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アースライト・ホーリースライム編
硬き鋼・歪む魂
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白い無機質の部屋…精神病の患者が入れられる部屋がこんな部屋だったなと…前世の何かの映画作品の記憶をたどって思うが…実際に見ると、入れられた患者よりこの部屋の設計思想自体が狂気だなと感じる。
「あの女たちは、十分に力を付けたこの帝国は自分たちで仕切りたいそうだ…今回の遠征の失敗は充分するギル私の失脚の理由に足りえるものだ。まあ、渡したこれから生み出そうとする先進技術などは彼女たちからすれば理解の呼ばないものだからな…」
「お前を助けてやると言ったら、協力するか?」
「シェル様?…流石にそれは」ナディアが止めようとする。オレは気持ちは分かるがと制する。
「シェル様…監視室は抑えていますが、恐らく定時連絡などで感づかれるのは時間の問題です」
レイラもやや焦った感じで周囲を警戒している。
時間が無いことは分かっているが、ルドルフとアースライトホーリースライムの接点が切れてしまうと、ここまで先制してきた意味がなくなる可能性もあるし、現に今雫の消耗上体を考えるとこの状況は何とかしなければならない。ルドルフのこの覇気のなさは……ヤバイ。オレも経験したことがあるアレだ…
「どこで歪んだのか知らないが、おまえの本質は発明と発展だ。制圧軍拡ではない…まあ、武器などは分かりやす成果が付いてくるからな…お前はオレの元で小さな発明を進める…どうだ?」
「私は失敗したのだ…この世界でも。その償いを受ける…」
「お前は…これまで失敗したことが一度もないのか?」
「何を言うか…科学と発明は失敗の山の上に築かれている。凡人にわかるものか」
「ああ、分からないね…凡人だからな。だが、失敗はオレだって散々して来ている」
「凡人の日常のミスの積み重ねと科学を平行に語るな」
「では、お前の死をも受け入れる失敗は何だ?」
「お前たちの国を堕とすことを失敗したことだ」
「そりゃ失敗しても仕方ないな」
「何だと?」
「戦争は初めてだったんだろ?」
「……」
「最初の一発目の奇襲は途中まで成功してたけどな…でも、アレをお前は…お前たちは失敗と認めなかったんじゃないか?」
「……あれは、わしの案ではなかった」
「お前は転生してんだよな…科学者として近代兵器にまで知識を持ってそれを役立てたみたいだが、戦争の歴史自体には興味なかったんだろうな……まあ、オレも大して変わらないけど」
「ワシは…認めてほしかった。この世界では男は地位が低かった…蔑まされていた。フィジカルでしか貢献できない…だが、ワシは科学しかなかったのだ。知識は前世の記憶があったので順調に無双できたのだ…しかし、結果はこの様だ…」芋虫のように動けない拘束義は使節団として来てテロを封じたオレ達の対処の時のままだ。
一体食事や排せつ処理をどうしているのか…
「オレは…同じ境遇でこの世界で力を手に入れて…今お前の前に居る。勝敗を説くならオレの勝ちだ…お前には前回その体の中にスレインの一部を突っ込んだのを覚えているか?」
「ははは…意趣返しのつもりだったのだろう…もちろんその屈辱は忘れていない…今はもうその感覚もない」
「そりゃそうだろ…お前と一体化しているからな」
「なんだと?ナノマシンテクノロジーをお前たちが持っているとは思えない」
「何でも科学に置き換えるな…この世界には魔法と鎌ものとかお前の知らない力もあるのは知っているだろう?」
「ふん…理解できないものを習得し直すほど暇には生きてない…」
「そういうところだ…お前の敗因もそこにある」
「そうだ、だからワシはもう消えるしかないのだ…」
そこに戻られると困るのだが…参ったな
「シェル様、この男を助けるつもりなら、無駄になる可能性が高いよ…」ナディアは同情とも呆れとも取れる表情で口をはさんでくる。「この男を救い出したとして、どうするのさ?この国で死刑が決まっている人間を私たちが連れ去ったとして、名目は?王国に戻ったところでこの男は戦争犯罪者の立場は変わらないし、結局死刑だよ?」
……ナディアの言い分はもっともだ。
だが、オレはこれまでに会話に移管を感じていた。
「…ルドルフ、戦争の企画立案は誰なんだ?お前は科学者だけど政治家じゃない…戦争にGOを出したやつは別にいるんじゃないか?」
「……この国の資源は無茶な開発拡大で枯渇している。他の地域を潰して拡張し広範囲の資源を確保する必要がある。だが、新規開拓するほどの猶予もなく限界であった…その決断は必然だった」
ジリリリリリ……
けたたましい非常ベルが鳴る。
「シェル様、マズイ!感づかれた!銃を装備した警備兵が押し寄せてくる!」斥候に出ていたレイラが戻ってくる。
「ルドルフ…この世界の行く末をオレと共に見てみないか?オレを助けろ!」
「シェル様!」ナディアが通風孔口からもう限界だと告げる。
もう部屋に外から人が走り込んでくる足音が響いて近づいてくる。
「ルドルフ、これが最後だ…」
「もう無理だ…ワシを置いていくがよい」
「いいから、どっちだ?やり直したいのか?諦めるのか?…死にたいのか?!」
「そんなの…!死にたい訳ないじゃろ!」
ドドドドド……!!
