軍用義体を取り上げられてセクサロイドに脳殻移植されたTS重サイボーグ傭兵(元40代おっさん)が少年の性癖をバキバキに折る話 代表作

ぱふぇ

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ACT 4:MERCENARY

[15] 高級娼婦に変装したムコがクラブに潜入し、警備員の「ボディチェック」を受けることになる。[娼婦扱い/凌辱未遂]

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 ホログラムの蝶がクラブ・クリサリスの壁面を這って、翅を広げた。
 スローモーションで舞い上がって、ビルの上空で粒子に分解されて消える。また新しいのが壁から羽化して、同じように昇っていく。
 クリサリスから蝶へ。それが店の意匠らしい。

 夜の9時。クラブの盛り上がりはピークタイムへ向かって加速してる最中だ。
 メインエントランスには人の流れが途切れない。大通りに面した正面玄関から、上層地区の典型的な客層が次々吸い込まれていく。金を持て余してて、それを見せびらかしたくて仕方ない連中。

 こいつらの誰も知らない。この建物のペントハウスで、とある男の死のカウントダウンが始まろうとしてることを。

 俺はバシリスクから借りたセダンのハンドルを握って、その5階建てビルを20メートルほど離れたところから見上げてた。エントランスは見えるけど、人通りからは外れた位置だ。

「上じゃこれから修羅場だってのに、下は平和なもんだな」

 呟いても、助手席からは返事がない。チラリと横目で見た。
 ムコがサイドミラーを凝視してた。映ってる自分の顔を、やけに真剣な表情で観察してる。
 指が唇に触れて、その形をなぞる。血みたいに濃い深紅が指先に移った。

「どした? あんま触んなよ、取れるだろ」
「触れたものすべてに転写される」
「……そういうもんだろ? 口紅だぞ」

 今夜、ムコは化粧をしてた。……正確には、俺がした。アダーの「ケアパッケージ」の中身を使って見よう見まねで試行錯誤した結果だ。
 唇は深紅のリップで、目元にはキャットアイライン。濃すぎない程度に抑えた。クグツメフェイスをぼかすための最低限だ。

 ムコは指先の色を、何か興味深いものを見るようにじっと見つめてる。
 一方俺はその間、ムコを直視しないよう努力してた。
 だって顔から下がさぁ……。

 ケアパッケージから引っ張り出した衣装で、ムコは娼婦という概念の最終進化形みたいになっていた。
 白いロングファーのコートを肩に引っかけて、下に何を着てるのか――いや、ほぼ何も着てないのが――チラチラ見える。
 肩紐なしストラップレスの、極限まで短いボディコンドレス。テカテカのラテックス生地があのKカップをミチミチに真空パックしてる。
 そして脚。助手席のシートにぶっとく広がった白い太ももは、少なくとも俺の2倍の太さはある。

 ムコが外の様子を確認しようと身を乗り出した。
 ――ゆさっ♡
 デカ乳が重たげに揺れる。

「……」

 ボディコンの胸んとこ、上乳の半球が丸出しだ。ラテックスの張力でなんとか押し上げられてるが、構造的な補強はない。5.6キロの重量に屈して、かなり生のおっぱいに近い状態で下方向にたわんでる。

 ……無理やり視線をフロントガラスに戻した。
 咳払いして気を取り直す。

「……おし、出る前に追加装備の最終チェックだ。まずボイスモジュール。代替音声に切り替えて、なんか喋ってみろ」

 ムコが一瞬黙った。 
 それから喋って、それはもうムコの声じゃなかった。

「――テスト。これでどうだ」

 出てきたのは、女の声だ。煙草とセックスの匂いがしそうなハスキーボイス。耳元で囁かれたら絶対やばいやつ。

 俺が昨日ボイスモジュールを調整して、ムコは本来の声と女声を状況に応じてトグルできるようになった。
 オリジナルのクグツメ人工声帯はフルレンジの女性音域を出力できる仕様だが、ムコはずっとそれを迂回して自分の声を使ってた。セクサロイドボディに移植された時、脳殻で保持されてた元の声紋パターンがシステムのデフォルトを上書きしちまったんだろう。

「変調機能は正常に動作してる。不快ではあるが」

 あのセクシーな女声が続いた。声はエロいけど、喋り方はいつものムコそのままだ。

「不快ってどういう感じ?」
「異物感がある。内部感覚と、実際に出てくる声との間に乖離を感じる」

 セクサロイドボディにぶち込まれて何ヶ月も文句ひとつ言わずに過ごしてたムコが、声を変えることには抵抗があるらしい。
 分からなくもない。声は数少ないムコの「オリジナル」だ。他の全ては奪われて、改変されたが、声だけはこのボディへの強制移植を生き延びた。
 それを一時的にでも手放せってのは……まあ、嫌なのかもな。

「違和感あんのは分かるけど、その声マジで説得力あるから。数時間だけ我慢してくれ。終わったらすぐ戻せるし」

 あの艶やかな唇からドスの効いた男声が出てきたら、一発でカバーが吹っ飛んじまうからな。

「それで、どうだ?」

 ムコが無表情で聞いてくる。高い音程で、滑らかで。女の声だ。

「ん?」
「変装は。成立してるのか」

 車に乗ってから初めて、ちゃんとムコを見た。通りすがりの人間の目にどう映るか確認するつもりで。
 ファーコート。ボディコンドレス。ピンヒール。メイク。そして今の女声。
 絶対的に、疑いの余地なく、ありとあらゆる角度から――女だ。

 今まで俺はなんとか精神的な壁を維持できてた。どう見えようとムコは男。あの低い男声が、ボディの中に実際何が入ってるかを常に思い出させてくれてた。
 でも今、声まで体と同じくらいエロくて、そのペラッペラの言い訳が猛スピードで崩壊してる。クソッ……。
 首筋を這い上がる熱を感じて、目を逸らした。

「……あー。ああ、いい線いってるんじゃねーの……」

 言葉がぎこちなく出てくる。

「つまり、そのまんまだよ。コーポの重役が一晩で大金吹っ飛ばすような高級コールガールだ。お前がこの辺で何してるか疑問に思う奴はいねえよ」

 ムコは「よかった」とだけ言って、素直に受け入れる。
 今の自分が商売女にしか見えないってことは特に気にしてなさそうだ。相変わらずだな、こいつは。

「……じゃ次、視聴覚A/Vリンク起動するぞ。準備いいか?」
「続けろ」

 内部コマンドを実行すると、俺の視界がフッと切り替わった。さっきまでと微妙に違う角度から見た車内内装。
 ファーの襟に縁取られて、運転席に座ってる俺自身の姿が見える。ムコの視点だ。映像はクリアで、遅延は完全にゼロ。ムコの光学系オプティクスからの入力が、そのまま俺の拡張視覚HUDサブレイヤーにミラーリングされてる。

 限られた準備時間で突貫で組み上げたもう一つの改造、やっつけの感覚共有システムだ。
 ムコが現場にいて俺が待機してるしてる状況でも、あいつが見て聞いてる全てをリアルタイムで共有できる。有効範囲は限定的で、300メートル超えたあたりから信号が劣化し始めるが、今回の作戦には十分だ。
 仕組みは大したもんじゃない、ムコのクグツメボディにはもともと内蔵ブロードキャスト機能が搭載されてる。オーナーがセクサロイドのPOV映像を録画できるように設計されたもんだ。俺はそれを作り変えて、暗号化リンク経由で俺自身の光学インプラントにルーティングした。音声チャンネルも同じ要領。

「「うぇ、クソ……」」

 自分の呻き声が二重に聞こえた。
 空気を伝って届くのと、ムコのフィード経由で返ってくるのと。

「「どうした」」
「「なんでもない、受信はちゃんとできてる。ただ……やっぱこれ酔うわ」」

 実際の体の位置とズレた視覚情報を処理しようとして、俺の三半規管が悲鳴を上げてる。軽い吐き気が上ってくる。
 ハンドルを握りしめて、呼吸に集中した。

「「……クソ、気持ち悪り……」」
「「切断するか?」」
「「いや……このままでいい。お前が見てるもん見えてないと、サポートできねえし。ちょっと……時間くれ」」
「「義体酔いボディシックネスのようなものだろうな。感覚入力の不一致に対する一般的な生理反応だ。すぐに順応する」」
「「お前はいいよな。軍用グレードのスタビライザー積んでんだから……」」

 何度か強く瞬きして、脳に調整させる。
 ムコの目を通して、俺が自分のこめかみを揉んでるのが見えた。

「「必要な時以外は最小化しておけ」」
「「……ああ、わかってる」」

 ムコのフィードをサムネイルサイズに最小化して、周辺視野に追いやった。吐き気がなんとか我慢できるレベルまで引いた。必要な時に拡大すれば、胃の中をぶちまけずにあいつの視界を把握できるはずだ。

「……大丈夫だ。やろうぜ」
「了解」
「通信はずっと開けとく。フィード越しに見てるから、マズいことになったらできる限りバックアップする。あと……ムコ」

 ドアハンドルに手をかけたムコが、動きを止めて俺を見た。

「……無茶すんなよ」

 口に出した瞬間、自分でもバカみたいに聞こえた。ヒシガミスペックの戦闘サイボーグ6人を素手で屠った奴に、何を今更心配してるんだ俺は。
 それでもムコは、わずかに顎を引いて頷いた。
 ドアを開けて、夜の中に出ていった。

 コツ、コツ、コツ……
 ピンヒールの音が規則正しく路地に響いて、だんだん遠ざかる。角を曲がって、クラブの裏口方向へ。俺の視界からは消えた。
 ここからは全面的にムコのフィード頼りだ。
 視覚レイヤーをサブに切り替える。

 いよいよ本番だ。



 ムコの目を通して、クラブ・クリサリスがヒールの音ごとに迫ってくるのを見守った。
 目指すのは裏手の従業員入口。メインエントランスの派手なホログラム演出とは正反対の、ビルの側面にひっそり口を開けてる地味な鉄扉だ。

 その両脇に2人の男が立ってた。
 広い肩幅、太い首、パンパンに膨れたスーツの下に詰め込まれた筋肉と安っぽい拡張サイバネ。ストリートのチンピラ上がりを適当に雇ったって感じだ。
 ムコの高精度光学系オプティクスが遠目から細部を拾い上げる。片方は柄物のシャツの袖を肘までまくって、クロームの前腕をこれみよがしに晒してる。もう片方は首筋から顎まで這い上がるタトゥー。

 バシリスクから貰った事前情報だと、こいつらは常駐組。クラブの直雇用で、ハウザーが個人的に囲い込んでる手下じゃない。上で何が起きてるかの込み入った事情は知らないだろう。せいぜいボスが最近「取り込み中」でピリピリしてるってことくらいしか。
 こいつらにとっちゃ今夜はただのシフト勤務。いつもの退屈な夜勤。
 俺らにとっては――これが最初の関門だ。

 ムコが近づくと、2人が反応した。姿勢を正す。
 クローム腕の方が半歩前に出て、制止の手を突き出した。

「おい、ここは関係者専用だぞ。一般客は表のエントランスに回んな」

 心臓がドクンと跳ねた。
 ……来たぞ……。

 ムコの身を案じてるわけじゃない。こんな雑魚2人、あいつなら目隠しされて両手を後ろで縛られてても余裕で片付けられる。
 俺が心配してんのは全く別のことだ。
 ……あいつ、ちゃんと芝居できんのか? ってこと。

