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―― 第二章 ――
【二十九】王都への到着
しおりを挟む王都に到着した僕とクライヴ殿下は、最初に王宮へと向かった。
国王陛下と王妃様にご挨拶をするためだ。僕はクライヴ殿下の隣に並んで、玉座がある謁見の間へと向かった。そして長い絨毯の上を歩いていくと、玉座に陛下が座していて、隣に用意された豪奢な椅子には王妃様が腰を下ろしていた。本日は視察中との事で、クライヴ殿下の兄上である王太子殿下の姿はない。
「久しいな、クライヴ。それに、ルイス」
陛下に声をかけられたので、僕は深々と頭を下げた。
「息災だったか?」
隣でクライヴ殿下が頭を上げる気配がしたので、僕もそれに倣う。
クライヴ殿下は目を細めて笑っていた。
「ええ。ルイスと二人で、元気に過ごしております」
「それはなによりだ。ルイス、クライヴが無理を言ったら、この義父になんでも相談するとよい」
冗談めかした国王陛下の声に、僕は慌てて言葉を探す。畏れ多いとも思ったが、クライヴ殿下は僕に無理を言ったりしないから、どのように返答すればいいのか分からない。
「相談なら、私もいつでも伺いますよ」
王妃様にまでそのように言われて、僕は瞳を揺らした。
「陛下、母上、ルイスを困らせないでください」
するとクライヴ殿下が咳払いをした。それから僕を見て、両頬を持ち上げた。
「それに不満があれば直接俺が聞く。直す」
「……不満なんて無いです」
必死でそう答えると、国王陛下と王妃様がそろって笑顔になった。
「本当に親しくなった様子だな」
「これからも、幸せになさってね」
そのようにして、和やかな空気の中、挨拶の時間は流れていった。
謁見の間を退出してからは、近衛騎士に案内されて、僕達は滞在場所である王宮の塔の一つへと向かった。この塔は、クライヴ殿下のものなのだという。
「つまり、ルイスのものでもある。俺達の、王都での家だ」
リビングに入り、ソファに座りながら、クライヴ殿下が述べた。そこに侍従がカップを運んできた。褐色の液体を見て、珈琲だとすぐに判断した。香りもそうだ。その後侍従が下がったので、僕とクライヴ殿下はテーブルをはさんで対面する席につき、視線を合わせた。
「疲れただろう? 旅は」
「大丈夫です」
「そうか。確か明日は、ベルンハイト侯爵家に行くんだったな?」
「ええ。父から手紙が届いたので。クライヴ殿下は、明日はご公務でしたよね?」
「ああ。久しぶりの帰還だというのに、予定を詰め込まれてしまったよ。ただ、終わり次第、俺も行くつもりだ。ベルンハイト侯爵や義母様、それにジェイス卿にもご挨拶をしたいと思っている」
ジェイス兄上や両親の事を思い出しながら、僕は頷いた。
その後この夜は、僕はクライヴ殿下の腕枕で眠りについた。ふかふかの寝台に寝転がったら、すぐに睡魔に飲まれた結果だ。
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