図書室ピエロの噂

猫宮乾

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【SeasonⅡ】―― 第四章:テケテケ ――

【076】距離の縮め方

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 だけど、哀名のことが、やっぱり好きだ。
 失恋するにしても、どうしても告白した。

「うーん」

 家に帰ったぼくは、リビングでうでを組みギュッと目を閉じた。首を左右のカタに片方ずつ近づけてみる。今のままよりも、もっと仲良くなってから、告白したほうがいいと思う。それには……どうしたらいいんだろう。

「どうかしたのか?」

 すると亮にいちゃんがバイトから帰ってきた。

「ねぇ、亮にいちゃん」
「うん?」
「好きなこと仲良くなるには、どうしたらいいかな?」
「えっ……そりゃあ、デートとかするんじゃないのか?  一般的いっぱんてきには」
「デート? デートってなにをするの?」

 ぼくが聞くと、亮にいちゃんが照れくさそうな顔をした。

「お、俺が初めてデートしたときは、市の水族館に行ったぞ」
「すごい、大人だ」
「中学生の頃だ。瑛だって来年には中学生だろ?」
「う、うん。誰と行ったの?」
「この前話した元カノだよ。水族館に行って、その後告白した」

 亮にいちゃんは懐かしそうだ。

「付き合ってからは、プラネタリウムに行ったりしたな」

 ぼくは、プラネタリウムはいい案だと思った。あそこは安いから、ぼくのためているおこづかいでも、チケットが買える。

「ぼくもプラネタリウムに誘ってみる」
「そうか。この前のたんじょうびに来てた、哀名ちゃんか?」
「う、うん……透くんに聞いたの?」
「そうだ、悪いな。あいつが教えてくれたんだ」
「……べ、別にいいけどさ」

 ぼくはそう言ってから、スマホを取り出した。メッセージアプリを開いて、哀名をさそうことにきめる。

《プラネタリウムに行かない?》

 するとすぐに返信が返ってきた。

《行きたい》

 デートにさそうまでは大成功だ。ぼくは亮にいちゃんを見て、笑顔になった。

「ありがとう」
「お、さそえたのか?」
「うん! おこづかいで行ってくる」
「そうか。がんばれよ」

 亮にいちゃんがはげましてくれたから、ぼくはがんばれる気がした。



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