77 / 101
【SeasonⅡ】―― 第四章:テケテケ ――
【076】距離の縮め方
しおりを挟むだけど、哀名のことが、やっぱり好きだ。
失恋するにしても、どうしても告白した。
「うーん」
家に帰ったぼくは、リビングでうでを組みギュッと目を閉じた。首を左右のカタに片方ずつ近づけてみる。今のままよりも、もっと仲良くなってから、告白したほうがいいと思う。それには……どうしたらいいんだろう。
「どうかしたのか?」
すると亮にいちゃんがバイトから帰ってきた。
「ねぇ、亮にいちゃん」
「うん?」
「好きなこと仲良くなるには、どうしたらいいかな?」
「えっ……そりゃあ、デートとかするんじゃないのか? 一般的には」
「デート? デートってなにをするの?」
ぼくが聞くと、亮にいちゃんが照れくさそうな顔をした。
「お、俺が初めてデートしたときは、市の水族館に行ったぞ」
「すごい、大人だ」
「中学生の頃だ。瑛だって来年には中学生だろ?」
「う、うん。誰と行ったの?」
「この前話した元カノだよ。水族館に行って、その後告白した」
亮にいちゃんは懐かしそうだ。
「付き合ってからは、プラネタリウムに行ったりしたな」
ぼくは、プラネタリウムはいい案だと思った。あそこは安いから、ぼくのためているおこづかいでも、チケットが買える。
「ぼくもプラネタリウムに誘ってみる」
「そうか。この前のたんじょうびに来てた、哀名ちゃんか?」
「う、うん……透くんに聞いたの?」
「そうだ、悪いな。あいつが教えてくれたんだ」
「……べ、別にいいけどさ」
ぼくはそう言ってから、スマホを取り出した。メッセージアプリを開いて、哀名をさそうことにきめる。
《プラネタリウムに行かない?》
するとすぐに返信が返ってきた。
《行きたい》
デートにさそうまでは大成功だ。ぼくは亮にいちゃんを見て、笑顔になった。
「ありがとう」
「お、さそえたのか?」
「うん! おこづかいで行ってくる」
「そうか。がんばれよ」
亮にいちゃんがはげましてくれたから、ぼくはがんばれる気がした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
37
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる