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ムーンライト・ホーリースライム編
思惑と現実
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「今回のクエストをクリアしたら…食事でもどうです?」
オレはギルド受付、デコ巨乳眼鏡のエリーを口説いていた。
「シェルさん調子いいですよね…でも、雫さんでしたっけ…可愛い彼女がいるなら私なんか悪いですよ…」
「大丈夫。彼女が言い出したことだから。そんな構えなくても良いよ…普段お世話になっているからさ、お礼も兼ねて」
「ええ~どうしようかしら…」と悩んでいそうな顔をしても、視線がオレから外れていない。
雫とこなした愛欲の日々は、オレをフェロモン王に仕立て上げていた…なんかヤだなそれ…まあ、今は考えまい。「じゃあ、ギルドの定時になったら迎えに来るよ…」と言って一度立ち去ろうとした時である。
「フォージリッジの第三冒険者協会・ギルドマスターは居るか?!」
張りのあるハスキーボイスと共に、白銀の甲冑の集団がギルドにドカドカガシャガシャと入って来た。
その数10数名。だが、その物々しい騎士団の奥、ギルドの入り口外には隊列を組んだフルアーマーの兵士がずらりと並び、先頭の騎士は巨大な軍旗を掲げている。
記憶をなくして生活し続けているオレでも見知った盾と剣が重なる王家のエンブレム。
そして並んで三つ首の狂犬…ケルベロス…エルダリア王国(この国の)騎士団の紋章だ。
オレが生き延びて報告した洞窟内のスライムがホーリースライムの可能性ありという受けて王国が一個騎士中隊を派遣してきたのだ。
隊長はヘルメットを外し、顔を見せるが…驚いたことに女性だった。
後ろに編み上げた金髪が解け、ふわりと広がる。女性であるが頬に切り傷があり、右目は眼帯をしている。
隻眼で隊長を務めるのだから、さぞかし実績もあるのだろう…
奥からドタドタとマックスが慌てて出てくる。
「お待ちしておりましたケルベロス中隊隊長エルト様」
マックスは事前にこのことを報告受けていたようで、それでもその圧巻の騎士の出で立ちには感嘆を隠さない。
「よもや王国騎士団の中でも虎の子の殿下のケルベロスが来られるとは…伝書が届いた時には信じられませんでしたが…」
「世間話はよい。情報を貰おうか…」
「失礼しました…こちらです」慌てて地図を見せる、あのマックスが気圧されているのを見るのは面白いが、うっかり巻き込まれたオレはどう考えても只ナンパに来ている様にしか見えない…果たしてどうしようかと思う。
今日は隣に雫は居ない…プロの騎士団から見たら、恰好だけは整っていても、オレが素人だろうと一瞥で判断されるだろう…まあ、相手にされないのなら良いのだが…
「それで、報告にあった第一発見生存者は?」
「丁度そこに…」マックスがあとよろ的な目配せをしてくる…最悪である。
エルトと呼ばれていた女隊長はズカズカとこっちに歩いてくる。
女だてらに身長は170cmはあるオレを見下ろすほどの巨漢だ。鎧で着膨れしているであろうが纏う雰囲気含めて歴戦の勇者という雰囲気を纏っている。
「お前が生存者のシェルという男か…冒険者ということだが、見た目は貧相だな」
ズケズケと言っているが反論できない。その通りです…アレは自慢できますが…今見せたら命はないな…
「まあ良い。お前の知見を共有してもらおうか」エルト隊長は抑揚のないハスキーボイスで命令する。
「え?い、今からですか?」外は既に日没にかかり夕陽が建物の屋根を赤く焼いている時間だ。
「今日は潜らない。入口に案内してくれればよい」
翡翠色の隻眼に睨まれると何もかも見透かされた気分になる「わ、分かりました…ご案内いたします」
街の外に出ると更に倍の騎士が馬を伴って待機していた。総勢50人…中隊規模ってそういや言ってたか…えらいこっちゃである…
郊外に野営のキャンプも設営されている。まあ、50人もの巨漢の騎士が泊まれる施設は街には無いので仕方ないと思うが…こんな地方都市に騎士団をこの規模で派兵は常識的ではないと考えられる。
「たかが洞窟探査にこの規模の騎士団が来たことを驚いているのか?」見透かしたようにエルト隊長が笑う。
笑顔は素敵だなと思う。
「お前の報告の巨大なスライム…伝説のホーリースライムの可能性が僅かながらでもあるなら、我々は調べてその詳細を掴む必要がある……」だからと言って噂レベルの話にこの騒動は理解できない。
