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―― 第四章 ――
【第二十八話】もどかしい(★)
しおりを挟む昴は、ゆっくりと昼斗の体を、それこそ確かめるように愛撫していく。一糸まとわぬ姿でベッドにいる昼斗は、小刻みに体を震わせていた。既に体が熱くなって久しく、びっしりと体は汗ばんでいて、艶やかな黒い髪が肌に張り付いている。
「ぁ……」
もう何度目になるのか、右胸の突起を唇で挟まれ、チロチロと舐められた。左手では左の乳頭を摘ままれている。昼斗の首の筋から鎖骨の間際には、キスマークが散らばっている。
既に昼斗の陰茎は反り返り、先走りの液を零している。
しかしそちらへの決定的な刺激は無く、もう二時間ほどじっくりと昴は、昼斗の全身に触れ、舌を這わせ、既に消えた傷口のあった場所を撫でている。
「ん、ぅッ」
昴の右手の指は、昼斗の後孔を解している。こちらも長時間慣らされているせいで、現在内部はとろとろだ。久しぶりの行為ではあるが、何度も体を重ねているせいで、昼斗の内側が昴の指のもたらす感覚を、覚えている。ローションが立てる水音がグチュグチュと響いている。だが内部も解すだけで、そちらからの決定的な刺激がない。
――もどかしい。
熱い体で昼斗が涙ぐむ。次第に明確に、貫かれたいという欲望だけが思考に上るように変わり、他の事が何も考えられなくなっていく。
「ぁ、あ」
甘く胸の突起を噛まれ、昼斗は震えながら涙を零す。全身が融けてしまいそうで怖い。じわりじわりと昂められた体が、限界を訴えている。睫毛を生理的な涙で濡らし、昼斗は泣くように告げる。
「昴、ァ……も、もう、大丈夫だから」
「そうだね。傷も綺麗に塞がっているみたいだ。安心したよ」
口元は微笑しているが、昴の瞳は、どこか残忍だ。昼斗なりに必死に求めたというのに意図が伝わらず、ギュッと目を閉じ昼斗は震える。欲しかった。早く貫かれたい。すっかり力が入らなくなってしまった体をベッドに預けて、昼斗は涙ぐむ。既に思考も、快楽しか拾わなくなり始めている。焦らしに焦らされている熱い体が、解放を求めている。
「……昴、昴、ぁ」
「ん?」
「……挿れてくれ……ッッ、ぁ、も、もう……ぁ、ぁァ……」
「義兄さんから言われたのは初めてだな。うん、いいよ」
すすり泣くように昼斗が述べると、優しい声音で昴が頷いた。
指を引き抜いた昴は、昼斗の太股に手で触れてから、屹立した剛直の先端を、昼斗の菊門にあてがう。そしてグッと巨大な亀頭を挿入した。
「ああ……っ!」
その衝撃で、昼斗は果てた。必死で息をしている昼斗には構わず、そのまま昴が根元まで一気に挿入する。根元まで入り切ったところで昴が動きを止め、昼斗の呼吸が落ち着くのを待った。昼斗は小刻みに体を震わせている。
「ん、ぁァ……」
しかしそのまま昴が動きを止めたため、すぐに再び体が熱くなってきた昼斗は哀願するように視線を向ける。その瞳は、艶と涙で濡れている。硬い芯で穿たれている内側の事しか考えられなくなっていく。次第に、もっと激しく動かれたいという、明確な欲求が浮かんでくる。
「昴……っ、ぁ」
「ん?」
「動いて、っッ、動いてくれ……ァ」
「うん、いいよ。今日は退院祝いだから、義兄さんの好きなようにしてあげる」
「あ、ぁア――!!」
そこから激しい抽挿が始まった。昼斗の感じる場所ばかりを、グッと昴が突き上げる。すぐに昼斗の頭は真っ白に染まった。また陰茎が反り返り、再び出てしまうとそう思ったが、すると昴の動きがまた止まった。もうちょっとで果てられるという時だったものだから、頭を振って髪を振り乱し、ボロボロと昼斗が泣く。
「やああ、待って、あ、あ、あああ」
昼斗の感じる場所を押し上げるようにして貫いたまま、昴は酷薄な笑みを浮かべて動かない。だがその表情を確認する余裕もなく、ギュッと目を閉じ昼斗は喘ぐ。
「昴、あ、もっと、もっと……」
「いいよ」
「あああああ!」
すると再び激しく打ち付けられて、その内に完全に昼斗の理性は焼ききれた。
何度も果てさせられた後、昼斗は気づくと意識を手放すように眠っていた。
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