天月ただ一人だけが、葬儀の後のように静かだった。
「これからどうしようかな……」
天月の悩みは、手元の小瓶だ。ちょうど、天月の手のひらに収まるほどの細長い小瓶だ。本来ならば酒をつめるだろうが、実際につめられているのは人間の子供である。
「清澈のヤツ、本当に押し付けやがって……」
清澈が天月に対し、子供のことで何か隠しているのはわかっていた。
彼の師尊の命令に背いたこと。あの尋問専門家の沈白華が思考が理解できないと言っていたのに、清澈が少年の言葉を聞いたこと。そしてただの奴隷の少年をどうして気にかけるのか……
「とりあえず、できる限りはしてみるか……」
誰にも聞かれない独り言を残し、天月は鬼の花街を後にした。
人の街へ戻れば、太陽が地平線から完全に沈み、月のない空には星々が代わりに瞬く。活気のあった鬼の街とは違い、営業を終えた店と、これから店を開店する店の移り変わりで、人の街の場はまだ温まっていないようだった。
天月は周囲を見回す。街の人は忙しいのか、鬼の街から現れた天月を気に留める通行人はいなかった。そのことに安堵し、急いで人の中に紛れた。
「とりあえず、薬屋に…………」
天月は商店がある方角に顔を向けて歩き出す。「なるべく早く」と歩を速めた。
(鏡泉峰の鞭は太い上に、丸一日放置されるんだよな……)
鏡泉峰の体罰は過激で、死ぬことはないが、稀に後遺症が残ることもある。天月がいた頃にも、頭を殴られて失明したものもいた。
小瓶には術がかけられているため、中の時間が止まり、どれだけ遅くなっても怪我の悪化はしない。それでも苦痛の時間は変わらないのだ。
「もう少し我慢してくれ……」
明るい場所へと進めば人通りも多くなり、鬼の街ほどではないが、にぎやかになってくる。行き交う人を縫うように避け、ようやく辿り着いた薬屋は、ちょうど店じまいの準備をしているところだった。
天月よりも拳一個分ほど高い背の店主は、薬屋はと言うよりも武人といった人相で、清澈とは違った無愛想かつ、険しい目つきで天月を見下ろしている。
「店主! 至急、酒と包帯と化膿止めと……」
天月が注文した内容を手元の粗い繊維でできた紙で書き留めると、何も言わず、店の奥に引っ込んでいった。奥に引っ込んだと思ったらすぐに出てきて、店主は両手で抱えるほどの袋を持って帰ってきた。中身を見ると、天月が頼んだものを全て入っているようだ。
「うん、これで全部だ。支払いはこれで足りるだろうか?」
天月が小袋から銀子を二枚取り出すと、店主はそれを黙って受け取った。そして銀子の二枚のうち一枚を天月に返した。
「これでいい」
店主はそう言ったので、天月は驚いて彼の顔を見た。
「先日、人買いのところから、私の姪を取り返してくれた。鏡泉峰の他に羅衣大夫の弟子が居たって聞いていた」
『羅衣大夫』というのは天月の師匠「羅銘軒」のことだ。彼女は薬屋での用事は、この名前で通すことが多く、医療関係者には知られている。だが弟子である天月の顔も覚えられていたのは意外だった。
「……私の家族を取り返してくれて感謝している」
店主はほんの少し頭を天月に下げた。無愛想なのは元からなのだろう。よく見ると彼の目の端が赤く潤んでいるのが見えた。本当に感謝しているらしい。
まさかあの人買いの商品の中に、店主の姪が捕われているとは思わず天月は開いた口が塞がらなかった。
「あの中に、アンタの姪っ子がいたのか! あそこはかなり怖かっただろう、大丈夫か?」
「ああ、まだ不安定だが、命が助かっただけでも儲け物だ。本当なら商品を無料にしたい……が、今は物入りだ……すまない」
