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―― 第二章 ――
【010】残っていた、【神様モード】。
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あまりの眩しさに閉じていた瞼の向こうで、光が収束したのを感じてから、俺はおそるそる目を開けた。俺の黒髪を、頬を、風が撫でていく。正面には、羊の牧場があった。これは俺が最初にチュートリアルで見た風景と同じだった。
「此処は何処だ? 国名とか位置とか」
高橋の言葉に、俺は咄嗟に【神様モード】を起動しようとした。そして、【ログアウト】は前も無かったが、【シェア】と【PLAY】も消失していることに気づいた。だけど……
「……――あ」
俺は【神様モード】が残っていることに気づいた。それは【シェア】などが無いと気づいた時には、起動していたからだ。視線操作してみると、現在位置が右上に四角いマップとして表示され、その下に文字で地名が書かれている。
ここは【原初都市メア】のはずれにある【羊の牧場】と書かれている。
俺はその後、左下に視線を向けた。
すると【全体連絡】という表示が現れ【招集】などの文字が並んでいた。【個別連絡】などもある。これは俺が望んだチート能力だ。だが……【神様モード】は……? そこにある【ステータス】を見てみれば、俺の《神様》としてのステータスが表示された。つまりレベルが99999で、全ての能力が使える。たとえば高橋の治癒能力も、梓馬さんが望んだ力も、全てだ。
「……」
これ、もしかしてショタ神の消し忘れでは……?
多分そうだ。【神様モード】までパク……コピーしてしまったのだろう。本当に丸パ……一つも自分で考えなかったのだろうな。まぁ、神様も大変なんだろう。確認する余裕も無かったのだろうし。
「陽射?」
すると高橋が首を傾げ、兄と梓馬さんも俺を見ていた。
「あ、なんでもない。ここは【原初都市メア】みたいだ」
「ふぅん、来たことがあるから場所が分かるのか?」
「う、うん。チュートリアルで一回来た」
俺は【神様モード】が残っていることを言いそびれた。別に隠すつもりでは無かったのだが、単純に高橋の質問に答えた結果、タイミングを逃したのである。
「じゃ、とりあえず今日の宿を取ろうぜ」
梓馬さんが財布を手に取りながら言う。兄と高橋が頷いた。
三人が一本道を歩きはじめたので、俺も慌てて追いかける。
これが、俺達の異世界生活の幕開けとなった。
一本道が舗装された石畳に代わり、少しすると大きな道に出た。酒場が並んでいて、宿屋も多い。どこも〝冒険者〟が過ごす場として、自動生成されたものだ。
「どこかお勧めはあるか?」
梓馬さんに問いかけられたので、俺は【神様モード】で各宿の詳細を見る。
「そこの右角の宿が、朝食と夕食つきで、長期滞在ができるみたいです。それに、四人部屋も二人部屋も一人部屋もある。一階は冒険者ギルドの仲介もしていて、依頼書の張り出しもしてるみたいだ。暇つぶしには、依頼をするのもいいかも」
俺が述べると、三人が頷いた。
宿も無いが、そもそも俺達はまだ、やることも特にない。
その時、俺はポケットに、入れた覚えが無いのに何かが入っていることに気がついた。
「ん? ……あ!」
見るとそれは、身分証だった。冒険者証としても、通行札などにも仕える、万能な大陸共通の個人管理カードだった。俺がそれを取り出すと、他の三人もハッとしたように、皆がポケットからそれを取り出した。すると梓馬さんが口角を持ち上げてニッと笑った。
「あのショタもいいこともしてくれるな。これで俺達は不審者扱いは免れる」
「そうだな。身分証は重要だろう」
夕陽が静かに頷いた。ただ高橋が俺を見て、不思議そうな顔をした。
「個別の宿の内容まで覚えてるって、お前記憶力よかったんだな」
「その、っ……ええとな」
俺は【神様モード】が残っていることを告げようとした。だが、夕陽が笑顔で頷いた。
「ああ。陽射は、すごく記憶力がいいんだ。そこも自慢の弟なんだ」
夕陽のブラコンが発動した。夕陽の目には、俺が補正されて映っているらしい。
高橋が若干呆れたような顔で頷いている。
「よし、宿に入るぞ」
梓馬さんが歩き出した。俺達は石畳を進んでいく。
そして、目的の宿【宿屋・柊】に到着し、扉を開けた。
「此処は何処だ? 国名とか位置とか」
高橋の言葉に、俺は咄嗟に【神様モード】を起動しようとした。そして、【ログアウト】は前も無かったが、【シェア】と【PLAY】も消失していることに気づいた。だけど……
「……――あ」
俺は【神様モード】が残っていることに気づいた。それは【シェア】などが無いと気づいた時には、起動していたからだ。視線操作してみると、現在位置が右上に四角いマップとして表示され、その下に文字で地名が書かれている。
ここは【原初都市メア】のはずれにある【羊の牧場】と書かれている。
俺はその後、左下に視線を向けた。
すると【全体連絡】という表示が現れ【招集】などの文字が並んでいた。【個別連絡】などもある。これは俺が望んだチート能力だ。だが……【神様モード】は……? そこにある【ステータス】を見てみれば、俺の《神様》としてのステータスが表示された。つまりレベルが99999で、全ての能力が使える。たとえば高橋の治癒能力も、梓馬さんが望んだ力も、全てだ。
「……」
これ、もしかしてショタ神の消し忘れでは……?
