NPCのストーカーの件について

草薙翼

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ゼロに抗議

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ドアが開き、ゼロが姿を現した。

騎士の服を着ているからゼロもこれから任務だろう…ギリギリセーフ。
前みたいになんかする時間はないだろう。

ゼロの姿を見てから影がざわざわと元気になり俺の足に絡み付いてくるのを振り落とす。

「会いたかったよ、ハニー」

「誰がハニーだ…って、今日はそんな茶番をしに来たんじゃない」

危うく怒って帰るところだった。
ゼロは首を傾げている、白々しい奴め…
全部お前が仕掛けたんだろ?俺は知ってるぞ。

俺は足元でハートを飛ばしてる影共を指差した。
またなんかしてる、気にしたら負けなのかそうなのか。

俺は精一杯怒ってますという顔をしてムスッとしてみせた。

「これはどういう事か説明してもらおうか」

「これ?」

ゼロは何故か怒ってる顔の俺をうっとりした顔で見ている。
……俺が怒ってるのが分からないのか?

ゼロは足元の影共を見た。

完璧なポーカーフェイスになり何を考えてるか分からなくなった。
俺もこんなポーカーフェイスになりたい、変態にはなりたくないけど…

しかしやはり俺の言葉が理解出来ないのか首を傾げている。

「…仲がいいね」

「お前がやったんだろ!影が操れるなら俺の影も操れるんじゃないのか!?」

「まぁ操れるけど、ツカサの影は操ってない…そもそも俺の影をくっ付けてるから操れない、俺の影は俺の意思だけど」

「…え?そうなの?」

「ただ、一日中くっ付いていたからツカサの影にも意思が芽生えたんじゃないのか?」

なっ、なんだってぇー!?
じゃあ俺の影は自分からゼロの影とイチャついてるの!?

また床をカリカリ引っ掻き離そうとするが、当然離れないしなんか妙な動きを始めた。
やめろ!なんかやめろ!

もしや俺の影は既にゼロの影に侵食されたのか…?

涙目になりながらゼロを見る。

「ぐすっ、戻してくれぇー!!お願いだぁー!!」

「…ツカサ、戻す方法なら一つある」

「本当か!?」

俺はもう何でもすがりたい気分だった。
…目の前にいる男がゼロだと一瞬忘れるほどに…

ゼロは俺の肩に手を置いてキラキラモーションで微笑んだ。
なんか生で見るの初めてだ、というか生でキラキラモーションがあるんだなと変な感心をしてしまった。

今俺を救えるのはゼロ、お前だけなんだ!
……お前のせいだけどな。

「影のように素直になって嫁に来れば気にならなくなる」

「分かった、素直になるよ!…全力でお断りします」

最後は真顔で言うと、ゼロも真顔になる。
お互い真顔になり変な空気が流れたところでゼロは部屋を出た。
ちなみにこのやりとりはずっとゼロが扉を開けた状態でやっていた。

…普通に部屋に入るわけないんで、当然だな。

というか影から助かるために人生捧げろとか可笑しいだろ。

俺自身を犠牲にする事以外なら聞いてやる、それ以外は却下だ。

「じゃあ俺、行くから」

「ちょっ…お前の影だろ!?放置すんなよ!」

「俺は解決策を言った、もう俺に出来る事は何もない」

嘘つけっ!!お前の影を戻せば簡単だろ!?
しかも解決策にもなってない事しか言われてねぇっ!!

ゼロはそのまま廊下を歩いていってしまった。

一人じゃどうする事も出来ず廊下に座り込む。
…くそぅ…覚えとけよ…

影のイチャイチャをなるべく見ないようにしながらトボトボと城を出た。
レイチェルちゃんの酒場に行って癒されよう、そうしよう。






酒場に行き、扉の前で立っていた。

ー休業日ーと書かれている張り紙を見て、目から雫が溢れた。

そりゃないぜ…






※影視点

暗い暗い、生まれた時から世界は暗かった。

それは当たり前の事だと思ってた、普通で何も感じなかった。

でも…いつからかざわざわと感情が芽生え始めた。

…可笑しい事だって分かってるのに、急に暗闇が怖くなり泣いた。

暖かな温もりが僕の手に触れ、それはしっかりと握られた。
頬にも暖かな温もりが触れ、涙を拭いてくれた。

「…君は、誰?僕はツカサ…」

「………」

「?」

自己紹介しても全然答えてくれない、僕が泣き虫だから?
やっと一人じゃないって分かったのにまた一人ぼっちにするの?
えっぐ、ひっくと泣くとその人は慌てたように姿を見せた。

そこには黒髪のカッコイイ人がいた。
あまりの美しさに涙が引っ込んでしまった。

ジッとお互い見つめ合いカッコイイ人が口を開いた。

「俺が、怖くないのか?」

「…怖い?なんで?」

「俺は人間達に恐れられているから」

人間…感情が芽生え始めたばかりの僕には外の世界は分からない。
確かにちょっと怖くなるほど目の前の人はカッコイイ。
でもそれで怯える事はない。

だってこんなに触れられた手が暖かいんだから…

それに僕の前に現れてくれた。
きっとこの人は優しい人なんだ。

「怖くないよ、僕は貴方と友達になりたいな」

「…ツカサ」

ギュッと抱きしめられた。
いきなりで驚いてドキドキして顔が赤くなる。
手だけじゃない、全身が暖かい。
僕の身体も熱くなる。

耳元で「俺の名前はゼロだ」と囁かれ耳を舐められた。

ゾクゾクした感覚が腰に響きびっくりする。

「ひゃうっ」

「俺は、友達より…恋人になりたい」

ゼロさんは僕を真剣な顔で見つめる。
吸い込まれそうなほど黒い瞳に見つめられる。

恋人…それって友達とどう違うのか分からない。
でも、僕になれるのかな?

生まれたばかりの僕は無知だ。
だからゼロさんに教えてもらいたい、いろいろと…

「俺達の本体はもう結婚の約束をしている、だから俺達もそうする…不思議な事じゃない」

そうだったんだ、全然知らなかった…
本体とかいう僕でも恋人になれるのなら僕も…彼の、恋人に…
身長差で上目遣いでゼロさんを見る、なんかゼロさん…目が獲物を狙う肉食獣みたい?

怖いというよりゾクッと気持ちが高鳴った。
この感情の名前は何?

ゼロさんの服をギュッと握る。

「ぼ、僕で良かったら…もらってくれますか?」

「あぁ、末長く幸せになろう…俺のツカサ」

ゼロさんに口付けられて初めての気持ちを感じた。
これは、嬉しいという気持ち…
もっと彼を知りたいという気持ち…

きっと、これが恋なのだろう。
僕はまだよく分からない。

…でも、時間は長くゆっくり過ぎて行くから焦らなくてもいい。

唇が離れて名残惜しかったから、今度は僕から口付けた。
ゼロさんは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに僕の腰に腕を回しギュッと抱きしめながら応えてくれた。
舌を入れられピクッと身体が反応してしまい恥ずかしかった。
でもゼロさんに抱きしめられたら逃げる事も出来ない。

ちゅっちゅっとどれくらいの時間唇を合わせていたのか分からない時間は過ぎていき、唇が離れた。

「ツカサ、俺のツカサ…かわいい」

「…っあ」

首筋に舌が這い、立ってるのがやっとなくらい足に力が入らなくなる。
ゼロさんは頭を撫でてくれてふわふわしたいい気持ちになりながら眠りについた。
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