そういうと店主は、店の奥を見た。おそらく彼の姪がいるのだろう。天月は声を小さくして尋ねる。
「それは良いが、大丈夫か? かなり購入したと思うのだが?」
「あの子の命に比べれば安いものだ。……それに次回はちゃんと受け取る」
「なら有り難く使わせてもらうよ!」
天月は袋を受け取った。ふと、店主の視線が天月とは別の方へと向けられる。天月もつられて、店主と同じところに視線を向けた。
「……知り合いか?」
「まぁ、そんなところだ」
「そうか」
店主はそれだけを言うと、「早く帰れ」と手を振った。天月は商品の入った袋を抱えなおし、店主にまた礼を言って店から離れた。
「ありがとう! また来るよ」
天月が手を振ると、店主は一度見てから、また自分の作業に戻っていった。
◼︎
天月は、今の根城である山の洞窟まで、道中誰にも会わずに帰ることができた。このような月のない夜には決まって、妖怪にちょっかいをかけられるのだが、今夜に限ってそれはなかった。
帰ってから早々、天月は今朝までほったらかしだった寝床を整え、川の水を汲んでは鍋に入れて沸かしていた。そして薬屋で買った商品を順番に並べていく。
洞窟には、寝床の他に狭いが作業台が置かれており、その周囲には作りかけの傀儡、小さな鳥を模した傀儡から巨大な亀のような傀儡まで置かれていた。
焚き火が爆ぜる音と共に、照らされた傀儡がゆらゆらと怪しく揺れた。そして焚き火の上には、ぐらぐらと沸き立つ鍋が吊るされている。
天月は、亀の傀儡の蓋を閉めた後、手元にある小瓶を見つめる。沈清澈からあずかった黒塗りの小瓶である。
「さて……準備はできた、問題は……」
天月は洞窟の入り口を見つめる。小瓶は体の中に隠し、指をかちゃかちゃと鳴らした。そして洞窟の外に出て、闇の中へと呼びかけた。
「そろそろ峰に帰ったほうがいいんじゃないか? もうとっくに門限の戌の刻だぞ」
低い声がやや掠れて森中に響き渡る。初めは何も反応はなかったが、チーッチーッチーッと鳴く虫の他にヒソヒソと囁き声のようなものが聞こえてきた。
「隠れるなら最後まで隠れろ! オレが敵なら、もう弓矢を撃たれている頃だぞ!」
「いーちっ、にーっ」と天月が数を数え始めると、森の奥の茂みは、慌てたようにガサガサと枝葉を揺らした。そこから何人かの影が一斉に天月の前に飛び出した。
「ま、待ってください! 天月さん! 僕たちです!」
「お前たち、ここに何しにきたんだ?」
天月の前に現れたのは鏡泉峰の弟子たちだ。彼らは薄い緑がかった白衣を身に纏っており、腰にはそれぞれの剣、もしくは弓、棍棒などを携えている。彼らがノリや酔狂でやってきたことではないことは、明らかだ。
「沈師兄に気づかれているのはまだしも、ただの薬屋の店主にも尾行がバレてちゃァ、ダメだろ」
「き、気づかれて、いたのですか?」
この弟子の中で一番の年少、小寒が、震える声を押し殺して尋ねる。
実のところ、天月が彼らの尾行に気がついたのは、薬屋に向かっている最中で、存在は清澈に出会った時から知っていた。清澈が初め、面をとったとき、彼の額には「追手」の二文字が書かれていた。言葉の意味を理解するよりも、清澈の奇行のほうに頭を抱えていたので、あまり驚きはなかった。
そして鬼の街を出たとき、つまり人間の街に戻った時にチラチラと白い衣を見かけたのだ。薬屋の店主に「知り合いか?」と聞かれたときは、破門された身といえ、後輩たちの未熟さにさらに天を仰いだ。
(兄弟子がトンチンカンなら、弟弟子はポンコツってか?)
