人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第十章

心臓を捧げよ4

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「握って構えろ」

「分かった……」

 圭はいつも使うように剣を構える。

「どうだ?」

「どうだって……普通」

 普通とはいうけれど覚醒者を始めた最初の頃に持っていた剣とは比べ物にはならない。
 覚醒者として成長して剣のわずかな違いにも気づけるようになった。

 そこらに置いてあった剣だけれどイスギスが作ったものはかなり品質が高い。
 かなり手に馴染むような扱いやすさを感じている。

「何回か振って」

「ん」

 言われるがままに剣を素振りする。
 そのまま戦いに出ても通じる一本である。

「それ置いて……今度はこっちだ」

「だから危ない投げるなって」

 圭が剣を置いたタイミングでイスギスは別の剣を放り投げた。
 覚醒者である圭にとって剣をキャッチすることなど造作もないがイスギスの剣はお飾りでなくよく切れる。

 万が一キャッチ失敗したらそのまま指が切り落とされてしまうかもしれないのだ。

「んでこれは……」

「それも構えて、何回か振ってみろ」

 なぜだろうとは思いながらも素直に従う。

「さっきのと比べてどうだ?」

「さっきの剣よりも少し重いかなって感じがする」

「どっちが好みだ?」

「こっちの重さの方が好みかな」

「重心はどうだ? 剣の長さとかグリップとか」

 剣はただ作ればいいというものではない。
 同じように見える剣だって細かく見れば違いがある。

 重さ、長さ、重心、それに柄まで様々。
 そして人も長く戦えば戦うほどにクセというものが現れる。

 好みがあったり気づかなくても出てくる剣の振り方など色々と差がある。
 剣にしても人にしても無視できるような差でもあるのだが、無視しなくてもいいように合わせて作れば剣は体の一部になる。

 イスギスが作った剣も様々ある。
 どんな剣なのか大体覚えているし圭に渡すのに持っただけでもどんな剣なのか把握できる。

 圭に様々な剣を持たせて圭の好みの剣を引き出そうとしているのだ。
 ついでに剣を振る姿勢を見ながら圭の無意識の領域もイスギスは見抜いていた。

「こっちとこっちなら重さはどっちがいい?」

「……こっちかな」

「これとならどうだ?」

「こっちの方が持ちやすいかな……」

 何本もの剣を持たされて比較しながら圭のデータを貯めていく。

「ふむ……なら重さはこれで……」

 イスギスはメモをとりながら圭に合いそうな剣を考える。

「優斗君、暇じゃなかったかい?」

「いえ、むしろすごく楽しいです」

 圭が持った剣を優斗も持って何を確かめているのか優斗も知ろうとしていた。
 後半になるにつれてとても差は微妙になっていってイスギスが繊細な仕事をしようとしていることに優斗は感動していた。

 こんなふうに人に合わせた武器を作るなんて期待が止まらない。

「派手な装飾は好まないな?」

「そうだな。普通でいいかな」

「持った感じでは両刃の剣の方が合っていそうだったな。長さは平均より少し長め、少し重ためがいいようだ。柄は両手でもしっかり握れるぐらいがいい」

 圭の好みを反映させながらイスギスは頭の中ですでに剣を打ち始めていた。

「もう少し細かく詰めて次には制作に取り掛かろう。お前は作るとこ見るか?」

「ぼ、僕は見たいです!」

「俺も一応見ておこうかな」

「分かった。じゃあまた呼ぶよ」

 焦るのはいけない。
 ただ実際直せるとなってから結構時間がかかるものだなと思ってしまうのはしょうがない。

「今日は僕、眠れないかもしれません……少し質問いいですか?」

「なんだ?」

「ええと三本目の剣の時なんですが……」

 一流のやり方を目撃した優斗は非常に満足したような顔をしている。
 確かに色々と剣を持って圭も疲れたし優斗がイスギスを質問責めにして今日のところはひとまず解散となったのだった。
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