276 / 515
第六章
カレンの悩みのタネ
しおりを挟む
終末論というものがある。
ゲートが現れてモンスターが出てきたのは世界が終わりに向かっているからであると主張する陰謀論のようなものだと世の中では見られている。
しかし神々のゲームの存在を知った圭たちにとっては笑い事ではなくなってしまった。
さらにこうした終末論から派生した宗教のようなものまで出てきていた。
物欲を捨てて熱心に祈れば終末を穏やかに迎えられると主張する人や今からでも腐敗した政治家を断罪すれば終末は防げるなんて言う人もいる。
「ゼグヴェーラ……なんだって?」
「ゼグヴェーラアンシビン。通称終末教だってよ」
「ふーん……」
「ふーんじゃない! うちの近くに支部ができたみたいでチラシとか入れてくんだよ。興味ねっての!」
終末論を語る人の中でより大きなコミュニティを築いたのがゼグヴェーラアシンビンという組織だった。
今や新興宗教と見られていて終末教とまで呼ばれている。
来るべき終末に備えてあるがままを受け入れようという教えの下に集まる人たちで、覚醒者は穏やかな終末を見出す異端なのだと主張する。
だから少しばかりうるさい側面はあるのだ。
カレンの方には入信勧誘のチラシがポストに投函されるのでやめてくれとカレンは思っていたのである。
今のところ覚醒者だとは思われていないようで何もないからいいけれど、覚醒者だとバレたらそれはそれでめんどくさそうである。
「でもあれだろう? 終末教って危ない噂もあるよね?」
「そうなのか?」
「レジェンド高級住宅街事件というのがあったはずだよ」
「あー、俺は知らないな」
圭は世間の情報にやや疎い。
最近のことはいいのだけどRSIで働き始める前は部屋にテレビもないような生活で何かの情報を仕入れる余裕もなかった。
だからRSIで働き始める前のことはあまり記憶にないのである。
「レジェンドギルドっていう大きなギルドがあってね。こんなご時世だ、大型のギルドが居を構える周辺の土地は価格が高騰する」
大型のギルドがあればゲートなども対処してくれるし安全だということでみんなギルドの周りに住みたがる。
結果として土地や家の価格が上がるのだ。
「レジェンドギルドはギルドを置く建物の周りの土地を買い占めて自分たちで住宅を建てようと計画したんだ。自分たちが守ってやる、ギルドの恩恵を受けたきゃ金を払って入居しろということさ」
周りの土地の価格が上昇してもギルドに恩恵は少ない。
だからレジェンドギルドは最初からギルドを置く建物の周辺の土地を事前に買い占めた。
そして大型のマンションなどを建てて入居者を募集したのである。
ギルドが守ってくれる住宅地というのが売り文句であった。
周りの住宅地に比べて高級な価格であったが応募が殺到した。
これがレジェンド高級住宅街計画である。
「そんなずるいやり方に批判もあったんだ。終末教も覚醒者が汚いマネをすると終末が早まるなんて批判をしてたのさ」
「へぇ~」
「それでも人は集まって入居し始めると批判もおさまってきたのだけど、終末教の教主が最後にこう言ったのさ。
『覚醒者の欲望が集まるところには負のエネルギーも集まる。この地は災禍に見舞われることだろう』ってね」
「それでどうなったんだ?」
カレンも知らなかったようで夜滝の話に聞き入っている、
「ゲートが出現したのさ。それもブレイキングゲートですぐさまモンスターが出始めた」
「だけどレジェンドギルドが守ってたんだろ?」
「タイミングも悪かったのさ。高等級のブレイキングゲートだった上にレジェンドギルドのメインメンバーは少し離れたゲートに遠征中だった」
ゲートを攻略中だったレジェンドギルドの対応は遅れた。
他のギルドなんかもレジェンドギルドが対応するものだと思っているので全てが後手に回った。
結果としてレジェンド高級住宅街に住んでいる人は甚大な被害を被ったのである。
「結局高級住宅街計画は大失敗に終わったというわけさ」
人は出ていき、レジェンドギルドは被害者たちに賠償のためにギルド周辺の土地も売り払うことになった。
「そんな事件が……」
「他にも覚醒者たちを支援する政治家のところに行って抗議したのちにその政治家がモンスターに襲われて亡くなったとかって話があるんだよ。ゲートを人が思いのままに出せるなんてことはないだろうが当時はそんなことをしたという噂もあった」
「あっ、思い出しました。確か予言者とか呼ばれてましたね」
「その通りだねぇ。ゲートやモンスターの出現を予知する予言者、なんて今は呼ばれているんだよ」
終末教が警告なり批判なりをすると後にゲートやモンスターによって酷い被害に遭う人が出た。
終末教がゲートを呼び出しているなどという噂もあったがそんなことは人に不可能である。
なのでゲートやモンスターの出現を予知できる予言者と終末教の教主は呼ばれていた。
「まあ悪いことでもしなきゃ目をつけられないはずだから大丈夫だと思うけどねぇ」
「まあカレンも気をつけてよ?」
「悪いことなんかしないさ。こう見えても昔からひんこーほーせーだからな!」
胸を張って笑うカレン。
確かに言葉遣いは悪いところがあるけれど良識的で良い子である。
「困ったことがあればいつでも言えよ」
「うん、ありがと、お兄さん」
ゲートが現れてモンスターが出てきたのは世界が終わりに向かっているからであると主張する陰謀論のようなものだと世の中では見られている。
しかし神々のゲームの存在を知った圭たちにとっては笑い事ではなくなってしまった。
さらにこうした終末論から派生した宗教のようなものまで出てきていた。
物欲を捨てて熱心に祈れば終末を穏やかに迎えられると主張する人や今からでも腐敗した政治家を断罪すれば終末は防げるなんて言う人もいる。
「ゼグヴェーラ……なんだって?」
「ゼグヴェーラアンシビン。通称終末教だってよ」
「ふーん……」
「ふーんじゃない! うちの近くに支部ができたみたいでチラシとか入れてくんだよ。興味ねっての!」
終末論を語る人の中でより大きなコミュニティを築いたのがゼグヴェーラアシンビンという組織だった。
今や新興宗教と見られていて終末教とまで呼ばれている。
来るべき終末に備えてあるがままを受け入れようという教えの下に集まる人たちで、覚醒者は穏やかな終末を見出す異端なのだと主張する。
だから少しばかりうるさい側面はあるのだ。
カレンの方には入信勧誘のチラシがポストに投函されるのでやめてくれとカレンは思っていたのである。
今のところ覚醒者だとは思われていないようで何もないからいいけれど、覚醒者だとバレたらそれはそれでめんどくさそうである。
「でもあれだろう? 終末教って危ない噂もあるよね?」
「そうなのか?」
「レジェンド高級住宅街事件というのがあったはずだよ」
「あー、俺は知らないな」
圭は世間の情報にやや疎い。
最近のことはいいのだけどRSIで働き始める前は部屋にテレビもないような生活で何かの情報を仕入れる余裕もなかった。
だからRSIで働き始める前のことはあまり記憶にないのである。
「レジェンドギルドっていう大きなギルドがあってね。こんなご時世だ、大型のギルドが居を構える周辺の土地は価格が高騰する」
大型のギルドがあればゲートなども対処してくれるし安全だということでみんなギルドの周りに住みたがる。
結果として土地や家の価格が上がるのだ。
「レジェンドギルドはギルドを置く建物の周りの土地を買い占めて自分たちで住宅を建てようと計画したんだ。自分たちが守ってやる、ギルドの恩恵を受けたきゃ金を払って入居しろということさ」
周りの土地の価格が上昇してもギルドに恩恵は少ない。
だからレジェンドギルドは最初からギルドを置く建物の周辺の土地を事前に買い占めた。
そして大型のマンションなどを建てて入居者を募集したのである。
ギルドが守ってくれる住宅地というのが売り文句であった。
周りの住宅地に比べて高級な価格であったが応募が殺到した。
これがレジェンド高級住宅街計画である。
「そんなずるいやり方に批判もあったんだ。終末教も覚醒者が汚いマネをすると終末が早まるなんて批判をしてたのさ」
「へぇ~」
「それでも人は集まって入居し始めると批判もおさまってきたのだけど、終末教の教主が最後にこう言ったのさ。
『覚醒者の欲望が集まるところには負のエネルギーも集まる。この地は災禍に見舞われることだろう』ってね」
「それでどうなったんだ?」
カレンも知らなかったようで夜滝の話に聞き入っている、
「ゲートが出現したのさ。それもブレイキングゲートですぐさまモンスターが出始めた」
「だけどレジェンドギルドが守ってたんだろ?」
「タイミングも悪かったのさ。高等級のブレイキングゲートだった上にレジェンドギルドのメインメンバーは少し離れたゲートに遠征中だった」
ゲートを攻略中だったレジェンドギルドの対応は遅れた。
他のギルドなんかもレジェンドギルドが対応するものだと思っているので全てが後手に回った。
結果としてレジェンド高級住宅街に住んでいる人は甚大な被害を被ったのである。
「結局高級住宅街計画は大失敗に終わったというわけさ」
人は出ていき、レジェンドギルドは被害者たちに賠償のためにギルド周辺の土地も売り払うことになった。
「そんな事件が……」
「他にも覚醒者たちを支援する政治家のところに行って抗議したのちにその政治家がモンスターに襲われて亡くなったとかって話があるんだよ。ゲートを人が思いのままに出せるなんてことはないだろうが当時はそんなことをしたという噂もあった」
「あっ、思い出しました。確か予言者とか呼ばれてましたね」
「その通りだねぇ。ゲートやモンスターの出現を予知する予言者、なんて今は呼ばれているんだよ」
終末教が警告なり批判なりをすると後にゲートやモンスターによって酷い被害に遭う人が出た。
終末教がゲートを呼び出しているなどという噂もあったがそんなことは人に不可能である。
なのでゲートやモンスターの出現を予知できる予言者と終末教の教主は呼ばれていた。
「まあ悪いことでもしなきゃ目をつけられないはずだから大丈夫だと思うけどねぇ」
「まあカレンも気をつけてよ?」
「悪いことなんかしないさ。こう見えても昔からひんこーほーせーだからな!」
胸を張って笑うカレン。
確かに言葉遣いは悪いところがあるけれど良識的で良い子である。
「困ったことがあればいつでも言えよ」
「うん、ありがと、お兄さん」
65
あなたにおすすめの小説
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!
雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。
その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。
主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる