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―― 第二章 ――
【四十二】国王陛下と王妃様の見解
王妃様がクスクスと笑いながら、顔を扇で隠したのは、その瞬間だった。
「大騒ぎでしたのよ? 私、驚いてしまいました」
「本当によくやったな、クライヴ。父として誇らしいぞ」
「ええ、本当に。伴侶一人守ることができないような者には、民を治める事もできませんもの」
「耳が痛いぞ、王妃よ」
「あら? 陛下はいつだって私を守ってくださるではありませんか」
「王妃は守られるようなたまではないだろう」
国王陛下と王妃様はそんなやりとりをしてから、そろって僕を見た。
二人の和やかな空気に、僕は驚いて目を丸くしていた。
「ルイス。クライヴは普段温厚なのにたまに暴走するが見捨てないでやってくれ」
国王陛下はそう述べると、僕に頭を下げた。突然の事に驚きすぎて、僕は息を飲む。
「陛下、ルイスの前でそう言う事を言わないで下さい」
クライヴ殿下はニコニコしながら、国王陛下に向かって笑っている。
唖然としていた僕の肩を抱き寄せ、クライヴ殿下がこちらを見た。
「ルイスに嫌われたら、陛下を許しませんからね?」
「愛情を自分で繋ぎ止められないようでは、それは仮初だ。心せよ、クライヴ。きちんと幸せは自分で掴むように」
「言われずとも」
国王陛下の明るい声と、楽しそうなクライヴ殿下の言葉。二人のやり取りを穏やかなまなざしで眺めている王妃様。僕はその場に自分がいる事が不思議でならなくて、けれど無性に、幸せだった。
その後、僕達は言葉を交わしてから退出し、塔の一室へと戻った。
そこで僕は、クライヴ殿下に抱きしめられた。
「まだいくつかの夜会や、兄上との会談などがあるが、終わり次第帰るとしよう」
「は、はい」
僕は頷きながら、自分の両腕を回し返す。
こうして穏やかな王宮での時を過ごし、王領へと戻る日の夜は国王陛下と王妃様、そして王太子殿下に晩餐の場を用意していただいた。そこでも僕は緊張しっぱなしだったのだけれど、クライヴ殿下のご家族は、皆が僕に優しい。王族という存在への見方が、変わってばかりだ。
王領へと戻る馬車に乗り込んだ時、クライヴ殿下が僕の手を握りながら笑った。
「名残惜しいが、また来よう」
「はい……」
「十一月にある収穫祭の準備もしなければならないからな」
「……クライヴ殿下」
「なんだ?」
「僕は、クライヴ殿下の隣なら、そこがどこであっても一緒に居られて幸せです。だけど、緊張しました」
「今後はこちらもまた俺達の家だ。少しずつ、慣れていけばいいんだ」
そんなやりとりをし、僕達は馬車の中で視線を合わせる。
そうして走り出した馬車の中で、唇を重ねた。
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