そこに衛兵が大量になだれ込んでくる。
「貴様らここで何をして………いる?」
白い部屋には誰も居ない。
「さ、探せ!遠くには行ってないはずだ!」
「収監中のルドルフが消えたぞ!」
「誘拐だ!」「探せ!!」
「奴ら通風孔を伝って侵入した模様!」
「そんな中人質連れて早くは動けない!逃走経路を割り出して出入口を抑えろ!」
収監所は大騒ぎになった中、オレ達は直下の地下の洞窟の中に居た。
死を覚悟していたルドルフが、後悔と生への渇望がアースライト・ホーリースライム『地脈の零』との接続を復帰させた。ルドルフも我々同様エルダリア迄遠征した際に零との接続が切れ、動揺しテロの失敗からのオレ達の尋問でショックを受け、心を閉ざしてしまっていた。
本国に帰還したものの、拘束も解かれず見方は本国にもいないことを悟ったルドルフは絶望とそこで伝えられた死刑宣告で完全に心が死んでいた。
生への絶望より、死への恐怖が勝ったわけではないだろうが、ルドルフの中にわずかに芽生えた縋る希望が零への繋がりを取り戻した。
それと同時にオレたちのアースライト・ホーリースライムへの勝利と支配が繋がり、雫が力を取り戻し、我々を即座にアースライト・ホーリースライムの地下洞窟に穴をあけて堕とし、すぐさまスライムの擬態で穴を塞いだ形だ。
むりやり引きずり込まれたナディアとレイラは自分たちがどこに居るのかも分からず混乱していたが、無事を確認して喜んだ。
「シェル様…ちょっと今回は結構危なかったですよ」「これからどうするんですか?」
「そうですよ…こんなオッサン身バレし過ぎてて連れて歩けないですし」
詰め寄ってくるナディアとレイラ。
「まあ、そう怒るな…君たちに依頼して目的達成した訳だし…オレも今回ピンチで色々得られるものもあった」
オレはルドルフを開放して問う。
「改めて聞くけど…仲間になる気はあるか?」
「ワシは…」
「聞き方変えよう…ルドルフ・クロムヴェルは今日死ぬ。オレと新しい人生を生きるのはどうだ?」
「そんなことが…」
「オレと雫の魔法をなめるなよ…ちなみにリクエストとかあるのか?どんな姿にも代えてやる」
「ほ、本当か?!」
え?何その食いつきよう…
そのリクエストはちょっと驚きであった。
「あの女たちは、十分に力を付けたこの帝国は自分たちで仕切りたいそうだ…今回の遠征の失敗は充分するギル私の失脚の理由に足りえるものだ。まあ、渡したこれから生み出そうとする先進技術などは彼女たちからすれば理解の呼ばないものだからな…」
「お前を助けてやると言ったら、協力するか?」
「シェル様?…流石にそれは」ナディアが止めようとする。オレは気持ちは分かるがと制する。
「シェル様…監視室は抑えていますが、恐らく定時連絡などで感づかれるのは時間の問題です」
レイラもやや焦った感じで周囲を警戒している。
時間が無いことは分かっているが、ルドルフとアースライトホーリースライムの接点が切れてしまうと、ここまで先制してきた意味がなくなる可能性もあるし、現に今雫の消耗上体を考えるとこの状況は何とかしなければならない。ルドルフのこの覇気のなさは……ヤバイ。オレも経験したことがあるアレだ…
「どこで歪んだのか知らないが、おまえの本質は発明と発展だ。制圧軍拡ではない…まあ、武器などは分かりやす成果が付いてくるからな…お前はオレの元で小さな発明を進める…どうだ?」
「私は失敗したのだ…この世界でも。その償いを受ける…」
「お前は…これまで失敗したことが一度もないのか?」
「何を言うか…科学と発明は失敗の山の上に築かれている。凡人にわかるものか」
「ああ、分からないね…凡人だからな。だが、失敗はオレだって散々して来ている」
「凡人の日常のミスの積み重ねと科学を平行に語るな」
「では、お前の死をも受け入れる失敗は何だ?」
「お前たちの国を堕とすことを失敗したことだ」
「そりゃ失敗しても仕方ないな」
「何だと?」
「戦争は初めてだったんだろ?」
「……」
「最初の一発目の奇襲は途中まで成功してたけどな…でも、アレをお前は…お前たちは失敗と認めなかったんじゃないか?」
「……あれは、わしの案ではなかった」
「お前は転生してんだよな…科学者として近代兵器にまで知識を持ってそれを役立てたみたいだが、戦争の歴史自体には興味なかったんだろうな……まあ、オレも大して変わらないけど」
「ワシは…認めてほしかった。この世界では男は地位が低かった…蔑まされていた。フィジカルでしか貢献できない…だが、ワシは科学しかなかったのだ。知識は前世の記憶があったので順調に無双できたのだ…しかし、結果はこの様だ…」芋虫のように動けない拘束義は使節団として来てテロを封じたオレ達の対処の時のままだ。