「よし、エラ!レオナ!パーセル!騎乗!現地確認を済ませるぞ!」「「「ハッ!」」」
オレは情けないことにエルト隊長の前に座らされて道中を案内した。
「先にも述べた内容でわかる通り、我々は焦っている」騎乗でエルト隊長は語る。
「実は遠方のガルバルディ帝国がホーリースライムを擁したという報告があってな…そんな神話級の怪物の力をもし本当に帝国が得たとするなら、我々としても座して待つわけにはいかない…従って毛ほどの可能性だったとしても王国軍を使ってでもその真相に辿り着く必要があるのだ」
彼女から見れば、たかが、道案内の若造に随分ぶっちゃけた話をするものだと、ちょっと感動しているとエルト隊長は少しだけ困ったような顔をして「お主…いい香りがするな…何のお香を纏っているのか?」と聞いてきた。
オレはよく分かっていなかったが…この時間は普段どおりなら雫と床を共にしている…ので、勝手に体がそういうモードになっている様だった。
とりあえず、最初にオレが落ちて試練を勝手にクリアして今に至る洞窟の入り口に到達した。
既に日は落ち、山間の輪郭が僅かに赤く光るくらいの時間。洞窟の入り口は茂みが生い茂り、暗黒の闇に溶け込んでいる。「今日のところは場所を確認したことで納得しよう…明日は朝一で探索に入るぞ」
「あの…オレは彼女が待っているので帰りたいのですが…」
「ダメだ…今日はテントで同衾せよ」
これは困ったことになりそうである…
その夜…オレはエルト隊長に眠らせてもらえなかった。
「もっとだ…もっと奥まで…ちゃんとしろ」
「いえ…これ以上は無理です」
「だらしない…それでも唯一の生存者か?」
「か、関係なくありません?」
「いいから思い出せ、情報を!洞窟内の地形と構成する岩盤、地質など」
エルト隊長はクソが付くほど真面目で真摯で真剣だった。
文字通り記憶がないと誤魔化そうにも、いいから思い出せとなかなかの強要ぶりである。
だが、必死ともいえる熱心な取り組みは、隊長と慕われる人物なのだと分かった。
しかし、雫はもちろんスレイン本体に連絡が取れない状態で…現時点では敵を連れて寝床に入っていったら、オレはいったいどういう扱いを受けるのだろうか?
あれから一晩とて雫と離れて寝たことが無かったので、心配しているだろうか?
これからどうなるのやら…と思いつつ、日の出少し前から中隊は理路整然と洞窟入り口を目指す。
オレはギルド受付、デコ巨乳眼鏡のエリーを口説いていた。
「シェルさん調子いいですよね…でも、雫さんでしたっけ…可愛い彼女がいるなら私なんか悪いですよ…」
「大丈夫。彼女が言い出したことだから。そんな構えなくても良いよ…普段お世話になっているからさ、お礼も兼ねて」
「ええ~どうしようかしら…」と悩んでいそうな顔をしても、視線がオレから外れていない。
雫とこなした愛欲の日々は、オレをフェロモン王に仕立て上げていた…なんかヤだなそれ…まあ、今は考えまい。「じゃあ、ギルドの定時になったら迎えに来るよ…」と言って一度立ち去ろうとした時である。
「フォージリッジの第三冒険者協会・ギルドマスターは居るか?!」
張りのあるハスキーボイスと共に、白銀の甲冑の集団がギルドにドカドカガシャガシャと入って来た。
その数10数名。だが、その物々しい騎士団の奥、ギルドの入り口外には隊列を組んだフルアーマーの兵士がずらりと並び、先頭の騎士は巨大な軍旗を掲げている。
記憶をなくして生活し続けているオレでも見知った盾と剣が重なる王家のエンブレム。
そして並んで三つ首の狂犬…ケルベロス…エルダリア王国(この国の)騎士団の紋章だ。
オレが生き延びて報告した洞窟内のスライムがホーリースライムの可能性ありという受けて王国が一個騎士中隊を派遣してきたのだ。
隊長はヘルメットを外し、顔を見せるが…驚いたことに女性だった。
後ろに編み上げた金髪が解け、ふわりと広がる。女性であるが頬に切り傷があり、右目は眼帯をしている。
隻眼で隊長を務めるのだから、さぞかし実績もあるのだろう…
奥からドタドタとマックスが慌てて出てくる。
「お待ちしておりましたケルベロス中隊隊長エルト様」
マックスは事前にこのことを報告受けていたようで、それでもその圧巻の騎士の出で立ちには感嘆を隠さない。
「よもや王国騎士団の中でも虎の子の殿下のケルベロスが来られるとは…伝書が届いた時には信じられませんでしたが…」
「世間話はよい。情報を貰おうか…」
「失礼しました…こちらです」慌てて地図を見せる、あのマックスが気圧されているのを見るのは面白いが、うっかり巻き込まれたオレはどう考えても只ナンパに来ている様にしか見えない…果たしてどうしようかと思う。
今日は隣に雫は居ない…プロの騎士団から見たら、恰好だけは整っていても、オレが素人だろうと一瞥で判断されるだろう…まあ、相手にされないのなら良いのだが…
「それで、報告にあった第一発見生存者は?」
「丁度そこに…」マックスがあとよろ的な目配せをしてくる…最悪である。
エルトと呼ばれていた女隊長はズカズカとこっちに歩いてくる。
女だてらに身長は170cmはあるオレを見下ろすほどの巨漢だ。鎧で着膨れしているであろうが纏う雰囲気含めて歴戦の勇者という雰囲気を纏っている。
「お前が生存者のシェルという男か…冒険者ということだが、見た目は貧相だな」
ズケズケと言っているが反論できない。その通りです…アレは自慢できますが…今見せたら命はないな…
「まあ良い。お前の知見を共有してもらおうか」エルト隊長は抑揚のないハスキーボイスで命令する。
「え?い、今からですか?」外は既に日没にかかり夕陽が建物の屋根を赤く焼いている時間だ。
「今日は潜らない。入口に案内してくれればよい」
翡翠色の隻眼に睨まれると何もかも見透かされた気分になる「わ、分かりました…ご案内いたします」
街の外に出ると更に倍の騎士が馬を伴って待機していた。総勢50人…中隊規模ってそういや言ってたか…えらいこっちゃである…
郊外に野営のキャンプも設営されている。まあ、50人もの巨漢の騎士が泊まれる施設は街には無いので仕方ないと思うが…こんな地方都市に騎士団をこの規模で派兵は常識的ではないと考えられる。
「たかが洞窟探査にこの規模の騎士団が来たことを驚いているのか?」見透かしたようにエルト隊長が笑う。
笑顔は素敵だなと思う。
「お前の報告の巨大なスライム…伝説のホーリースライムの可能性が僅かながらでもあるなら、我々は調べてその詳細を掴む必要がある……」だからと言って噂レベルの話にこの騒動は理解できない。
「よし、エラ!レオナ!パーセル!騎乗!現地確認を済ませるぞ!」「「「ハッ!」」」
オレは情けないことにエルト隊長の前に座らされて道中を案内した。
「先にも述べた内容でわかる通り、我々は焦っている」騎乗でエルト隊長は語る。
「実は遠方のガルバルディ帝国がホーリースライムを擁したという報告があってな…そんな神話級の怪物の力をもし本当に帝国が得たとするなら、我々としても座して待つわけにはいかない…従って毛ほどの可能性だったとしても王国軍を使ってでもその真相に辿り着く必要があるのだ」
彼女から見れば、たかが、道案内の若造に随分ぶっちゃけた話をするものだと、ちょっと感動しているとエルト隊長は少しだけ困ったような顔をして「お主…いい香りがするな…何のお香を纏っているのか?」と聞いてきた。
オレはよく分かっていなかったが…この時間は普段どおりなら雫と床を共にしている…ので、勝手に体がそういうモードになっている様だった。
とりあえず、最初にオレが落ちて試練を勝手にクリアして今に至る洞窟の入り口に到達した。
既に日は落ち、山間の輪郭が僅かに赤く光るくらいの時間。洞窟の入り口は茂みが生い茂り、暗黒の闇に溶け込んでいる。「今日のところは場所を確認したことで納得しよう…明日は朝一で探索に入るぞ」
「あの…オレは彼女が待っているので帰りたいのですが…」
「ダメだ…今日はテントで同衾せよ」
これは困ったことになりそうである…
その夜…オレはエルト隊長に眠らせてもらえなかった。
「もっとだ…もっと奥まで…ちゃんとしろ」
「いえ…これ以上は無理です」
「だらしない…それでも唯一の生存者か?」
「か、関係なくありません?」
「いいから思い出せ、情報を!洞窟内の地形と構成する岩盤、地質など」
エルト隊長はクソが付くほど真面目で真摯で真剣だった。
文字通り記憶がないと誤魔化そうにも、いいから思い出せとなかなかの強要ぶりである。
だが、必死ともいえる熱心な取り組みは、隊長と慕われる人物なのだと分かった。
しかし、雫はもちろんスレイン本体に連絡が取れない状態で…現時点では敵を連れて寝床に入っていったら、オレはいったいどういう扱いを受けるのだろうか?
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