魔王の求める白い冬

猫宮乾

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*** 過去:Ⅱ ***

【043】過去――魔王一週間目①

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 僕が魔王になってから、一週間が経過した。何とか宰相のワースに頼まれた仕事が終わったのは、その日の午後のことだった。僕と言うよりも、テキパキとロビンが片付けていってくれたので、何とかなったようなものである。

 それでもさすがに疲れた。
 僕は両腕を伸ばしてのびをしてから、ロビンを見る。

「少し外の空気が吸いたくなったよ」
「では外出の準備を致します」

 ロビンはすぐにそう言うと、僕を魔王城の外へと連れ出してくれた。
 暫く歩き、小高い丘の上に行く。
 そこからは、《ソドム》の街が、良く見渡せた。

 《ソドム》は、そんなに広い土地ではない。だからここから一望できるのだ。
 今日の空の色も、紫色。なんだかだんだん慣れてはきたのだが、たまには青空が見たい。

「ねぇロビン」
「なんでございましょう」
「この空は本当に、いつも紫色や緑色で、稲妻が光ったり、雹や強い雨が降ってきたりするの?」
「ええ。元々この地は魔力が強く、天候が魔力に左右され、常に異常気象であるため、人間達が避けていた土地だったと聞いております。その為、前々魔王様が、この土地に《ソドム》を築いたのだと学んでおります」

 だとすると、僕が最初に考えていた農耕の、第一の問題が天候だという事になる。

 今回視察をしていて思ったのだが、やはりみんなに足りないのは、やりがいだったり目標だったり、後は現実的な生活の支援だったりすると思ったのだ。

 それにしても、農耕をせずとも、こんな天気じゃ、そりゃぁみんな不安定になると思うのだ。それとも魔族は、この天気が好きなのだろうか?

「ロビンはさ、青空は嫌い?」
「青空、ですか……?」
「うん。夕焼けとか、星空とか、日の出とかも含めて。そう言えば此処って、太陽とか月とか星とかってあるの?」
「大変申し訳ございませんが、私は生まれてこの方、《ソドム》より外へと出たことがないのです。そのため、魔王様が仰ることを、勉強不足故に理解できません。どうぞ処罰を」
「処罰ってそんな、そんな事しないよ!」
「寛大なお心に感謝してもしつくせません」

 ロビンが深々と頭を下げた。

「ええとじゃあさ、昼と夜はある?」
「それはございます。昼は今のように空が紫色や緑色であり、夜は暗くなります」

 その言葉に、太陽や月はありそうだなと僕は思案した。
 僕は、静かに目を伏せた。


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