多分そうだ。【神様モード】までパク……コピーしてしまったのだろう。本当に丸パ……一つも自分で考えなかったのだろうな。まぁ、神様も大変なんだろう。確認する余裕も無かったのだろうし。
「陽射?」
すると高橋が首を傾げ、兄と梓馬さんも俺を見ていた。
「あ、なんでもない。ここは【原初都市メア】みたいだ」
「ふぅん、来たことがあるから場所が分かるのか?」
「う、うん。チュートリアルで一回来た」
俺は【神様モード】が残っていることを言いそびれた。別に隠すつもりでは無かったのだが、単純に高橋の質問に答えた結果、タイミングを逃したのである。
「じゃ、とりあえず今日の宿を取ろうぜ」
梓馬さんが財布を手に取りながら言う。兄と高橋が頷いた。
三人が一本道を歩きはじめたので、俺も慌てて追いかける。
これが、俺達の異世界生活の幕開けとなった。
一本道が舗装された石畳に代わり、少しすると大きな道に出た。酒場が並んでいて、宿屋も多い。どこも〝冒険者〟が過ごす場として、自動生成されたものだ。
「どこかお勧めはあるか?」
梓馬さんに問いかけられたので、俺は【神様モード】で各宿の詳細を見る。
「そこの右角の宿が、朝食と夕食つきで、長期滞在ができるみたいです。それに、四人部屋も二人部屋も一人部屋もある。一階は冒険者ギルドの仲介もしていて、依頼書の張り出しもしてるみたいだ。暇つぶしには、依頼をするのもいいかも」
俺が述べると、三人が頷いた。
宿も無いが、そもそも俺達はまだ、やることも特にない。
その時、俺はポケットに、入れた覚えが無いのに何かが入っていることに気がついた。
「ん? ……あ!」
見るとそれは、身分証だった。冒険者証としても、通行札などにも仕える、万能な大陸共通の個人管理カードだった。俺がそれを取り出すと、他の三人もハッとしたように、皆がポケットからそれを取り出した。すると梓馬さんが口角を持ち上げてニッと笑った。
「あのショタもいいこともしてくれるな。これで俺達は不審者扱いは免れる」
「そうだな。身分証は重要だろう」
夕陽が静かに頷いた。ただ高橋が俺を見て、不思議そうな顔をした。
「個別の宿の内容まで覚えてるって、お前記憶力よかったんだな」
「その、っ……ええとな」
俺は【神様モード】が残っていることを告げようとした。だが、夕陽が笑顔で頷いた。
「ああ。陽射は、すごく記憶力がいいんだ。そこも自慢の弟なんだ」
夕陽のブラコンが発動した。夕陽の目には、俺が補正されて映っているらしい。
高橋が若干呆れたような顔で頷いている。
「よし、宿に入るぞ」
梓馬さんが歩き出した。俺達は石畳を進んでいく。
そして、目的の宿【宿屋・柊】に到着し、扉を開けた。
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