「天月さん、僕たちは天月さんにお願いがあって来ました」
「『お願い』?」
今度は最年長の梅枝の凛とした声が耳にする届く。その声に天月は眉間の皺を少しだけ寄せた。
「どうか、沈師兄から受け取られた小瓶を、僕らに譲っていただけないでしょうか⁉︎」
天月は「やっぱりか」と内心でため息をつく。大方、殺された兄弟子の仇討ちの為に、こんな山奥までやってきたのだ。清澈が鏡泉で少年を保護することができない理由もここにあるのだろう。仲間に手をかけた少年を隠しておくにしても限度がある。よって、関係者だが鏡泉峰の弟子たちに確執のない天月に頼むしかなかったのだろう。
天月は清澈の思惑を悟りながら、意識を目の前の少年たちに戻した。
「……一体何のことだ? オレは清澈に給金をもらっただけだ。黒い小瓶なんて知らねえな」
「知らないのに、どうして小瓶が『黒い』ことをご存知なのですか?」
「……」
しらを切るつもりが、天月は泣くに泣けず、笑うに笑えない。
「天月さん、その小瓶の少年をこちらに渡していただけませんか?」
「仮に持っていたとして、それをどうしようって? 清澈の次期当主の座から引きずり落とすのか?」
「ちょっとそれもいいな」と心の中でつぶやいた天月だが、梅技ははっきりと否定した。
「その程度で沈師兄の地位は落ちませんよ……弟子たちの中には、ほとぼりが冷めるまで庇ってもらった者が多いぐらいです」
(あいつ、オレの時はずっと吊し上げにしていたくせに……)
天月は子供の頃にされた仕打ちを思い出して苦い顔をしたが、弟子たちは気づいていないのか、話を進めた。
「天月さん、その子供が私どもの師兄に何をしたかご存知のはずです。今後、あなたに危害を加えないとは限らない……」
「だから殺すって? 全く沈師父と似て苛烈だな」
やれやれと心の中で呟く。呆れて首を横に振っていると、前からしゃっと金属が擦れる音が聞こえた。目の前には梅枝たちが天月に向かって剣を構えている。
「天月さん、渡してください。 私どもは貴方を傷つけたくはありません」
「おいおい、オレに剣を向けるか? この貧弱、傀儡おじさんに?」
「いいえ、向けているのは貴方がもつ小瓶です。 貴方には怪我一つもさせません」
「ものはいいようだな」と天月が返すと、梅枝が天月を睨みつける。いつの間にか周りの弟子たちは彼を取り囲んでいる。流石に多勢に無勢だ。だが彼らの目的は天月ではなく、預かっている少年に、兄弟子への敵討がしたいだけなのだ。
天月は右手の人差し指を引っ張るように動かすと、奥から連動するように天月の前に彼よりも大きな影が現れる。
「と、トラ⁉︎」
天月と鏡泉峰の弟子たちの間に憚るように現れたのは、一丈ほどあるトラだった。天月を守らんと、梅枝たちに向けて、ガチガチと顎を鳴らしている。
「狼狽えるな! 天月さんが操る傀儡だ!」
【さぁ、さぁっ! 皆々様ァ‼︎】
突然、天月が天に吠えた。
【これより始まるはァッ! 白虎を操る傀儡師との力比べ!】
天月の言葉に呼応するように、虎の傀儡が手拍子のようにカァン、カァンと顎を鳴らす。
【勝てば小瓶を!なければお捻りを!さぁ……】
まるで舞を踊るかのように、天月は指を、腕を、全身を動かす。それに対応するように虎は彼の隣にひらりと一回転する。
身構えていた鏡泉峰の弟子たちは、彼らの鮮やかな動きに、一瞬目を奪われる。
【とくご覧あれ!】
カァン、と虎が顎を鳴らし、音は天高く登った。
それが合図となり、少年たちは一斉に天月に刀を向けて襲いかかった。
勝負はわずかな時間で決着がついた。
長年、培われた修行により、大人と子供、力の差は歴然だった。
「確かに、小瓶は受け取りました」
涼しい顔をしている梅枝とその弟子たち、彼らの視線の先には砂埃に塗れた天月。その隣には勇ましく顎を鳴らしていた虎の傀儡も腹を天に向けて転がっていた。
そして、梅枝の手には黒塗りの小瓶。
「はにゃ~……」
目を回して伸びている天月に、少年たちは少し残念そうな目で見つめる。
「天月さん、本当に弱いんだな……」
「さっきかっこよく『ご覧あれ!』とかいっていたのに……」
「一人で人買いの拠点を制圧してたから、腕の一本は覚悟していたのに」
「「「まじで弱い」」」
梅枝の後ろに控えていた弟子たちは、口々に喋る。大口切っていた天月に、侮蔑を通り越して憐憫の目を向けている。それに対し、天月は泣くに泣けず笑うに笑えない。
「帰りましょう、もう門限は超えています」
小瓶を懐にしまった梅枝は、弟子たちを連れて峰に帰る。彼らが御剣で空を飛んで帰っても一刻はかかってしまうだろう。
「あ~、前払いされていたのに……」
「師兄には私から説明しますので、場合によっては支払われた金額の賠償もします」
「うーっ! おとといきやがれ!」
子供のように、ワーッワーッと喚き散らす天月をよそに梅枝は頭を下げて拱手する。
「では、天月さん、失礼します」
そう言ってから、彼らは鏡泉峰のある西に向かって去って行った。
彼らを見送った後、天月は虎を操り、洞窟に戻っていく。懐には先ほどまであった小瓶はなく、手を探っても何も出てこない。虎の傀儡も先程の戦闘で爪が何本かかけていた。
(全く目的のためには力を惜しまないか……子供といえど、恐ろしい奴らだ)
天月は、すでにお湯が溢れかえって消えてしまった焚き火を片付ける。
少し時間が経ってしまったが、水の消毒には問題ない。
「だが、まだ子供だ……傀儡子の大道芸に目を輝かせていればいい」
暗闇の中、目を青く光らせていた青年は、奥におかれた亀に似た傀儡に目を向けた。
鏡泉峰の少年たちが持っていったのは間違いなく預かった小瓶だ。ただ貰ったときと違うのは、中身をあらかじめ取り替えたものであることだ。彼らが本当に求めていたものは、天月の傀儡の中にあり、帰ってきてからすぐに隠していたのだ。少年の意識は朧げではあったが、声を出さないように伝えていたところを見ると理解していたらしい。
(やはり、言葉を理解できているな)
正直、鏡泉峰の弟子たちに、隠しているところを見られていないか不安ではあったが、うまく誤魔化せていたのは暁光だった。
天月はお湯で湿らせた手拭いと桶を持って、亀の前にかがむと、ふたになっている甲羅を上に開けた。開けたと同時に、ふわっと、風があがる。
「もう奴らは行った……もう息を潜めなくても……うおっ!」
突然、天月の左目を目掛けて、冷たく光る突起物が飛んできた。武術の心得のない天月だが、この時は火事場の馬鹿力で避けることが出来た。
少年の怪我の応急処置をしようと、用意したお湯の入った桶を落としてしまう。だが、お湯を用意した労力も忘れて、突起物、ハサミをこちらに向けた少年の手を左手でハサミごと掴む。生身なら切れて痛い思いをするが、傀儡の体なら関係はない。突進してくる少年の体を右手で押さえた。
「ちょっ、待てって‼︎」
「……っ!」
少年は攻撃を防がれた挙句、手まで掴まれて落ち着きを失っていた。少年は力の限り、獣のごとく腕を引っ張るが、怪我の痛みからか天月の手を振り解けなかった。天月も彼の背中から血が吹き出すのを見て、少年の怪我の具合がひどいことを察した。
「お前、怪我がひどいンだから暴れるな!」
「っ! 死ね!」
「くそっ!」
つい、「お前も会話ができねえな!」と叫びたくなるのを天月は我慢した。今はあの頓珍漢を思い出したくはない。
だが少年が体を捩って、拘束をふり解こうとするのを見て、天月はなりふり構わず、少年の体を押さえていた右手の指を引っ張った。
ガン、と鈍い音が少年の頭上から聞こえた。同時に少年の体が、傀儡の術を解いた虎のようにベシャと天月の上に倒れた。少年の意識は完全に切れており、背後は鞭打ちの怪我と共に、頭に大きなタンコブができていた。
天月が引っ張ったのは少年の背後にあった亀の甲羅の蓋だ。開けた時に倒れないようにと指に霊糸をつけていたのが幸いした。
気を失った少年は、顔色が悪く、さらに天月が作った怪我のせいで今にも死にそうだ。
「……今日だけで二回も襲われた」
沈師父ですら体罰は一日一回が限度だ。天月は体にもたれて気絶している少年との生活を思い、途方に暮れるしかなかった。
