愛玩洞窟〜汝洞窟を愛せよ、奥に深く深淵に

黒船雷光

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ムーンライト・ホーリースライム編

女性上位の歴史

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「支配に必要なモノというのは何か?」領主のエレノアがオレに問う。

「他人を無表情に殺すことか?」嫌味を込めて聞く。
「その者は死んでおらん…お前が助けることになっておったからな」
「それは結果論の話じゃないか…死ななきゃ腹を掻っ捌いても良いのか?」
「男はそのつまらない『想定される問題』を憂慮するあまりに決断が遅く、結果的に失敗する…それがお前たち男性が人を率いる器ではないこをと示すと思わんかの?」
「他人の痛みを分からないものが上に立つと?」「そうじゃ…その感覚の想像と共感が決断と実行を妨げる」
 それってアレなんじゃ…女性というよりサイコパスとかそういう奴なんじゃ…
 そんなオレの思いを無視してエレノアは古代史を語り始めた。

 ◼️「女帝の血統:アヴァロニアの興隆史

 古の時代、霧の大陸アヴァロニアで、女神スレインは女性に「叡智の炎」、男性に「力の槌」を授けた。男は強いが衝動的で、影響を考えず暴走。女神の教えは「男は力を行使するが、考えるのは女性の冷静な判断のもと。男は実行だけすればよい」。これが女系社会の礎となった。

 ◼️第一紀:女帝の台頭(紀元前400年~紀元0年)
 蛮族の侵攻で男王たちが敗れる中、賢女王アリアナが立ち上がった。女性の評議会が戦略を立て、男は実行者として従う。蛮族を撃退したアリアナは女系継承を制定。娘の女帝イザベラは「叡智の宮殿」を築き、女性が決断、男性が労働と繁殖に奉仕する社会を確立。小王国を統一し、アヴァロニアは大陸の半分を支配。芸術と科学が花開き、男は女性の所有物とされた。

 ◼️第二紀:黄金時代と反乱(紀元1年~500年)
 女帝エレノアの治世は絶頂期。女性が哲学を学び、外交を主導。男は戦士や農夫として搾取され、騎士団も女性が率いた。しかし、抑圧された男たちが「力の革命」を起こす。エレノアは女性スパイで内部分裂を誘導し、反乱を鎮圧。女系社会の正当性が証明され、娘の女帝ヴィクトリアが帝国を拡大。

 ◼️第三紀:拡大と融合(501年~1000年)
 ヴィクトリアは海を越え、南方の島々を征服。女性外交官が同盟を結び、男艦隊が実行。異文化の男は繁殖資源として迎え入れられ、遺伝を管理。女性の芸術家がルネサンスを牽引し、男は職人やモデルに。物語『叡智の鎖』は、女性の決断で男が英雄となる姿を描き、女系の優位を称賛。

 ◼️第四紀:危機と再生(1001年~1500年)
 大干ばつと疫病が帝国を襲う。男たちの暴動を、女性評議会が食料配給と灌漑システムで収束。女帝ソフィアは科学者女性と協力し、男に労働を命じ危機を克服。帝国はさらに強靭に。

 ◼️終章:現代の遺産
 現代のアヴァロニアは女帝の血統が続く繁栄の国。男は力強いが、女性の叡智で輝く。歴史は、女性の決断が世界を築き、男は実行と繁殖の道具として調和を生むと教える。



「女性同士はどうなんだ?何が上下に分かつのか?」ソフィアは何故凶刃を受けなければならない?
「そこは平等じゃろ?実力と才能とその結果が優劣を決めるそれだけの事じゃろ」

 つまり、【優秀な決断を実行するものが支配する】という構造か…分かりやすくていい。

「教会が弱者を救済し、自費をもって治癒を行うのは?…」
 イザベラが平然と応える「支配と搾取と教育という名の洗脳だ我が君」

 ナルホド…どこの世界も思った以上にイカれてるという訳だ…まあ、これまでも様々な女と関係をもって支配をしてきたが、どこか後ろめたい部分もあったけど、今後は何の躊躇もなく行けそうだ。

