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【SeasonⅡ】―― 第一章:生首ドリブル ――
【060】生首ドリブル
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火曜日の放課後、ぼくは生首ドリブルのことを調べるために、校庭にいくことにした。
「しょうがないなぁ」
道家くんがぼくの隣を歩いている。一歩うしろを、きてくれた哀名も歩いている。
ちなみに今日は、椿ちゃんは塾だと話していた。みんな、中学校にむけて、いろいろ準備をしているのがわかる。ぼくももっとがんばったほうがいいかもしれない。
「あ」
ぼくは校庭でボールを持っている男子をみつけた。校庭にはサッカーボールをけっている子は何人かいるけど、七海さんが見たという場所に、ボールをかかえている男の子がぽつんと立っている。仲間に入りたいのかなと思ってなんとなくそちらを見たんだけど、頭がなかったから、すぐにわかった。おもわずぼくはビクっとした。
「っ」
うしろで哀名が息をのんだ。ふり返ると、両うでで体をだいていた。
平気そうなのは、道家くんだけだ。
道家くんはうでを組むと、二歩まえに出た。
「おい」
すると生首を持った男子が顔を向けた。
「一緒に遊ぼう!」
明るい声がした。しかし道家くんは、つかれたような顔をし、大きく首をふる。
「お断りだよ。一緒に遊んだら、帰ってこられなくなるじゃん」
それを聞くと、生首を地面において、男子が蹴って走りはじめた。少しの間ドリブルをしていたその子は、それからスッと消えてしまった。空気にとけるみたいに消えた。
「じ、じつざいしたね。ぼく達、三人も〝しょうにん〟がいる」
「ええ……生首でドリブルしていたのを見た、私も」
ぼくと哀名が顔を見合わせていると、はあと大きく道家くんが息をついた。
「ぜったいに遊ぶと答えたらダメだからね。ボクが知ってるかぎり、そうすると連れて行かれるから」
「どこに?」
ぼくがたずねると、道家くんが顔をそむけた。
「さぁ?」
「七海さんは逃げてよかったのね」
哀名がつぶやくようにいった。
「うん。だけどアイツは、ただ遊びたいだけなんだよ。だからたちが悪いんだ。遊んだらダメだけどね。ここで一人で遊んで、みんなを見てるくらいは、別にいいと思うけど」
道家くんの声が少し悲しそうに聞こえた。ひとりきりのお化けのさびしい気持ちをわかってるからだと思う。
ぼくはうなずいてから、小さく首をひねる。
「じゃあ……だけど実在したって言ったらみんな怖がって、生首ドリブルがみんなにまぎれて自由に遊べなくなるから、だまっておこうか?」
「うん、私もそれがいいと思う」
「好きにすれば。ボクはなんでもいいよ」
二人のへんじに、ぼくはそうすることに決めた。
「しょうがないなぁ」
道家くんがぼくの隣を歩いている。一歩うしろを、きてくれた哀名も歩いている。
ちなみに今日は、椿ちゃんは塾だと話していた。みんな、中学校にむけて、いろいろ準備をしているのがわかる。ぼくももっとがんばったほうがいいかもしれない。
「あ」
ぼくは校庭でボールを持っている男子をみつけた。校庭にはサッカーボールをけっている子は何人かいるけど、七海さんが見たという場所に、ボールをかかえている男の子がぽつんと立っている。仲間に入りたいのかなと思ってなんとなくそちらを見たんだけど、頭がなかったから、すぐにわかった。おもわずぼくはビクっとした。
「っ」
うしろで哀名が息をのんだ。ふり返ると、両うでで体をだいていた。
平気そうなのは、道家くんだけだ。
道家くんはうでを組むと、二歩まえに出た。
「おい」
すると生首を持った男子が顔を向けた。
「一緒に遊ぼう!」
明るい声がした。しかし道家くんは、つかれたような顔をし、大きく首をふる。
「お断りだよ。一緒に遊んだら、帰ってこられなくなるじゃん」
それを聞くと、生首を地面において、男子が蹴って走りはじめた。少しの間ドリブルをしていたその子は、それからスッと消えてしまった。空気にとけるみたいに消えた。
「じ、じつざいしたね。ぼく達、三人も〝しょうにん〟がいる」
「ええ……生首でドリブルしていたのを見た、私も」
ぼくと哀名が顔を見合わせていると、はあと大きく道家くんが息をついた。
「ぜったいに遊ぶと答えたらダメだからね。ボクが知ってるかぎり、そうすると連れて行かれるから」
「どこに?」
ぼくがたずねると、道家くんが顔をそむけた。
「さぁ?」
「七海さんは逃げてよかったのね」
哀名がつぶやくようにいった。
「うん。だけどアイツは、ただ遊びたいだけなんだよ。だからたちが悪いんだ。遊んだらダメだけどね。ここで一人で遊んで、みんなを見てるくらいは、別にいいと思うけど」
道家くんの声が少し悲しそうに聞こえた。ひとりきりのお化けのさびしい気持ちをわかってるからだと思う。
ぼくはうなずいてから、小さく首をひねる。
「じゃあ……だけど実在したって言ったらみんな怖がって、生首ドリブルがみんなにまぎれて自由に遊べなくなるから、だまっておこうか?」
「うん、私もそれがいいと思う」
「好きにすれば。ボクはなんでもいいよ」
二人のへんじに、ぼくはそうすることに決めた。
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