仕事道具を入れている木箱を背負い、何げない顔で鬼が行き通う花街を歩く。大口開けて何かの肉の串焼きを齧る牛の妖怪や、チョロチョロと走り回る小鼠のような集団まで、本当に多種多様な妖怪がいる。
(さっきまでこの国の祓業、鏡泉峰の次期当主がいたというのに、呑気なものだよなぁ……)
本来、力のない人がここに入れば、たちまちのうちに食われてしまう。ただし天月は力のない人だが、体は傀儡なので人として見られていない。だが清澈は別だ。彼ほど実力のある術師であれば、この街は火の海と化している。
本来ならば、彼の仕事は魔を祓い、穢れた場を清めることであり、この街も例外ではない。だが清澈は、この街を黙認している、それどころか仮面をかぶって変装してまでこの街をぶらついているのだ。
(本当に、呑気なものだ……)
清澈の気分が変われば、この街は消えてしまうのに、それを知らない通行人たちの楽しげな様子を見て、天月はため息をつく。周りはお祭り騒ぎだというのに、天月ただ一人だけが、葬儀の後のように静かだった。
「これからどうしようかな……」
天月の悩みは、手元の小瓶だ。ちょうど、天月の手のひらに収まるほどの細長い小瓶だ。本来ならば酒をつめるだろうが、実際につめられているのは人間の子供である。
「清澈のヤツ、本当に押し付けやがって……」
清澈が天月に対し、子供のことで何か隠しているのはわかっていた。
彼の師尊の命令に背いたこと。あの尋問専門家の沈白華が思考が理解できないと言っていたのに、清澈が少年の言葉を聞いたこと。そしてただの奴隷の少年をどうして気にかけるのか……
「とりあえず、できる限りはしてみるか……」
誰にも聞かれない独り言を残し、天月は鬼の花街を後にした。
人の街へ戻れば、太陽が地平線から完全に沈み、月のない空には星々が代わりに瞬く。活気のあった鬼の街とは違い、営業を終えた店と、これから店を開店する店の移り変わりで、人の街の場はまだ温まっていないようだった。
天月は周囲を見回す。街の人は忙しいのか、鬼の街から現れた天月を気に留める通行人はいなかった。そのことに安堵し、急いで人の中に紛れた。
「とりあえず、薬屋に…………」
天月は商店がある方角に顔を向けて歩き出す。「なるべく早く」と歩を速めた。
(鏡泉峰の鞭は太い上に、丸一日放置されるんだよな……)
鏡泉峰の体罰は過激で、死ぬことはないが、稀に後遺症が残ることもある。天月がいた頃にも、頭を殴られて失明したものもいた。
小瓶には術がかけられているため、中の時間が止まり、どれだけ遅くなっても怪我の悪化はしない。それでも苦痛の時間は変わらないのだ。
「もう少し我慢してくれ……」
明るい場所へと進めば人通りも多くなり、鬼の街ほどではないが、にぎやかになってくる。行き交う人を縫うように避け、ようやく辿り着いた薬屋は、ちょうど店じまいの準備をしているところだった。
天月よりも拳一個分ほど高い背の店主は、薬屋はと言うよりも武人といった人相で、清澈とは違った無愛想かつ、険しい目つきで天月を見下ろしている。
「店主! 至急、酒と包帯と化膿止めと……」
天月が注文した内容を手元の粗い繊維でできた紙で書き留めると、何も言わず、店の奥に引っ込んでいった。奥に引っ込んだと思ったらすぐに出てきて、店主は両手で抱えるほどの袋を持って帰ってきた。中身を見ると、天月が頼んだものを全て入っているようだ。
「うん、これで全部だ。支払いはこれで足りるだろうか?」
天月が小袋から銀子を二枚取り出すと、店主はそれを黙って受け取った。そして銀子の二枚のうち一枚を天月に返した。
「これでいい」
店主はそう言ったので、天月は驚いて彼の顔を見た。
「先日、人買いのところから、私の姪を取り返してくれた。鏡泉峰の他に羅衣大夫の弟子が居たって聞いていた」
『羅衣大夫』というのは天月の師匠「羅銘軒」のことだ。彼女は薬屋での用事は、この名前で通すことが多く、医療関係者には知られている。だが弟子である天月の顔も覚えられていたのは意外だった。
「……私の家族を取り返してくれて感謝している」
