NPCのストーカーの件について

草薙翼

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ゼロの行動・後編

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一瞬視界が見えなくなり、男は動きを止めたところで斬りかかった。
サーチ能力とクリティカル力が高いから一瞬の隙も俺には長時間止まって見える。
剣を振り下ろし確実を狙う。

確かに斬りつけた…が全然当たった感触はない。
俺の目の前には俺が投げた布切れの服しかなくて、邪魔で遠くに投げ飛ばした。

男を見てすぐに理解した。

「……お前、幻想か」

「あーあ、せっかくジジイに作ってもらったのになぁー」

全然残念そうに聞こえない男の身体は真っ二つになっていたが、断面から電子的ななにかが見える。
分身出来る魔法か…身代わりとも少し違うようだ。
…俺が影を分身にしているのと似たような気がした。

男は自力で身体を元に戻し動きを確認するためのストレッチをしていた。
人をバカにした態度だが俺は早々に興味がなくなった。

…不死身なら倒しても仕方ない、早くツカサのところに…

「何処行くの?」

男に構ってる暇はないと思っていたら、ガクッと膝が地面についた。
動かそうにも指先一つ動けない。
しかも俺は無傷の筈だから痛みなど一切ないし、確認しようにも首が回らないから前しか見えない。

…なんだ、これ。

今まで感じた事がない…力が抜けていく。

俺の目線に合わすように男がしゃがんだ。

「…これ、取り返さなくていいわけ?俺はどっちでもいいよ?食べるだけだし」

ペロッと舌を出し、見せたのは黒いものが入った瓶。
…まさか、あれは…俺の影?
なんでコイツが俺の影を持っているんだ?
…………ツカサの傍にいたというのに…

僅かに動くそれを振り意地悪く微笑む。

…どうやら俺を怒らせたいわけだ。

「この瓶は相手の影を吸い取り力を封じる奴なんだよ、いいだろー?」

俺は力が入らない足をなんとか立たせる。
ほとんど感覚はないから気が緩むと倒れてしまいそうだ。
自力で立った奴をあまり見た事がないのか口笛を吹いて面白そうに見る男。
余裕なのも今のうちだ。

……もうすぐ、もうすぐ。

やがて日は落ちて、視界が暗くなった。

「遊びすぎて遅くなっちゃったな、さっさと始末してジジイのところに帰らなきゃ」

「…そう、だな」

「お前、それ…」

俺の瞳は赤く光っていた。

本当の目的は勿論24時間どんな時でもツカサを見守るために暗くても消えないように影の目を強化した。
それともう一つ…

暗闇全てが俺の味方になるようにした。

ズッズッと男の足を飲み込んでいく。
底なし沼みたいに身動きが取れなくなる。

…不死身なら、暗闇に引きずり込めばいい…俺の影は誰にも抜け出せない。

幻想だからか男は焦る様子はなくケラケラと笑っていた。

「なるほどなるほど、これは油断しちゃったな」

「……」

「じゃあ次会った時はサタンのとっておきの道具を用意してくるよ」

二度と会うかと言う前に闇に消えていった。
サタン、確かこの世界の脅威の魔王だったか?
そんな奴の下僕がこんなところに来て、ツカサは大丈夫だろうか。

…そうだ、ツカサ…会いに行かなきゃ…あ、いに…

初めて暗闇の膨大な力を出したせいか疲れてしまい、そのまま雪に埋もれて眠った。
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