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下界の淫魔
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ギシギシとベッドが軋む音。
乱れた息と、途切れ途切れの甘い声。
『泣いて帰って来たと思えば、いきなり抱けなどと……。どちらが主なのだか……』
魔王の腕を掴み、脚を広げ大きなペニスをアナルに突っ込まれ、腰を揺さぶられる。
カグヤの腰は浮き上がり、自ら良いところに当てている様だ。
「あ、そこっ!もっとぉ……、っ」
『相変わらず欲しがりじゃ』
擦り上げられ、中の伸縮が止まらない。
「ぁ、あ、イくっ!」
脚をピンと伸ばし、ビクビクと下半身が痙攣する。
『何度目じゃ。素面でメスイキなど珍しい』
「う、動いて……」
それでも尚も求めるその表情は、何とも悲しげで全てをぶつけてぐちゃぐちゃにして欲しい様な目をしている。
『……興醒めじゃ』
魔王はペニスをカグヤから抜いた。
「や、やだっ!何で!いつもはっ!!ヤダと言っても止めないのにっ!」
魔王は溜息を吐くと、萎えているカグヤの陰茎をそっと持ち上げた。
『今日のお前は勃って居らぬ。ただの雌穴じゃ』
持ち上げたカグヤのペニスから手を離すと、弱々しくカグヤの腹に落ちた。
『まぁ、穴だけあれば精を取る事は可能じゃ。お前ら兄弟はインキュバスじゃなくてサキュバスじゃからの』
そう魔王は冷たく言い放つと、ベッドから降り布を腰に巻き付けた。
穴だけあれば、その言葉が胸に刺さる。
用無しにならないだけでもマシなのだろうが、自分が雄と言うプライドさえ消えた様だった。
『情など持つからじゃ。身体に教えたつもりじゃったが』
「そんなもん、持ってねぇっ!だから……」
カグヤは上半身を起こした。
『ルシカに特定の雄が出来たのが羨ましいのであろう?まさか、奴隷にするなど思うてもなかったが、堕落したとて一緒に居られるのじゃ。羨ましくて、仕方ないのじゃろ?』
「そんなんじゃねぇ!ルシカが望んだ事に口を出すつもりもない」
『ルシカも淫魔じゃ。奴隷から精を取ったとて、足りなくなるじゃろう。……もしかしたら、想いが募る相手程、淫魔としての欲求が大きく醜く出て来るのかもな』
魔王は笑い声を上げた。
カグヤは目を見開いた。
『そうなれば、ルシカもお前と何ら変わらなくなる。情を持った後悔に、ルシカは耐えれるかの?』
「……」
『お前とて然りじゃ。……こうして儂に縋るくらい、あのニンゲンに情を持った事を後悔している。交尾をしても、勃たなくなるくらい』
「違うっ!アイツとは逢ってねぇし、アイツだって
」
ふむ……、と魔王は顎に手を添えると、にっと笑みを浮かべた。
カグヤの横に座ると、カグヤの髪の毛を掴んで無理矢理こちらを向かせた。
『……顔は、こんな顔じゃったか』
魔王の顔が、千皇に変わる。
カグヤは目を丸くし、身体が震えた。
「……な、何を……」
『声は……、こうか?』
低く太めの声。
「……や、やめろ」
カグヤは目を逸らし、ぎゅっと目を閉じた。
『……カグヤ』
耳元で名前を囁かれる声は、あの時の千皇と同じだ。
『俺に抱かれたかったんだろ?』
「ち、違うっ!」
『嘘吐くなよ。コイツだって……』
キュッとカグヤのペニスを握る。
先程より硬く上を向いている。
「……え?……な、んで」
恐る恐る下を向くと、完全では無いものの勃ち上がったカグヤのペニスが見えた。
「こ、こんなの、違うっ!ニセモノ何かに……、っ!」
『ニセモノかホンモノか、どーでもいいだろ?ニセモノって分かっても、こんなになってるんだ。この顔、この声なら誰でも良い程、お前は堕ちて居るんだよ』
ゆるゆると上下に扱き始める。
「違うっ!やだ、止めてっ!」
カグヤは魔王の手を掴む。
『俺は、優しいと思うか?……それとも』
「やだっ!こんなの……、違うの、に……、っ!」
カグヤは右手で魔王の腕を掴もうとした。
その右腕を、魔王が掴み返す。
『お前が望んでいた事だ。俺に抱かれたいと、何度も願って居た。今でも……』
囁かれる声は、違うと分かっていても頭の中を刺激するには十分過ぎる。
求めていた者が目の前にある。
何もかも忘れてしまうくらい、激しく抱いて欲しい。
何も考えず、ただ貪るだけの交尾で良い。
今の相手は千皇の顔をした魔王だ。
でも、今は……。
ゆるゆると握っていた魔王の手の中のペニスは、だんだんと硬さを増して行く。
『ほら、どうして欲しい?』
低く声が全身を痺れさせる。
違う、違うと思いながら、それでもと縋りたい。
汚い、と言われた自分が浄化される訳では無い事くらい分かって居るのに。
「も、もっと、……強く」
声が震える。
『強く?』
ペニスを握る手に力が入る。
「手……、動かして……」
魔王の手を掴んでいた力が緩まる。
懇願する様に見上げる赤い瞳から涙が流れ落ち、半開きの口から吐息が漏れる。
にっと口角だけ上げる笑みに、千皇との違いを見てもどうしようもない。
冷たい目線が、身体の体温を上げていく。
上下に動かす手が強く早くなる。
「ぁ、あ、ち、ぉう……」
無意識に、カグヤは左手の指を自分のアナルへと埋め込んで行く。
さっきまで魔王を受け入れていた中は柔らかく、すっぽりと三本の指を埋めて行った。
『気持ちイイか?』
そう囁かれ、カグヤは恥ずかしげに頷いた。
「ぁ、出るっ!」
『出せばいい』
扱く手が更に早く強くなる。
アナルを弄るカグヤの手も、ぐちゃぐちゃと卑猥な音を立てた。
「ぅ、あぁっ、……っ!」
上半身を仰け反らせると、ビクビクと下半身が震え、カグヤのペニスから白濁とした液体が飛び散った。
全てを出したカグヤは、ぐったりと魔王にもたれかかった。
『お前は可愛い奴だ』
カグヤの顎に手を添え、上を向かせる。
だらしなくへらっと笑うカグヤの表情は、魔王との区別が分かって居ないようだ。
下から伸びたカグヤの手が、千皇の顔をした魔王の頬を撫でた。
『カグヤ。……』
何かを囁いた時だった。
カグヤの全身に電気が走ったような衝撃とバチバチと言う音と共に、カグヤの身体はベッドにほおり出された。
その衝撃で、カグヤは我に返って振り向いた。
そこには、術が解かれかけ半分戻り掛けた魔王が自分の手を見詰めている。
「あ……、あ……」
カグヤの身体から血の気が引く。
千皇では無いのに縋り付き、挙句に魔王を右手だけではなく身体全体で弾いた。
混乱と恐怖で身体が動かない。
魔王はそんなカグヤを余所に、ククっと小さく笑い声を上げた。
『儂をここまで拒むとは……』
その言葉に、カグヤは恐怖で身体を震わせた。
「お、俺は……」
『拒むのはお前か、……それともあのニンゲンか』
魔王の顔も声も元に戻った。
『たかだか魂の一部を吸収しただけなのに、ここまでの私怨を作るとはな。なかなかに面白い事をしてくれるわ』
「俺は、違……」
『違う違うと否定ばかりじゃな』
自分の手の平を見詰め笑って居た魔王の赤い目が、カグヤを睨んだ。
カグヤはビクッと身体が硬直する。
全身に嫌な汗が噴き出る。
『お前はあのニンゲンに情がある。それも、抱いてはならぬ情じゃ』
「そんなもん……、俺は知らないっ!」
カグヤは声を振り絞って張り上げた。
『ほう、知らぬと。先程、ニンゲンの名を呼んでおったのは誰じゃったか』
「そ、それは……、魔王様が」
『儂との交尾に勃たなかったお前が、あのニンゲンに化けた途端ニセモノと分かっておっても悦んで勃たせたではないか』
魔王の目が、カグヤの萎えたペニスを見詰めた。
『この部屋にはその気にさせる香が炊いてあると言うに……。お前が訪れる時には必ず炊いておる』
カグヤは知らなかった。
今まで気持ちイイと感じていたのは香のせいなのか?