店主はほんの少し頭を天月に下げた。無愛想なのは元からなのだろう。よく見ると彼の目の端が赤く潤んでいるのが見えた。本当に感謝しているらしい。
まさかあの人買いの商品の中に、店主の姪が捕われているとは思わず天月は開いた口が塞がらなかった。
「あの中に、アンタの姪っ子がいたのか! あそこはかなり怖かっただろう、大丈夫か?」
「ああ、まだ不安定だが、命が助かっただけでも儲け物だ。本当なら商品を無料にしたい……が、今は物入りだ……すまない」
そういうと店主は、店の奥を見た。おそらく彼の姪がいるのだろう。天月は声を小さくして尋ねる。
「それは良いが、大丈夫か? かなり購入したと思うのだが?」
「あの子の命に比べれば安いものだ。……それに次回はちゃんと受け取る」
「なら有り難く使わせてもらうよ!」
天月は袋を受け取った。ふと、店主の視線が天月とは別の方へと向けられる。天月もつられて、店主と同じところに視線を向けた。
「……知り合いか?」
「まぁ、そんなところだ」
「そうか」
店主はそれだけを言うと、「早く帰れ」と手を振った。天月は商品の入った袋を抱えなおし、店主にまた礼を言って店から離れた。
「ありがとう! また来るよ」
天月が手を振ると、店主は一度見てから、また自分の作業に戻っていった。
◼︎
天月は、今の根城である山の洞窟まで、道中誰にも会わずに帰ることができた。このような月のない夜には決まって、妖怪にちょっかいをかけられるのだが、今夜に限ってそれはなかった。
帰ってから早々、天月は今朝までほったらかしだった寝床を整え、川の水を汲んでは鍋に入れて沸かしていた。そして薬屋で買った商品を順番に並べていく。
洞窟には、寝床の他に狭いが作業台が置かれており、その周囲には作りかけの傀儡、小さな鳥を模した傀儡から巨大な亀のような傀儡まで置かれていた。
焚き火が爆ぜる音と共に、照らされた傀儡がゆらゆらと怪しく揺れた。そして焚き火の上には、ぐらぐらと沸き立つ鍋が吊るされている。
天月は、亀の傀儡の蓋を閉めた後、手元にある小瓶を見つめる。沈清澈からあずかった黒塗りの小瓶である。
「さて……準備はできた、問題は……」
天月は洞窟の入り口を見つめる。小瓶は体の中に隠し、指をかちゃかちゃと鳴らした。そして洞窟の外に出て、闇の中へと呼びかけた。
「そろそろ峰に帰ったほうがいいんじゃないか? もうとっくに門限の戌の刻だぞ」
低い声がやや掠れて森中に響き渡る。初めは何も反応はなかったが、チーッチーッチーッと鳴く虫の他にヒソヒソと囁き声のようなものが聞こえてきた。
「隠れるなら最後まで隠れろ! オレが敵なら、もう弓矢を撃たれている頃だぞ!」
「いーちっ、にーっ」と天月が数を数え始めると、森の奥の茂みは、慌てたようにガサガサと枝葉を揺らした。そこから何人かの影が一斉に天月の前に飛び出した。
「ま、待ってください! 天月さん! 僕たちです!」
「お前たち、ここに何しにきたんだ?」
天月の前に現れたのは鏡泉峰の弟子たちだ。彼らは薄い緑がかった白衣を身に纏っており、腰にはそれぞれの剣、もしくは弓、棍棒などを携えている。彼らがノリや酔狂でやってきたことではないことは、明らかだ。
「沈師兄に気づかれているのはまだしも、ただの薬屋の店主にも尾行がバレてちゃァ、ダメだろ」
「き、気づかれて、いたのですか?」
この弟子の中で一番の年少、小寒が、震える声を押し殺して尋ねる。
実のところ、天月が彼らの尾行に気がついたのは、薬屋に向かっている最中で、存在は清澈に出会った時から知っていた。清澈が初め、面をとったとき、彼の額には「追手」の二文字が書かれていた。言葉の意味を理解するよりも、清澈の奇行のほうに頭を抱えていたので、あまり驚きはなかった。
そして鬼の街を出たとき、つまり人間の街に戻った時にチラチラと白い衣を見かけたのだ。薬屋の店主に「知り合いか?」と聞かれたときは、破門された身といえ、後輩たちの未熟さにさらに天を仰いだ。
(兄弟子がトンチンカンなら、弟弟子はポンコツってか?)
「天月さん、僕たちは天月さんにお願いがあって来ました」
「『お願い』?」
今度は最年長の梅枝の凛とした声が耳にする届く。その声に天月は眉間の皺を少しだけ寄せた。
「どうか、沈師兄から受け取られた小瓶を、僕らに譲っていただけないでしょうか⁉︎」
天月は「やっぱりか」と内心でため息をつく。大方、殺された兄弟子の仇討ちの為に、こんな山奥までやってきたのだ。清澈が鏡泉で少年を保護することができない理由もここにあるのだろう。仲間に手をかけた少年を隠しておくにしても限度がある。よって、関係者だが鏡泉峰の弟子たちに確執のない天月に頼むしかなかったのだろう。
天月は清澈の思惑を悟りながら、意識を目の前の少年たちに戻した。
「……一体何のことだ? オレは清澈に給金をもらっただけだ。黒い小瓶なんて知らねえな」
「知らないのに、どうして小瓶が『黒い』ことをご存知なのですか?」
「……」
しらを切るつもりが、天月は泣くに泣けず、笑うに笑えない。
「天月さん、その小瓶の少年をこちらに渡していただけませんか?」
「仮に持っていたとして、それをどうしようって? 清澈の次期当主の座から引きずり落とすのか?」
「ちょっとそれもいいな」と心の中でつぶやいた天月だが、梅技ははっきりと否定した。
「その程度で沈師兄の地位は落ちませんよ……弟子たちの中には、ほとぼりが冷めるまで庇ってもらった者が多いぐらいです」
(あいつ、オレの時はずっと吊し上げにしていたくせに……)
天月は子供の頃にされた仕打ちを思い出して苦い顔をしたが、弟子たちは気づいていないのか、話を進めた。
「天月さん、その子供が私どもの師兄に何をしたかご存知のはずです。今後、あなたに危害を加えないとは限らない……」
「だから殺すって? 全く沈師父と似て苛烈だな」
やれやれと心の中で呟く。呆れて首を横に振っていると、前からしゃっと金属が擦れる音が聞こえた。目の前には梅枝たちが天月に向かって剣を構えている。
「天月さん、渡してください。 私どもは貴方を傷つけたくはありません」
「おいおい、オレに剣を向けるか? この貧弱、傀儡おじさんに?」
「いいえ、向けているのは貴方がもつ小瓶です。 貴方には怪我一つもさせません」
「ものはいいようだな」と天月が返すと、梅枝が天月を睨みつける。いつの間にか周りの弟子たちは彼を取り囲んでいる。流石に多勢に無勢だ。だが彼らの目的は天月ではなく、預かっている少年に、兄弟子への敵討がしたいだけなのだ。
天月は右手の人差し指を引っ張るように動かすと、奥から連動するように天月の前に彼よりも大きな影が現れる。
「と、トラ⁉︎」
天月と鏡泉峰の弟子たちの間に憚るように現れたのは、一丈ほどあるトラだった。天月を守らんと、梅枝たちに向けて、ガチガチと顎を鳴らしている。
「狼狽えるな! 天月さんが操る傀儡だ!」
【さぁ、さぁっ! 皆々様ァ‼︎】
突然、天月が天に吠えた。
【これより始まるはァッ! 白虎を操る傀儡師との力比べ!】
天月の言葉に呼応するように、虎の傀儡が手拍子のようにカァン、カァンと顎を鳴らす。
【勝てば小瓶を!なければお捻りを!さぁ……】
まるで舞を踊るかのように、天月は指を、腕を、全身を動かす。それに対応するように虎は彼の隣にひらりと一回転する。
身構えていた鏡泉峰の弟子たちは、彼らの鮮やかな動きに、一瞬目を奪われる。
【とくご覧あれ!】
カァン、と虎が顎を鳴らし、音は天高く登った。
それが合図となり、少年たちは一斉に天月に刀を向けて襲いかかった。
勝負はわずかな時間で決着がついた。
長年、培われた修行により、大人と子供、力の差は歴然だった。
「確かに、小瓶は受け取りました」
涼しい顔をしている梅枝とその弟子たち、彼らの視線の先には砂埃に塗れた天月。その隣には勇ましく顎を鳴らしていた虎の傀儡も腹を天に向けて転がっていた。
そして、梅枝の手には黒塗りの小瓶。
「はにゃ~……」
目を回して伸びている天月に、少年たちは少し残念そうな目で見つめる。
「天月さん、本当に弱いんだな……」
「さっきかっこよく『ご覧あれ!』とかいっていたのに……」
「一人で人買いの拠点を制圧してたから、腕の一本は覚悟していたのに」
「「「まじで弱い」」」
梅枝の後ろに控えていた弟子たちは、口々に喋る。大口切っていた天月に、侮蔑を通り越して憐憫の目を向けている。それに対し、天月は泣くに泣けず笑うに笑えない。
「帰りましょう、もう門限は超えています」
小瓶を懐にしまった梅枝は、弟子たちを連れて峰に帰る。彼らが御剣で空を飛んで帰っても一刻はかかってしまうだろう。
「あ~、前払いされていたのに……」
「師兄には私から説明しますので、場合によっては支払われた金額の賠償もします」
「うーっ! おとといきやがれ!」
子供のように、ワーッワーッと喚き散らす天月をよそに梅枝は頭を下げて拱手する。
「では、天月さん、失礼します」
そう言ってから、彼らは鏡泉峰のある西に向かって去って行った。
彼らを見送った後、天月は虎を操り、洞窟に戻っていく。懐には先ほどまであった小瓶はなく、手を探っても何も出てこない。虎の傀儡も先程の戦闘で爪が何本かかけていた。
(全く目的のためには力を惜しまないか……子供といえど、恐ろしい奴らだ)
天月は、すでにお湯が溢れかえって消えてしまった焚き火を片付ける。
少し時間が経ってしまったが、水の消毒には問題ない。
「だが、まだ子供だ……傀儡子の大道芸に目を輝かせていればいい」
暗闇の中、目を青く光らせていた青年は、奥におかれた亀に似た傀儡に目を向けた。
鏡泉峰の少年たちが持っていったのは間違いなく預かった小瓶だ。ただ貰ったときと違うのは、中身をあらかじめ取り替えたものであることだ。彼らが本当に求めていたものは、天月の傀儡の中にあり、帰ってきてからすぐに隠していたのだ。少年の意識は朧げではあったが、声を出さないように伝えていたところを見ると理解していたらしい。
(やはり、言葉を理解できているな)
正直、鏡泉峰の弟子たちに、隠しているところを見られていないか不安ではあったが、うまく誤魔化せていたのは暁光だった。
天月はお湯で湿らせた手拭いと桶を持って、亀の前にかがむと、ふたになっている甲羅を上に開けた。開けたと同時に、ふわっと、風があがる。
「もう奴らは行った……もう息を潜めなくても……うおっ!」
突然、天月の左目を目掛けて、冷たく光る突起物が飛んできた。武術の心得のない天月だが、この時は火事場の馬鹿力で避けることが出来た。
少年の怪我の応急処置をしようと、用意したお湯の入った桶を落としてしまう。だが、お湯を用意した労力も忘れて、突起物、ハサミをこちらに向けた少年の手を左手でハサミごと掴む。生身なら切れて痛い思いをするが、傀儡の体なら関係はない。突進してくる少年の体を右手で押さえた。
「ちょっ、待てって‼︎」
「……っ!」
少年は攻撃を防がれた挙句、手まで掴まれて落ち着きを失っていた。少年は力の限り、獣のごとく腕を引っ張るが、怪我の痛みからか天月の手を振り解けなかった。天月も彼の背中から血が吹き出すのを見て、少年の怪我の具合がひどいことを察した。
「お前、怪我がひどいンだから暴れるな!」
「っ! 死ね!」
「くそっ!」
つい、「お前も会話ができねえな!」と叫びたくなるのを天月は我慢した。今はあの頓珍漢を思い出したくはない。
だが少年が体を捩って、拘束をふり解こうとするのを見て、天月はなりふり構わず、少年の体を押さえていた右手の指を引っ張った。
ガン、と鈍い音が少年の頭上から聞こえた。同時に少年の体が、傀儡の術を解いた虎のようにベシャと天月の上に倒れた。少年の意識は完全に切れており、背後は鞭打ちの怪我と共に、頭に大きなタンコブができていた。
天月が引っ張ったのは少年の背後にあった亀の甲羅の蓋だ。開けた時に倒れないようにと指に霊糸をつけていたのが幸いした。
気を失った少年は、顔色が悪く、さらに天月が作った怪我のせいで今にも死にそうだ。
「……今日だけで二回も襲われた」
沈師父ですら体罰は一日一回が限度だ。天月は体にもたれて気絶している少年との生活を思い、途方に暮れるしかなかった。
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