人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
380 / 515
第八章

アツアツ、モフモフ2

しおりを挟む
 また暑い場所なのかとみんな不満そう。
 波瑠はまだ八階に来たばかりなのにもう暑さにやられているような顔をしていた。

「私にもやって~」

「しょうがないねぇ」

「ありがとぉ~」

 相変わらず夜滝は氷と風の魔法をミックスして魔法クーラーで涼んでいた。
 波瑠が死にそうな顔をするものだから冷風を当ててやると猫のように目を細める。

「ふっふっ、ただ今回は秘密兵器ありだ」

 前回で過酷さを分かっているので余計に辛く感じられる。
 
 圭はニヤリと笑うと荷物の中から小瓶を取り出した。
 
 中にはブルーハワイのようなきれいな青い液体が入っている。

「それは?」

「クールダウンドリンクだ」

「クールダウンドリンク?」

「ああ、九階では体を温めるためのドリンク、飲んだだろ? あれの逆バージョン。今度は体を冷やすドリンクだ」

 以前は八階を攻略する時は服を脱いで何とか凌ぎつつレッドフォックスを倒し、九階では厚着をしながら体を温める効果のあるドリンクを飲んで攻略した。
 体を温める効果を持つドリンクがあるのならば体を冷やす効果を持つドリンクもある。

 以前買った体を温めるドリンクと同じ製薬会社が出しているドリンクを今回買ってきた。
 いかにも体が冷えそうな氷のデザインが描かれたラベルが貼られた小瓶を波瑠に渡す。

「うん……意外悪くない……ちょっとラムネっぽい味かな?」

 お菓子のラムネのような味がする。
 不味くはないけれどそんなにごくごく飲んでいたいものでもない。

 一応分類状は薬なので美味しく飲めるだけありがたくはあるのだけれども。

「あ、でもすごいですね」

 クールダウンドリンクの効果はすぐに現れた。
 飲んだそばから喉やお腹がスーッと冷たくなっていった。

 そして体の中が程よく冷えていって外は暑いのだけれどそれほど気にならないといった感じになった。
 クールダウンドリンクの効果に薫も驚いている。

「ジー……」

「フィーネも飲むか?」

「イイノ?」

「ああ、いいぞ」

 フィーネは周りの温度に左右されることがない。
 汗をかいたり体が冷えて動かなくなることもないのでドリンクで体を保護する必要はない。

 だけどみんなが飲んでいるのが羨ましいのかじっと小瓶を見ているので一本渡してやる。
 多めに持っているので一本ぐらいなら問題ない。

 寂しがり屋なフィーネのことだし一人だけ仲間はずれだというのも可哀想だ。

「プハァー! コノイッパイノタメニガンバッテル!」

「ふふっ、んなもんどこで覚えてくんだよ?」

 予想外の一言にカレンが吹き出してしまう。
 フィーネは時々不思議な言葉を使う。

 テレビや動画で見たものをいつか言おうとフィーネは狙っていたりするのだ。
 クールダウンドリンクのおかげで汗をかかないぐらいに体が冷えた。

 ドリンクの効果時間の問題もあるので早速動き出す。
 八階は過酷な環境なために塔を登ろうとする人以外にモンスターの狩場としては不人気な場所である。

 なのでクールダウンドリンクなどを用意して来ればモンスターを探して倒すのにはさほど苦労することもない。
 レッドフォックスを倒すのはゲートと塔を登る時の二回やっているので今回で三回目となる。

 自由に攻略をしていて同じモンスターと何回も戦うことは多くない。
 二回の戦いでも特に苦労した相手ではなかったのでレッドフォックスと戦うことにあまり緊張もなかった。

「んー、あっちにいるよ!」

「オッケー!」

 波瑠が空からレッドフォックスを捜索してくれる。
 背中に生えた翼を羽ばたかせて上手くバランスを取ってグルリと周りを見回している。

 ちょいちょいと飛ぶ練習を行なっていて戦いではない平常時なら比較的自由に飛べるようになっていた。
 戦いの時は戦いで激しく動きながらという必要があるのでまだもう少し慣れる必要がありそうだった。

「あれ?」

「波瑠、どうかしたか?」

 上を飛びながらついてきている波瑠が急に止まった。
 圭たちもそれに気づいて波瑠を見上げる。

「なんか……あっちに白いのが見えるんだ」

「白いの? なんだ?」

「ちょっと遠くて分かんない」

 キョロキョロとレッドフォックスを探していた波瑠は視界に白いものが見えて止まった。
 赤茶けた大地と赤いレッドフォックスの世界で輝くような真っ白なものはひどく目立っている。

「行ってみようか」

 八階において違和感のあるもの。
 これは当たりかもしれないと圭は思った。

 波瑠の案内で白いものの方に向かっていく。

「んー、あれはなんだろねぇ?」

 地上を歩く圭たちの目にも波瑠の言う白いものが見えてきた。

「卵……?」

「ああ、きっとそうだな」

 より近くまで行くと白いものの正体がハッキリとした。
 それは大きな卵であった。

『レッドフォックスを倒せ!
 レッドフォックス 30/30  クリア

 シークレット
 フェンリルの卵を守れ!』

 圭は改めて試練の確認をする。
 シークレットクエストはフェンリルの卵を守れというものである。

 フェンリルの卵がどんなものなのか分からなかったけれど真っ白で八階の世界に異質ないかにもな卵はどう見てもフェンリルの卵ってやつだろうと思った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!

雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。 その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。 主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

処理中です...