一体食事や排せつ処理をどうしているのか…
「オレは…同じ境遇でこの世界で力を手に入れて…今お前の前に居る。勝敗を説くならオレの勝ちだ…お前には前回その体の中にスレインの一部を突っ込んだのを覚えているか?」
「ははは…意趣返しのつもりだったのだろう…もちろんその屈辱は忘れていない…今はもうその感覚もない」
「そりゃそうだろ…お前と一体化しているからな」
「なんだと?ナノマシンテクノロジーをお前たちが持っているとは思えない」
「何でも科学に置き換えるな…この世界には魔法と鎌ものとかお前の知らない力もあるのは知っているだろう?」
「ふん…理解できないものを習得し直すほど暇には生きてない…」
「そういうところだ…お前の敗因もそこにある」
「そうだ、だからワシはもう消えるしかないのだ…」
そこに戻られると困るのだが…参ったな
「シェル様、この男を助けるつもりなら、無駄になる可能性が高いよ…」ナディアは同情とも呆れとも取れる表情で口をはさんでくる。「この男を救い出したとして、どうするのさ?この国で死刑が決まっている人間を私たちが連れ去ったとして、名目は?王国に戻ったところでこの男は戦争犯罪者の立場は変わらないし、結局死刑だよ?」
……ナディアの言い分はもっともだ。
だが、オレはこれまでに会話に移管を感じていた。
「…ルドルフ、戦争の企画立案は誰なんだ?お前は科学者だけど政治家じゃない…戦争にGOを出したやつは別にいるんじゃないか?」
「……この国の資源は無茶な開発拡大で枯渇している。他の地域を潰して拡張し広範囲の資源を確保する必要がある。だが、新規開拓するほどの猶予もなく限界であった…その決断は必然だった」
ジリリリリリ……
けたたましい非常ベルが鳴る。
「シェル様、マズイ!感づかれた!銃を装備した警備兵が押し寄せてくる!」斥候に出ていたレイラが戻ってくる。
「ルドルフ…この世界の行く末をオレと共に見てみないか?オレを助けろ!」
「シェル様!」ナディアが通風孔口からもう限界だと告げる。
もう部屋に外から人が走り込んでくる足音が響いて近づいてくる。
「ルドルフ、これが最後だ…」
「もう無理だ…ワシを置いていくがよい」
「いいから、どっちだ?やり直したいのか?諦めるのか?…死にたいのか?!」
「そんなの…!死にたい訳ないじゃろ!」
ドドドドド……!!
そこに衛兵が大量になだれ込んでくる。
「貴様らここで何をして………いる?」
白い部屋には誰も居ない。
「さ、探せ!遠くには行ってないはずだ!」
「収監中のルドルフが消えたぞ!」
「誘拐だ!」「探せ!!」
「奴ら通風孔を伝って侵入した模様!」
「そんな中人質連れて早くは動けない!逃走経路を割り出して出入口を抑えろ!」
収監所は大騒ぎになった中、オレ達は直下の地下の洞窟の中に居た。
死を覚悟していたルドルフが、後悔と生への渇望がアースライト・ホーリースライム『地脈の零』との接続を復帰させた。ルドルフも我々同様エルダリア迄遠征した際に零との接続が切れ、動揺しテロの失敗からのオレ達の尋問でショックを受け、心を閉ざしてしまっていた。
本国に帰還したものの、拘束も解かれず見方は本国にもいないことを悟ったルドルフは絶望とそこで伝えられた死刑宣告で完全に心が死んでいた。
生への絶望より、死への恐怖が勝ったわけではないだろうが、ルドルフの中にわずかに芽生えた縋る希望が零への繋がりを取り戻した。
それと同時にオレたちのアースライト・ホーリースライムへの勝利と支配が繋がり、雫が力を取り戻し、我々を即座にアースライト・ホーリースライムの地下洞窟に穴をあけて堕とし、すぐさまスライムの擬態で穴を塞いだ形だ。
むりやり引きずり込まれたナディアとレイラは自分たちがどこに居るのかも分からず混乱していたが、無事を確認して喜んだ。
「シェル様…ちょっと今回は結構危なかったですよ」「これからどうするんですか?」
「そうですよ…こんなオッサン身バレし過ぎてて連れて歩けないですし」
詰め寄ってくるナディアとレイラ。
「まあ、そう怒るな…君たちに依頼して目的達成した訳だし…オレも今回ピンチで色々得られるものもあった」
オレはルドルフを開放して問う。
「改めて聞くけど…仲間になる気はあるか?」
「ワシは…」
「聞き方変えよう…ルドルフ・クロムヴェルは今日死ぬ。オレと新しい人生を生きるのはどうだ?」
「そんなことが…」
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