 だって普段のムコって、感情ゼロの平坦な声音にぶっきらぼうな断定口調、プロのポーカープレイヤーが嫉妬するような能面が標準設定だ。アダーとの交渉であんな芸当ができたのは、セクサロイドOSが表に出てきて主導権握ったからであって。今回は完全にムコ単独飛行。
 この作戦の成否は、このアホ2人にカバーストーリーを信じ込ませられるかどうかにかかってる。ムコはボスの個人的なお楽しみ用に派遣された高級エスコート嬢だ。男の意識が宿った戦闘改造セクサロイドじゃなくてな。
 頼むぞ、ムコ……。
 
「通してくれ。上に呼ばれてる」

 ムコの声が、あの偽の女声で出てきた。
 少なくともピッチは女性的。
 ……でも口調はいつも通りだ。平坦、抑揚ゼロ、女らしさのカケラもない。
 ああクソ、こんなんで通用すんのか……!?

「誰に呼ばれたって?」
「お前たちの雇い主に。プライベートな用件でな」
「ああ? アポがあるなんて聞いてねえぞ」
「当然だ」

 ムコの声が半音下がって、秘密を共有するような響きになった。

「『プライベート』っていうのはそういう意味だ。あの立場の男が、女を呼んだなんて触れ回るわけにはいかないだろう。わかるな?」

 ……お? おお、意外といけてんじゃん。
 声はどうしようもないけど、言い回しはちゃんと含みを持たせてる。
 もしかしてムコ、俺が思ってたよりアドリブできんのか? それともセクサロイドOSが完全にアクティブじゃなくても、表層に滲み出てきてるのか。

 そして、ムコの手がさりげなくファーコートの留め具に動いた。
 コートが数センチ開いて、ボディコンドレスに詰め込まれたデカパイの、濃密なI字の谷間をチラ見せ。
 視覚フィード越しに、警備員2人の視線が揃って下ってくのが見えた。あの爆乳が眼球掴んで引きずり下ろしたみたいに。
 互いに顔を見合わせて目で無言の会話。「おいアレ見ろよ」「見てるに決まってんだろ」「あれ追い返すのか?」「……」

 ……そうだ、あんま深く考えんな。おっぱい見とけ。

 ネックタトゥーの方が喉を鳴らして、なけなしのプロ意識を取り戻そうとしてる。

「あー、その……VIPフロアは今封鎖中だ。もし本当に約束があるってんなら、正面のフロントを通してくれ」
「そんなはずはない。既に前金は受け取ってる」

 ムコの女声が淀みなく返す。

「行き違いがあったら困るのはお互い様だろう」
「……ボスが最近、上に上げる人間にすげえ神経質になっててな。許可なしで誰も通すなって厳命されてんだよ」

 ムコがわずかに首を傾げた。

がセキュリティ上の脅威に見えるか?」

 警備員たちが言葉に詰まる。そりゃそうだろう。目の前にいるのは武器を隠せる場所なんてほとんどない、ほぼ裸の女だ。

「……名前は? 上に確認するから、そこで待ってろ」
「それは賢明ではないと思うが」

 ムコの女声が棘を持った。

「ボスに電話して、他の誰かがいるかもしれない前で、はいそうです確かに今夜女を呼びましたって説明させるつもりか? ……ご自由に。きっと大層喜ばれるだろうな」

 含みたっぷりの言い方。遠回しだが、確実に脅しだ。
 ホロコールをかけようとしてた警備員が動きを止める。

「……クソ、どうする?」
「知らねえよ。もしハウザーがマジで女呼んでて、俺らが追い返したってことになったら……」

 2人がぼそぼそと顔を突き合わせてる。

「職務を全うしようとしてるのは理解する」

 ムコが続けた。

「でもクライアントは待たされるのを嫌う。私は時間枠で雇われてる身だ。お前たちがここで私を立たせてる時間が長くなればなるほど、上でクライアントと過ごせる時間は減っていく。そしてお前たちのボスが、プレミアムレートの予約時間が大幅に短縮されたのは、門番が質問ゲームをしたがったせいだと知ったら……」

 そこで言葉を切った。

 ……いいじゃん、効果的だ。
 ムコは色っぽく見せようとも媚びようともしてない――そもそもそんなの無理だし。代わりに、小物に構ってる暇はないっていう、高級娼婦特有の高飛車で冷たい感じを醸し出してる。

「だからこうするのはどうだ? ――お前たちの気が済むまで、ボディチェックしてもらって構わない」

 警備員2人の動きがピタッと止まった。

「……ボディチェック」
「そうだ。やりたければどうぞ。まだ時間には余裕がある」

 ムコのトーンは完全にニュートラル。

「隠し持っているものは何もない。調べたい箇所はどこでも、徹底的に。そうすれば後でボスに何か言われても、ちゃんと手続きに従ったと報告できるだろう」

 両腕をゆっくりと広げると、ファーコートが舞台の幕のように左右に開く。Kカップを御開帳。
 男たちの喉仏が、目に見えてゴクリと上下した。

 俺はセダンの座席で思わず前のめりになった。ここが分岐点だ。
 ムコは今、あいつらが欲しいもの(ドエロい女に触れる大義名分)を、あいつらが必要なもの(通す理由)で綺麗にラッピングして差し出した。
 食いつくか、それとも――

 ネックタトゥーが相棒に寄って、ムコのセンサーでも拾えないくらい小声で何か囁いた。クローム腕がゆっくり頷く。視線はムコの谷間に釘付けのまま。
 ドアに向かって顎をしゃくった。

「ついてこい」

 音声リンク経由で、電子ロックが解除される音が響いた。

 ……嘘だろ。通った。
 ムコの喋り方なんて棒読みもいいとこで、男の言葉遣いが滲み出てて、表情も死んでる。
 そんなことは何の問題にもならなかった。あのKカップ爆乳が全てをジャミングしてくれた。
 マジで……なんつー仕事っぷりだよおっぱい。



 警備員2人がムコを中へ引き込んだ。
 表の華やかさが嘘みたいに殺風景なバックヤード通路が伸びてる。
 クローム腕がムコの背中の、必要以上に低い位置に手を置いて、軽く押す。ムコは従順に歩く。ヒールの音がコツ、コツ、と冷たい床に響いた。

 俺は暗号化チャンネルで低く囁いた。

『ムコ、今んとこ順調だ。でもまだ動くなよ。あいつらが完全に油断するまで引っ張りたい』

 返事はなかった。でもフィードが傾いて、ムコの顎がほんのわずかに下がったのがわかった。了解のサインだ。

 数メートル先の警備詰所に連れ込まれる。
 雑然とした部屋だった。折りたたみテーブルには半分齧られたサンドイッチとエロ雑誌が散乱してて、隅には武器ロッカー。壁一面を埋め尽くすセキュリティモニターが、クラブ中の監視カメラ映像を垂れ流してる。

 ドアが重い音を立てて閉まり、続いてロックがカチリと掛かった。
 狭い密室に女1人、男2人。
 警備員どもの態度が一気に攻撃的に変わる。

「コート脱げ」

 クローム腕が命令口調で言い放った。
 ムコの手が肩に行って、大人しくファーを落とす。白い合成毛の塊が足元に溜まる。

 2人の男が完全に静止した。

 コートの下から現れボディコンドレスは、男をバカにしてるとしか言いようがない代物だ。
 Kカップの爆乳をストラップレスで支えてる。裾の短さはパンチラせずに歩くのにスキルが要るレベル。爆乳とバランスを取るためのカウンターウェイトみたいなデカ尻をギリ隠して、そこから先はムチムチの太ももが剥き出しで長々と伸びてる。
 全部が全部、「この女、金払えばヤれます」ってアピール。

