人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
426 / 515
第八章

潜入、暴食の悪魔の城5

しおりを挟む
 エレベーターの方向は異端審問官たちが戦っているのでその逆側から会場を出て階段を目指す。
 すでに逃げ出している人たちに混じって階段にたどり着いた圭たちは下の階に降りる。

「みんな、装備を」

「あら、いつの間にそんなものを?」

 階段の途中で立ち止まった圭はポケットの中から袋を取り出した。
 今時あまり見ないような手のひら大の小袋である。

 圭がその中に手を入れると中から盾が出てきた。
 袋のサイズを考えると中に入らないし、袋の口にすら通らないぐらいなのに不思議とニュルッと出てきたのである。

 かなみは驚いたように目を見開いた。

「亜空間の収納袋……かなり高価で珍しいものよ?」

 次々と袋の中から圭たちの装備品が出てくる。
 圭が持っている袋の中には見た目からは想像できないような空間が広がっている。

 亜空間と呼ばれる空間であり、亜空間の中に入るものなら重さも大きさも関係なく収納できてしまう魔道具である。
 船の中に装備品は持ち込めない。

 防具なら男の圭は服の下に隠してなんとかなりそうだが武器は無理だし、ドレスのみんなは隠してなどほとんど不可能である。
 そこで亜空間の収納袋に装備を入れてきた。

「どこでこんなもの手に入れてのかしら?」

「少し前にね」

 これは青龍ギルドから贈られたものだった。
 紅剣とアーティファクトや魔道具を交換することになった。

 リストが送られてきたのだが色々あって非常に迷った。
 そんな時にアザードのパーティーに潜入する必要が出てきた。

 潜入のために何が必要か考えた時に中で万が一戦いになった時のために装備が必要にだろうということになった。
 だがしかし船は警備がしっかりとしていてフィーネも船に入れるために包丁に擬態してもらったぐらいである。

 どうしようかと悩んでいたのだけどリストの中に亜空間の収納袋があることに圭は気がついた。
 亜空間の収納袋に入れれば装備品を中に持ち込むことができる。

 他にもいくつか装備を選んで圭は亜空間の収納袋を受け取り、紅剣を青龍ギルドのリーインに渡したのである。
 だから亜空間の収納袋には圭たちの装備が入れてあったのだ。

「ドレスのままなのは面倒だな……」

「でも仕方ないからな」

 一応みんな分の動きやすい服も持ってきている。
 しかし装備と違って服を着替えるのは手間であるし、何かの事態の時にドレスではない格好で武装していたら言い訳も難しくなる。

 異端審問官がどうするのか分からなくて着替える時間もないのでドレスに装備品という中途半端な格好で行動することにした。

「……あなたたちだけズルいわね」

 かなみはつまらなそうに口を尖らせる。
 圭たちだけ装備を持ち込んでいるのか羨ましいと思った。
 
 亜空間の収納袋が圭のところに届いたのは結構ギリギリで、かなみはちょうど覚醒者としてゲートを攻略している最中でもあった。
 かなみの装備品も持ち込むことができただろうけどタイミングが悪かったのだ。

「次からは圭君に私の大事なもの……預けておかなきゃね?」

「俺は金庫じゃないからな」

「金庫よりも圭君の方が安心だものね」

「そーいう問題じゃないと思うんだけどな……」

 圭が止められた階まで降りて角から様子をうかがう。
 今のところ見張りのようなものはいない。

 まずは止められたところの奥の部屋を目指してみる。

「圭君……あそこの部屋」

 奥まで来てみたけれど同じような表示もないドアが並んでいる。
 適当に一つ開けてみようとしたが鍵がかかっていた。

 破壊でもして調べていくしかないかと圭が渋い顔をしているとかなみが圭の服を引っ張った。

「あの部屋がどうかしたのか?」

 一番奥の突き当たりにある部屋をかなみは指差した。

「あそこから魔力を感じるわ」

 かなみは奥の部屋から強い魔力を感じていた。

「ピピ……イヤナケハイ……」

 同時にフィーネも同じところから何かを感じ取っている。

「……行ってみよう」

 かなみとフィーネが何かを感じ取っているということは少なからず何かはある。
 奥の部屋のドアの前に立つと確かになんだか背筋がビリビリとするような嫌なものを感じる。

「カレン、頼むぞ」

「分かった」

 カレンが盾を構えてドアの前に立つ。
 後ろに圭が剣を構え、ドア横にフィーネが大鎌を構えて待機する。

 そっとカレンがドアに手を伸ばす。
 ドアノブを押し下げてわずかに引いてみると鍵はかかっていないようでうっすらドアが開く。

「いくぞ……」

「いつでも大丈夫だ」

「せー……の!」

 カレンがドアを開けて盾に身を隠しながら中に入る。
 フィーネが後に続いて圭も中に入る。

「……なんだ、ここは?」

 入ってすぐに敵はいなかった。
 罠なんかもなかったのだけど、予想外の光景にカレンのみならず圭も後から入ってきたみんなも呆然としてしまった。

「まるで中世の地下牢のようだねぇ」

 ドアの向こうには石造りの廊下が広がっていた。
 左右には鉄格子の部屋が等間隔にあって、夜滝の言うように牢屋のように見えた。

 天井に明かりはなく壁につけられた松明が廊下の中を照らしている。

「ここは、なんなんだ……?」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

勇者辞めます

緑川
ファンタジー
俺勇者だけど、今日で辞めるわ。幼馴染から手紙も来たし、せっかくなんで懐かしの故郷に必ず帰省します。探さないでください。 追伸、路銀の仕送りは忘れずに。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!

雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。 その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。 主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

処理中です...