うちのポチ知りませんか? 〜異世界転生した愛犬を探して〜

双華

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第3章 王都騒乱編

第18話 報告会

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 長い1日が終わった次の日、俺はとんぼ返りで王都に向かっていた。

 昨日の夜、寝ようとしたところでリーナさんから、勇者を1人確保したと【念話】が届いたが、その日の内にやる事はないとの判断で、聖女様の救援が成功した事だけ伝えると、そのまま寝る事ができた。

 そして、朝は普通に起きてレミとシーラ様、それと俺を師匠と仰ぐソラの3人と朝食をとった後、ガルムを護衛につけて俺は一足先に王都に帰還する事にしたのだ。

 3人は馬車で移動するので、明日には王都に着くはずだ。

 とにかく、確保したという勇者が気になるので俺は急ぎゼムスさんの屋敷に向かった。



「すみません、遅くなりました」

 俺がゼムスさんの屋敷に着くと、いつものミーティング部屋にはゼムスさんを始め、リーナさん鈴木さん、ミルクとシルク、そしてジョージが待っていた。

 とりあえず俺も座ろうとすると、みんなそれぞれ言いたい事があったみたいで、部屋に入るなり畳みかけるように色々言われた。

「リョーマお疲れ様。待ってたわよ。勇者を1人確保したわ!」

「リョーマご苦労じゃったな。やはり聖女殿は危なかったようじゃな」

「リョーマ良かった・・・。俺ここに居て良いのか、アウェー感が半端なかったんだ。待ってたぞ!」

 とりあえず俺は、この1年で定位置になった自分の席に座りながら、まずはゼムスさんに答える。

「はい、とりあえずレミ・・・聖女様についての報告を先にさせて頂きますね。
 僕が着いた時、丁度オークとオーガの群れに襲われていましたので、サクッと救助しました。
 やっぱり魔物は変異していて、通常の倍以上のレベルになっていました。
 今朝はガルム3体を護衛に付けてきたので、あの辺りに出る魔物なら変異していても問題ないはずです」

 鈴木さんがいれてくれたお茶で喉を潤しつつ、報告をする。ずっと空を飛んでたら意外と喉も乾くんだよね。

「なるほどな。やはりあの森の辺りまでは魔物が変異しておったのじゃな。
 リョーマに行ってもらって良かったわい」

「ええ、意外と危ないところでした。ゼムスさんの機転がなければ、間に合っていないかったと思います」

 ゼムスさんも俺の報告を聞き、一旦はホッとしたようで胸をなでおろしている。

「それとジョージ、置いて行って悪かった。でも聖女様の救助に一緒に行く訳にも行かないだろ?」

「まあ、俺が行っても足手まといにしかならないのは分かってるけど、王女様や神官長が居る所に置いて行かれる身にもなって欲しかったぜ」

 そこは同じ異邦人として、これから慣れてもらうしかない。

「そして、リーナさん。確保って何ですか? どうやったらそんな事になるんですか!?」

「ああ、うん、えっとね、話すと長くなるんだけど、何か勇者たちの中でハブられてて可哀そうだから連れて来た」

 短っ! 話すと長くなるんじゃないの!?

「そ、そうなんですね・・・。でも急に行って、よく納得してくれましたね」

 急に見ず知らずの人に一緒に来てくれって言われたら、普通は怪しむよね?

「ミルクに眠らせてもらって、そのまま連れて来たからまだ何も説明して無いわ!
 今から起こして説明するのよ」

 想定外の答えが返ってきた。いや、それって拉致では? 何でこの場に居ないんだろうと思ったけど、そう言う事だったのか。

「そ、そうですか・・・。けど、勇者の中でハブられていた、と言う事は勇者は3人居たんですね。
 つまり異邦人は7人そろったんですね!」

 リーナさんに始まり、鈴木さん、ゼムスさん、昨日判明したジョージで4人。そこに勇者が3人で自称神様が言っていた7人が揃った事になる。

「ええ、多分それで間違いないと思うわ。これでダンジョンの封印を解くカギが揃うわけね。それについてはまた後で話ましょう。
 まずは確保した勇者ね。【鑑定】の結果では名前は長谷川はせがわ太郎、高校生よ」

「あれ? どうやって【鑑定】したんですか?」

 リーナさんとゼムスさんは【鑑定】を持っていなかったはず。ジョージは持っているけどレベルがそんなに高くない。勇者ってくらいだから、自らも【鑑定】を持っているか【鑑定】を阻害することくらいできてもよさそうな気がする。普通に【鑑定】できるのかな?

「ふふふ、昨日言っていた私の新しいレジェンドスキルよ。その名も【絶対鑑定】。【鑑定】持ちにも気付かれず、絶対に【鑑定】ができるスキルよ!」

 おお、俺が言うのも何だけど結構チートスキルだ。

「そしてリョーマ! やっぱり貴方はおかしいわ! レベルの高さも去ることながら、何でそんなに大量のスキルを持ってるのよ」

 あ、【鑑定】されたっぽい。本当に【鑑定】された事が分からないんだね。

「いやあ、レア以下のスキルなら覚えたいと思ってちょっと練習したら習得できちゃうんですよね・・・。
 覚えてしまえば、従魔からの経験値でいつの間にかスキルレベルは10なんです」

「「「「チート・・・」」」」

 あれ、全員に白い目で見られてる気がする。

「いや、それよりも、今は僕の話よりも勇者太郎についてです。
 【鑑定】した結果はどんな感じなんですか?」

「ああ、そうね。貴方がおかしいのは今に始まったことじゃないからね。
 【鑑定】の結果だけど、まず全員レベルが80、更に全員持っていたのが【勇者】【収納】【鑑定】の3つのスキルね。
 全員スキルレベル5で保有していたわ。これが勇者召喚特典なのかしらね。
 【勇者】スキルは全ステータスと取得経験値が上昇ね。私のスキルレベルが低くてここまでしか分からたかったけど、まだ他にも効果がありそう。私の予想だと魔法が使えたり、武器が扱えたりもするんじゃないかしら?」

 なるほど、勇者と言うだけあって直ぐにでも魔物と戦えるようになっていそうだ。

「あれ、でもタロウは他の勇者に無能扱いされてなかったの? レベルも低いし、スキルもないと言われてたの」

 静かにおやつを食べていたミルクが会話に参加してきた。ああ、それでハブられてたのかな?

「ええ、それは彼がの。彼のレジェンドスキルは【鑑定偽装】。【鑑定】レベル10ですら見破られない偽装スキルよ。
 そのスキルでレベルを低く設定して、スキルを隠していたみたい」

「なるほど、でも何で敢えてそんな事をしたんでしょうね?」

「うーん、そこは彼を起こして聞いてみないと分からないけど、最初から他の2人とは仲が良くなさそうだったし、何か思うところがあったんじゃないかな?」

 そうか、じゃあとりあえず本人を起こして聞いてみよう。
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