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第4章 魔界編(仮)
第3話 第一魔界人発見
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ポルカとの会話ではこの荒野の事情を知る事ができた。何かポチの喋り方に似ていて、ちょっと癒されたのは秘密だ。
だけど、ある程度話を聞いたところで急にカタコトになってしまった。言ってる事もイマイチ要領を得なくなり、会話と言う名の情報収集は終わってしまった。
「メシ、うまかった。ありがと。またクル」
ポルカはカタコトでそれだけ言うと、自ら開けた穴から飛び出して去って行った。と言うか、また来るんだね。何で急にカタコトになったんだろう? 魔界は不思議がいっぱいだ。
俺も朝食を食べるとポチを背負って移動を開始した。今日も山の方に向かって飛ぶ。ポルカの話によると山の麓には小さな集落があるそうだ。そこに行けば、何か分かるかも知れない。まずはゲームの内容を把握しない事には始まらないからね。
しばらく飛んでいると、地面にチラホラと雑草が生え始め、山もかなり大きく見えてきた。かなり大きくと言うか、少なくとも前世を含めて見たことのない高さだ。
岩山だと思われるけど、半分以上が雪に覆われている。麓だけ少し植物が生えている。高さは軽く1万メートルを超えているんじゃないだろうか? 雄大とか、壮大とか、そんなのを通り越してスケールが大き過ぎて、よく分からない。
そして、1つ分かった事がある。魔界は昼が長いようだ。夜は普通に寝て起きたら明るくなってたんだけど、こちらもよく分からないので、まあ魔界だからで済ます事にした。
《どうやら魔界は1日が24時間ではないようですね。夜が短く昼が長そうです。数日データ取りをしてまた報告します》
ありがとう。相変わらず優秀な【サポーター】さんで助かるな。
そんな会話? をしながら、またしばらく飛んでいると雑草もかなり背が高くなり、木も生え始めた。たまに魔物と思われる姿も見えてきた。因みに、荒野には魔物もほとんど居なかった。結構過酷な環境らしい。
そろそろ山の麓と呼んでもいい場所かな? この辺りからは念のため飛ばずに歩く事にした。
魔法で透明になって行こうとも思ったけど、透明になっても寝ているポチは気配が消せないし、ポルカの例もあるから慎重に進む事にしたんだ。俺の気配察知よりも広範囲の匂いを察知するとか、正直意味が分からない。
鬱蒼と茂った雑草の中を少し進むと、獣道の様な物を発見した。獣と言うか、人が作った道のように見える。
森に向かう方向に行けば集落があるんだろうか? とりあえず道沿いに進む。
《魔物以外の気配を確認しました。【鑑定】はできません》
うん、俺も感じている。鑑定出来ないって事はやっぱり悪魔系だよね。
《そう思います》
向こうはまだ気付いていないようなので、ゆっくりと近づいて行く。一応透明になり、100メートルくらいまで近付いたところで向こうが視認できた。弓を持った悪魔かな? どうやら狩りをしているみたいで、こちらに背を向けて茂みから魔物を狙っている。
第一魔界人発見だ! あ、ポルカはあっちから襲来したのでカウント外で。
危険かも知れないけど、俺は状況を変える為にも現地人に接触してみる事にした。何か知っているかも知れない。
《くれぐれも、お気をつけ下さい》
うん、大丈夫。重々承知してるよ。
近付いてみると、ポルカと同じような褐色の肌の鬼人の青年だった。まだ少し距離があるから分からないけど、多分額にはツノがあるのだろう。
さて、これ以上近付くと狩りの邪魔になりそうだけどどうしようかな? そう考えていたら動きがあった。
鬼人の青年が狙っていたのとは違う魔物が青年に向かって来た。当然、探知の範囲内に居たので把握はしていたけど、まさか青年に向かって行くとは思ってなかった。
想定外だったのは青年も同じだったようで、気は付いたみたいだけど、反応が間に合っていない。向かって来たのは体長3メートルを超える大猪だ。このまま突っ込んできたら鬼人の青年は吹き飛ばされそうだ。
「危ない!」
俺はそう叫ぶと、ダッシュで一気に間合いをつめる。従魔たちのお陰でまたレベルが上がっている為、猪より早く青年のもとに到達する事ができた。
猪と青年の間に入ると、間髪を入れずに【土魔法】を発動して土の壁を作る。
───ドゴーーン!
まるでトラックが事故を起こしたような音が鳴り響く。トラック事故とかちょっとトラウマが。
土の壁はかなり厚く、硬く作ったので壊れる事はなく大猪を受け止めたようだ。動かなくなったので、土の壁を撤去してみたら、自らの勢いで脳震盪を起こしてひっくり返っていた。
「ど、どなたか存じませんが、危ないところをありがとうございました」
あれ? 鬼人も悪魔の一種らしいから、もっと気性が荒いのかと思っていたら、とっても柔らかい感じでお礼を言われてしまった。もっと敵対的な感じなのかと思っていたけど、先入観って怖いね。
「いえ、間に合って良かったです。お怪我はありませんか?」
「はい、大丈夫です。本当にありがとうござ・・・」
青年は俺の顔を見て、そこまで言うと固まってしまった。どうしたんだろう? 俺の顔に何か付いていたかな?
「そ、その見た目、ま、ま、まさか! 貴方はリョーマ様ですか!?」
あれ? 何か俺の名前知ってるみたいだ。
だけど、ある程度話を聞いたところで急にカタコトになってしまった。言ってる事もイマイチ要領を得なくなり、会話と言う名の情報収集は終わってしまった。
「メシ、うまかった。ありがと。またクル」
ポルカはカタコトでそれだけ言うと、自ら開けた穴から飛び出して去って行った。と言うか、また来るんだね。何で急にカタコトになったんだろう? 魔界は不思議がいっぱいだ。
俺も朝食を食べるとポチを背負って移動を開始した。今日も山の方に向かって飛ぶ。ポルカの話によると山の麓には小さな集落があるそうだ。そこに行けば、何か分かるかも知れない。まずはゲームの内容を把握しない事には始まらないからね。
しばらく飛んでいると、地面にチラホラと雑草が生え始め、山もかなり大きく見えてきた。かなり大きくと言うか、少なくとも前世を含めて見たことのない高さだ。
岩山だと思われるけど、半分以上が雪に覆われている。麓だけ少し植物が生えている。高さは軽く1万メートルを超えているんじゃないだろうか? 雄大とか、壮大とか、そんなのを通り越してスケールが大き過ぎて、よく分からない。
そして、1つ分かった事がある。魔界は昼が長いようだ。夜は普通に寝て起きたら明るくなってたんだけど、こちらもよく分からないので、まあ魔界だからで済ます事にした。
《どうやら魔界は1日が24時間ではないようですね。夜が短く昼が長そうです。数日データ取りをしてまた報告します》
ありがとう。相変わらず優秀な【サポーター】さんで助かるな。
そんな会話? をしながら、またしばらく飛んでいると雑草もかなり背が高くなり、木も生え始めた。たまに魔物と思われる姿も見えてきた。因みに、荒野には魔物もほとんど居なかった。結構過酷な環境らしい。
そろそろ山の麓と呼んでもいい場所かな? この辺りからは念のため飛ばずに歩く事にした。
魔法で透明になって行こうとも思ったけど、透明になっても寝ているポチは気配が消せないし、ポルカの例もあるから慎重に進む事にしたんだ。俺の気配察知よりも広範囲の匂いを察知するとか、正直意味が分からない。
鬱蒼と茂った雑草の中を少し進むと、獣道の様な物を発見した。獣と言うか、人が作った道のように見える。
森に向かう方向に行けば集落があるんだろうか? とりあえず道沿いに進む。
《魔物以外の気配を確認しました。【鑑定】はできません》
うん、俺も感じている。鑑定出来ないって事はやっぱり悪魔系だよね。
《そう思います》
向こうはまだ気付いていないようなので、ゆっくりと近づいて行く。一応透明になり、100メートルくらいまで近付いたところで向こうが視認できた。弓を持った悪魔かな? どうやら狩りをしているみたいで、こちらに背を向けて茂みから魔物を狙っている。
第一魔界人発見だ! あ、ポルカはあっちから襲来したのでカウント外で。
危険かも知れないけど、俺は状況を変える為にも現地人に接触してみる事にした。何か知っているかも知れない。
《くれぐれも、お気をつけ下さい》
うん、大丈夫。重々承知してるよ。
近付いてみると、ポルカと同じような褐色の肌の鬼人の青年だった。まだ少し距離があるから分からないけど、多分額にはツノがあるのだろう。
さて、これ以上近付くと狩りの邪魔になりそうだけどどうしようかな? そう考えていたら動きがあった。
鬼人の青年が狙っていたのとは違う魔物が青年に向かって来た。当然、探知の範囲内に居たので把握はしていたけど、まさか青年に向かって行くとは思ってなかった。
想定外だったのは青年も同じだったようで、気は付いたみたいだけど、反応が間に合っていない。向かって来たのは体長3メートルを超える大猪だ。このまま突っ込んできたら鬼人の青年は吹き飛ばされそうだ。
「危ない!」
俺はそう叫ぶと、ダッシュで一気に間合いをつめる。従魔たちのお陰でまたレベルが上がっている為、猪より早く青年のもとに到達する事ができた。
猪と青年の間に入ると、間髪を入れずに【土魔法】を発動して土の壁を作る。
───ドゴーーン!
まるでトラックが事故を起こしたような音が鳴り響く。トラック事故とかちょっとトラウマが。
土の壁はかなり厚く、硬く作ったので壊れる事はなく大猪を受け止めたようだ。動かなくなったので、土の壁を撤去してみたら、自らの勢いで脳震盪を起こしてひっくり返っていた。
「ど、どなたか存じませんが、危ないところをありがとうございました」
あれ? 鬼人も悪魔の一種らしいから、もっと気性が荒いのかと思っていたら、とっても柔らかい感じでお礼を言われてしまった。もっと敵対的な感じなのかと思っていたけど、先入観って怖いね。
「いえ、間に合って良かったです。お怪我はありませんか?」
「はい、大丈夫です。本当にありがとうござ・・・」
青年は俺の顔を見て、そこまで言うと固まってしまった。どうしたんだろう? 俺の顔に何か付いていたかな?
「そ、その見た目、ま、ま、まさか! 貴方はリョーマ様ですか!?」
あれ? 何か俺の名前知ってるみたいだ。
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