 ムコが両腕を上げて、指を頭の後ろで組んだ。ボディチェックの定番ポーズだ。
 そのポーズがシルエットにとんでもなく卑猥なことをする。胸が持ち上がってさらに強調されて、ドレスの裾がズリ上がり、見せちゃいけない領域がチラついた。

「……ッ、なんて体してやがんだこのアマ……」
「ハウザーの野郎、今夜はいい思いできんな。羨ましいったらねえぜ」

 もはやプロっぽく振る舞う気もないらしい。
 クロームの腕が後ろから伸びてきて、ムコの腰に触れた。いやらしい手つきでゆっくり下へ滑っていく。くびれを撫でて、ドレスが終わって生の太ももが始まるところまで。
 ……ご立派なセキュリティチェックですこと、このクソ野郎。

 ネックタトゥーの方も前から近づいてきた。手を伸ばしながらニヤついてる。
 アホ面晒しやがって。俺もムコに触る時、こんな風に見えてんのか? だとしたら超ヤなんだけど……。

「しっかりチェックしねえとな。このメロン2個の他に何か仕込んでねえか……」

 そいつの手がムコの胸を鷲掴みにした。
 がっつり揉んだ。指の間から肉がはみ出る勢いで揉みしだかれる。もはや職務の体裁すらない。揉んで、こねて、本物と区別がつかない人工乳に指を食い込ませて、存分に堪能してる。

 俺は通信で何か言いたい衝動を噛み殺した。クソ野郎ども、明らかに調子に乗ってる。でもこんな序盤で死体を量産するわけにはいかない。

「くっそ、バカみてーな乳しやがって……。見ろよこの谷間、深すぎだろ……ッ、拳銃でも隠せるぞこん中」
「……なら、目視で確認した方がいいんじゃねえか?」

 ネックタトゥーの目がムコの肩越しに相棒と交わって、何か無言のやり取りがあった。下卑た笑みが広がる。
 奴の手がドレスの胸元に指をかけて、躊躇なく一気に引き下ろした。

 110センチKカップが――ばるんッ♡♡♡ 
 と、効果音がついてもおかしくない勢いで溢れ出る。
 何度かバウンドしてから落ち着いて、ピンクの乳首が狭い警備室の空間に突き出された。

 2人の男が一瞬黙り込んだ。
 それから、室内の空気が明確に変わった。

 クローム腕の手が乱暴に両肩を掴んで、ムコを壁に向けた。力任せに押し付ける。

「壁に両手ついて、脚開け」
「……、それは必要なのか?」

 ムコが静かに言う。

「手ぇつけって言ってんだよ、さっさとしろッ」

 男の声が欲望で濁った。

「上客を待たせたくねえんだろ? じゃあさっさとこれ終わらせて上行った方が、お互いのためじゃねえのか? ああ?」

 ムコの視点を通して、女の華奢な手が冷たいコンクリート壁に平らに押し付けられるのを見た。背中が反って、尻が突き出て、巨大な乳が重力に引かれて下向きに垂れ下がる。

 後ろでカチャカチャと、ベルトが外される紛れもない音が聞こえた。

「……なあ、ゴムあるか?」
「いるか? バレねえだろ、外に出せば」

 待て、と自分に言い聞かせた。
 ムコを信じろ。タイミングを見計らってる。

「上に行く前に……ちょっと温めてやっても構わねえよな? ボスのために穴を準備するってことで。むしろサービスってもんだ」
「当然だろ。俺たちはリスク背負ってこんな追加のセキュリティ業務をやってやってんだ、ちょっとくらい役得があってもバチは当たらねえ」
「心配すんなって、すぐ終わっから。それからハウザーが金払ってる変態プレイでも何でも好きにやってこい」

 下品な笑い声が狭い部屋に響く。ジッ、とジッパーが下ろされる音。

『……ムコ。そろそろいいんじゃねえか?』

 フィード越しに、ムコの手が壁から離れるのが見えた。
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