6 / 9
―― 本編 ――
6:BADEND(★)
しおりを挟む気づくと俺は、練習場に降りる階段を踏んでいた。
そうだ、それで、この後ルスに処女(?)を奪われたのだ。
コレは、階段を下りない方が良いんじゃないんだろうか。
そう思い、俺は慌ててきびすを返した。
一番上まであがり、とりあえず今日は寮に帰ろうと一人頷く。
「リオ?」
帰ろうとした瞬間、同級生であり、侯爵家のウルと遭遇した。
「今日は練習していかないのか?」
「ああ、ちょっとな、気分が悪くて」
「――顔色が悪いな」
そりゃそうだ。一瞬でセーブポイントまで戻ったとはいえ、俺の鼓動音はうるさいほどに騒いでいるのだ。
「!」
うつむきがちにそんなことを考えていたら、額と額を合わせられた。
「んー、熱はないみたいだな」
「……ああ」
「一応触ってみるから目を閉じてろ」
「分かった」
ゲーム内では罵詈雑言の嵐の二人だったが、案外優しいんだなんて俺は思った。
しかしてっきり額を触られるのだとばかり思っていた俺は、不意に唇に降ってきた暖かい感触に目を開けた。
「!?」
「隙だらけなんだな」
意地悪く笑ったウルを殴り飛ばしてやりたくなった。
「帰る」
いらいらしたので、俺は寮へと向かうことにした。
すると俺の部屋の前に、腕を組んだルス第二王子殿下がいた。
背を扉に預けて、腕を組んでいる。
前回のことがあるから、なるべく顔を合わせたくなかったのだが、彼にどいてもらえなければ、中へと入れない。
しかたがないので、正面まで歩み寄った。
「あの……」
「付き合っているのか?」
「へ?」
「ウル・カレンツァと」
「いえ。まぁ同級生なのでそれなりのつきあいは」
「お前は、誰が好きなんだ?」
緑色の瞳が怖くなった。なんだか氷のような空気間を放っている。
「――俺がお慕い申し上げているのは、ルス殿下だけです」
あれぇぇぇぇぇえ!? また勝手に俺の口が動いちゃったよ!
「本心だな」
「え、あ」
「お前が俺のモノだと言うことを皆に知らせないとな」
そういうと、歩み寄ってきて、俺の手首を痛いほどルスがつかんだ。
そのまま歩き出す。
そこは第二体育館だった。
大勢の人々が集まっている。
俺を抱きかかえるようにして、ルスは座っていた。その陰茎が、俺の中を貫いている。彼の両手は、俺の乳首を弄んでいる。
「うあああん」
皆が見ている。先ほど俺に意地悪するようにキスをしたウルの姿もある。
しかしドロドロとした液体をまとった指を動かされ、深々と入れられた男根を揺さぶられると、俺は訳が分からなくなっていった。
――もしかしてこれって、『公衆の面前で恥をさらしたAのその後は誰も知らない』!?
快楽で混乱している体、赤く染まっている頬を自覚しながら、俺はそんなゲームの設定を思い出していた。
乳首から片手を話し、俺の陰茎を先ほどからルスが緩く撫であげる。
俺の腰が揺れるたび、そして突き上げられるたびにまたチャヌチャと音がした。
しかし、前回セーブポイントへと戻った時に教えられた気持ちの良い場所に、さらなる刺激が欲しくて、無我夢中で俺は腰を振る。
「ひゃ、あ、ああっ」
緩慢に前を扱く手の感触ももどかしくて、俺は大勢に痴態を見られながら、必死で首を振った。
「やだ、あ」
「どうして欲しいんだ?」
「出したい……ン」
「イかせて欲しいんだったら、相応の頼み方があるだろう?」
「やぁああっ」
言葉と同時に深く中を抉られ、必死で俺は考えた。
「お願いです、殿下、イかせて下さい」
「違うな――『淫乱な臣下の中を突いて下さい。そうしてくれたら何でもします。殿下の大きいモノじゃなきゃイけない』――だろ? 俺以外じゃ当然イけないんだろうな?」
せせら笑うようなルスの声に、悔しくなって俺は唇を噛んだ。
しかしどうしようもない射精感におそわれていて、気が狂いそうだった。
「い、淫乱な、家臣の中をッんァ……突いてっあ、下さい。何でも、何でも……っ、ううっア――!! 殿下のじゃなきゃイけないですッ」
必死に言い切る直前急に、俺の体から一度陰茎を引き抜き、ガンガンとルスが腰を打ち付け始めた。
俺は犬のように上半身を床へと向けられ、慌てて両腕を椅子に添える。
そして尻を突き出す形になるとパンパンと、皮膚と皮膚が重なり合う音がした。
そんな俺たちを、みんなが見ている。
屈辱と羞恥と快楽で、俺は訳が分からなくなった。
「あああ――!!」
けれどそのまま、前を弄られるでもなく、後ろだけで俺は、射精してしまったのだった。
涙が出てきた。
どうして俺はこんな目に遭わなきゃならないんだろう。
ゲームみたいに、イヤミなキャラなんかやってないのに。ただひたすら魔術の腕を上げているだけなのに。何よりもクラスメイトを始め、皆に見られているのが、本当に辛かった。
皆楽しむように、好奇心に駆られたように、俺を見ているのだ。
恥ずかしくて仕方がないのに、心は苦しくて、だけどどうしようもない悦楽で、俺は訳が分からなくなっていった。
その時だった。
『一つ前のセーブポイントまで戻りますか?』
YES/NO
俺の答えは当然、本当に当然、YESだった。
YESを選択するしかなかった。だって、だってだ。俺の痴態をみんなに見せてしまった『この現実』で生きるなんて辛すぎたんだ。そもそも、ルスは何で俺にあんな事をしたんだろう……。前回も今回もだ。どちらの時も、ルスはいつも切なそうな顔をしていた気がする。嘲笑したりもしていたが、何処かに苦しそうで優しい瞳が見えた気がした。それが頭に焼き付いて離れなかった。
105
あなたにおすすめの小説
俺は勇者のお友だち
むぎごはん
BL
俺は王都の隅にある宿屋でバイトをして暮らしている。たまに訪ねてきてくれる騎士のイゼルさんに会えることが、唯一の心の支えとなっている。
2年前、突然この世界に転移してきてしまった主人公が、頑張って生きていくお話。
当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。
【完結】健康な身体に成り代わったので異世界を満喫します。
白(しろ)
BL
神様曰く、これはお節介らしい。
僕の身体は運が悪くとても脆く出来ていた。心臓の部分が。だからそろそろダメかもな、なんて思っていたある日の夢で僕は健康な身体を手に入れていた。
けれどそれは僕の身体じゃなくて、まるで天使のように綺麗な顔をした人の身体だった。
どうせ夢だ、すぐに覚めると思っていたのに夢は覚めない。それどころか感じる全てがリアルで、もしかしてこれは現実なのかもしれないと有り得ない考えに及んだとき、頭に鈴の音が響いた。
「お節介を焼くことにした。なに心配することはない。ただ、成り代わるだけさ。お前が欲しくて堪らなかった身体に」
神様らしき人の差配で、僕は僕じゃない人物として生きることになった。
これは健康な身体を手に入れた僕が、好きなように生きていくお話。
本編は三人称です。
R−18に該当するページには※を付けます。
毎日20時更新
登場人物
ラファエル・ローデン
金髪青眼の美青年。無邪気であどけなくもあるが無鉄砲で好奇心旺盛。
ある日人が変わったように活発になったことで親しい人たちを戸惑わせた。今では受け入れられている。
首筋で脈を取るのがクセ。
アルフレッド
茶髪に赤目の迫力ある男前苦労人。ラファエルの友人であり相棒。
剣の腕が立ち騎士団への入団を強く望まれていたが縛り付けられるのを嫌う性格な為断った。
神様
ガラが悪い大男。
【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。
天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。
成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。
まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。
黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。
雪解けに愛を囁く
ノルねこ
BL
平民のアルベルトに試験で負け続けて伯爵家を廃嫡になったルイス。
しかしその試験結果は歪められたものだった。
実はアルベルトは自分の配偶者と配下を探すため、身分を偽って学園に通っていたこの国の第三王子。自分のせいでルイスが廃嫡になってしまったと後悔するアルベルトは、同級生だったニコラスと共にルイスを探しはじめる。
好きな態度を隠さない王子様×元伯爵令息(現在は酒場の店員)
前・中・後プラスイチャイチャ回の、全4話で終了です。
別作品(俺様BL声優)の登場人物と名前は同じですが別人です! 紛らわしくてすみません。
小説家になろうでも公開中。
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
悪役のはずだった二人の十年間
海野璃音
BL
第三王子の誕生会に呼ばれた主人公。そこで自分が悪役モブであることに気づく。そして、目の前に居る第三王子がラスボス系な悪役である事も。
破滅はいやだと謙虚に生きる主人公とそんな主人公に執着する第三王子の十年間。
※ムーンライトノベルズにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる