人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
321 / 515
第六章

海の案内人2

しおりを挟む
「……前からおばあちゃんはあなたに注目していたの」

「前から?」

「私があなたに会う前から」

 部屋の前について立ち止まったかなみの目にウソはなかった。
 そんなはずはないと圭は思う。

 圭がかなみと初めて会ったのはブラックマーケットでのこと。
 明確にかなみだと明かしたことはないけれど間違いはない。

 その時には圭は無名も無名だった。
 今だって有名ではないが当時はかなみと話すことも恐れ多いほどで覚醒者というより一般人に近かった。

 次に会った時だって圭は死にかけていて一目でジェイだとは気づいてすらいなかった。
 どちらにしても圭は注目されるような人ではない。

 その段階でかなみがおばあちゃんに圭の話をしているとも思えないのに注目する要素など一つも思いつかない。
 そもそも出会いの前からと言うのならそれよりも前になる。

「おばあちゃんは不思議な人だけど悪い人じゃないから。おばあちゃん、入るよ!」

 かなみは声をかけると部屋のふすまを開いた。

「はじめまして。上杉かなみの祖母、上杉静江と申します」

 部屋の中には品の良い老年の女性が座っていた。
 和服が非常によく似合い、かなりよりもややタレ目であるけれどかなみが上品に歳を重ねていったらこのような感じになるかもしれないと圭は思った。

「あなたが村雨圭さんね。かなみからよく話は聞いているわ」

 非常に声も優しく聞いていると落ち着く。

「この子の口から男の人の話を聞く日が来るなんて思わなかったわ」

「お、おばあちゃん?」

 かなみが少し顔を赤くする。

「ふふ、可愛いわね、かなみ」

 静江は穏やかに笑う。

「どうぞ座って」

 歴史を感じさせる重厚な座卓の前にフカフカの座布団が並べられている。
 圭たちが並んでもあまりあるほどの座卓はいくらするのだろうかと少しだけ考えた。

 圭たちが座ると佐田がお茶を持ってきた。
 湯呑みに入った温かい緑茶である。

「小さなお友達はいらっしゃらないのかしら?」

「……フィーネ、出てきていいよ」

「ピピ、ワカッタ!」

「えっ、なにそれ!」

 言われていたのでちゃんとフィーネも連れてきていた。
 圭の腰につけていたポーチの中からフィーネが出てきて座卓の上に飛び乗った。

 かなみは摩訶不思議な存在であるフィーネに目を丸くしている。

「あらあら……思っていたよりも可愛いわね」

 静江はクスクスと笑っている。
 フィーネがいるとは知っていたけれどフィーネがどんなものなのかは知らなかったようだ。

「こ、これなに?」

「これはフィーネだよ」

「フィーネ?」

「フィーネ!」

 フィーネが前足を上げてじゃーんと自分をアピールする。

「実はこの子はゴーレムなんだ。塔でたまたま見つけて今は俺たちの仲間として一緒に戦ってる」

「ゴーレム……仲間?」

 かなみはフィーネという特異な存在に混乱していた。

「……それで今日呼び出したのは何のご用でですか?」

 フィーネのことを説明していたら時間がかかる。
 ひとまずジッとフィーネを見つめたまま困惑しているかなみは置いといて話を進めることにした。

 かなみの説明では謎が多すぎた。
 結局なぜ圭たちが呼び出されたのかは直接本人に聞くより他はない。

「……あなたがこの世界を救うかもしれない人だからよ」

「えっ!?」

 思いがけない言葉だった。
 圭たちも驚いたのだけど一番驚いていたのはかなみである。

「どうしてそれを?」

「私は海の神様の声が聞こえるの」

「海の神の?」

「そうよ。この世界には沢山の神様がいるの。そして私は海の神様に力を与えられて、覚醒者となったの」

『上杉静江
 レベル5
 総合ランクD
 筋力G(無才)
 体力G(無才)
 速度G(無才)
 魔力G(無才)
 幸運E(無才)
 スキル:世界の海流を読む
 才能:海の一部』

 覚醒者というから真実の目で見てみた。
 かなり奇妙なステータスをしている。

 能力は非常に低い。
 なのに総合ランクが高くて覚醒者等級ならC級覚醒者になる。

 スキルと才能の力のみによって総合ランクが上がっているのだろうかと圭は思った。

「私の力は海の力を借りて神様の声を聞いたり近い未来を見たりすることなの」

「そんな力が……」

「この力でかなみのことを助けてあげたりしていたのよ。そしてある時神様が私に言ったの。世界に終わりが近づいていると」

「おばあちゃん……何の話なの?」

 かなみは動揺しっぱなしである。
 圭たちは事情を知っているために特別それによって動揺することはない。

「このままいけば世界は滅びるの。だけど対抗する手段も残されている。それがあなた、神に届く力を持つ者」

「け、圭君が神に届く力がある……?」

「……どうやらあなたは何の話か分かっているようね?」

「…………はい」

 想像していたよりも踏み込んだ話だった。
 圭たちの表情も険しくなり、静江の顔からも笑顔が消えている。

 静江がしているのは神々のゲームの話で、圭が神に届く才能の持ち主であることを知っているようだった。

「そう……もうすでに戦っていたのね」

「な、何の話をしているの!」

 話についていけないかなみが静江と圭を交互に見ながら立ち上がった。
 世界が滅びるとか飛んでもない話である。

 それなのに圭は冷静に話を受け入れて理解しているようでそれもまたかなみは訳が分からない。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!

雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。 その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。 主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

処理中です...