ドエル(宿ししもの達)

( ᵕ̩̩ㅅᵕ̩̩ )白夜

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2話

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体操着に着替えグランドへ行くと、うるさいヤツが待っていた。

「遅かったね!」

「まあ、ゆったりしてたから」

「私楽しみで、早く来ちゃった!」

話を遮るように先生が話を始める。

「全員揃ったな。では出席番号順で50m走からやるぞー」

そう言って、1列に並ばされる。

「鬼神は自信あるの?」

「普通じゃない」

「私は、あんまり自信ないなー」

聞いてねえよ。
てかいつまで絡んでくるんだよ。

「おーい酒呑早くしろ~」

絡まれている間に俺の番が回ってきていたらしく、怒られる。
踏んだり蹴ったりだ。

「すいません」

「じゃあ行くぞー」

「モード牛鬼」

「位置についてよーいドン」

号令に合わせて、俺は足に力を溜める。
そして、同時に力を放出する。

「2.3秒流石推薦なだけあるな」

クラスがざわついているのが分かる。

「まあこんなもんか」

「次、鈴原行くぞー」

俺の次だとあんなやつでも少し可哀想だな。

「よーいドン」

「えーい!」

その瞬間俺の横を暴風が過ぎ去った。

「4.3秒鈴原もなかなかやるな」

「負けちゃったか~」

ただのパッパラパーだと思ってたが、そうじゃないらしい。
心の中で少しだけ鈴原を見直す。

「本気出したのに、鬼神に負けちゃった」

「鈴原、速いな」

「なにそれ嫌味?私だってやる時はやるんだよ?」

俺の認識がズレていたのか?
こいつは絶対に、味方にしておくべき存在だとここで俺は確信した。

「いやそういう事じゃなくて、想像よりも速かったからさ」

「私ラファエルだよ?弱いわけないじゃん」

確かにそう言われればそうだが、あまり戦いのイメージは無かった。
固定観念に囚われすぎたか。

「確かにそうだな、悪かった」

「別に責めてるわけじゃないよ!ほら、次の種目行こ!」

その後、ボール投げや幅跳びなど様々な種目をさせられた訳だが。

「1位は酒呑2位は鈴原3位はあまのか。このクラスはさすがに優秀だな」

天とか言うやつのドエルイマイチ分からなかったけど、なかなかやるみたいだな。
声掛けといた方がいいな。

「今日は、体力測定で授業は終了だ。構内を見て回ったり、部活の見学をしたり自由にしてくれ」

そう先生が言い、その場で解散になった。

「おい、天お前すごいな」

「あら、あなたには及ばなかったけどね」

やっぱり俺が言うと嫌味ったらしく聞こえるよな。

「天さんは、お嬢様なんだよね!」

後ろから鈴原が身を乗り出して来る。
こいつ着いてきてたのかよ。

「そんな事ないわ、少し家が裕福なだけ」

俺と真逆みたいな性格してやがる。
上手くやってけるのか?
でもこれだけの身体能力なら相当なドエルの持ち主だろう。

「これから、同じクラス同士仲良くしようぜ」

「あまり周りと馴れ合う気は無いわ、ごきげんよう」

そう言って、あとを去っていく天。
なんだあの腹立つお嬢様は。
声掛けて損したぜ。

「嫌われちゃったね」

「まだわかんないだろ」

なに、クラスは一緒なんだ。
チャンスならいくらでもある。
今はこれくらいの距離感でいいだろう。

「ねーねー、鬼神は部活入るの?」

「いや、決めてないけど」

「じゃあ一緒に部活作らない?!」

急だな。
こいつはいつも急だ。

「何部だよ」

「決めてないけど、そのうち決める!」

なんで適当なやつだ。
利用価値が無くなった瞬間に絶対に切り捨ててやる。

「じゃあ、決まったらまた教えてくれよ」

「OK!じゃあまた明日ねー」

そう言って駆けてく鈴原。
絵に書いたようなお天馬だ。
天使だからってか?
まあ初日にすれば、なかなか情報は得れたか。

「俺も帰るとするかな」

そう言って帰路に着く。
来た通り電車に揺られ、誰も居ない家にただいまと告げそのままベッドに潜り込んだ。
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