黒薔薇の刻印

猫宮乾

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【二十二】鳥と樹Ⅲ

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 気づくと俺は、頬を涙で濡らし、俯いていた。まだ樹の根は、俺に絡みついている。しかしもう、陰茎からは棒が外されていた。だが、残酷なことに、体内で柔らかな根が、まるで肉のように蠢いている。びちゃりびちゃりと、根の先が何度も俺の内側に、何かを放っている。ボタボタと結合部分から、何かが零れていくのが分かる。

「あ、あ……あ? うあ? あ、は……ん」
「空になったようで何よりだ。神の血を持つ器が、空いたということは、神生みが出来る。新たな神を宿せる」
「ふ、ぁ……あ、あ」
「樹の神の種と、風の神の卵、生んでもらうぞ」

 殿下が俺の耳元で囁いた。その吐息にすら感じていた時、ゾクリと俺の体が震えた。

「あ……あ、ああああ!」

 俺の体内が熱くなる。その瞬間、俺の体から光が溢れ、目の前に巨大な卵とひまわりに似た種のようなものが出現した。

「良い兵器が二つも手に入った。もう用はない。あとは配下にでもくれてやるか。ご苦労だったな、ネルス殿下。いいや、もう性奴か。お前は、民草以下の家畜だ。もう何の力も無い」

 その言葉に手の甲を見れば、冒険者の魔力を示す魔法陣の色が、透き通って消えていった。こうして俺は、生まれ持った魔力を失った。



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