人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第五章

太羽島モンスターウェーブ3

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 周りの覚醒者も素人ではない。
 圭たちが1つのギルドであることを動きから察して邪魔しないように動いてくれている。

 ホブコボルトぐらいなら圭たちでも倒せる。
 自分たちの実力とモンスターの等級を見ながら臨機応変にモンスターと戦っていく。

 疲弊してきたら一度下がって休憩する。

「思いの外大変だな」

 海を渡ってきたモンスターはそれだけで体力を使っているので戦うのはむしろ簡単である。
 しかしいくつかのモンスターがバラバラの場所からバラバラのタイミングで出てくるのであっちこっちと走り回らねばならない。

 汗を拭き水分補給をして息を整える。

「みんな、体力や怪我は大丈夫?」

「うん私は大丈夫」

「ちょっと薫が辛そうだな」

「だ、大丈夫です……」

 薫は圭たちに比べてまだレベルが低い。
 体力値はそのまま文字通り体力にも直結してくることもあり、体力値の低い薫はかなりキツそうにしていた。

「薫君は一旦休んでて」

「ぼ、僕も……」

「ダメだ」

 圭は薫の肩に手を乗せる。
 疲れているのに無理についてくるとそれが原因で怪我をする可能性だってある。

 薫の両親にも薫を任されているのだ、ここで無理をさせられはしない。

「短めに出て戻ってくるから」

「……絶対ですよ? 怪我しないでください」

 少し拗ねたような目をする薫。

「こっちも無理はしないから」

「…………分かりました」

 薫をメンバーから外して休憩をしてもらい、圭たちはまたモンスターウェーブの対処に向かう。

「普段は聞き分けもいいのに時々強情になるよな」

 圭が困ったような表情を浮かべる。

「そりゃあ……な」

「ねぇ……」

「なんだよ?」

 みんなは分かっている。
 薫が聞き分けが悪くなるのは大体圭に関わることである。

 薫が男ということでみんなの警戒度は一つ低くなっているものの薫が圭に対して好意を持っていることはあからさまである。
 肝心の圭はそこまでの好意だとは思わず、薫のことを懐いてくれている弟ぐらいに思っている。

「まあ悪いものではないからねぇ」

「視線……怖いけどね」

 それに薫が無理を通そうとすることはない。
 しっかりと言い聞かせれば理解はしてくれるので怨念にも感じられるような視線さえ耐えれば特に問題ではないのである。

「とりあえず何体かと戦って戻ろう。薫君のレベルアップにもなるし」

 一緒に戦うだけでもある程度レベルは上がる。
 覚醒者たちがたくさんいるので分配される経験値を考えると少なくはなりそうだけど人がいる分安全に戦える。

 目の前で治癒でもしない限りは薫の能力がバレることもない。
 モンスターウェーブは過酷であるがレベルアップで考えた時には意外と悪いものではない。

「うおっ……」

 圭たちが戦おうとしていたのはホブコボルト。
 海から上がってきたばかりのホブコボルトは毛皮が水で重たく濡れていて、泳いできたせいか肩で息をしていた。

 カレンが魔力を放ってホブコボルトを挑発しようとした瞬間だった。
 黒羽が上から降ってきてホブコボルトの頭を地面に叩きつけて潰した。

「大丈夫?」

「あ、ああ……助かったよ」

 一応倒せたとは思うけど助けてもらったのでお礼はする。
 黒羽の武器は両手につけたガントレット。

 力でガンガン相手を押していくスタイルである。

「気をつけて、ね」

 ホブコボルトを倒して黒羽は颯爽と次に向かっていく。

「お兄さんに良いとこ見せようして!」

 黒羽の乱入にカレンたちも少し不満そう。

「まあまあ……」

 黒羽も善意でやってくれているのだからと圭がなだめて他のモンスターのところに圭たちも向かう。
 何時間も戦い、ようやくモンスターの勢いが弱くなった。

 海岸はモンスターの死体が山積みになっていつの間にか覚醒者はモンスターの死体を回収する人と戦う人に分かれていた。
 圭たちリーダビリティギルドは戦わない方に回された。

 圭がモンスター解体師の資格を持っているのでモンスターの毒があるトゲなんかを切り取ったりする仕事を任されて夜滝たちがそれをサポートする。
 圭たちのいるところはかなり落ち着いてきていたが太羽島に近い海岸ではまだ戦いは続いていた。

 結局モンスターウェーブが終わったのは完全に日が暮れた頃だった。
 みんな疲れているけれどモンスターが来なくなって終わりではない。

 モンスターの死体を放っておけばすぐに腐り出してそこら中汚染されたようになってしまう。
 みんなで協力してモンスターの死体を回収する。

 結局全ての作業を終えた頃には丸一日時間が経っていたのであった。
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