魔王の求める白い冬

猫宮乾

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―― 第四章 ――

【067】朝の空気

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 翌朝、僕はオニキスを起こさないようにしながら、教会の外へと出た。
 朝の空気は清々しくて、小鳥の囀りも気分を良くしてくれる。

「おはよ」

 すると唐突に声がかかったものだから、僕は驚いて振り返った。
 そこには至極珍しい事に、朝に弱いフランが立っていた。

「おはよう。今日は早いんだね」
「まぁな。昨日の夜中は、熱烈な告白が隣で行われていたわけだし?」
「そんなことがあったの?」

 僕が首を傾げると、何故なのかフランが眉を顰めた。

「お前、あのな、オニキスに告られてただろうが!」
「そうなの?」
「好きだ、側にいて欲しい、一緒に人生を歩いていこう、的な事を言われてただろう?」
「あれって告白だったの!?」

 僕は驚いた。告白なんてされた事がないので、告白だと気がつかなかったのだろう。

「しかもキスしてただろう!」
「ってきりオニキスはキス魔なのかと……」
「ありえねぇだろ。それで? どうなんだよ?」
「どうって、何が?」
「返事」
「返事って……告白に対する返事?」
「他に何があるんだよ」

 どうしたらいいのか、僕は正直言って分からない。

「……ええと、だけど、何に対して返事をすればいいの? 付き合おうとも何とも言われてないし」
「自分も好きだとか、色々あるだろう」
「嫌いじゃないけど――そもそもオニキスは本気で僕の事を好きなの? どうして?」
「知らん。ただし本気だとは思う。嫌いじゃないんなら、付き合っちゃえよ」
「それはちょっと……」

 僕も長い事この世界で生きてきたから、同性愛が案外普通にあるのだと言う事は分かる。魔族だけかと思っていたのだけれど。ただし、どうせならな、女の子と付き合いたい。第一付き合って恋人になってしまったら、尚更絶対にオニキスは僕を、本物の勇者だったときに殺してくれない気がする。そうしたらオニキスの死後、次の本物の勇者をまた長い間待たなければならなくなるのだろう。

「何か問題があるのか?」
「……ちょっと、暫く考えてみるよ」

 僕はそう言って、適当に誤魔化す事にした。

 ただ、瞬きをする度に、昨夜の真剣なオニキスの瞳が過ぎった気がしたのだけれど、気のせいだと思う事にしたのだった。


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