「お前が優秀な術師といのが分かったので、私の願いを改めて聞いてもらおう」
「何ですかね?」

「決まっておろう…若さと美貌と、そして何より背丈じゃ…私は全てを持っている…ただし、私の躰の足りない部分以外の全てじゃ…金で地位でも解決はしない…だが、今、ここに!私が望むことも叶わないと思っていた私自身に対する欲望を叶えるために現れたという訳じゃな…」

「これは取引なんですよエレノア・ヴァルティア領主様…貴女は何をオレに捧げられるのですか?」
「何じゃ金が欲しいのか?それとも地位か?」

「残念…オレはこの国が欲しい。オレは気に入った人材の忠誠を求めて支配してきたが、お前は要らない…なので、完全なる破壊と再生をしようじゃないか」

「何じゃと?私が何をした?貴族を脅すつもりか?小市民男子ごときが?!……衛士!」
「お呼びですか?!」白銀の騎士が後ろの扉から突入してくる。
 入って来た騎士は女性だったが…オレを見ると兜を外して膝まづく。あれ?どっかで見たことが…

「これはシェル様…このような場所でお会いできます事、望外の喜びで御座います」
 ああ、ケルベロス中隊のメンツか…

「ええと…ケルベロス中隊ってこんなこともしてるの?」
「オルデン・ブラックウェルとリース・カーティスであります。シェル様…はい、我ら王国騎士は用命あればどこへでも出向きます故…」
「そうか…せっかくの再会だ。褒美をやるからそこの領主様を捕えてくれないか?」
「はっ!シェル様のお望みなら王命よりも優先されます!」

 というわけで、小柄な領主、エレノア・ヴァルティアは騎士に取り押さえられて身動きが取れなくなってからもやや茫然としていた。

「ば、バカな…王家独立愚連隊のケルベロス中隊生え抜きの護衛ぞよ…?どういうことなのだ…」
「まあ、女性優位のこの社会ではあるけど…オレには関係ないってことかな…それでも、望は叶えてやるよ」
 ゆっくりの彼女の前に歩み寄る。

「ま、待つのじゃ…お、おい!イザベラ!ソフィア?!」周りに味方を探して狼狽えるエレノア。

 イザベラ主教には出来るだけ不自然に接して欲しくなく、また彼女のこれまでの境遇を考えて意識の一切を縛っていなかったが、今はその意思を拘束してオレの支配下にある。

 司祭代表のソフィアは何の支配もしていないが、エレノアの言うことを聞くとは思えない。
 ソフィアは身の上に起きた理不尽に只恐怖していた。雫がそっと寄り添い頭を撫でると気を失って倒れた。

「よし、やってくれ」「承知した我が主人」
 雫がエレノアの頭に触れる。オレとシンクロして彼女を分解吸収する。生きたままスライムになって人の形を維持できず崩壊する。

「リザレクティオ・モルティス」
 人体再錬成。死んで崩壊した彼女は再び元の姿に戻っている。だが既に人で無く生前の記憶も持つ姿も同じ本人と同じ性格まで受け継いで存在するがコピーなのだ。

「生命がこぼれ落ちる前に再構築、ソフィアで予行演習出来て良かったと言うことかな…ただ、この手はあまり乱用出来ないな」
「その通りだ我が主人…リスクとコスパが悪いぞ」
 この世界の人にコスパとか言われたくないな…

「このエレノア・ヴァルティア女神様とシェル様に永遠の服従を」
「よし、しばらくはこのままの生活を続けよ。但し、同族の殺生は控えよ。必要なら我を呼ぶと良い」
「承知致しました」

「オルデンとリースだったか、ご苦労。褒美をやるから武装解除だ」
「「ハイ、シェル様」」

 執務室の机に手をつかせて後ろから蹂躙する。
 声にならない声をリズミカルに吐き、汗と涙と涎を垂らす二人の騎士の恍惚とした表情を浮かべる姿を正面から眺めるエレノアは「普段通りに」執務を続ける。オレの命令が無い限り必要に応じた反応の最小対応

 彼女達に褒美の享受を注いで領主の館を後にした。
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