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第1章 幼少期編
第16話 模擬戦
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俺は今、神殿騎士の訓練場にいる。この訓練場は屋外で、四角く加工された白い石が敷き詰められている。
そして目の前に居るのは赤い髪の女の子。自称天才美少女魔道士の女の子である。
嫌な予感は的中して、俺は何故かこの自称天才美少女魔道士と模擬戦をする事になったのだ。
俺とシーラ様が居た部屋に乱入してきた彼女は、シーラ様の再三の説得にも応じず、頑なに依頼を受けると言って聞かなかった。
そこでシーラ様は衝撃の一言を放ったのだ。
「分かりました。貴女がそこまで依頼を受けたいのなら、仕方ありません。
ここに居るリョーマ君も、今回の依頼を受ける候補者です。
お二人で模擬戦をして頂いて、勝った方を採用させて頂きます」
な、何を言い出すんだこの人は! とも思ったけど、それだけ俺の事、俺の力を信頼している事の裏返しなんだろう。ちょっと感動。そう思って、仕方なくその条件を受け入れる事にした。
でも万が一、俺が負けた場合、レミの神託はどうなるんだろうと思い、訓練場への移動中にシーラ様に尋ねたらこう言われた。
「その場合はレミが2回遺跡に行く事になるだけなので、問題ありません」
納得。俺の感動を返してください。
まあ、でも俺も負ける気は無い。
そして今、訓練場で向かい合っている訳だ。そもそも、未だに自己紹介もしていないから、相手の強さどころか、名前すら分からない・・・。あ、【鑑定】したらいいのか。
・基本情報
種族:人
名前:リーナ(隠蔽中:リーナ・フォン・デグモ)
年齢:9歳
レベル:41
・・・さて、どこから突っ込もうか。
まず、年齢。これは今回の依頼を受けていた事からも想定内なので問題ない。
次にレベル。これも、かなり高いが自ら天才を名乗る程の事はある。冒険者ランクはBくらいだろうか?
名前・・・。もう何も言うまい。いや、言いたい事はあるよ? でもいいや。やっぱり何も言うまい。俺は何も見なかった。そう、見なかった。隠蔽中って何!
「貴方が何者かは知らないけど、私は依頼を断られてプライドが傷付いたの。別に恨みがある訳では無いけど、貴方を倒してそれを無かった事にさせてもらうわ」
自ら天才を名乗るだけの事はあって、意識高い系ですね。シーラ様に依頼を拒否されるとは思って無かったんだろうね。
「それでは、ルールを説明しますね? ある程度は自由にやって頂いて構いません。ここは神殿ですので、少しぐらいの怪我なら直ぐ治せます。但し、相手を殺してしまう様な攻撃は厳禁です。どちらかが降参するか、私がもう継続困難と判断したら試合終了です。
リョーマ君は剣を使うなら、刃を潰した模擬戦用の剣にして下さいね?」
「分かりました。お借りします」
俺は横に控えていた神殿騎士さんから模擬戦用の剣を受け取る。
「私は必要ないわ。そもそも剣は使わないし、自前の杖を使わせて貰うわ」
彼女がそう言うと、先程まで何も持っていなかった右手に杖が現れる。【収納】持ちかな?
「ああ、これは【収納】スキルじゃないわよ? 杖の方に仕掛けがしてあるの。詳しくは企業秘密だから教えないわ。まあ、天才の手に掛かれば、このような杖を作るくらい朝飯前って事ね」
自作なのか。自意識過剰系の彼女の事だから、本当は説明したくてウズウズしてるんじゃないだろうか?
「凄いですね。【収納】を使わずに急に現れる武器なんて、聞いた事ないですよ」
「あら、貴方分かってるじゃない? 私は凄いのよ。
良いわ。少しだけ教えて上げる。これは私のオリジナル魔法よ。杖の細工と私の魔力が反応するから、他人には使えないようになってて、セキュリティも万全よ」
チョロかった。
けど、まさかのオリジナル魔法か・・・。自称天才を名乗るだけあって本当に凄い子なのかも。
「オリジナル魔法・・・。そんなものがあるんですね。勉強になります。誰にでも使えるものなんですか?」
「バカね! 誰にでも使える訳ないでしょ? 私は天才の上に努力を重ねて【魔法創造】スキルを取得したの。スキンランクはもちろんレジェンドよ」
レジェンドか・・・。確か世界で数人レベルのスキルだったかな? でもユニークじゃないって事は俺にも可能性はあるか・・・。【スキル早熟】スキルもあるし。
「どの様な努力をして、そのスキルを取得したか教えて頂く事は出来ませんか?」
「貴方、バカなの? そんなの教える訳ないでしょ?」
そうだよね。シーラ様も冒険者は基本的に仲間以外には手の内は隠す物だって言われていたし。でも、何とか少しでも情報を仕入れたいな。
「そうですよね? そもそもレジェンドスキルなんて、貴女の様な天才にしか取得出来ませんもんね? 僕に教えるだけ時間の無駄ですね」
「ま、まぁ私の事評価してくれているみたいだから、万が一にでも模擬戦で私に勝てたら、少しくらい教えて上げない事もないわ」
やっぱりチョロかった。でも、また勝たないといけない理由が増えた。
「では、お互い準備はいいですか?」
「はい。大丈夫です」
「私も問題ないわ」
2人が同意したところで、シーラ様は2人の間に下ろしていた手を上げると同時に、試合開始を宣言した。
「では、開始して下さい!」
「王都中央支部所属、天才美少女魔道士レーナ。行くわよ!」
え? そんな前口上必要なの? 俺もやらないとダメかな?
「えっと、エナン東支部所属、Fランクのリョーマ。参ります!」
真似して言ってみた。
「リョーマ君・・・、別に真似しなくても良いのよ。リーナさんが趣味で言ってるだけだから」
ガーン。めっちゃ恥ずかしい・・・!
「あははっ、貴方思ったより面白い子ね。気に入ったわ。本気で遊んで上げる!」
リーナさんはそう言ってバックステップをする。間合いを開けて、魔法を使うつもりなんだろう。魔道士を自称してるくらいだしね。
けど、そう易々と魔法を撃たせたりはしないよ? 俺は一気に前にダッシュして間を詰める。間を詰めてしまえば、誘爆を恐れて強力な魔法は撃てないはずだ。
「貴方は剣士なのかしら? それならこうしましょう。『飛翔』!」
その言葉と共にリーナさんが飛び上がる。そして8mくらいのところで停止した。
そ、それは俺が欲しくて止まなかった、飛行系の魔法!?
「この位置なら、剣士には攻撃手段がないでしょう? ふふ、コレも天才的な私のオリジナル魔法よ」
確かに、普通の剣士にはあの高さまで飛び上がった人を攻撃する手段なんて、武器を投げるくらいしか思いつかない。後、リーナさんスカートで空を飛んでるからパンツ丸見えです。俺はロリコンではないから、9歳のパンツに興味はないけど・・・、あれ? でも今は向こうが年上だから、ロリコンではないのかな?
「さて、これから私の一方的な蹂躙が始まるわよ」
あれ、全く記憶には無いけど、デジャブの様なセリフだ。しかも、そのセリフは蹂躙出来ないフラグの様な気がする。何故だろう?
兎に角、とりあえずこれかな?
「『発火』」
俺は魔力マックスで『発火』を使う。高さ10mまで炎の柱が立ち昇り、油断しているリーナさんを襲う。
「わっ! 危なっ! 何よそれ!」
意外と良い反応で避けられた。残念。
でもこの炎、手の平から出てるから自由に動かせるんだよね。
「ちょっ! うわっ! 止めてっ!」
俺がリーナさんの逃げる方向に手の平を向けると、炎の柱もそちらに追従していく。耐え兼ねたリーナさんは地上に降りて来た。
「その魔法は何なの!? 『火炎放射』にしては出方がおかしいわよ!」
「あ、これ『発火』です。【生活魔法】です」
「はいっ!? どんな馬鹿げた魔力があれば発火が10mの火柱になるのよ! 私がどんなに頑張っても2mが精々よ」
それでも、『発火』で2mとか、さすが自称天才だ。普通は目の前の物に火を付ける魔法だからね。
「大体、そんな魔力があって、何で剣士の格好してるのよ? 見た目詐欺じゃ無いの!?」
そんな事言われましても・・・。
さて、地上に引きずり下ろしたし、サクッと勝負を終わらせるか、もう少し手の内を見せて貰うか、どうしようかな?
そして目の前に居るのは赤い髪の女の子。自称天才美少女魔道士の女の子である。
嫌な予感は的中して、俺は何故かこの自称天才美少女魔道士と模擬戦をする事になったのだ。
俺とシーラ様が居た部屋に乱入してきた彼女は、シーラ様の再三の説得にも応じず、頑なに依頼を受けると言って聞かなかった。
そこでシーラ様は衝撃の一言を放ったのだ。
「分かりました。貴女がそこまで依頼を受けたいのなら、仕方ありません。
ここに居るリョーマ君も、今回の依頼を受ける候補者です。
お二人で模擬戦をして頂いて、勝った方を採用させて頂きます」
な、何を言い出すんだこの人は! とも思ったけど、それだけ俺の事、俺の力を信頼している事の裏返しなんだろう。ちょっと感動。そう思って、仕方なくその条件を受け入れる事にした。
でも万が一、俺が負けた場合、レミの神託はどうなるんだろうと思い、訓練場への移動中にシーラ様に尋ねたらこう言われた。
「その場合はレミが2回遺跡に行く事になるだけなので、問題ありません」
納得。俺の感動を返してください。
まあ、でも俺も負ける気は無い。
そして今、訓練場で向かい合っている訳だ。そもそも、未だに自己紹介もしていないから、相手の強さどころか、名前すら分からない・・・。あ、【鑑定】したらいいのか。
・基本情報
種族:人
名前:リーナ(隠蔽中:リーナ・フォン・デグモ)
年齢:9歳
レベル:41
・・・さて、どこから突っ込もうか。
まず、年齢。これは今回の依頼を受けていた事からも想定内なので問題ない。
次にレベル。これも、かなり高いが自ら天才を名乗る程の事はある。冒険者ランクはBくらいだろうか?
名前・・・。もう何も言うまい。いや、言いたい事はあるよ? でもいいや。やっぱり何も言うまい。俺は何も見なかった。そう、見なかった。隠蔽中って何!
「貴方が何者かは知らないけど、私は依頼を断られてプライドが傷付いたの。別に恨みがある訳では無いけど、貴方を倒してそれを無かった事にさせてもらうわ」
自ら天才を名乗るだけの事はあって、意識高い系ですね。シーラ様に依頼を拒否されるとは思って無かったんだろうね。
「それでは、ルールを説明しますね? ある程度は自由にやって頂いて構いません。ここは神殿ですので、少しぐらいの怪我なら直ぐ治せます。但し、相手を殺してしまう様な攻撃は厳禁です。どちらかが降参するか、私がもう継続困難と判断したら試合終了です。
リョーマ君は剣を使うなら、刃を潰した模擬戦用の剣にして下さいね?」
「分かりました。お借りします」
俺は横に控えていた神殿騎士さんから模擬戦用の剣を受け取る。
「私は必要ないわ。そもそも剣は使わないし、自前の杖を使わせて貰うわ」
彼女がそう言うと、先程まで何も持っていなかった右手に杖が現れる。【収納】持ちかな?
「ああ、これは【収納】スキルじゃないわよ? 杖の方に仕掛けがしてあるの。詳しくは企業秘密だから教えないわ。まあ、天才の手に掛かれば、このような杖を作るくらい朝飯前って事ね」
自作なのか。自意識過剰系の彼女の事だから、本当は説明したくてウズウズしてるんじゃないだろうか?
