人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第二章

あなたが欲しい2

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「な、えっ、私が欲しい……って」

 少し前に言った冗談がカレンの脳裏に思い出された。
 自分を買ってくれるのが圭だったら、なんてことを言った。

 どうしてそんなことを言ってしまったのかカレン自身でも分かっていないのだけどまんざら完全に冗談でもなかった。
 それでもまさか本当に買いたいだなんて正面切って言われるとは想像もしていなかった。

「あ、いや、違う……違くはないけど! まずは話を聞いて……」

「ね、姉さんをお金で買うつもりか!」

「優斗!」

 混沌。
 確実に口に出すべき言葉を間違った。

 一見すれば愛の告白であるが状況を見ると借金で悩んでいるまだ親しくもない相手にお金を見せびらかして自分のものになれと言っているようにも解釈できる。
 こっそりと話を聞いていた優斗はカレンを守るために飛び出してきた。

 良い人だと思ったのに、姉を守らなきゃと暴走した優斗は圭に殴りかかった。
 圭よりもはるかにステータスが高い優斗の一撃。

 速度だけは圭が上回っていたこと、優斗が戦い慣れをしていないことが圭にとって幸運だった。
 圭のステータスも高いわけじゃない。

 とっさのことで回避しきれなかったが下がることで伸ばし切られた拳を肩に受けた。
 それでもかなり痛くて後ろにすっ飛んだ。

「優斗! 落ち着け!」

「でも!」

「でもじゃない!」

「あんな姉さんをお金で買うような男でも良いって言うの!?」

「ち、違う! いや、別に、悪くは……ないかな。でもそうじゃなくて話の途中だったろ! 最後まで聞かないで判断なんてできるわけないじゃないか!」

「姉さん……」

 冗談でもあのようなことを言ったのだからそれほど悪いような気もしていない。
 背も高くサバサバした感じのカレンはどうしても男性に敬遠されがちなところがあるのだけど圭は普通に接してくれた。

 職人的なイメージも守るために言葉遣いも失礼にはならない程度に崩していたのに全く圭は気にしていない。
 人としてはかなり好感を持てる相手だと思った。

 顔も実際悪くない。
 顔を少し赤くするカレンを見て優斗がガックリと肩を落とす。

 圭がダメだとは言わないけど流石に男性経験が無さすぎて心配になることがある。

「そ、それよりもごめんなさい!」

「いえ……俺も悪いんです」

 カレンは肩を押さえて立ち上がる圭に駆け寄る。
 カレンを買いたい云々の話は置いておいて、今現状で他にお金を返せる当てもない。

 圭の話を聞いてみないことにはどうしようもないとカレンは思っていた。
 言葉を間違えた自覚はあるから圭も優斗を怒る気にはならない。

 むしろ姉を守ろうとする良い子だと思う。
 骨は折れていなさそうなのでそのうち痛みはひくだろう。

「優斗さん……少し話だけでも聞いてくれませんか?」

「……姉さんに手を出すなら僕が許さない」

「何も無理矢理カレンさんに手を出そうなんて思ってません。説明させてもらえますか?」

「……分かった」

 いくら体が大きくてもまだまだ子供な部分がある。
 圭は優斗を落ち着かせるように冷静に根気強く話を聞いてほしいと繰り返した。

 反撃してくる様子もなければカレンに睨みつけられているし優斗も少し落ち着いてきた。

「大丈夫?」

「まあ……大丈夫ですよ」

 優斗は覚醒者。
 その中でも力は強い方でまともに殴られれば無事では済まない。

 肩を心配するカレンに圭は笑いかける。
 むっちゃ痛い。

 だけどここで必要なのは信頼できる相手だと思ってもらうことで痛みを我慢することで信頼を得られるならと我慢する。

「1つ約束してほしいことがあります」

「……なんですか?」

「この話の決着がどうあれ、ここでお話しすることは秘密にしてほしいんです」

 秘密にしてほしいのは圭のスキルである真実の目についてのことだ。
 他のところで言って回るとは考えていないが念のため。

「お約束します」

 カレンはうなずく。
 ただで借金を肩代わりしてくれるはずがない。

 圭の方にも特殊な事情があることなど察するのは難しくない。
 後出しでもなく話を受けるかどうかの前に説明してくれるなら誠実さを感じる。

「まずはお分かりかもしれないですが俺は覚醒者です」

 覚醒者の装備を買いに来ている以上覚醒者なことは分かりきっている。

「俺には特殊な鑑定スキルがあるんです」

「鑑定スキル……ですか」

「俺の鑑定スキルでは相手の覚醒者の能力が分かるんです」

「へぇ、そんなスキルが」

「さらには……覚醒者の中にはまだ覚醒していない人というものがいるんです」

「覚醒者なのに、まだ覚醒していない?」

「そうです。覚醒者の才能がありながらまだ覚醒していない人はきっかけが有れば覚醒できるんです。そして俺はそれが分かるのです」

「ま、まさか……」

「八重樫カレンさん、あなたがそうなんです」

「ね、姉さんが覚醒者?」

「ウソだ……だって、検査を受けても……」

「それはまだ覚醒していないからです。でもカレンさんはすごい才能を秘めていて、とんでもない覚醒者になれるかもしれないんです」

 カレンと優斗は圭の言葉に動揺を隠せない。
 一縷の望みをかけて覚醒者等級検査を受けてもカレンは無覚醒者だと診断されてきた。

 自分が覚醒者になる可能性はないのだとカレンは諦めていた。
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