不要とされる寄せ集め部隊、正規軍の背後で人知れず行軍する〜茫漠と彷徨えるなにか〜

サカキ カリイ

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第二章

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仙女とおやじさんは専門的な話をしたようだった。

ようだったと言ったのは、その話の言葉自体はわかるのだが、

その基礎となる知識がさっぱりな者にとっては、何のことやらわからず、

聞いたおやじさん本人でさえも、今ひとつよくわからなかった様子だった。

「こりゃ飲み込めるまでここに通わんといかんわい」おやじさんは唸った。

「別に簡単な話じゃないの。

ここの泉のとこの空間には、プラズマ状態になっている場所があるの。

そこでは、いろんな物質をプラズマ状態に楽にできるようになっているとこもあるから、

その辺を利用して作業してるだけなんだってば!」

「???はい、わかりません」ヤトルが言う。

「自分の小刀はいつ頃返してもらえるのですか」ナギが言う。

仙女の力で、ここの泉の周辺だと、ナギの言葉が自分達にも理解できるようになっていた。

「分析が終われば返してあげるわ」仙女はいかにも惜しそうに溜息をつきながら言った。

「頼むから早めに返して頂きたい。この手の備品は常に携行し紛失してはいけない決まりがあるのだ。」

ナギは言う。

「でも最初泉にきたときには、あなた確か、自分の国はやられてしまったから、

国に課せられたこういう義務をどこまで守る必要があるかは、すでにわからない状態なんだがって言ってたでしょ?」

「それは…」ナギは酷く苦しそうな顔をしてうつむいた。

仙女とナギ以外がみな仙女を咎めるように見たので、仙女は

「な、何よ…この人本人の言葉を繰り返して言っただけじゃない!」と少し焦った様子で言った。

「自分の守るべき国はその国土を焼かれてしまった。守るべき国民もまた…」

「国、ねえ」おやじさん含めた薬草部隊三名は首をひねった。

彼らにとって国は帝国しかなかった。

ナギがいうには、ここがどこなのか、持っている器具から、位置を測定することができない。

また、知る限りの場所のどこへ連絡してみても繋がらない。

自国は返答が不可能な状態なのかもわからないが、他国との連絡まで全く取れないのはおかしい。

自分は異世界に来てしまっているような気がするということだった。

サタヴァはぼんやりと幼い頃は帝国とは違うところにいて、そこは別の国であるような扱いだったような気がしていたのだが、

それらは、親に捨てられたという、あまり思い出したくもない記憶と結びついており、

またナギの話によると、その国は、場所を測定することや連絡をとることのできる器具やらがあるところであり、

自分の記憶にある場所とは全く違うところのような感じがしたため、何も言わなかった。

ナギによると渦近くに落ちた細長い物体というのは乗り物で、彼はその乗り物に乗って飛行していたそうだ。

だが、ここの渦に巻き込まれたかどうかはわからないが、気がついた時にはこちらの世界の渦近くに不時着していたというのだ。

こちらへ来る前は哨戒とかいうことをしていたと言っており、目視にて敵国から兵器が多数飛来してくるのを見たと。

それが非常な速さで、連絡はもはや間に合わず、防衛となるものも動かず、その飛来した兵器は国土へ到達してしまったのであった。

その規模からして、国土の大半はおそらく焼かれてしまっているのではないかと。

ただそれを確認する前に、もうこちらへ来てしまったと。

ナギは言う。

「本来は防衛装置なるものがあり、迎え撃てるはずだった。だが、作動しなかった。

また、目視以外にも、接近を感知する装置もあったが同様に反応しなかった。

あれはおそらくすでに敵の手に落ちてしまっていたのだ。

敵がそれらを制御してしまい、攻撃に反応しないようにさせられていたのだ。」

「ははあ」わからない話ばかり出てきて、みな頭をひねりすぎて頭から煙を出している中、クガヤがどうにか声を出した。

「ナギってここで言う兵士とか戦士とかなんだな。

反撃せずして攻撃されてしまったのは、そりゃ敵さんがやり手だったって感じなんかな?」

ナギは苦虫を噛み潰したような顔をしながら、攻撃してきた兵器自体も、自国で開発されたものを奪われ使用された可能性がある、と言った。

その後、ナギは、自分は守りきれなかった、もう帰る国はないかもしれないだの、帰れて生き残りの国民に会えても、生きてあわせる顔がないだの、酷い青ざめた顔でものを言いながらその体は震え始めた。

「お、おいおい」おやじさんが体を支えた。

「とりあえず何となく話はわかった。小刀とかは今日のことになりそうもないし、ナギも疲れてるので、一旦家に帰ることにする。」

仙女にそう断りを入れ、ひとまずみんなで鍛冶屋の住まいへ戻ることとなった。
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