愛玩洞窟〜汝洞窟を愛せよ、奥に深く深淵に

黒船雷光

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ムーンライト・ホーリースライム編

炎の心臓を捧げる場所

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「私の右腕は、オーガに食われたんだ…」
 まさにクッ殺…されたという事か?

 レイラ・ファイアハートは、王国騎士養成所「ローレライアン騎士学院」を主席卒業しながらも、王都において役職なく、その実力を生かして冒険者になった。

「私は所謂庶子なのでな…実力で勝ち取った主席も、王侯貴族の肩書の勲章の一つで、それさえも血筋のしっかりしたお嬢ちゃんやお坊ちゃんには何の爵位も持たない一般人が持つことを赦さなかった…つまらん話だ」
 ケルベロス隊のエルトからも似たような差別の話は聞いたな…

「エルト?狂犬の頭の事は私もよく知って居る…彼女達からもスカウトされたからな…シンパシーは感じだが、彼女達はソレでも私から見たらエリートさ。私は『団結』や『互助』とかチーム的な動きが苦手でな…実力主義者なのだ…まぁ、そう言う人間は組織からはあまり歓迎されない。分かって居るのだが…」

『協調性のない奴はよ…組織には要らないんだぜ』
 前世の嫌な思い出が蘇る。
 ソロを主張する奴ほど実は仲間を欲する。
 なまじ実力があると、都合良く使われてしまう。
 徒党を組んだ馬鹿から搾取される。

「ソレで、組織を選ばすエリート街道を捨てて冒険者になったと」
「まぁ、そう言う事だ…ギルドに属する必要はあったが、実力次第で幾らでも収入も時間も生活週間も自由自在だったからな。性に合ってた」

「いくらエリート学園主席出身っても、君の剣技は常人離れして居る…と思う。君の弟子もだけど…」

「勝者に言われるのは皮肉だが、素直に受け取ろう。私には剣技の師匠はアカデミーとは別に居る。師は男性なのだ…」
 ソレのどこが問題なのか…

「お主も浮世離れしているから、もしかしたら師匠と同類やも知れぬが…この世では女性が男性から教えを乞う事はほぼ無い」
 女尊男卑…マックスも言ってたな。
 要するに男性は体力や筋力に置いて優れた能力を発揮するが、知力、戦術に置いては女性が上。詰まり戦場においてはレイヤーが異なり、そもそも交わらない。

 特に王侯貴族の位を持つ要職は女性が占める。
 弾かれた権力争いの敗者がケルベロスであり、このレイラと言う女性な訳だ。

「師匠の話は良いけど、肝心なその腕に関して聞いていないな……」

「オーガに喰われた…と言うのは話たが、もう五年前になるか…ソコのアストリッドが王宮から追い出されてギルドに来て元王都出身と言う事でペアを組んで少し大きなクエストを請けようとなった」

 ソコのアストリッドは体液塗れで気絶しているが…稀に下半身が痙攣しているので死んでは居ないはず。

 その姿を見て身を捩るレイラ。
「…と、とにかく、新人の探索者ナディアを得て、ここより王都を中心にして南西の逆方向に大きなクエストがあると言う事で、向かった…よく考えれば何でそんな遠方の依頼が届くのかよく考えるべきだったが、我等は当時軍隊だって相手に出来るほど無敵だった」

 ナディアは少し離れたところでカイルを弄んでる…彼女のスタイルは多くの男を魅了するだろう。

「ごほん!…良いかな?」
「あ、すまん…ナディアの腰のラインの話だっけ?」
「違うわ!……西側は国境を挟んで大河が横たわり、対岸の向こうは亜人族が住む土地が広がるのだが、飢饉による難民が無許可の越境を試みる事例が頻発し、ソレを押し留める任務だった」

「国境防衛なんてソレこそ、軍隊の仕事なんじゃ?」

「さっきも言ったが…『軍隊だって相手に出来る』その驕りが仇になった…」自業自得かい…
「越境の亜人を確保して管理局に突き出す…というものだったが、この時は越境して来たのはオークとオーガの組織的抵抗の侵攻軍だった…そして、奴らは飢えていた」

 オーク、オーガ…ファンタジーRPGで有名な亜人種だとおもうが、実物を見たことが無いオレは想像するしかない…

「ちなみに、そのオークやオーガと言うのはどう言った外見と特徴を持っているのか、教えてくれるか?」
「奴等は人類とは別の生態系を持つ亜人種の中でも特に欲望や本能に忠実に生きる。従って、ソレを叶えるための進化をして個人が一騎当千とも言える力を持ち、特に『食う』事に対して一切の妥協をしない…飢えると同族をも喰う。従って体格もそれに見合う形になる」

「オークもオーガも同じなのか?」

「我等から見れば文明レベルと欲望に対する本能的行動は差異がないように見えるが、オークは種族の中でも体格による差異がある。人と同じ位の背丈から倍程もある巨体まで…そして何より数が多い。逆にオーガは人の三倍以上の巨大で単体で行動する。オーガとオークは共に行動することが良くある。利害が一致するからだ」

 ますますよく知っているゲームの様な設定だ。
 欲望に忠実…は、まあ…シンパシーを感じなくはないが、想像する外見では仲良くはなれなさそうだ。
「あまり越境しないと聞いたが」

「普段なら、彼らからすれば人類は線が細く脆弱で好んで食べる様なメリットは多くない。しかも、タイマンなら脆弱な人類も文明と魔法に寄る大規模な反抗勢力を持つので、デメリットの方が大きい事を流石に学習しているからな…」

 そのオーク達がリスク覚悟で大規模侵攻を仕掛けて来て、ソコに配置されたと言う訳か。

「ソレで、遭遇戦がとてつも無い規模で戦う最中に油断して?」
「あの戦いを油断…まぁ、結果はそう言って過言ではあるまい」

「未だその傷は疼くのかい?」
「当たり前だろう…だが名誉の負傷だ」

 オレはスレイン及び雫の普通にヤバい能力に触れていて感覚が麻痺していたが、前世の記憶のおかげでその異常性と高性能に気づいていた。

「お前のその失った腕と誇りを再生してやろう。そうしたらオレを全て受け入れるか?」

「な、何だと?」

「いや、逆か…オレを受け入れたらレイラ・ファイアハート、お前の腕と失った誇りと、女の喜びを与えてやろう」

「元よりコレット解放のためどんな辱めも受けるつもりだ…が、そんな事が可能なのか?」
「試してみようじゃ無いか…」

 ヒドラの敵討…と、思って居たが、オレも随分と薄情に…なったモノだ…いや、白状になったではなく…元々情熱あったっけ?とも思いつつこの新たな挑戦に心が躍るのを感じていた。
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