6 / 7
6
しおりを挟む
そうこうしているうちに、同窓会はお開きとなった。
会場予約は二時間で、ごく標準的な長さだったが、思ったより皆と話すことはできなかった。
最初のテーブルで香川達に時間を結構とられたからということもある。
まあ、それでも、岡田達と話せたのは良かった。
岡田と同じテーブルで天寺と話をしていたぽっちゃりした男性は、なんと、同じサッカークラブの岩崎だった。
岩崎、細かったのに…
有志での二次会行く人!と叫んでる人がいたが、予定があった俺は、じゃあな!と手を振り帰った。
…その後。
俺は天寺についてのこぼれ話を、岩崎経由で聞くこととなった。
天寺はいろんなテーブルでデュエルの相手を探していたらしいが、誰もやるとは言わなかったらしい。
とうとう、会費を集めるときに話をした、旧姓山内さんにまで、初心者でも教えるしデッキあげるから大丈夫!などと勧誘し始めた。
彼女は全く興味無いのでと断った。まわりの女性達も天寺の半ば強引とも言える勧誘に、かなり引いた様子だったらしい。
「よくわからんな。なんで同窓会で、カードゲームの相手なんか探しに来るんだ?
忙しい社会人じゃなくて、バリバリプレイしてそうな年下の相手、学生なんかを相手したらいいじゃないか。再ブームなんだろ?」
岩崎が言うには、実は、すでにそういう感じだったが、学生達からは爪弾きにされたとのことだった。
「詳しいな」
「俺の後輩がたまたま同じカードゲームやってて、口コミで。
天寺、このへんの学生連中に有名らしいんだよ」
岩崎の後輩によると、天寺は、同年代のプレイヤーがあまりいないこともあり、当初学生を相手にしていた。
カードゲームが自由に遊べるテーブルが、大きめのゲームショップなどに設置してあり、そこで気軽に対戦できるようになっている。
初対面の相手でもわりと声かけて遊ぶらしい。
だが学生達は、だいぶ年が上の天寺のことを、気味悪がり離れてしまったらしい。
「天寺、年上なだけでなく、わりとしつこいらしいんだ。
あと、プレイ中、自分の有利な状況になると、何も知らない情弱さん、デッキの構築も上手くできない頭の弱い人、足し算引き算から勉強をも一度やり直ししたほうがいいでしょう、などと馬鹿にしたりするらしい」
「そりゃ遊ぶ相手いなくなるわ。」
「そんなわけで、同世代が来る同窓会にわざわざあらわれたらしいよ。」
天寺の態度、聞く限りでは不愉快だな。避けられても仕方ないだろう。
ただ、それを除くと、なんだか笑えないところはある。
やることが違ってくると、同じ世代でも話が合わなくなってくることは、よくある話だからな…
「…岩崎の後輩とかは、天寺と対戦したりしないのか?」
「あのな、俺のかわいい後輩を、天寺とつき合うように勧めるなよ。
いい歳して変なおじさんだとか、気味悪がってたんだぜ本当に。」
「そういうもんか…」
会場予約は二時間で、ごく標準的な長さだったが、思ったより皆と話すことはできなかった。
最初のテーブルで香川達に時間を結構とられたからということもある。
まあ、それでも、岡田達と話せたのは良かった。
岡田と同じテーブルで天寺と話をしていたぽっちゃりした男性は、なんと、同じサッカークラブの岩崎だった。
岩崎、細かったのに…
有志での二次会行く人!と叫んでる人がいたが、予定があった俺は、じゃあな!と手を振り帰った。
…その後。
俺は天寺についてのこぼれ話を、岩崎経由で聞くこととなった。
天寺はいろんなテーブルでデュエルの相手を探していたらしいが、誰もやるとは言わなかったらしい。
とうとう、会費を集めるときに話をした、旧姓山内さんにまで、初心者でも教えるしデッキあげるから大丈夫!などと勧誘し始めた。
彼女は全く興味無いのでと断った。まわりの女性達も天寺の半ば強引とも言える勧誘に、かなり引いた様子だったらしい。
「よくわからんな。なんで同窓会で、カードゲームの相手なんか探しに来るんだ?
忙しい社会人じゃなくて、バリバリプレイしてそうな年下の相手、学生なんかを相手したらいいじゃないか。再ブームなんだろ?」
岩崎が言うには、実は、すでにそういう感じだったが、学生達からは爪弾きにされたとのことだった。
「詳しいな」
「俺の後輩がたまたま同じカードゲームやってて、口コミで。
天寺、このへんの学生連中に有名らしいんだよ」
岩崎の後輩によると、天寺は、同年代のプレイヤーがあまりいないこともあり、当初学生を相手にしていた。
カードゲームが自由に遊べるテーブルが、大きめのゲームショップなどに設置してあり、そこで気軽に対戦できるようになっている。
初対面の相手でもわりと声かけて遊ぶらしい。
だが学生達は、だいぶ年が上の天寺のことを、気味悪がり離れてしまったらしい。
「天寺、年上なだけでなく、わりとしつこいらしいんだ。
あと、プレイ中、自分の有利な状況になると、何も知らない情弱さん、デッキの構築も上手くできない頭の弱い人、足し算引き算から勉強をも一度やり直ししたほうがいいでしょう、などと馬鹿にしたりするらしい」
「そりゃ遊ぶ相手いなくなるわ。」
「そんなわけで、同世代が来る同窓会にわざわざあらわれたらしいよ。」
天寺の態度、聞く限りでは不愉快だな。避けられても仕方ないだろう。
ただ、それを除くと、なんだか笑えないところはある。
やることが違ってくると、同じ世代でも話が合わなくなってくることは、よくある話だからな…
「…岩崎の後輩とかは、天寺と対戦したりしないのか?」
「あのな、俺のかわいい後輩を、天寺とつき合うように勧めるなよ。
いい歳して変なおじさんだとか、気味悪がってたんだぜ本当に。」
「そういうもんか…」
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる