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第3章 王都騒乱編
第1話 商業都市ダイダ
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第3章始まります!
王都騒乱編とかいいつつ、しばらくはのんびりパートかも知れませんが、どうかお付き合い下さい。
(急に思いつきでストーリーが変わったりするので断言できません!)
───────────────────────────
俺は今、王都から西に馬車で1日ほどの距離にある街に居る。学園での生活も1年が終わり冬休みに入ったので、実家に帰る前に友達ジョージの実家に寄る事になったんだ。
この街は貿易が盛んな街だ。王国5大都市の1つであり、海路では南の街オーシャが、陸路ではこの街ダイダが貿易の要となっている。
ちなみに、デグモ王国の5大都市とは王都デグモ、港町のオーシャ、商業都市のダイダ、俺の故郷であるエナン、そしてダンジョンが多くある迷宮都市ショウエの5つである。エナンの街は湖で魚介類、森で肉類、そして街の周りで沢山の農作物が採れ、デグモの台所として栄えている。
今更だけど、この1年で学んだ事も含めて、王国の地理を説明しよう。
王国はどちらかと言えば南北に長い楕円形のような領土になっていて、東側はほとんどが森林に覆われている。俺の実家の東も森が広がっていた。そして更にその先は大山脈だ。どこまでが王国の領土という明確な境界はなく、山脈までが王国という認識らしい。山脈の先は道が険しく、超えることができない。
一方、西側が主な領土となる訳だが、王都があるのは東西で言えばほぼ中央、そして北から3分の1くらいのところだ。エナンがあるのは同じく東西で言えばほぼ中央で、北からは3分の2くらいのところ。オーシャの街は王都とエナンの直線上で最南端の場所となる。
エナンの街の西には大きな湖があるが、その湖の反対側にあるのが迷宮都市ショウエだ。この街はその内行ってみたいと思っている。王都の北にもダンジョンが何個かあったけど、迷宮都市はその比じゃないくらい多くのダンジョンがあるらしいからね。
そして王都から西に行った場所にあるのが、ここダイダの街だ。北から流れている少し大きな川を挟み、左右に街が広がっている。川には何本か橋が架けられている。
西側の国々との貿易をする為に栄えた街で、領主の館並みに大きな建物が沢山建っている。それぞれが名の有る商会なんだそうだ。
そして、数多の商会が日々しのぎを削り合っているこの街の中でも、上位に位置するワトソン商会。何を隠そう、これがジョージの実家である。
「それにしてもジョージ、君は本当に大きな商会の跡取りだったんだね」
一際大きな商会の建物、その裏手にあるジョージの実家に俺は居た。俺の実家もそこそこ大きかったけど、ジョージの実家は更にデカい。
「何だよリョーマ! 信じてなかったのか!?」
オーバーリアクションで両手を上げて仰け反り、驚いたような仕草でジョージが応える。
「冗談だよ。本当じゃなかったら一介の学生に俺の作ったお菓子を売り捌いたり、大量の材料を仕入れたりとかできる訳ないからね」
この1年、俺はジョージの実家に【万物創造】で作るお菓子類を卸していた。最初はアメだけだったけど、最近ではクッキー、プリン、更にはケーキやホットケーキなどなど、この世界に有ったお菓子から、無かったお菓子まで様々なお菓子を作っている。
元々この世界に有ったお菓子でも、味が段違いに良いとの事で売れに売れ、今では国中に販売されているそうだ。
「ホント、お前には感謝してるよ。この1年、商会の売り上げは伸びる一方だ。
味については、真似をして追いついて来る店も出てきた。だけど、お前のお菓子の真骨頂は保存期間の長さだな」
そう、俺が作ってるお菓子なんて、そもそも前世の世界にあった物の再現だ。味はいずれ研究して追いつかれる。将来的には追い抜かれるかもしれない。けど、俺はそこに1つ付加価値を追加していた。
スキルで作る事により、雑菌の侵入を極力防ぎ(と言うか【収納】の中に生き物は入れないから無菌状態で生産可能)、更には出来上がったお菓子には【生活魔法】の応用で保存期間を長くする魔法を付与し、賞味期限を延ばした。その結果、前世の世界では想像もできない程の賞味期限を実現したのだ。
何て言うか、もう少し自重した方が良かったかな? と思わなくもないけど、これで他の異邦人が釣れるかも知れないからね。未だに、異邦人は7人中3人しか出会えていない。出会った順に、元師匠で王女のリーナさん。盗賊に捕らえられていたスズキさん。神官長のゼムスさんだ。
リーナさん達に聞いたら、7人にはそれぞれ暗号のような物が自称神様から与えられているらしく、7つ揃った時に古のダンジョンの封印を解くことができるそうだ。禁則事項とかに引っかかって中々聞き出せなかったけど、何とか1年かけてそこまでは聞き出せた。
「お陰で僕も大金持ちだからね。ジョージの伝手には感謝してるよ」
ぶっちゃけ、材料は商会が準備した物を【収納】の中で【万物創造】を使ってお菓子にするだけだ。消費するのは魔力だけ。それもすぐに回復する。それを週に数回やるだけで、一般人の年収以上の金額が転がり込んでくる。正直、従魔が200体を超えた頃から将来どうやって養おうかと頭を悩ませていたんだけど、そんな心配も一気に解消した。
「どうやって作ってるのかは聞かない約束だけど、気になって気になって夜も眠れないぞ」
「それはさすがに冗談でしょ? 昨日もぐっすり寝てたじゃないか」
俺は昨日ここダイダの街に着き、一晩ジョージの家に泊めてもらった。そしてまだ子供だからだろう。客間ではなくジョージの部屋に案内されて一緒に寝たんだ。あ、もちろん布団は別だよ?
ちなみに、異邦人の3人には俺のスキルは全て話ているけど、ジョージには話していない。友達とは言え一般人だからね。下手にスキルの話とかをして巻き込む訳にも行かない。
「ははっ。そうだな。気になるのは間違いないけど、夜は寝てるさ。
でも、でもさ・・・、そろそろ聞いてみたかったんだよ」
そこまで言うと、いつものおちゃらけた表情から一転して急に真面目な顔になるジョージ。
「どんなスキルかは分からないけど、レジェンドスキルで作ってるんだろ?」
おっと、正解ですよジョージさん。どう言う事だろうと思っていると、ジョージは更に続ける。
「俺のコードネームは暴食だ。お前も持ってるんだろ? コードネーム」
まさかのそのパターンでしたか! 目の前で異邦人が釣れました。
王都騒乱編とかいいつつ、しばらくはのんびりパートかも知れませんが、どうかお付き合い下さい。
(急に思いつきでストーリーが変わったりするので断言できません!)
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俺は今、王都から西に馬車で1日ほどの距離にある街に居る。学園での生活も1年が終わり冬休みに入ったので、実家に帰る前に友達ジョージの実家に寄る事になったんだ。
この街は貿易が盛んな街だ。王国5大都市の1つであり、海路では南の街オーシャが、陸路ではこの街ダイダが貿易の要となっている。
ちなみに、デグモ王国の5大都市とは王都デグモ、港町のオーシャ、商業都市のダイダ、俺の故郷であるエナン、そしてダンジョンが多くある迷宮都市ショウエの5つである。エナンの街は湖で魚介類、森で肉類、そして街の周りで沢山の農作物が採れ、デグモの台所として栄えている。
今更だけど、この1年で学んだ事も含めて、王国の地理を説明しよう。
王国はどちらかと言えば南北に長い楕円形のような領土になっていて、東側はほとんどが森林に覆われている。俺の実家の東も森が広がっていた。そして更にその先は大山脈だ。どこまでが王国の領土という明確な境界はなく、山脈までが王国という認識らしい。山脈の先は道が険しく、超えることができない。
一方、西側が主な領土となる訳だが、王都があるのは東西で言えばほぼ中央、そして北から3分の1くらいのところだ。エナンがあるのは同じく東西で言えばほぼ中央で、北からは3分の2くらいのところ。オーシャの街は王都とエナンの直線上で最南端の場所となる。
エナンの街の西には大きな湖があるが、その湖の反対側にあるのが迷宮都市ショウエだ。この街はその内行ってみたいと思っている。王都の北にもダンジョンが何個かあったけど、迷宮都市はその比じゃないくらい多くのダンジョンがあるらしいからね。
そして王都から西に行った場所にあるのが、ここダイダの街だ。北から流れている少し大きな川を挟み、左右に街が広がっている。川には何本か橋が架けられている。
西側の国々との貿易をする為に栄えた街で、領主の館並みに大きな建物が沢山建っている。それぞれが名の有る商会なんだそうだ。
そして、数多の商会が日々しのぎを削り合っているこの街の中でも、上位に位置するワトソン商会。何を隠そう、これがジョージの実家である。
「それにしてもジョージ、君は本当に大きな商会の跡取りだったんだね」
一際大きな商会の建物、その裏手にあるジョージの実家に俺は居た。俺の実家もそこそこ大きかったけど、ジョージの実家は更にデカい。
「何だよリョーマ! 信じてなかったのか!?」
オーバーリアクションで両手を上げて仰け反り、驚いたような仕草でジョージが応える。
「冗談だよ。本当じゃなかったら一介の学生に俺の作ったお菓子を売り捌いたり、大量の材料を仕入れたりとかできる訳ないからね」
この1年、俺はジョージの実家に【万物創造】で作るお菓子類を卸していた。最初はアメだけだったけど、最近ではクッキー、プリン、更にはケーキやホットケーキなどなど、この世界に有ったお菓子から、無かったお菓子まで様々なお菓子を作っている。
元々この世界に有ったお菓子でも、味が段違いに良いとの事で売れに売れ、今では国中に販売されているそうだ。
「ホント、お前には感謝してるよ。この1年、商会の売り上げは伸びる一方だ。
味については、真似をして追いついて来る店も出てきた。だけど、お前のお菓子の真骨頂は保存期間の長さだな」
そう、俺が作ってるお菓子なんて、そもそも前世の世界にあった物の再現だ。味はいずれ研究して追いつかれる。将来的には追い抜かれるかもしれない。けど、俺はそこに1つ付加価値を追加していた。
スキルで作る事により、雑菌の侵入を極力防ぎ(と言うか【収納】の中に生き物は入れないから無菌状態で生産可能)、更には出来上がったお菓子には【生活魔法】の応用で保存期間を長くする魔法を付与し、賞味期限を延ばした。その結果、前世の世界では想像もできない程の賞味期限を実現したのだ。
何て言うか、もう少し自重した方が良かったかな? と思わなくもないけど、これで他の異邦人が釣れるかも知れないからね。未だに、異邦人は7人中3人しか出会えていない。出会った順に、元師匠で王女のリーナさん。盗賊に捕らえられていたスズキさん。神官長のゼムスさんだ。
リーナさん達に聞いたら、7人にはそれぞれ暗号のような物が自称神様から与えられているらしく、7つ揃った時に古のダンジョンの封印を解くことができるそうだ。禁則事項とかに引っかかって中々聞き出せなかったけど、何とか1年かけてそこまでは聞き出せた。
「お陰で僕も大金持ちだからね。ジョージの伝手には感謝してるよ」
ぶっちゃけ、材料は商会が準備した物を【収納】の中で【万物創造】を使ってお菓子にするだけだ。消費するのは魔力だけ。それもすぐに回復する。それを週に数回やるだけで、一般人の年収以上の金額が転がり込んでくる。正直、従魔が200体を超えた頃から将来どうやって養おうかと頭を悩ませていたんだけど、そんな心配も一気に解消した。
「どうやって作ってるのかは聞かない約束だけど、気になって気になって夜も眠れないぞ」
「それはさすがに冗談でしょ? 昨日もぐっすり寝てたじゃないか」
俺は昨日ここダイダの街に着き、一晩ジョージの家に泊めてもらった。そしてまだ子供だからだろう。客間ではなくジョージの部屋に案内されて一緒に寝たんだ。あ、もちろん布団は別だよ?
ちなみに、異邦人の3人には俺のスキルは全て話ているけど、ジョージには話していない。友達とは言え一般人だからね。下手にスキルの話とかをして巻き込む訳にも行かない。
「ははっ。そうだな。気になるのは間違いないけど、夜は寝てるさ。
でも、でもさ・・・、そろそろ聞いてみたかったんだよ」
そこまで言うと、いつものおちゃらけた表情から一転して急に真面目な顔になるジョージ。
「どんなスキルかは分からないけど、レジェンドスキルで作ってるんだろ?」
おっと、正解ですよジョージさん。どう言う事だろうと思っていると、ジョージは更に続ける。
「俺のコードネームは暴食だ。お前も持ってるんだろ? コードネーム」
まさかのそのパターンでしたか! 目の前で異邦人が釣れました。
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