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【SeasonⅡ】―― 第四章:テケテケ ――
【077】プラネタリウム
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次の土曜日、ぼくと哀名はプラネタリウムの前で待ち合わせをした。
そわそわしてしまって、ぼくは早めについてから、何度もうで時計を見た。
「楠谷くん、待たせた?」
「う、ううん。ぼくも今きたところなんだ」
やってきた哀名に、ぼくは早く来すぎたことは言わなかった。待ち合わせ時間の護符前にきた哀名は、時間通りだ。
チケットはぼくが買っておいたのでわたした。すると哀名がお財布をとりだしたので、ぼくは首を振る。
「今日は、ぼくがおごるから!」
「いいのに、私も自分のぶんは払うよ?」
「いいから! それより中に入ろうよ」
ぼくはあんまりおこづかいを使わないので、かなりたまっている。昨日スマホで、デートと検索したら、男子が払うと 好印象と書いてあったから、ぼくははらうと決めた。でも、 割り勘も人気みたいだった。
中に入ると、ぼく達以外だれもいなかったけど、二人で並んで座る。
そしてぼく達は、天井の星を見上げた。
プラネタリウムはどうやらあんまり人気がないみたいだ。哀名も退屈だろうか。不安になって哀名を見ると、優しい笑顔で星を見ていた。大丈夫そうで、ぼくは安心した。
「綺麗だね」
「ええ」
「あの中に、占いに出てくる星座もあるんだよね?」
「そうね。たとえばあれは、ルクバトといういて座の星」
「へぇ! そうなんだね」
哀名は〝はくしき〟だ。ぼくもやっぱり、哀名に負けないように、というよりは、哀名の横にいられるように、もっと勉強をした方がいいと思う。
二人きりだというのもあって、静かな小さな声だけど、ぼく達は、ずっと話をしていた。哀名と話していると楽しい。
そんな風にして、一時間プラネタリウムを楽しんだぼく達は、終わってからこのビルの一階にあるカフェに入った。昨日メッセージアプリで、お昼ご飯も一緒に食べようと約束していたからだ。そちらへ向かって歩きながら、ぼくは哀名を見た。
「プラネタリウム、楽しかった?」
ぼくは楽しかったけど、哀名がどうだったか気になる。
「うん。すごく楽しかった」
哀名がやわらかく笑ったので、ぼくはほっとした。
それからカフェに入ると、店員さんが、ぼく達を奥の席に案内してくれた。
二人でそれぞれメニューを見て、パスタを注文する。ぼくはたらこパスタ、哀名はキノコとベーコンとしそのパスタを頼んでいた。店員さんが運んできた水を飲んでいると、哀名が口を開いた。
「瑛くんといると、ほっとする」
ぼくはその言葉に、二つうれしくなった。はじめて名前でよんでもらえた。それに、ほっとしてもらえるのもうれしい。
「ぼくも、詩織といると、ホッと……は、しないかな。なんだろう、ただ、胸が温かくなるんだ」
ぼくも名前で呼んでみた。ただはずかしくなって下を見てしまう。
それからちらっと哀名を見ると、笑顔の哀名と目が合った。
とっても可愛い。思わずぼくも笑顔になる。哀名はぼくが名前を呼んでもいやじゃないみたいだ。ぼくは、もう少し勇気を出してみてもいいのかもしれない。
ご飯を食べてから、ぼくは店を出てすぐ、哀名に行った。
「手を繋いでもいい?」
すると哀名が、目を閉じて、満面の笑みを浮かべた。そして目を開くと、大きくうなずいた。
「うん」
こうしてぼく達は手を繋いで歩き、きさらぎ駅でそれぞれわかれた。哀名はそこまで家族が迎えに来てくれるそうだった。ぼくは、勇気を出して本当によかった。
そわそわしてしまって、ぼくは早めについてから、何度もうで時計を見た。
「楠谷くん、待たせた?」
「う、ううん。ぼくも今きたところなんだ」
やってきた哀名に、ぼくは早く来すぎたことは言わなかった。待ち合わせ時間の護符前にきた哀名は、時間通りだ。
チケットはぼくが買っておいたのでわたした。すると哀名がお財布をとりだしたので、ぼくは首を振る。
「今日は、ぼくがおごるから!」
「いいのに、私も自分のぶんは払うよ?」
「いいから! それより中に入ろうよ」
ぼくはあんまりおこづかいを使わないので、かなりたまっている。昨日スマホで、デートと検索したら、男子が払うと 好印象と書いてあったから、ぼくははらうと決めた。でも、 割り勘も人気みたいだった。
中に入ると、ぼく達以外だれもいなかったけど、二人で並んで座る。
そしてぼく達は、天井の星を見上げた。
プラネタリウムはどうやらあんまり人気がないみたいだ。哀名も退屈だろうか。不安になって哀名を見ると、優しい笑顔で星を見ていた。大丈夫そうで、ぼくは安心した。
「綺麗だね」
「ええ」
「あの中に、占いに出てくる星座もあるんだよね?」
「そうね。たとえばあれは、ルクバトといういて座の星」
「へぇ! そうなんだね」
哀名は〝はくしき〟だ。ぼくもやっぱり、哀名に負けないように、というよりは、哀名の横にいられるように、もっと勉強をした方がいいと思う。
二人きりだというのもあって、静かな小さな声だけど、ぼく達は、ずっと話をしていた。哀名と話していると楽しい。
そんな風にして、一時間プラネタリウムを楽しんだぼく達は、終わってからこのビルの一階にあるカフェに入った。昨日メッセージアプリで、お昼ご飯も一緒に食べようと約束していたからだ。そちらへ向かって歩きながら、ぼくは哀名を見た。
「プラネタリウム、楽しかった?」
ぼくは楽しかったけど、哀名がどうだったか気になる。
「うん。すごく楽しかった」
哀名がやわらかく笑ったので、ぼくはほっとした。
それからカフェに入ると、店員さんが、ぼく達を奥の席に案内してくれた。
二人でそれぞれメニューを見て、パスタを注文する。ぼくはたらこパスタ、哀名はキノコとベーコンとしそのパスタを頼んでいた。店員さんが運んできた水を飲んでいると、哀名が口を開いた。
「瑛くんといると、ほっとする」
ぼくはその言葉に、二つうれしくなった。はじめて名前でよんでもらえた。それに、ほっとしてもらえるのもうれしい。
「ぼくも、詩織といると、ホッと……は、しないかな。なんだろう、ただ、胸が温かくなるんだ」
ぼくも名前で呼んでみた。ただはずかしくなって下を見てしまう。
それからちらっと哀名を見ると、笑顔の哀名と目が合った。
とっても可愛い。思わずぼくも笑顔になる。哀名はぼくが名前を呼んでもいやじゃないみたいだ。ぼくは、もう少し勇気を出してみてもいいのかもしれない。
ご飯を食べてから、ぼくは店を出てすぐ、哀名に行った。
「手を繋いでもいい?」
すると哀名が、目を閉じて、満面の笑みを浮かべた。そして目を開くと、大きくうなずいた。
「うん」
こうしてぼく達は手を繋いで歩き、きさらぎ駅でそれぞれわかれた。哀名はそこまで家族が迎えに来てくれるそうだった。ぼくは、勇気を出して本当によかった。
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