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【四】
しおりを挟むそしてその日はみんなで飲みに行った。
もちろん僕はいい子なので、きちんと連絡をしたし、SPもついてきた。
そこそこの広間の外で待っていてもらったけど。
懐かしい話に花を咲かせて、二軒目に行くことになった。
メンバーがこれなので、あとは時間帯もあって、予定もOKだったので、お許しが出たのである。そちらでは、それとなく男女別の部屋にした。もちろん、特に礼に聞かせたくない話だったからである。
「――あのさぁ、紺」
「ああ、礼の話か」
「僕と春香も気にしてたんだよねぇ」
頷いたアシェッドに、本当かよという感情を込めた視線を送ってしまった。
「何より体に悪いっていうのが第一だけどさ、他にも問題がある。あれでもね、一応ね、礼は女の子なんだよ? 僕は、一応もなにも男だし、この状況は、危険でしょう? 礼にとって」
「「……」」
僕の言葉に、紺とアシェッドが黙ったあと、顔を見合わせた。
それから二人は首を捻った。
「迷惑の間違いじゃないのか? 問題って」
「僕も、そこは問題じゃないと思うんだけど……問題なの?」
「……え?」
狼狽えた僕の前で、二人が同時に頬杖をついた。
左利きのアシェッドは左、右利きの紺は右だ。
「まぁ確かに礼は性別的には女だな」
「そうだねぇ。礼ちゃんは、非常に美人でもあるね。僕は春香が一番だけど」
「ああ。黙ってれば、礼は最高に美人だな。親戚の贔屓目かもしれないが」
「けど僕は、女性としてみたことは一度もなかったよ。てっきり柾仁もそうだと思ってた」
「俺もだ。正直な話、世話でブラック企業とやらのような勤務体制状態になっていて迷惑だという話だと思ってた」
「僕もだよ。絶対、三人でそれぞれ負担しようって提案だと思ってた。いないと困るから絶対礼ちゃんにはいてもらわないといけないけど、お世話が大変だから」
その後、複雑そうな顔で、また二人は顔を見合わせ、そして僕を見た。
「迷惑じゃないんなら、今後もよろしく頼む」
「うんうん。だってそれって、柾仁が、性欲我慢すればいいだけだし!」
「ちょっ、違うから! 僕はもしもの場合を言ってるだけだから!」
「もしもだと……?」
「僕だったら礼ちゃんは絶対ない。もしもなんてない。そんなことを考えさえしないよ」「アシェッドの意見に賛成だ。それに、礼の側からお前に迫るとは思えない」
「同感同感。柾仁が何もしなきゃ、何も起きないよ!」
「誓って僕も何もしないけどね」
「「……」」
「僕だって女の子としては見れないよ」
結局この話はそれで終わってしまった。
その後は雑談に花を咲かせ、二人の恋バナを聞いて過ごした。
幸せそうでなによりだ。
つまり、この日常が続くのか。
僕はため息をつきながら、翌日を迎えた。
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