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第3章 王都騒乱編
第7話 仮定と推測
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「今日の朝、ダンジョンの結界に大きな歪が出来たみたいなの」
ミルクに何が起きたのか聞くと、そんな答えが返ってきた。
「結界の歪って、ミルクがこっちに出て来る要因になったアレの事?」
俺が聞き返すとミルクは首を縦に振って肯定する。
「そうなの、1年前のアレと同じやつなの」
1年前、ミルクは封印されたダンジョンの歪に吸い込まれ、結界の外側。つまりダンジョンの10階に出てきた。
「ほう、それはつまり新しい転生者、もしくは新しい転移者があの黒い空間に誘われた可能性があると言う事じゃな?」
そう、俺たちはこの1年でポチともやり取りをする中で1つ仮説を立てていた。
従魔の悪魔、アクモンたちが言うダンジョンの最下層にいると言う“あの方”、それが自称神様なのではないかと言うものだ。
魔王が封印されているから、封印を解いて退治してくれとか、正直意味がわからない。しかし、その封印されているのが自称神様だったとしたら、色々と辻褄が合うのだ。
そもそも、俺が黒い空間に連れて行かれた時は「ボクのダンジョン」とか言ってたし、間違い無いだろう。
そして、黒い空間に誰かが誘われた時、結界に歪が生じる。ミルクはその影響でこちら側に来れたのだ。
「ここに居る異邦人は4人。残りは3人だけど、今回呼ばれたのは何人目なのかしら?」
「それも気になるけど、その前に・・・。何でミルクはそれが分かったの?」
ミルクにそう尋ねると、待ってましたとばかりに説明を始めた。
「よくぞ聞いてくれたの。実はシルクから【念話】があったの!」
「シルクと言えば、良くミルクの話に出てくるもう1人の従魔妖精さんね?」
「そうなの! そのシルクから【念話】があったの。今朝、結界に大きな歪が出来てそれに飛び込んだって」
自ら突っ込んだのか・・・シルク結構アグレッシブだな。でも、と言う事は、
「シルクがこちら側に来たって事?」
「そうみたいなの。
因みに、ボスはレベルが高過ぎて歪に弾かれたそうなの。残念無念なの」
ミクルが言うボスはポチの事だ。そうか、ポチは出られなかったのか・・・。
「えっと、さっきから話についていけないんだけど?」
「ごめん、ジョージには後で説明するから、とりあえず聞いてて」
申し訳ないけど、ジョージに説明している暇はない。
因みに、鈴木さんも黙って聞いている。執事をしてるからだろうか? どちらかといえばいつも1歩引いている感じだ。
「お、おう・・・」
「じゃあ、話を続けるの。シルクがこっちに来た後に更にガルムが送られてきたらしくて、今は一緒にダンジョンの10階にいるらしいの。だから迎えに行きたいの」
「へえ、ガルムが2体になるのね。物凄く優秀な番犬ならぬ番狼で重宝するのよね」
そう言えば、ガルム1号は【収納】に入れたままだった。この話が終わったら出しておこう。
「いや、違うの」
「ん? 何が違うの?」
「新しいガルムは1体じゃないの。9体いるの」
「「「「えっ!?」」」」
ジョージ以外の4人の反応が被った。いや、ガルム1体でも凄いのに追加で9体って・・・。
「リョーマの護衛らしいの」
「いやいや、どんだけ過保護なのよ。・・・ん? リョーマの方が保護者なのかしら? こうなると良くわらないわね」
とりあえず、分かる事が1つある。優秀な番犬が10体になると言う事だ。
それと全く話に付いて来れていないジョージが可哀そうになってきたから、少しだけ説明しよう。
「ガルムって言うのは俺の従魔の1人が作ったオオカミ型のロボ・・・ゴーレムだと思ってもらえばいいよ」
「あ、ああ、なるほど? 優秀なゴーレムなんだな」
「戦闘能力はレベル150相当だ」
「・・・・・・」
あれ? ジョージ固まっちゃった。
あ、再起動した。
「・・・いや、お前だけじゃなく、ゴーレムまでレベル150とか、さっきレベル75程度の魔物で驚いていた自分がアホらしくなってきたぞ」
何かすみません。
「レベル75の魔物じゃと!? 軽く街が滅ぶレベルの魔物ではないか! そんな魔物がどこに居たんじゃ?」
「あー、そうですね。実は今朝・・・」
俺は今朝起こった事をみんなに説明する。説明の途中から、リーナさんの顔色がどんどん悪くなっていく。
「リーナさん、大丈夫ですか? 顔色が悪いですよ?」
「え、ええ大丈夫よ・・・。いえ、大丈夫じゃないかも? あ、いや私は大丈夫よ?」
何だろう哲学だろうか? たまにポチからのメッセージにある、哲学なのだってやつだろうか?
「何か言いたいことがありそうな感じじゃの?」
「この件の後で相談しようと思ってたんだけど・・・。
多分関係があると思うから、今話すわね。
実は私のバカな姉と兄が、国家転覆を企てているみたいなの」
「国家転覆ですか? 穏やかじゃないですね」
「そう。既にお父様は毒を盛られているらしく、先は長くないそうよ。
その後の武力制圧用の駒として、勇者召喚をしようとしているらしいの」
そこまで聞いたところでゼムスさんが大きく反応した。
「勇者召喚じゃと!?」
「ゼムスさん、知ってるんですか?」
「そうじゃな・・・神殿にも伝わっておる。古の巫女が受けた【神託】の内容じゃ。
世が荒れ、魔物が狂暴化した時、異世界より召喚されし勇者がこれを鎮めると。
そうか、召喚の方法は王家に伝わっておったんじゃな」
あー、色々と点と点が繋がってきたぞ? 今朝の結界の歪は勇者召喚で召喚された転移者が黒い空間に呼ばれたと言う事かな? でも、それと魔物の変異とはどう繋がるんだろう?
「そうなの。王家の秘宝として代々受け継がれてきたアイテム。大昔、女神様から授かったものだと言う話よ。
2つ貰い、1つは既に使用されているわ。その時現れた勇者の子孫がデグモ王国を興したとも言われているわ。
そして重要なのは次よ。確かに、魔物が狂暴化した時に使う為に保管されていたわ。だけど勇者召喚は表裏一体なの。勇者が召喚された時、魔物が狂暴化する。とも伝わっているわ」
何でそんな変な仕様のものを女神様が・・・?
「は? 何で魔物が狂暴化するって伝わってるモノを使うんだよ! バカなのか!?」
ジョージ、言葉遣い言葉遣い。驚きすぎて素に戻ってる。
「バカだからよ。アイツら自分たちが王座に就くこと以外は考えていないわ」
リーナさん、言い切った。そしてアイツら扱い。
だけど、それで全ての点が繋がったぞ。
また推定の域はでないけど、勇者召喚が行われた。そして魔物が狂暴化した。召喚された勇者は1度黒い空間に呼ばれたので、結界に歪が生じてシルクが出て来た。
「どの範囲までの魔物が狂暴化しているか分からないけど、マズイ事態になったわね・・・」
ええ、とてもマズイと思います。
ミルクに何が起きたのか聞くと、そんな答えが返ってきた。
「結界の歪って、ミルクがこっちに出て来る要因になったアレの事?」
俺が聞き返すとミルクは首を縦に振って肯定する。
「そうなの、1年前のアレと同じやつなの」
1年前、ミルクは封印されたダンジョンの歪に吸い込まれ、結界の外側。つまりダンジョンの10階に出てきた。
「ほう、それはつまり新しい転生者、もしくは新しい転移者があの黒い空間に誘われた可能性があると言う事じゃな?」
そう、俺たちはこの1年でポチともやり取りをする中で1つ仮説を立てていた。
従魔の悪魔、アクモンたちが言うダンジョンの最下層にいると言う“あの方”、それが自称神様なのではないかと言うものだ。
魔王が封印されているから、封印を解いて退治してくれとか、正直意味がわからない。しかし、その封印されているのが自称神様だったとしたら、色々と辻褄が合うのだ。
そもそも、俺が黒い空間に連れて行かれた時は「ボクのダンジョン」とか言ってたし、間違い無いだろう。
そして、黒い空間に誰かが誘われた時、結界に歪が生じる。ミルクはその影響でこちら側に来れたのだ。
「ここに居る異邦人は4人。残りは3人だけど、今回呼ばれたのは何人目なのかしら?」
「それも気になるけど、その前に・・・。何でミルクはそれが分かったの?」
ミルクにそう尋ねると、待ってましたとばかりに説明を始めた。
「よくぞ聞いてくれたの。実はシルクから【念話】があったの!」
「シルクと言えば、良くミルクの話に出てくるもう1人の従魔妖精さんね?」
「そうなの! そのシルクから【念話】があったの。今朝、結界に大きな歪が出来てそれに飛び込んだって」
自ら突っ込んだのか・・・シルク結構アグレッシブだな。でも、と言う事は、
「シルクがこちら側に来たって事?」
「そうみたいなの。
因みに、ボスはレベルが高過ぎて歪に弾かれたそうなの。残念無念なの」
ミクルが言うボスはポチの事だ。そうか、ポチは出られなかったのか・・・。
「えっと、さっきから話についていけないんだけど?」
「ごめん、ジョージには後で説明するから、とりあえず聞いてて」
申し訳ないけど、ジョージに説明している暇はない。
因みに、鈴木さんも黙って聞いている。執事をしてるからだろうか? どちらかといえばいつも1歩引いている感じだ。
「お、おう・・・」
「じゃあ、話を続けるの。シルクがこっちに来た後に更にガルムが送られてきたらしくて、今は一緒にダンジョンの10階にいるらしいの。だから迎えに行きたいの」
「へえ、ガルムが2体になるのね。物凄く優秀な番犬ならぬ番狼で重宝するのよね」
そう言えば、ガルム1号は【収納】に入れたままだった。この話が終わったら出しておこう。
「いや、違うの」
「ん? 何が違うの?」
「新しいガルムは1体じゃないの。9体いるの」
「「「「えっ!?」」」」
ジョージ以外の4人の反応が被った。いや、ガルム1体でも凄いのに追加で9体って・・・。
「リョーマの護衛らしいの」
「いやいや、どんだけ過保護なのよ。・・・ん? リョーマの方が保護者なのかしら? こうなると良くわらないわね」
とりあえず、分かる事が1つある。優秀な番犬が10体になると言う事だ。
それと全く話に付いて来れていないジョージが可哀そうになってきたから、少しだけ説明しよう。
「ガルムって言うのは俺の従魔の1人が作ったオオカミ型のロボ・・・ゴーレムだと思ってもらえばいいよ」
「あ、ああ、なるほど? 優秀なゴーレムなんだな」
「戦闘能力はレベル150相当だ」
「・・・・・・」
あれ? ジョージ固まっちゃった。
あ、再起動した。
「・・・いや、お前だけじゃなく、ゴーレムまでレベル150とか、さっきレベル75程度の魔物で驚いていた自分がアホらしくなってきたぞ」
何かすみません。
「レベル75の魔物じゃと!? 軽く街が滅ぶレベルの魔物ではないか! そんな魔物がどこに居たんじゃ?」
「あー、そうですね。実は今朝・・・」
俺は今朝起こった事をみんなに説明する。説明の途中から、リーナさんの顔色がどんどん悪くなっていく。
「リーナさん、大丈夫ですか? 顔色が悪いですよ?」
「え、ええ大丈夫よ・・・。いえ、大丈夫じゃないかも? あ、いや私は大丈夫よ?」
何だろう哲学だろうか? たまにポチからのメッセージにある、哲学なのだってやつだろうか?
「何か言いたいことがありそうな感じじゃの?」
「この件の後で相談しようと思ってたんだけど・・・。
多分関係があると思うから、今話すわね。
実は私のバカな姉と兄が、国家転覆を企てているみたいなの」
「国家転覆ですか? 穏やかじゃないですね」
「そう。既にお父様は毒を盛られているらしく、先は長くないそうよ。
その後の武力制圧用の駒として、勇者召喚をしようとしているらしいの」
そこまで聞いたところでゼムスさんが大きく反応した。
「勇者召喚じゃと!?」
「ゼムスさん、知ってるんですか?」
「そうじゃな・・・神殿にも伝わっておる。古の巫女が受けた【神託】の内容じゃ。
世が荒れ、魔物が狂暴化した時、異世界より召喚されし勇者がこれを鎮めると。
そうか、召喚の方法は王家に伝わっておったんじゃな」
あー、色々と点と点が繋がってきたぞ? 今朝の結界の歪は勇者召喚で召喚された転移者が黒い空間に呼ばれたと言う事かな? でも、それと魔物の変異とはどう繋がるんだろう?
「そうなの。王家の秘宝として代々受け継がれてきたアイテム。大昔、女神様から授かったものだと言う話よ。
2つ貰い、1つは既に使用されているわ。その時現れた勇者の子孫がデグモ王国を興したとも言われているわ。
そして重要なのは次よ。確かに、魔物が狂暴化した時に使う為に保管されていたわ。だけど勇者召喚は表裏一体なの。勇者が召喚された時、魔物が狂暴化する。とも伝わっているわ」
何でそんな変な仕様のものを女神様が・・・?
「は? 何で魔物が狂暴化するって伝わってるモノを使うんだよ! バカなのか!?」
ジョージ、言葉遣い言葉遣い。驚きすぎて素に戻ってる。
「バカだからよ。アイツら自分たちが王座に就くこと以外は考えていないわ」
リーナさん、言い切った。そしてアイツら扱い。
だけど、それで全ての点が繋がったぞ。
また推定の域はでないけど、勇者召喚が行われた。そして魔物が狂暴化した。召喚された勇者は1度黒い空間に呼ばれたので、結界に歪が生じてシルクが出て来た。
「どの範囲までの魔物が狂暴化しているか分からないけど、マズイ事態になったわね・・・」
ええ、とてもマズイと思います。
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