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第七章
覚醒者チュートリアル5
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「くんくん……匂いは別にキツくもないんだな」
カレンはビンを開けて匂いを嗅ぐ。
想像していたよりも爽やかな匂いがしている。
「ちゃんとした会社の良いやつだからな。まだ飲むなよ? 飲んだら八階で死んじゃうからな」
こうした体を温めたり冷やしたりするドリンクはいくつかの会社から出ている。
魔物の素材やダンジョンで採れる植物なんかから作られているのだが会社によって使われるものや製法が違う。
そのために効果の高さ、味に至るまで違いが出てくるのである。
圭が今回購入したのは某有名製薬会社製のものだった。
ネットでの評判が良かったもので、値段はお高めとなるが効果は高く持続時間も長い。
さらには味も良くて飲みやすいとコメントがあった。
体を温めるといったらスパイス的なものや辛いものというイメージもある。
そうした辛い味のタイプのドリンクも存在していて、それは体を温める効果が高いらしい。
ただすごく辛いようなので今回は買うのをやめておいた。
カレンはちょっとドリンクの効果や味が気になっているようだけど今飲んでしまうと熱い八階を通る時に苦労することになる。
「分かってるよ」
今は服も着込んでいる。
熱い中を熱い服装で温まった体で進むなんてたとえエントランスまでの短い距離だとしても危険な行為である。
「んじゃ行こうか」
準備を整えた圭たちは再び塔の中に入っていった。
何度も見た踏破済みの階を通って登っていき、熱さがキツい八階はやや早めに抜けて九階までやってきた。
「うひょー! 相変わらずさみーな!」
吐き出す息が白く、息を吸い込むたびに胸が冷たさで痛くなる。
吹雪いているわけでもない穏やかな状況なのに鋭い刃のように空気が冷えていた。
「八階と九階行ったり来たりしたら簡易サウナになりそうだねぇ」
「そんなことしたら体壊しちゃいますよ……」
「とりあえず体冷えちゃう前に飲んでおこう」
圭は持ってきていた体を温めるドリンクをみんなに渡す。
ビンを開けてグイッと飲み干す。
「ん……ハチミツレモンみたいな味して……おおっ?」
味は意外と美味しい。
カレンが言うようにハチミツレモンのような味がしてかなり飲みやすかった。
効果はすぐに現れた。
お腹の中がポワッと温かくなって熱が全身に広がっていく。
外気温の肌寒さはあるものの、その寒さが体の中にまで入ってこないような感じがある。
「わあ……すごいね」
凍えてしまいそうな寒さだったのに少し寒いぐらいにまで落ち着いた。
これならモンスターと戦って体を動かしていれば全く活動に問題はない。
「それとこれも使って」
「おっ、悪いな」
圭は持ってきていた荷物の中からさらに耳当てを取り出した。
どうしても耳なんかは冷えてしまうのでドリンクで体を温めていても防寒の必要がある。
戦う最中にもズレいにくいピッタリとしたタイプの耳当てを事前に人数分用意していた。
「手袋もあるぞ」
「私はいいかな」
「僕はもらいます」
ちゃんと手袋も用意してきた。
動きの邪魔になりにくいように薄手のものだけどちゃんと温かい手袋を買っていた。
少し体温が高めなカレンは手袋はいらないと言ったが薫は圭から手袋を受け取って身につけていた。
「それで今回の試練は……」
『アイスシープを倒せ!
アイスシープ 0/30
シークレット
春の木を植えろ!』
「今度はアイス……」
「やっぱり属性系のモンスターを数こなすことが求められてるな」
やはりモンスターとの戦いや特殊な環境に慣れさせようとしていると感じる。
「シークレットは春の木を植えろだってさ」
「波瑠の木?」
「そのはるじゃないよ。季節の春だ」
「春の木……桜か何かですかね?」
「なんだろうな?」
「こんなところで桜咲いてたらむしろ綺麗で良いかもな」
八階のフェンリルの卵を守れは割と分かりやすかったが春の木を植えろというのは抽象的で分かりにくい。
春の木がなんなのかも分からないし、植えろというがどこにどうやってなのかも謎である。
九階のシークレットクエストも運良く遭遇できたらでいいだろうと圭たちはアイスシープを探しに行くことにした。
体を温める効果時間も有限である。
探すのはシープ、つまりは羊である。
「ん、なんか雪動いてる?」
「うーん? ……あれがアイスシープじゃないか?」
ところどころ雪の積もった木が生えている程度で真っ白な世界は平坦で視界は開けている。
波瑠が離れたところに動く雪玉のようなものを見つけた。
モゾモゾと進んでいてみんなして目を凝らして見てみるとただの白い塊じゃなくて黒い顔のようなものがあった。
二つ縦に重ねれば雪だるまにもなりそうな白い塊はアイスシープであった。
圭たちに気づかずに歩いているアイスシープは意外と可愛い。
全身を白い毛で覆われているがモコモコとしていて丸く、雪と見間違うほどである。
そんな中で顔は黒く目立っていて、頭に氷のような青い半透明のツノが生えていた。
『アイスシープ
真白な毛に覆われた羊。
毛の保温性、断熱性は非常に高く、過酷な寒冷地であっても体を温かく保つことができる。
可愛らしい見た目に反して好戦的で他の生き物を見つけるとすぐに襲いかかってくる。
頭の角を利用した突進攻撃だけでなく氷の魔法も操る。
魔石は割といける。
ひんやりしてて体が冷える感じがする。
ただこいつの場合肉を食った方が美味いかもしれない』
「氷の魔法も使ってくるみたいだな」
一応真実の目でアイスシープのことを確認しておく。
ここまでの階の属性系のモンスターが炎や水を駆使して戦ってきたことを考えると予想はついていたけれど、アイスシープも氷を使って戦ってくるようだった。
カレンはビンを開けて匂いを嗅ぐ。
想像していたよりも爽やかな匂いがしている。
「ちゃんとした会社の良いやつだからな。まだ飲むなよ? 飲んだら八階で死んじゃうからな」
こうした体を温めたり冷やしたりするドリンクはいくつかの会社から出ている。
魔物の素材やダンジョンで採れる植物なんかから作られているのだが会社によって使われるものや製法が違う。
そのために効果の高さ、味に至るまで違いが出てくるのである。
圭が今回購入したのは某有名製薬会社製のものだった。
ネットでの評判が良かったもので、値段はお高めとなるが効果は高く持続時間も長い。
さらには味も良くて飲みやすいとコメントがあった。
体を温めるといったらスパイス的なものや辛いものというイメージもある。
そうした辛い味のタイプのドリンクも存在していて、それは体を温める効果が高いらしい。
ただすごく辛いようなので今回は買うのをやめておいた。
カレンはちょっとドリンクの効果や味が気になっているようだけど今飲んでしまうと熱い八階を通る時に苦労することになる。
「分かってるよ」
今は服も着込んでいる。
熱い中を熱い服装で温まった体で進むなんてたとえエントランスまでの短い距離だとしても危険な行為である。
「んじゃ行こうか」
準備を整えた圭たちは再び塔の中に入っていった。
何度も見た踏破済みの階を通って登っていき、熱さがキツい八階はやや早めに抜けて九階までやってきた。
「うひょー! 相変わらずさみーな!」
吐き出す息が白く、息を吸い込むたびに胸が冷たさで痛くなる。
吹雪いているわけでもない穏やかな状況なのに鋭い刃のように空気が冷えていた。
「八階と九階行ったり来たりしたら簡易サウナになりそうだねぇ」
「そんなことしたら体壊しちゃいますよ……」
「とりあえず体冷えちゃう前に飲んでおこう」
圭は持ってきていた体を温めるドリンクをみんなに渡す。
ビンを開けてグイッと飲み干す。
「ん……ハチミツレモンみたいな味して……おおっ?」
味は意外と美味しい。
カレンが言うようにハチミツレモンのような味がしてかなり飲みやすかった。
効果はすぐに現れた。
お腹の中がポワッと温かくなって熱が全身に広がっていく。
外気温の肌寒さはあるものの、その寒さが体の中にまで入ってこないような感じがある。
「わあ……すごいね」
凍えてしまいそうな寒さだったのに少し寒いぐらいにまで落ち着いた。
これならモンスターと戦って体を動かしていれば全く活動に問題はない。
「それとこれも使って」
「おっ、悪いな」
圭は持ってきていた荷物の中からさらに耳当てを取り出した。
どうしても耳なんかは冷えてしまうのでドリンクで体を温めていても防寒の必要がある。
戦う最中にもズレいにくいピッタリとしたタイプの耳当てを事前に人数分用意していた。
「手袋もあるぞ」
「私はいいかな」
「僕はもらいます」
ちゃんと手袋も用意してきた。
動きの邪魔になりにくいように薄手のものだけどちゃんと温かい手袋を買っていた。
少し体温が高めなカレンは手袋はいらないと言ったが薫は圭から手袋を受け取って身につけていた。
「それで今回の試練は……」
『アイスシープを倒せ!
アイスシープ 0/30
シークレット
春の木を植えろ!』
「今度はアイス……」
「やっぱり属性系のモンスターを数こなすことが求められてるな」
やはりモンスターとの戦いや特殊な環境に慣れさせようとしていると感じる。
「シークレットは春の木を植えろだってさ」
「波瑠の木?」
「そのはるじゃないよ。季節の春だ」
「春の木……桜か何かですかね?」
「なんだろうな?」
「こんなところで桜咲いてたらむしろ綺麗で良いかもな」
八階のフェンリルの卵を守れは割と分かりやすかったが春の木を植えろというのは抽象的で分かりにくい。
春の木がなんなのかも分からないし、植えろというがどこにどうやってなのかも謎である。
九階のシークレットクエストも運良く遭遇できたらでいいだろうと圭たちはアイスシープを探しに行くことにした。
体を温める効果時間も有限である。
探すのはシープ、つまりは羊である。
「ん、なんか雪動いてる?」
「うーん? ……あれがアイスシープじゃないか?」
ところどころ雪の積もった木が生えている程度で真っ白な世界は平坦で視界は開けている。
波瑠が離れたところに動く雪玉のようなものを見つけた。
モゾモゾと進んでいてみんなして目を凝らして見てみるとただの白い塊じゃなくて黒い顔のようなものがあった。
二つ縦に重ねれば雪だるまにもなりそうな白い塊はアイスシープであった。
圭たちに気づかずに歩いているアイスシープは意外と可愛い。
全身を白い毛で覆われているがモコモコとしていて丸く、雪と見間違うほどである。
そんな中で顔は黒く目立っていて、頭に氷のような青い半透明のツノが生えていた。
『アイスシープ
真白な毛に覆われた羊。
毛の保温性、断熱性は非常に高く、過酷な寒冷地であっても体を温かく保つことができる。
可愛らしい見た目に反して好戦的で他の生き物を見つけるとすぐに襲いかかってくる。
頭の角を利用した突進攻撃だけでなく氷の魔法も操る。
魔石は割といける。
ひんやりしてて体が冷える感じがする。
ただこいつの場合肉を食った方が美味いかもしれない』
「氷の魔法も使ってくるみたいだな」
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