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第五章

囚われた王女4

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「北条さん!」

「な、村雨さん!? なぜそこに!」

「そんなことより、まずは後ろにいる女のモンスターを倒さなきゃいけません! そいつが回復させています!」

 偽物のエリーナを倒さねばカルヴァンを倒せない。

「チッ……やはりそうか」

 そんな気は北条もしていた。
 ただカルヴァンは偽物のエリーナを守ろうとするので中々攻撃することもできなかった。

 そのためにカルヴァンの方を先に倒してしまおうとしていたが、偽物のエリーナの方から倒さねばならないのではないかとうっすらと勘づいていた。

「ヤバっ!」

 偽物のエリーナが振り返って圭に向かって手を伸ばした。
 モンスターがただのポーズでそんなことはしない。

「あぶねぇ!」

 偽物のエリーナの手が光った瞬間、盾を構えたカレンが前に出た。

「くっ!」

「ぐはっ!」

 カレンの盾に光る魔力の塊がぶち当たり、カレンごと圭は吹き飛ばされた。

「よそ見をしている余裕があるのか」

 圭の方を向いた隙に北条が偽物のエリーナに接近していた。

「そう上手くはいかないか」

 振り下ろされた剣をカルヴァンが防ぐ。
 カルヴァンは何よりも偽物のエリーナを守ることを優先していて攻撃を届かせることができない。

 多少の犠牲を覚悟すれば偽物のエリーナにも攻撃できそうであるが犠牲を払うということに北条もためらいがあった。

「うぅ……」

「すまない、大丈夫か?」

 カレンにはスキルもあるし背中を打ち付けるだけで済んだ。
 それに対して圭はカレンと壁に体を思い切り挟まれる形となった。

「大丈夫だ……助かったよ」

 ダメージは受けたけれど偽物のエリーナの魔法が直撃したら痛いどころでは済まなかっただろう。
 カレンが防いでくれたから命は助かったのだ。

『囚われた王女への隠し通路を見つけました!』

「それに……何か見つけたみたいだ」

 真実の目を使いっぱなしにしていた圭。
 魔法で飛ばされて視界が変な方を向いた結果また表示が現れた。

 北条が偽物のエリーナを攻撃してくれたおかげで圭たちから注意は逸れた。

「反応は……この玉座みたいな椅子か?」

 背中が痛むのを押して目の前にある玉座に圭は手を伸ばした。

「どこだ……これか」

 左の肘掛けの後ろにわずかに窪みがあった。
 圭がくぼみを押し込むとカチリと音がする。

 圭たちが通ってきたよりも奥の床が開いた。

「みんな、来てくれ」

「圭、大丈夫なのかい?」

「ちょっと背中痛いかな……」

「待ってください、今治療するので」

 新たな隠し通路を見つけた。
 玉座の後ろに隠れるようにしながらみんなが隠し通路から上がってくる。

 圭は薫に体を治療してもらいながら新しく見つけた隠し通路を覗き込む。

「明るいな」

 こちらの隠し通路はやや広めで壁に松明が付けられている。
 不思議なことに煌々と燃える松明のおかげで隠し通路の中は非常に明るい。

「これ……何かあるの?」

「もしかしたら、もしかするかもしれない」

 圭は同じく隠し通路を覗き込んだ波瑠に頷き返した。
 今回はただの隠し通路ではなく囚われた王女への隠し通路となっていた。

 シークレットクエスト関連かもしれない。
 それに場所もなんだかいわくありげだ。

 ボスモンスターが現れる玉座のある大きな部屋の玉座の裏にある隠し通路。
 普通ならとても確認できる場所でもないし玉座にスイッチがあるという難解さがある。

 隠し通路の中にモンスターもいないので圭は隠し通路を進んでみることにした。
 どの道激しい戦いが起きている中で玉座の後ろにいることはとても危険である。

 一度偽物のエリーナに目もつけられているから離れる必要がある。

「こ、ここはなんでしょうか……」

 置いていくわけにもいかなくて山之内もついてきている。
 雰囲気の違う隠し通路に不安げな表情を浮かべていた。

 隠し通路を進むと今度は上りの階段になっていた。
 螺旋階段のように円を描くようにぐるぐると上っていく。

「ちょ、ちょっとキツイですね……」

 かなり上ってきた。
 体力ない山之内は息を切らしてキツそうにしている。

「ドアが見えた。着いたみたいだ」

 偽物のエリーナやカルヴァンが後ろから追ってくる可能性もゼロではない。
 念のためにカレンを一番後ろに置いて圭が先頭に立って階段を上っていた。

 湾曲しているために先が見通せない階段の向こうにようやくドアが見えた。
 ドアの向こうに待ち受けるものがなんであれ階段を上るのは終わりのようである。

 ドアの前には敵もいなかったのでそこで少し息を整える。

「よし、準備はいいな?」

 カレンがドア前に待機して盾を構え、圭が横から手を伸ばしてドアノブに手をかける。
 階段も決して広くはない。

 こんなところで戦闘にならないことを願いながら圭はドアを開けた。

「あら……こんなところに人が来るなんて。いつぶりかしら」

 カレンが飛び込んで、続いて圭、波瑠と入る。
 ドアの先は部屋になっていた。

 壁が湾曲した円形の部屋で窓際に置いてある椅子に1人の女性が座っていた。
 ただその女性は肌が黒く変色し額には2本のツノが生えている。

「うわ……綺麗な人」

 そうであるにも関わらず顔の作りはとても美しい女性であった。
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