不運なプリンスの闘い~未来の天皇は家族の危機に立ち向かう~

オーガスト

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本編

第5話 友情

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 理仁おさひと親王しんのうは赤坂御用地から茨城県のセカンドハウスに向かい、そこで生活をしていた。

 そんなある日、御学友の近衛このえ智久ともひさからメッセージアプリが届いた。

 『誠子さまが病んでしまったって聞いて俺も心配してるんだ。俺だけじゃなくハルに佐喜子さきこも心配してる。兄貴と会わない方が良いってことで茨城に戻ってるならおれに来ないか?俺達はお前の味方だ。頼りたければいつでも頼れ』

 その言葉を見た理仁は励まされた気持ちとなった。

 『じゃあお言葉に甘えて、明日の昼頃にそっちに行っても良いかな?』

 するとすぐにスタンプが届いた。『OK!』と親指を突き立てている可愛らしいキャラクタースタンプだった。

 ◇◇◇
 
 理仁からの連絡を受けた智久は恋人であり、現在は同棲中の二条にじょう明子はるこに声を掛けた。

 「ハル、明日の昼こっちに理仁が来るぞ」

 「マジ?おっさん(理仁のあだ名。由来は彼の諱の『理仁おさひと』から)来るの?」

 「ああ。とりあえず近所のスーパーで食い物と飲み物ありったけ買うぞ。」

 「そうだね。おっさん来るなら佐喜子ちゃんも呼ばなきゃ。」

 そう言って明子は佐喜子にもメッセージを送った。

 『佐喜子ちゃ~ん!明日の昼おっさん来るんだけど来る~?』

 するとすぐに返信が来た。

 『勿論!今すっごく大変だもんね!私も理仁君の力になりたい💪』

 それを見た明子は少し優し気な表情を浮かべた。

 「よし、トモ君買い物行こっか!」

 「おうっ!」

 こうして2人は近所のスーパーに出掛けた。

 ◇◇◇

 翌日、理仁親王は皇宮護衛官の田中たなかと共に智久の暮らすマンションを訪れた。

 智久の両親は弁護士として働いている。

 スポーツ選手や芸能人、インフルエンサーへの誹謗中傷の開示請求
 
 スポーツチームの運営会社やオーナー、インフルエンサーや芸能人の所属事務所との顧問契約

 を主な業務とする中規模の法律事務所を経営している。

 世帯年収も高く大学近くに2LDKのマンションを購入して2人の生活拠点としている。

 ちなみに明子の両親は父親が病院の医師で母親が公認会計士である。

 佐喜子の両親は父親が茨城県内の銀行に勤める傍らでいくつかの公益財団法人の理事を務めており、母親は茨城県の職員として勤務している。

 マンションのセキュリティを通過しエレベーターに入り最上階のボタンを押す。しばらく経つとエレベーターは最上階に到着し、護衛と共に智久の住む部屋へと向かう。

 「理仁~!こっちこっち!」

 智久が笑顔を向ける。そんな彼に理仁も笑顔を向けた。

 「智久、招待してくれてありがとう。」

 「良いんだよ別に。あ、田中さんお久しぶりです!いつも理仁の事を守ってくださりありがとうございます。」

 智久は護衛の田中にも声を掛ける。

 「近衛さん、お久しぶりです。殿下をお守りになっているのは近衛さんや二条さん、徳川さんも同じです。私の方こそ感謝申し上げます」

 田中も智久にそう返答した。

 すると玄関の奥から声が聞こえた。

 「お~い!おっさ~ん!早く入りなよ!」

 「理仁君、どうぞ。」

 明子と佐喜子が声を掛けて来た。

 「明子、佐喜子ちゃん。じゃあお言葉に甘えて」

 智久に続く形で理仁は中に入る。田中もそれに続いてマンションの中に入った。

 ◇◇◇

 リビングには智久と明子が作った料理と誕生日を祝う為のケーキ、お菓子やドリンクが机いっぱいに広がっていた。

 「色々大変そうなお前を励まそうと思って用意したんだ。相談なしにやっちまったからそういう気分じゃないとかあったら遠慮なく言ってくれ」

 そう智久に声を掛けられると理仁は首を横に振った。

 「そんな事ないよ。むしろ色々と大変だからいつも通りこうやって過ごせるとと頭の切り替えになるし。」

 その言葉に智久は少し神妙な顔付きになる。

 「じゃ、おっさんの為にもいつも通り振舞おっか?ね、おっさん」

 「そうだね明子。ありがとう」

 「理仁君、私は貴方の味方だから。不安や悩みがあるならいつでも相談に乗るからね」

 「ありがとう佐喜子ちゃん。また何かあったら相談するよ」

 そう言って彼は笑顔を見せた。

 ◇◇◇

 「皇室の公務って今の所誠子さまが主力として動いてるわけだけど、ご両親が当面代行されるのか?」

 智久が理仁にそう尋ねる。

 「そうだね。でも2人共今やってる分が多いから俺や時子姉さまも代行すると思う。特に土日や祝日に授業がない日とかに」

 理仁はそう答える。

 「なるほどねぇ...てことは授業は一緒に参加できるのね」と明子。

 「そうだね。一応学業優先だから」

 「誠子さまの具合はどうかって聞いても大丈夫かな?」と佐喜子。

 「そうだね。君達が他の人にベラベラ話すとは思えないけど...やっぱリスクは完全に0にしておきたいから、ごめん」

 そう言って理仁は頭を下げる。

 「い、いやっ...!こっちこそ変な事聞いちゃってごめん...嫌いにならない?」

 不安げにそう尋ねる佐喜子の言葉に理仁は思わず吹き出した。

 「嫌いになる訳ないじゃん。むしろ心配してくれていてありがたい位だよ。」

 「良かった~…」

 そう言って安堵の表情を浮かべる佐喜子。

 その後も4人の楽しい時間は過ぎて行った。

 ◇◇◇

 食事も終わり4人で駄弁っていた頃。智久がテレビを付けた。丁度夕方からニュース番組が始まるので見ようと思ったのだ。

 『【速報】川瀬健仁さん成田空港到着 皇籍離脱後初めて赤坂御用地を訪問』

 そのニュースに4人は一瞬固まった。彼の事は皇室のみならず学友グループの中でもタブー中のタブーだからだ。

 「チャンネル替えようか?」と智久が尋ねる。

 「いや、大丈夫だよ。すぐに終わるだろうし」と返す。

 記者から帰国の理由を尋ねられた健仁はゴミを見る様な目で『アンタらマスコミがウチの妹を虐め倒したせいで病んじゃったから助けに来たんだよ。』と答えている。

 (その起爆剤の1つは紛れもなくアンタなんだけどな...)

 理仁は内心で毒づいた。

 「ま、あの人結構金持ちみたいだし、どうにかしてくれるならそれが一番良いんじゃないかな」

 理仁はそう3人に告げた。

 「そうそう!使えるものは何でも使えってね!」と明るく明子が相槌を打つ。

 自分が大変な状況に置かれている立場だからこそ、普段通り接してくれる学友に理仁は心の底から感謝した。

 ◇◇◇

 「私とトモ君はちょっとコンビニ行って来るね。何か欲しい物はある?」

 「じゃあおにぎりとチキンで」

 「私も」

 そう言うと明子と智久は部屋を出ようとした。その直前、明子は佐喜子に耳打ちする。

 「そんじゃ、お邪魔虫はしばらくいないから2人きりで楽しみなさい♪」

 その言葉に佐喜子は頬を赤く染めた。
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