人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

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第九章

門を探して1

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「うわあああああっ!」

 黒い地面がだんだんと迫ってくる。
 波瑠なら飛べるのだろうが翼のない圭では手足をばたつかせても落ちる速度が緩やかにすらならない。

 死ぬ。
 そう思った。

 ブワッとこれまでのことが思い出されて、こんなところで死んでしまうのかという思いが残る。

「まだ……死ねない!」

 きっとみんなも帰りを待っている。
 少しでも生存の可能性を高めようと圭は腕をクロスさせて体を守ろうとした。

「安心せい」

 ルシファーの声がすぐそばで聞こえた。

「おおっ!?」

 圭の体が風に包まれた。
 落ちる速度がどんどんと低下していって黒い地面が目の前に迫った時にはゆっくりと手を伸ばして着地できるほどになっていた。

「私がお主を殺すはずなかろう?」

 落下の速度を緩やかにしてくれたのはルシファーの魔法であった。

「そ、それはいいけどこうなるなら先に言っといてくれよ……」

「はははっ! 楽しくてよかったではないか!」

「ピピ! モウイッカイ!」

「俺は勘弁願いたいな……」

 ルシファーは高らかに笑い、フィーネも圭の服の中でキャッキャとしている。
 圭は走馬灯を見るほどに怖かったのだけどルシファーとフィーネにとってはちょっとしたアトラクションのようなものだったらしい。

 せめて事前にこうなると言ってくれていれば心の準備もできたのにと思わざるを得ない。

「他の二人は……」

「悪魔めぇぇえ! ぎゃっ!」

「ふんっ!」

 ジャンは結構な勢いで地面に落ちた。
 そしてダンテは足で着地して地面が大きく陥没した。

「ジャ、ジャンさん!?」

 ダンテの方は無事そうであるがジャンの方はかなり危険な落ち方をしたように見えた。

「くぅ……」

「大丈夫ですか?」

「こんなことになると事前に言っておいてほしかったものだな……」

 ジャンは圭と同じ感想を抱いていた。

「ふん、死なぬ程度には助けてやった。ありがたく思え」

 ジャンも何もなく落下したのではない。
 ルシファーが圭にやったように魔法で補助していた。

 ただし圭ほど強く魔法は使わなかったのでそれなりの速度のまま落下したのである。

「まあこれで死ぬならそれまでだったということよ」

 死んだら死んだでも構わない。
 それぐらいの微妙なラインでの落下速度の緩和であった。

 一方でダンテはルシファーの補助を受けて空中で姿勢を整えて着地した。
 ジャンもあれぐらいやってみせればいいのにとルシファーは思っていた。

「手を」

「ありがとう……くそっ」

 圭の手をとってジャンが立ち上がる。
 かなりの衝撃がありそうな落ち方をしたもののジャンは強い痛みぐらいで怪我もなかった。

 流石はA級覚醒者である。

「ここは……第二階層なのか?」

 圭は周りの様子を見回す。
 空から落ちてきたということはもしかしたら噴出口から飛び出してそのまま落ちたのではないかとすら思う。

 しかし遠くからでも目立って見えた大穴はどこにも見えない。
 周りのようにあまり大きな変化は見られず、灰色の空が少し明るくなったかなという程度の違いしか見られない。

「うむ、しかと第二階層についておるぞ」

「そんなに違いもないんだな」

「階層として分かれているが世界としては同じ。ただここの方が魔力が薄い。下の階層に魔力が濃くて弱い悪魔では耐えられんのだ」

 なんとも不思議な体験であったけれども無事に第二階層にたどり着いたらしい。
 空を突き抜けたというのか、いまだにどうやって第二階層にたどり着いたのか謎でならない。

「ふーん……まあとりあえずあとは門ってやつを探せばいいんだよな?」

「そうなるな。だが私も門の場所は知らん。どこかで聞かねばならんな」

「聞くってどこで……」

「あちらの方に町が見えた」

 ダンテがある方向を見た。
 圭もその方向を見てみるけれど何も見えない。

「どこに?」

「落ちている時に見た。距離は分からないがあちらの方向だ」

 ルシファーの補助を受けていち早く空中で体勢を立て直したダンテには周りを見る余裕もあった。
 遠くの方に悪魔の町があった。

 少し前に見たものよりも規模は小さそうだが何もなく門を探すよりは少し希望がありそうだった。

「ならばそちらに向かおう」

 門の情報収集もそうだし門がどこにあるのかという情報も必要になる。
 ルシファーがそれを知らない以上他の悪魔からそれを聞き出すしかない。

 あまり悪魔の町に立ち寄ることは乗り気しないけれども悪魔が集まる町なら情報も集まるのでそこに寄って情報収集するしかない。

「圭」

「なんですか?」

「食料はどんなものがある?」

「どれだけ物が入るのか確かめようと色々と入れたから結構なんでも入ってるよ。流石に生物は入ってないけど日持ちする缶詰やカップ麺、レトルトなんかがある。あっ、あとは船の中で出された料理で持ち帰れた物も今はあるな」

「それらのものは使っても構わないか?」

「もちろん使うためのものだからね。食べるのか?」

「いいや、取引に使う」

「取引?」

 圭は首を傾げる。

「悪魔がタダで情報をくれると思うか? そんな気のいい悪魔などおらん。情報が欲しければ対価を払うか、暴力かだ。暴力でも構わんが暴れて他の悪魔に目をつけられてもかなわん」

「つまり食料を交渉材料にするんだな」

「その通り」

 そんなことならいくらでも使ってくれて構わない。

「食料があってよかった。話がスムーズに進みそうだ」

 なかったら暴力しか方法はなかった。
 第二階層の悪魔相手ならダンテ一人でも全く問題なく制圧できるだろうが、悪魔にも秩序を守ろうとする存在はいて暴れすぎると目をつけられる。

「町が見えてきたな」

 ジャンが目を細めるようにして先の方を見ている。
 まだ距離はあるものの町があった。
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