「凄いですね。【収納】を使わずに急に現れる武器なんて、聞いた事ないですよ」
「あら、貴方分かってるじゃない? 私は凄いのよ。
良いわ。少しだけ教えて上げる。これは私のオリジナル魔法よ。杖の細工と私の魔力が反応するから、他人には使えないようになってて、セキュリティも万全よ」
チョロかった。
けど、まさかのオリジナル魔法か・・・。自称天才を名乗るだけあって本当に凄い子なのかも。
「オリジナル魔法・・・。そんなものがあるんですね。勉強になります。誰にでも使えるものなんですか?」
「バカね! 誰にでも使える訳ないでしょ? 私は天才の上に努力を重ねて【魔法創造】スキルを取得したの。スキンランクはもちろんレジェンドよ」
レジェンドか・・・。確か世界で数人レベルのスキルだったかな? でもユニークじゃないって事は俺にも可能性はあるか・・・。【スキル早熟】スキルもあるし。
「どの様な努力をして、そのスキルを取得したか教えて頂く事は出来ませんか?」
「貴方、バカなの? そんなの教える訳ないでしょ?」
そうだよね。シーラ様も冒険者は基本的に仲間以外には手の内は隠す物だって言われていたし。でも、何とか少しでも情報を仕入れたいな。
「そうですよね? そもそもレジェンドスキルなんて、貴女の様な天才にしか取得出来ませんもんね? 僕に教えるだけ時間の無駄ですね」
「ま、まぁ私の事評価してくれているみたいだから、万が一にでも模擬戦で私に勝てたら、少しくらい教えて上げない事もないわ」
やっぱりチョロかった。でも、また勝たないといけない理由が増えた。
「では、お互い準備はいいですか?」
「はい。大丈夫です」
「私も問題ないわ」
2人が同意したところで、シーラ様は2人の間に下ろしていた手を上げると同時に、試合開始を宣言した。
「では、開始して下さい!」
「王都中央支部所属、天才美少女魔道士レーナ。行くわよ!」
え? そんな前口上必要なの? 俺もやらないとダメかな?
「えっと、エナン東支部所属、Fランクのリョーマ。参ります!」
真似して言ってみた。
「リョーマ君・・・、別に真似しなくても良いのよ。リーナさんが趣味で言ってるだけだから」
ガーン。めっちゃ恥ずかしい・・・!
「あははっ、貴方思ったより面白い子ね。気に入ったわ。本気で遊んで上げる!」
リーナさんはそう言ってバックステップをする。間合いを開けて、魔法を使うつもりなんだろう。魔道士を自称してるくらいだしね。
けど、そう易々と魔法を撃たせたりはしないよ? 俺は一気に前にダッシュして間を詰める。間を詰めてしまえば、誘爆を恐れて強力な魔法は撃てないはずだ。
「貴方は剣士なのかしら? それならこうしましょう。『飛翔』!」
その言葉と共にリーナさんが飛び上がる。そして8mくらいのところで停止した。
そ、それは俺が欲しくて止まなかった、飛行系の魔法!?
「この位置なら、剣士には攻撃手段がないでしょう? ふふ、コレも天才的な私のオリジナル魔法よ」
確かに、普通の剣士にはあの高さまで飛び上がった人を攻撃する手段なんて、武器を投げるくらいしか思いつかない。後、リーナさんスカートで空を飛んでるからパンツ丸見えです。俺はロリコンではないから、9歳のパンツに興味はないけど・・・、あれ? でも今は向こうが年上だから、ロリコンではないのかな?
「さて、これから私の一方的な蹂躙が始まるわよ」
あれ、全く記憶には無いけど、デジャブの様なセリフだ。しかも、そのセリフは蹂躙出来ないフラグの様な気がする。何故だろう?
兎に角、とりあえずこれかな?
「『発火』」
俺は魔力マックスで『発火』を使う。高さ10mまで炎の柱が立ち昇り、油断しているリーナさんを襲う。
「わっ! 危なっ! 何よそれ!」
意外と良い反応で避けられた。残念。
でもこの炎、手の平から出てるから自由に動かせるんだよね。
「ちょっ! うわっ! 止めてっ!」
俺がリーナさんの逃げる方向に手の平を向けると、炎の柱もそちらに追従していく。耐え兼ねたリーナさんは地上に降りて来た。
「その魔法は何なの!? 『火炎放射』にしては出方がおかしいわよ!」
「あ、これ『発火』です。【生活魔法】です」
「はいっ!? どんな馬鹿げた魔力があれば発火が10mの火柱になるのよ! 私がどんなに頑張っても2mが精々よ」
それでも、『発火』で2mとか、さすが自称天才だ。普通は目の前の物に火を付ける魔法だからね。
「大体、そんな魔力があって、何で剣士の格好してるのよ? 見た目詐欺じゃ無いの!?」
そんな事言われましても・・・。
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