13 / 159
第1章 幼少期編
第8話 神託の子
しおりを挟む
俺は前に母親と来た時と、同じ応接室に通された。今日は特に母親本人からの口頭説明もなく、書類の提出だけなので、受付カウンターでお使いも終わりだとおもっていたけど、俺だけでもVIP待遇してくれるみたいだ。お茶まで出してくれた。
「さてと、まずはすまなかったな。うちの冒険者が迷惑をかけた」
「いえ、先程も言いましたが、特に被害を受けた訳ではないので大丈夫です」
半分、自分で首を突っ込んだしね。敢えて説明はしないけど。
「そうか、良かった。あんな奴でも、この支部の中堅の中では頭一つ抜けている奴でな。
ナイフまで抜いたんだ。お前がごねたら、何らかの処分を考えないといけないところだった。今回は数日間の強制労働くらいで勘弁してやろう」
支部長は安心したのか、そう言いながらお茶をすする。ごねてもウースに恨まれるだけで、良い事なさそうだからね。
「それにしても、ウースはああ見えて、もうすぐレベル30に達するんだが、それを赤子の手を捻るようにあしらうとは、噂の神託の子と言うのは凄いんだな」
「いえ、それ程でも・・・えっ! 何故それを・・・」
「ほう、やっぱりそうか」
あ、俺カマをかけられた? やっちゃった?
「4~5年前だったか、ちょっと話題になっていてな。
神殿関係者から直接情報は流れないが、そこで働く一般人の口までは完全に蓋はできないもんだ。
魔王とか世界の危機とか、物騒なワードも出てきていたし、ギルドとしても調査をしていたんだが、断片的な情報しか手に入らなかった。そして、そのまま忘れていたんだが、さっき【鑑定】がレジストされた時に、その話を思い出してカマをかけさせてもらった」
冒険者上がりで、強さだけで支部長になったのかと思っていたら、とんでもない。中々の切れ者だった。でも、それを知ってどうするんだろう。
「ふふっ、その顔はどうする気だと思ってるな?」
おおう、この人、伊達に100年以上生きてないな。俺の考えている事なんて手に取るようにわかるのか!?
「別にどうもしないさ。ギルドとしては調査も終わってるし、上に報告するつもりもない。そもそも神殿を敵に回したくもないからな。これは俺個人の興味の問題だ」
どこまでが本音か俺には分からないが、そう言う事にしておこう。
「それで、お前が神託の子で間違いないんだろ?」
「・・・確かに俺は生まれてすぐに、運命の女神様から神託を授かりました。ただ、それだけです。それ以上でも、それ以下でもありません」
「そうか、まあ今はそれでもいいさ。俺もちょっと興味があっただけだ。
でも、将来的に冒険者になるんだったら、この支部で登録しろよ? お前なら間違いなくすぐ高ランクになれる。この支部出身ってだけで俺の鼻も高いってもんだ」
まあ、旅に出る前には冒険者登録はするつもりだし、家から一番近いここで登録する事になるだろう。
「ええ、いつか冒険者登録はしたいと思っていますので、その際はよろしくお願いします」
「ああ、いつでも来いよ。特別扱いしてやる。それと、まだ5歳なら仕方ないかも知れないが、顔に出やすい性格みたいだから気を付けな」
俺、そんなに顔に出やすいかな? 5歳と言っても前世から合計すると20年以上は生きてるんだけどな。まあ、気をつける事にしよう。
考えている事が顔に出ないように、出ないように、出ないように。【ポーカーフェイス】みたいなスキルってないのかな?
《【ポーカーフェイス】のスキルを習得しました》
あ、はい。ありがとうございます。【スキル早熟】スキルが一晩どころか、一瞬でやってくれました。でも【ポーカーフェイス】してても、俺自身がカマをかけられていたら意味ないな。そこは気を付けるか、他のスキルを身に付けるしかないか。
「さて、話が脱線しすぎてすまなかったな。ここに来た本来の用事だが・・・」
「あ、すみません。こちらが母からの報告書になります」
そう言いながら、俺は【収納】スキルで報告書を取り出す。
「ほう、手ぶらだったからまさかとは思ったが、やはり【収納】スキルまで持っているのか」
あ、これまたやらかした? と思いつつも【ポーカーフェイス】に仕事をしてもらう。まだレベル1だから、動揺を完全に隠し切れているかは分からない。無いよりマシだろうけど、早めにレベル上げないとな。
《従魔ポチが取得した経験値の一部を獲得しました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが122になりました。
【ポーカーフェイス】のレベルが5に上がりました》
あ、はい。ご都合主義バンザイ。空気を読めるポチ大好き。と言うか、一気に複数レベル上がったのは生まれた直後以来だ。スキルレベルも一気に5とか、ポチは一体何と闘っているんだ・・・。
「まあ、今更【収納】スキルくらいじゃ驚かないさ。大商人と呼ばれるような奴は大体持っているし、珍しくもない」
そんな俺の心配を他所に、話は進んでいく。
そうは言っても、俺は商人じゃないし、【収納】はスキルランクがスーパーレアだから珍しいでしょ。とツッコミたいが、話が拗れるだけなのでやめておく。
まあ、支部長にとって【収納】スキルは珍しく無いのかも知れないが、俺のはレベル10だから、容量の上限もメチャ高いし、時間もほぼ止まっている。それを知ったら流石に驚くだろう。いや、言わないけどね。
因みに、レベル10でも完全停止ではないが、レベルが上がる度に、時間経過が10分の1になるからほぼ止まってるも同然だ。レベル1だと外と同じ、レベル10になると10年経っても【収納】の中は1秒も経過しないのだ。
「兎に角、書類を見せて貰ってもいいかな?」
「あ、はい、ご確認下さい」
俺は母親の書類を手渡す。これではじめてのお使いコンプリートかな。
「うむ、これは間違いなくサーシャ殿のサインだ。確かに受け取ったぞ。後は受付カウンターに行って受領証を受け取って帰ってくれ。受付には話が通してある」
「はい。ありがとうございました」
こうして、俺のはじめてのお使いは、いくつかのアクシデントがありつつも、何とか完了したのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「帰ったか・・・」
支部長のアルフは支部長室で自分専用の事務机に座り、そう呟く。
「前は母親の影に隠れていたので、よく分からなかったが、直接対面して初めて分かる、奥底に言い知れぬ力を感じたな」
そう言いながら、お茶を口に付けるがティーカップが皿に当たりカタカタと音を立てる。
「むっ? 俺が、震えているのか・・・。確かにアイツは現時点でも俺が足元にも及ばない程の力を感じた。
それを導くのも、我々大人の役目、そう言う事ですな、・・・シーラ様」
そう言いながら窓側に顔を向ける。そこには一人のエルフが立っていた。
「ええ、彼は将来冒険者になり、世界を旅したいと思っているようです。
それまでにしっかりと自分で考え、正しい道を歩めるよう導いて行くのが、我々の使命です。
先程も、故意に冒険者に絡まれている節もありましたからね。危なっかしい子です。ふふっ」
シーラはそう言って笑い、更に言葉を続ける。
「貴方が5年前の神託について、色々と調べていたのは知っていました。興味があったのでしょう?
優秀な貴方の事です。いつか真実に辿り着くと思いましたので、先にこちら側に引き込ませて頂きました。但し、ギルド内に報告する事は控えて下さいよ?」
シーラは先程の笑顔と打って変わり、厳しい眼差しでアルフを見つめる。
「ええ、そもそもこれはギルド支部長としてではなく、元Aランク冒険者として俺個人で貴方から受けた依頼と考えている。守秘義務は守りますよ」
「彼は近い将来、ここに来る事になると思いますので、その時はよろしくお願いしますね」
こうして、二人の密談は終わったのだった。シーラが最後に「明日にでも・・・」と呟いていたのはアルフには聞こえていなかった。
「さてと、まずはすまなかったな。うちの冒険者が迷惑をかけた」
「いえ、先程も言いましたが、特に被害を受けた訳ではないので大丈夫です」
半分、自分で首を突っ込んだしね。敢えて説明はしないけど。
「そうか、良かった。あんな奴でも、この支部の中堅の中では頭一つ抜けている奴でな。
ナイフまで抜いたんだ。お前がごねたら、何らかの処分を考えないといけないところだった。今回は数日間の強制労働くらいで勘弁してやろう」
支部長は安心したのか、そう言いながらお茶をすする。ごねてもウースに恨まれるだけで、良い事なさそうだからね。
「それにしても、ウースはああ見えて、もうすぐレベル30に達するんだが、それを赤子の手を捻るようにあしらうとは、噂の神託の子と言うのは凄いんだな」
「いえ、それ程でも・・・えっ! 何故それを・・・」
「ほう、やっぱりそうか」
あ、俺カマをかけられた? やっちゃった?
「4~5年前だったか、ちょっと話題になっていてな。
神殿関係者から直接情報は流れないが、そこで働く一般人の口までは完全に蓋はできないもんだ。
魔王とか世界の危機とか、物騒なワードも出てきていたし、ギルドとしても調査をしていたんだが、断片的な情報しか手に入らなかった。そして、そのまま忘れていたんだが、さっき【鑑定】がレジストされた時に、その話を思い出してカマをかけさせてもらった」
冒険者上がりで、強さだけで支部長になったのかと思っていたら、とんでもない。中々の切れ者だった。でも、それを知ってどうするんだろう。
「ふふっ、その顔はどうする気だと思ってるな?」
おおう、この人、伊達に100年以上生きてないな。俺の考えている事なんて手に取るようにわかるのか!?
「別にどうもしないさ。ギルドとしては調査も終わってるし、上に報告するつもりもない。そもそも神殿を敵に回したくもないからな。これは俺個人の興味の問題だ」
どこまでが本音か俺には分からないが、そう言う事にしておこう。
「それで、お前が神託の子で間違いないんだろ?」
「・・・確かに俺は生まれてすぐに、運命の女神様から神託を授かりました。ただ、それだけです。それ以上でも、それ以下でもありません」
「そうか、まあ今はそれでもいいさ。俺もちょっと興味があっただけだ。
でも、将来的に冒険者になるんだったら、この支部で登録しろよ? お前なら間違いなくすぐ高ランクになれる。この支部出身ってだけで俺の鼻も高いってもんだ」
まあ、旅に出る前には冒険者登録はするつもりだし、家から一番近いここで登録する事になるだろう。
「ええ、いつか冒険者登録はしたいと思っていますので、その際はよろしくお願いします」
「ああ、いつでも来いよ。特別扱いしてやる。それと、まだ5歳なら仕方ないかも知れないが、顔に出やすい性格みたいだから気を付けな」
俺、そんなに顔に出やすいかな? 5歳と言っても前世から合計すると20年以上は生きてるんだけどな。まあ、気をつける事にしよう。
考えている事が顔に出ないように、出ないように、出ないように。【ポーカーフェイス】みたいなスキルってないのかな?
《【ポーカーフェイス】のスキルを習得しました》
あ、はい。ありがとうございます。【スキル早熟】スキルが一晩どころか、一瞬でやってくれました。でも【ポーカーフェイス】してても、俺自身がカマをかけられていたら意味ないな。そこは気を付けるか、他のスキルを身に付けるしかないか。
「さて、話が脱線しすぎてすまなかったな。ここに来た本来の用事だが・・・」
「あ、すみません。こちらが母からの報告書になります」
そう言いながら、俺は【収納】スキルで報告書を取り出す。
「ほう、手ぶらだったからまさかとは思ったが、やはり【収納】スキルまで持っているのか」
あ、これまたやらかした? と思いつつも【ポーカーフェイス】に仕事をしてもらう。まだレベル1だから、動揺を完全に隠し切れているかは分からない。無いよりマシだろうけど、早めにレベル上げないとな。
《従魔ポチが取得した経験値の一部を獲得しました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが122になりました。
【ポーカーフェイス】のレベルが5に上がりました》
あ、はい。ご都合主義バンザイ。空気を読めるポチ大好き。と言うか、一気に複数レベル上がったのは生まれた直後以来だ。スキルレベルも一気に5とか、ポチは一体何と闘っているんだ・・・。
「まあ、今更【収納】スキルくらいじゃ驚かないさ。大商人と呼ばれるような奴は大体持っているし、珍しくもない」
そんな俺の心配を他所に、話は進んでいく。
そうは言っても、俺は商人じゃないし、【収納】はスキルランクがスーパーレアだから珍しいでしょ。とツッコミたいが、話が拗れるだけなのでやめておく。
まあ、支部長にとって【収納】スキルは珍しく無いのかも知れないが、俺のはレベル10だから、容量の上限もメチャ高いし、時間もほぼ止まっている。それを知ったら流石に驚くだろう。いや、言わないけどね。
因みに、レベル10でも完全停止ではないが、レベルが上がる度に、時間経過が10分の1になるからほぼ止まってるも同然だ。レベル1だと外と同じ、レベル10になると10年経っても【収納】の中は1秒も経過しないのだ。
「兎に角、書類を見せて貰ってもいいかな?」
「あ、はい、ご確認下さい」
俺は母親の書類を手渡す。これではじめてのお使いコンプリートかな。
「うむ、これは間違いなくサーシャ殿のサインだ。確かに受け取ったぞ。後は受付カウンターに行って受領証を受け取って帰ってくれ。受付には話が通してある」
「はい。ありがとうございました」
こうして、俺のはじめてのお使いは、いくつかのアクシデントがありつつも、何とか完了したのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「帰ったか・・・」
支部長のアルフは支部長室で自分専用の事務机に座り、そう呟く。
「前は母親の影に隠れていたので、よく分からなかったが、直接対面して初めて分かる、奥底に言い知れぬ力を感じたな」
そう言いながら、お茶を口に付けるがティーカップが皿に当たりカタカタと音を立てる。
「むっ? 俺が、震えているのか・・・。確かにアイツは現時点でも俺が足元にも及ばない程の力を感じた。
それを導くのも、我々大人の役目、そう言う事ですな、・・・シーラ様」
そう言いながら窓側に顔を向ける。そこには一人のエルフが立っていた。
「ええ、彼は将来冒険者になり、世界を旅したいと思っているようです。
それまでにしっかりと自分で考え、正しい道を歩めるよう導いて行くのが、我々の使命です。
先程も、故意に冒険者に絡まれている節もありましたからね。危なっかしい子です。ふふっ」
シーラはそう言って笑い、更に言葉を続ける。
「貴方が5年前の神託について、色々と調べていたのは知っていました。興味があったのでしょう?
優秀な貴方の事です。いつか真実に辿り着くと思いましたので、先にこちら側に引き込ませて頂きました。但し、ギルド内に報告する事は控えて下さいよ?」
シーラは先程の笑顔と打って変わり、厳しい眼差しでアルフを見つめる。
「ええ、そもそもこれはギルド支部長としてではなく、元Aランク冒険者として俺個人で貴方から受けた依頼と考えている。守秘義務は守りますよ」
「彼は近い将来、ここに来る事になると思いますので、その時はよろしくお願いしますね」
こうして、二人の密談は終わったのだった。シーラが最後に「明日にでも・・・」と呟いていたのはアルフには聞こえていなかった。
33
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる