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第十章
戦乙女の協力2
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「俺は今B級覚醒者なんです」
「はぁ!?」
圭は覚醒者証を財布の中から取り出して赤城の前に置いた。
「B級……確かに……」
覚醒者証には現在の覚醒者等級が載っている。
圭が出した覚醒者証には確かにB級と記載があった。
覚醒者証は公的な機関が発行する身分証であり偽造は難しく、偽造することも重罪である。
圭が堂々と偽の覚醒者証を提示しているのだとしたら相当肝の据わった人だと言っていい。
「一応確認させてもらっても大丈夫かな?」
「もちろんです」
真っ当な人なら覚醒者証の偽造なんてしないだろう。
特にランクを上げて偽物を作るとバレやすいし、実力も伴わないのにゲートやモンスターに挑戦すれば簡単な死んでしまう。
本物の可能性がほとんどだろうと思いつつ覚醒者協会のネットワーク上に公開されている圭の登録情報を調べてみることにする。
遠藤がパソコンを操作して覚醒者協会のデータにアクセスする。
「ええと……確かにB級で登録されていますね」
当然ちゃんと検査を受けて覚醒者証をもらったのでB級として登録されている。
新規登録ではなくこっそりと修正登録されてB級になっているので圭がB級になったことを知っている人はあまりいないのである。
「だが……少し前まで……」
「再覚醒したんです。ギルドのみんな丸ごと」
「へぇ!? そんなことあり得るのか?」
才能値が高くて低レベルから始まった覚醒者はレベルアップによって強くなることができる。
そのことはまだまだ秘密のことである。
才能値や現段階のレベルは圭の真実の目でしか見抜くことはできないので強くなれる覚醒者かどうかは圭の存在なくして判別することはできない。
覚醒者が強くなれるということは知られれば大きな注目を浴びることだろう。
さらにそれを見抜くことができる圭も嫌でも注目を浴びることになってしまう。
B級覚醒者ともなれば己の身を守ることもできるだろうが不要な騒ぎは望まない。
圭から話を聞いた覚醒者協会としても検証や調査の時間が欲しいということで覚醒者が強くなれることはまだ非公開の話であった。
だから圭がB級になったことは言ってもどうやってB級になったのか説明するのは難しい。
だから再覚醒というごく稀に覚醒者の等級が上がることがある現象が起きたのであると説明しておく。
でも圭以外の夜滝たちもB級覚醒者となっているので仕方なく集団で再覚醒したということにしておいた。
かなり不自然だし世界でも例を見ないが覚醒者の再覚醒については分かっていないことが多い。
ピンチに陥ってみんなで再覚醒したのだと言い切られてしまうと誰にも確かめようはないのだ。
「現にこうして再覚醒していますしね」
「……なるほどな。B級覚醒者なら……塔を登れてもおかしくない」
いまいち納得できないところもあるけれど再覚醒について圭に聞いたところでなんの答えも返ってこないだろうと赤城は疑問を飲み込んだ。
圭が再覚醒を主張して覚醒者協会が検査してB級相当の力があると認めた以上それが事実なのである。
「……なぜ塔を登る? B級覚醒者になったのなら塔に登るよりも普通に活動した方がいいだろう」
金も名声もゲートを攻略した方が手っ取り早い。
ヴァルキリーギルドは女性のみのギルドというところの偏見を打破するために塔の攻略に目をつけたが圭にその必要はない。
「必要なことだから」
「……必要なこと」
急に圭の目が真剣なものになって赤城は思わず気圧された。
「なんだか知らないが……事情があるんだな?」
「やらなきゃいけないんです」
最後までゲートの出現に耐えなくなんてゲームの終わりを迎えることはほぼ不可能だ。
さまざまな世界が今ゲームの一部として使われていることを考えれば結局耐え抜くことはできないのだろう。
そうなると塔を攻略しかない。
「黒羽どうする?」
「私?」
黒羽は圭の横顔をずっと眺めていた。
B級なら少しは黒羽と釣り合うかもしれないと赤城はひっそり思っていた。
「お前が決めろ」
「じゃあ情報あげる……それに一緒に攻略したらどう?」
黒羽は猫を思い起こさせるような笑みを浮かべている。
「一緒に?」
「新しい子が入ってきたから塔に登れるようにみんなで再攻略するの」
毎回同じ人員なら問題はないが新しく人が入るとその人は下の階から攻略していかねば塔を登ることができない。
ヴァルキリーギルドは女性の覚醒者が集まっているギルドで人気も高く入りたい人も多い。
実力がありそうな人はヴァルキリーギルドでも受けて入れていて、塔の攻略にも参加してもらっている。
訓練などの目的も兼ねて下から改めて攻略を行っていて、近々新しく入った人のために再攻略するつもりだったのである。
そこに圭たちを同行させたらどうなのかと黒羽は考えた。
「それは悪くないかもな」
圭と薫を除けば夜滝は女性である。
薫も女顔なので男だと公言しない限りバレない。
となると圭が周りの目さえ気にしなければいいタイミングになるかもしれない。
「そっちはどうだ?」
「みんなに聞いてみなきゃ分からないですけど多分大丈夫です」
「ならばこの方向で話を進めよう。また連絡をする。大きくはメールでやり取りして細かい話はまたあって話すことにしよう」
「分かりました」
「それにしても集団再覚醒ねぇ……そんなこともあるんだな」
「…………ウソでしょ?」
赤城は集団再覚醒について疑問を持ちつつも話を受け入れている。
だが黒羽は分かっているように圭の耳元でささやいた。
「……秘密にしてください」
もしかしたら黒羽を支えている神様が何かを伝えたのかもしれない。
圭は変に誤魔化すことをせず口に指を当てて言わないようにお願いする。
「ふふ、分かった」
黒羽は目を細めてにっこり笑う。
ともあれヴァルキリーギルドの協力は得られそうであった。
「はぁ!?」
圭は覚醒者証を財布の中から取り出して赤城の前に置いた。
「B級……確かに……」
覚醒者証には現在の覚醒者等級が載っている。
圭が出した覚醒者証には確かにB級と記載があった。
覚醒者証は公的な機関が発行する身分証であり偽造は難しく、偽造することも重罪である。
圭が堂々と偽の覚醒者証を提示しているのだとしたら相当肝の据わった人だと言っていい。
「一応確認させてもらっても大丈夫かな?」
「もちろんです」
真っ当な人なら覚醒者証の偽造なんてしないだろう。
特にランクを上げて偽物を作るとバレやすいし、実力も伴わないのにゲートやモンスターに挑戦すれば簡単な死んでしまう。
本物の可能性がほとんどだろうと思いつつ覚醒者協会のネットワーク上に公開されている圭の登録情報を調べてみることにする。
遠藤がパソコンを操作して覚醒者協会のデータにアクセスする。
「ええと……確かにB級で登録されていますね」
当然ちゃんと検査を受けて覚醒者証をもらったのでB級として登録されている。
新規登録ではなくこっそりと修正登録されてB級になっているので圭がB級になったことを知っている人はあまりいないのである。
「だが……少し前まで……」
「再覚醒したんです。ギルドのみんな丸ごと」
「へぇ!? そんなことあり得るのか?」
才能値が高くて低レベルから始まった覚醒者はレベルアップによって強くなることができる。
そのことはまだまだ秘密のことである。
才能値や現段階のレベルは圭の真実の目でしか見抜くことはできないので強くなれる覚醒者かどうかは圭の存在なくして判別することはできない。
覚醒者が強くなれるということは知られれば大きな注目を浴びることだろう。
さらにそれを見抜くことができる圭も嫌でも注目を浴びることになってしまう。
B級覚醒者ともなれば己の身を守ることもできるだろうが不要な騒ぎは望まない。
圭から話を聞いた覚醒者協会としても検証や調査の時間が欲しいということで覚醒者が強くなれることはまだ非公開の話であった。
だから圭がB級になったことは言ってもどうやってB級になったのか説明するのは難しい。
だから再覚醒というごく稀に覚醒者の等級が上がることがある現象が起きたのであると説明しておく。
でも圭以外の夜滝たちもB級覚醒者となっているので仕方なく集団で再覚醒したということにしておいた。
かなり不自然だし世界でも例を見ないが覚醒者の再覚醒については分かっていないことが多い。
ピンチに陥ってみんなで再覚醒したのだと言い切られてしまうと誰にも確かめようはないのだ。
「現にこうして再覚醒していますしね」
「……なるほどな。B級覚醒者なら……塔を登れてもおかしくない」
いまいち納得できないところもあるけれど再覚醒について圭に聞いたところでなんの答えも返ってこないだろうと赤城は疑問を飲み込んだ。
圭が再覚醒を主張して覚醒者協会が検査してB級相当の力があると認めた以上それが事実なのである。
「……なぜ塔を登る? B級覚醒者になったのなら塔に登るよりも普通に活動した方がいいだろう」
金も名声もゲートを攻略した方が手っ取り早い。
ヴァルキリーギルドは女性のみのギルドというところの偏見を打破するために塔の攻略に目をつけたが圭にその必要はない。
「必要なことだから」
「……必要なこと」
急に圭の目が真剣なものになって赤城は思わず気圧された。
「なんだか知らないが……事情があるんだな?」
「やらなきゃいけないんです」
最後までゲートの出現に耐えなくなんてゲームの終わりを迎えることはほぼ不可能だ。
さまざまな世界が今ゲームの一部として使われていることを考えれば結局耐え抜くことはできないのだろう。
そうなると塔を攻略しかない。
「黒羽どうする?」
「私?」
黒羽は圭の横顔をずっと眺めていた。
B級なら少しは黒羽と釣り合うかもしれないと赤城はひっそり思っていた。
「お前が決めろ」
「じゃあ情報あげる……それに一緒に攻略したらどう?」
黒羽は猫を思い起こさせるような笑みを浮かべている。
「一緒に?」
「新しい子が入ってきたから塔に登れるようにみんなで再攻略するの」
毎回同じ人員なら問題はないが新しく人が入るとその人は下の階から攻略していかねば塔を登ることができない。
ヴァルキリーギルドは女性の覚醒者が集まっているギルドで人気も高く入りたい人も多い。
実力がありそうな人はヴァルキリーギルドでも受けて入れていて、塔の攻略にも参加してもらっている。
訓練などの目的も兼ねて下から改めて攻略を行っていて、近々新しく入った人のために再攻略するつもりだったのである。
そこに圭たちを同行させたらどうなのかと黒羽は考えた。
「それは悪くないかもな」
圭と薫を除けば夜滝は女性である。
薫も女顔なので男だと公言しない限りバレない。
となると圭が周りの目さえ気にしなければいいタイミングになるかもしれない。
「そっちはどうだ?」
「みんなに聞いてみなきゃ分からないですけど多分大丈夫です」
「ならばこの方向で話を進めよう。また連絡をする。大きくはメールでやり取りして細かい話はまたあって話すことにしよう」
「分かりました」
「それにしても集団再覚醒ねぇ……そんなこともあるんだな」
「…………ウソでしょ?」
赤城は集団再覚醒について疑問を持ちつつも話を受け入れている。
だが黒羽は分かっているように圭の耳元でささやいた。
「……秘密にしてください」
もしかしたら黒羽を支えている神様が何かを伝えたのかもしれない。
圭は変に誤魔化すことをせず口に指を当てて言わないようにお願いする。
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黒羽は目を細めてにっこり笑う。
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