自ら求め、腰を振るのもそのせいだったのだろうか。
しかし、少なくとも下界ではそんな香など使えない筈だ。
『ルシカも、もっと早く手篭めにすれば良かったのう。さすれば奴隷など厄介なモノを置く事もなかったろうに』
魔王はわざとらしく一息着いた。
「る、ルシカは、……純粋に生きて欲しいんだ」
『ほんにそう思うとるのか?自分は今まで弟達の為に頑張って来た。それなのに、弟は淫魔の仕事も放棄し、想い人と結ばれる。お前の苦労など、知らなかった様に』
「俺はルシカがっ!」
『お前はこの先も汚れて生きて行く。決して落とす事の出来ぬ汚れじゃ。想いも叶わず、自分だけは汚れて行く。情など持ったが故の憎しみじゃ』
憎んでなんかない。
ただ、弾に『汚れている』と言われて以来、ルシカに出来た想いが羨ましいと思った。
でも、千皇に逢いたくても逢いに行かないのは、心の何処かで千皇以外に身体を重ねる自分に嫌悪があったのかもしれない。
楼依はルシカを想って抱くだろう。
そして、奴隷では無くてもきっとルシカを守って救い出してくれるだろう。
自分には、それを願うには烏滸がましく思える反面、弟達が幸せになった後の自分には自信が持てなかった。
いつかは千皇を迎えに行く。
それですら、足が止まる。
素直に助けて、と言えば弟達の身が危険にさらされてしまう。
自分が犠牲になるなど覚悟していたはずなのに。
それよりも今は、羨ましいが先立って、自分が黒い闇に飲み込まれて行きつつあるのも自覚していた。
『……お前は魔族じゃ。己の欲望のまま動けば良いじゃろう』
その言葉が焼けに頭に響いた。
『勃たずとも穴がある。精を取るには十分じゃ』
魔王はそう言うと、部屋を出て行った。
カグヤは取り残された部屋の中で、呆然と宙を見詰めた。
乱れた息と、途切れ途切れの甘い声。
『泣いて帰って来たと思えば、いきなり抱けなどと……。どちらが主なのだか……』
魔王の腕を掴み、脚を広げ大きなペニスをアナルに突っ込まれ、腰を揺さぶられる。
カグヤの腰は浮き上がり、自ら良いところに当てている様だ。
「あ、そこっ!もっとぉ……、っ」
『相変わらず欲しがりじゃ』
擦り上げられ、中の伸縮が止まらない。
「ぁ、あ、イくっ!」
脚をピンと伸ばし、ビクビクと下半身が痙攣する。
『何度目じゃ。素面でメスイキなど珍しい』
「う、動いて……」
それでも尚も求めるその表情は、何とも悲しげで全てをぶつけてぐちゃぐちゃにして欲しい様な目をしている。
『……興醒めじゃ』
魔王はペニスをカグヤから抜いた。
「や、やだっ!何で!いつもはっ!!ヤダと言っても止めないのにっ!」
魔王は溜息を吐くと、萎えているカグヤの陰茎をそっと持ち上げた。
『今日のお前は勃って居らぬ。ただの雌穴じゃ』
持ち上げたカグヤのペニスから手を離すと、弱々しくカグヤの腹に落ちた。
『まぁ、穴だけあれば精を取る事は可能じゃ。お前ら兄弟はインキュバスじゃなくてサキュバスじゃからの』
そう魔王は冷たく言い放つと、ベッドから降り布を腰に巻き付けた。
穴だけあれば、その言葉が胸に刺さる。
用無しにならないだけでもマシなのだろうが、自分が雄と言うプライドさえ消えた様だった。
『情など持つからじゃ。身体に教えたつもりじゃったが』
「そんなもん、持ってねぇっ!だから……」
カグヤは上半身を起こした。
『ルシカに特定の雄が出来たのが羨ましいのであろう?まさか、奴隷にするなど思うてもなかったが、堕落したとて一緒に居られるのじゃ。羨ましくて、仕方ないのじゃろ?』
「そんなんじゃねぇ!ルシカが望んだ事に口を出すつもりもない」
『ルシカも淫魔じゃ。奴隷から精を取ったとて、足りなくなるじゃろう。……もしかしたら、想いが募る相手程、淫魔としての欲求が大きく醜く出て来るのかもな』
魔王は笑い声を上げた。
カグヤは目を見開いた。
『そうなれば、ルシカもお前と何ら変わらなくなる。情を持った後悔に、ルシカは耐えれるかの?』
「……」
『お前とて然りじゃ。……こうして儂に縋るくらい、あのニンゲンに情を持った事を後悔している。交尾をしても、勃たなくなるくらい』
「違うっ!アイツとは逢ってねぇし、アイツだって
」
ふむ……、と魔王は顎に手を添えると、にっと笑みを浮かべた。
カグヤの横に座ると、カグヤの髪の毛を掴んで無理矢理こちらを向かせた。
『……顔は、こんな顔じゃったか』
魔王の顔が、千皇に変わる。
カグヤは目を丸くし、身体が震えた。
「……な、何を……」
『声は……、こうか?』
低く太めの声。
「……や、やめろ」
カグヤは目を逸らし、ぎゅっと目を閉じた。
『……カグヤ』
耳元で名前を囁かれる声は、あの時の千皇と同じだ。
『俺に抱かれたかったんだろ?』
「ち、違うっ!」
『嘘吐くなよ。コイツだって……』
キュッとカグヤのペニスを握る。
先程より硬く上を向いている。
「……え?……な、んで」
恐る恐る下を向くと、完全では無いものの勃ち上がったカグヤのペニスが見えた。
「こ、こんなの、違うっ!ニセモノ何かに……、っ!」
『ニセモノかホンモノか、どーでもいいだろ?ニセモノって分かっても、こんなになってるんだ。この顔、この声なら誰でも良い程、お前は堕ちて居るんだよ』
ゆるゆると上下に扱き始める。
「違うっ!やだ、止めてっ!」
カグヤは魔王の手を掴む。
『俺は、優しいと思うか?……それとも』
「やだっ!こんなの……、違うの、に……、っ!」
カグヤは右手で魔王の腕を掴もうとした。
その右腕を、魔王が掴み返す。
『お前が望んでいた事だ。俺に抱かれたいと、何度も願って居た。今でも……』
囁かれる声は、違うと分かっていても頭の中を刺激するには十分過ぎる。
求めていた者が目の前にある。
何もかも忘れてしまうくらい、激しく抱いて欲しい。
何も考えず、ただ貪るだけの交尾で良い。
今の相手は千皇の顔をした魔王だ。
でも、今は……。
ゆるゆると握っていた魔王の手の中のペニスは、だんだんと硬さを増して行く。
『ほら、どうして欲しい?』
低く声が全身を痺れさせる。
違う、違うと思いながら、それでもと縋りたい。
汚い、と言われた自分が浄化される訳では無い事くらい分かって居るのに。
「も、もっと、……強く」
声が震える。
『強く?』
ペニスを握る手に力が入る。
「手……、動かして……」
魔王の手を掴んでいた力が緩まる。
懇願する様に見上げる赤い瞳から涙が流れ落ち、半開きの口から吐息が漏れる。
にっと口角だけ上げる笑みに、千皇との違いを見てもどうしようもない。
冷たい目線が、身体の体温を上げていく。
上下に動かす手が強く早くなる。
「ぁ、あ、ち、ぉう……」
無意識に、カグヤは左手の指を自分のアナルへと埋め込んで行く。
さっきまで魔王を受け入れていた中は柔らかく、すっぽりと三本の指を埋めて行った。
『気持ちイイか?』
そう囁かれ、カグヤは恥ずかしげに頷いた。
「ぁ、出るっ!」
『出せばいい』
扱く手が更に早く強くなる。
アナルを弄るカグヤの手も、ぐちゃぐちゃと卑猥な音を立てた。
「ぅ、あぁっ、……っ!」
上半身を仰け反らせると、ビクビクと下半身が震え、カグヤのペニスから白濁とした液体が飛び散った。
全てを出したカグヤは、ぐったりと魔王にもたれかかった。
『お前は可愛い奴だ』
カグヤの顎に手を添え、上を向かせる。
だらしなくへらっと笑うカグヤの表情は、魔王との区別が分かって居ないようだ。
下から伸びたカグヤの手が、千皇の顔をした魔王の頬を撫でた。
『カグヤ。……』
何かを囁いた時だった。
カグヤの全身に電気が走ったような衝撃とバチバチと言う音と共に、カグヤの身体はベッドにほおり出された。
その衝撃で、カグヤは我に返って振り向いた。
そこには、術が解かれかけ半分戻り掛けた魔王が自分の手を見詰めている。
「あ……、あ……」
カグヤの身体から血の気が引く。
千皇では無いのに縋り付き、挙句に魔王を右手だけではなく身体全体で弾いた。
混乱と恐怖で身体が動かない。
魔王はそんなカグヤを余所に、ククっと小さく笑い声を上げた。
『儂をここまで拒むとは……』
その言葉に、カグヤは恐怖で身体を震わせた。
「お、俺は……」
『拒むのはお前か、……それともあのニンゲンか』
魔王の顔も声も元に戻った。
『たかだか魂の一部を吸収しただけなのに、ここまでの私怨を作るとはな。なかなかに面白い事をしてくれるわ』
「俺は、違……」
『違う違うと否定ばかりじゃな』
自分の手の平を見詰め笑って居た魔王の赤い目が、カグヤを睨んだ。
カグヤはビクッと身体が硬直する。
全身に嫌な汗が噴き出る。
『お前はあのニンゲンに情がある。それも、抱いてはならぬ情じゃ』
「そんなもん……、俺は知らないっ!」
カグヤは声を振り絞って張り上げた。
『ほう、知らぬと。先程、ニンゲンの名を呼んでおったのは誰じゃったか』
「そ、それは……、魔王様が」
『儂との交尾に勃たなかったお前が、あのニンゲンに化けた途端ニセモノと分かっておっても悦んで勃たせたではないか』
魔王の目が、カグヤの萎えたペニスを見詰めた。
『この部屋にはその気にさせる香が炊いてあると言うに……。お前が訪れる時には必ず炊いておる』
カグヤは知らなかった。
今まで気持ちイイと感じていたのは香のせいなのか?
自ら求め、腰を振るのもそのせいだったのだろうか。
しかし、少なくとも下界ではそんな香など使えない筈だ。
『ルシカも、もっと早く手篭めにすれば良かったのう。さすれば奴隷など厄介なモノを置く事もなかったろうに』
魔王はわざとらしく一息着いた。
「る、ルシカは、……純粋に生きて欲しいんだ」
『ほんにそう思うとるのか?自分は今まで弟達の為に頑張って来た。それなのに、弟は淫魔の仕事も放棄し、想い人と結ばれる。お前の苦労など、知らなかった様に』
「俺はルシカがっ!」
『お前はこの先も汚れて生きて行く。決して落とす事の出来ぬ汚れじゃ。想いも叶わず、自分だけは汚れて行く。情など持ったが故の憎しみじゃ』
憎んでなんかない。
ただ、弾に『汚れている』と言われて以来、ルシカに出来た想いが羨ましいと思った。
でも、千皇に逢いたくても逢いに行かないのは、心の何処かで千皇以外に身体を重ねる自分に嫌悪があったのかもしれない。
楼依はルシカを想って抱くだろう。
そして、奴隷では無くてもきっとルシカを守って救い出してくれるだろう。
自分には、それを願うには烏滸がましく思える反面、弟達が幸せになった後の自分には自信が持てなかった。
いつかは千皇を迎えに行く。
それですら、足が止まる。
素直に助けて、と言えば弟達の身が危険にさらされてしまう。
自分が犠牲になるなど覚悟していたはずなのに。
それよりも今は、羨ましいが先立って、自分が黒い闇に飲み込まれて行きつつあるのも自覚していた。
『……お前は魔族じゃ。己の欲望のまま動けば良いじゃろう』
その言葉が焼けに頭に響いた。
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