おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)

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第153話 魔獣討伐隊 ⑧

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 その日の夜、ダンジョンから戻って来た俺達パーティーは、無事に仮設基地へと辿り着いた。

そこには既に大勢の冒険者達が集っていて、酒盛りをしていた。

何かイイ事でもあったのかな? がっはっはと笑いながら酒を吞んでいる様だ。

なんていうか、雰囲気が良い。何かを成し遂げたみたいなノリだ。

ボム爺さんが漏らす。

「なんじゃ、皆やってるじゃないか。儂もあやかりたいもんじゃわい。」

「その前に報告ですよ、ボム爺さん。」

ガーネットも続く。

「あーお腹空いた、早くご飯が食べたいわね。」

「わしは筋肉を追い込んだからプロテインを所望するぞい。」

ふむ、それにしては皆笑顔で酒盛りをしている。ちょっと聞いてみるか。

俺は近くにいる冒険者の一人に声を掛けた。

「あのう、何があったんですか?」

すると、返事をしたのはその冒険者だけでなく、周りにいる他の人達も答えた。

「おお! ご苦労さん。あんた等も参加したのかい? まあ、魔獣のキメラは俺達第一陣が討伐したがな。がっはっは。」

「報酬もがっぽり貰ったぜ、あんた等も報告しに行ってきなよ。」

「まあ、今まで何してたのかは知らねえけどよ、がっはっはっは。」

なんと、もう魔獣は討伐された後だったか、やはりキメラが出て来ていたんだな。

なるほど、それで酒盛りか。報酬も貰ったって言っていたし、俺達もスタッフに報告しに行こう。

出遅れた結果、俺達一党はキメラ戦に参加出来なかったが、それでもダンジョンで相応の相手と戦ってきた。

報酬も期待できそうだ。よーし、早速報告だ。

 仮設テントに居るスタッフの所まで出向き、幕を潜りテント内へ入る。

スタッフの何人かは酒を呑んでいたが、俺達に対応してくれた。

「おや? こんな時間までご苦労様です。魔獣は討伐されましたよ、貴方方は今までどちらに?」

スタッフの一人が尋ねてきたので、こちらも報告がてら今までの事を話した。

「報告します、俺達パーティーは山頂付近にある洞窟へ入り、そこでウサギの討伐に成功。その後、混沌の王カオスの眷属との交戦に入り、これを撃破。カオス復活を阻止しました。」

俺の報告を聞き、スタッフの一人は顔をキョトンとしていた。

「洞窟? この山にですか? はて、おかしいな、洞窟なんてあったかな?」

「え? ありましたよ、洞窟。なあガーネット。」

俺が皆の方を向くと、皆うんうんと頷いていた。うむ、間違いないよな。

「変ですねえ、この山には洞窟なんて無かったと思いますが、本当にあったのですか?」

「は、はい。」

え? あれ? なんか疑われている? ちゃんとダンジョンアタックしたよ。

「ちょっとギルドカードを見せて下さい。」

言われるままに、カードを見せる。スタッフはカードを凝視し、そして溜息をついてこう言った。

「………確かに、ウサギの討伐履歴は確認しました。まあ、ウサギ相手になにやってんだかって思いますが、しかし、カオスの眷属を討伐というのが解りません。確かにウォーロックの討伐履歴はありますが、それがカオスの眷属であるという確証はない訳ですので、残念ですが、報酬は微々たるモノになりますよ。」

そ、そんな、なんで? 確かにウォーロックを倒した筈だ。俺じゃなくアドンだが。

「しかし、俺達は確かにウォーロックを倒しましたよ。カオス復活も未然に防いだ訳ですし。」

「うーん、そのウォーロックをどうやって倒したのですか?」

スタッフはこちらに対して疑いの目を向けて来ている、なんか雲行きが怪しくなってきたな。

「え~とですね、こちらに居るアドンが、筋肉をアピールして、カウントダウンをかまして、その後爆発してウォーロックを倒しました。」

「筋肉をアピール? カウントダウン? 爆発? うーん、まったく要領を得ませんな。」

た、確かに、自分でも何言ってんのか訳が解らないが、事実だから仕方ない。

「一応、これが報告になります。自分でも怪しいのは解っていますが、これが事実です。」

俺の報告を聞き、スタッフの人は困ったような表情をして、しかし、一応魔獣討伐隊に志願した実績を汲んだのか、一人銅貨2枚の報酬を手渡した。

「お疲れ様です、これが報酬です。どうぞ。」

ふーむ、銅貨2枚か。まあ、信じられない事ばかりの報告で、しかしこうして報酬を支払ってくれるのだから、有難く受け取るしかないよな。

「ありがとうございます、それでは俺達はこれで失礼致します。」

「ああ、待ってください、混沌の王カオスの眷属を討伐したという話は、一応伯爵様へ報告しておきますので、貴方の名前をお聞かせ下さい。」

「あはい、俺はジャズと申します。」

「ジャズさんですね、確かに報告しておきます。今日はお疲れ様でした。」

報酬を受け取り、俺達はテントを出た。

何だか煮え切らない思いだが、まあ、仕方が無い。サスライガー伯爵には報告してくれるらしいし。

 さて、報告が終わったのなら、あとは酒盛りに参加だ。腹も減った。飯を食いたい。

「皆、今日はお疲れ様でした。よくやってくれたと思います、カオス復活も未然に防げたし、ゆっくり休んで下さい。臨時のパーティーでしたが、このパーティーに入って良かったと思いました。またいつかどこかで会いましょう。では、解散。」

「お疲れー。」

「うむ、早く酒に在りつきたいもんじゃわい。」

「うおおおおお! 筋肉が躍動しておるぞい。」

ボム爺さんは早速酒盛りをしている場所へ繰り出し、豪快に吞みはじめた。

俺とガーネットは焼肉を振舞っているところへと行き、お腹一杯肉料理に舌鼓を打つ。

アドンは自前のプロテインを飲み、その後、周りにいる冒険者たちに筋肉をアピールしはじめた。

酒が入っているせいか、冒険者たちはアドンのノリに付き合っているみたいだ。

「キレてる! キレてるよ!」

「仕上がってるよ!」

「ナイスバルク!」

「「「 ナイスバルク! 」」」

よし、俺も一声かけるか。

「肩にちっちゃい重機乗せてんのかい!」

なんか知らんが、皆盛り上がっているようだ。アドンはご満悦だ。

「むうううううんん。」

筋肉をアピールし、ポージングを決めている。よくやるなあアドンは。

 俺達は今日一日の疲れを癒し、眠りに就いた。流石に眠かったので、直ぐに睡眠できた。

そして、何事も無く無事にクラッチの町へ帰還したのだった。

休暇はまだまだある、コジマ司令に感謝だな。さてと、これからはゆっくりのんびり過ごそう。


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