451 / 515
第九章
影響ここにもあり3
しおりを挟む
「ともあれ事情を聞こう」
「でもあいつらは何も話してくれませんよ? 周りにいる悪魔は何も知らないようですし」
力づくでの突破は最終手段である。
封鎖の中で何が起きているかも分からないのに無理に突破していくことはできない。
やはり情報が必要であるとルシファーは言う。
しかしここまで封鎖されているところを回ってきてどこも様子は同じで、封鎖の近くにいる悪魔に声をかけても封鎖している悪魔に声をかけても情報は得られなかった。
「いかに真面目に仕事しているように見えても悪魔は悪魔。人とは違う」
「どういうことですか?」
「圭、まだ食料はあるよな?」
「もちろん、たくさんありますよ」
「いくらかくれてやればいい。人ならば応じないものもいるだろうけど悪魔なら応じてくれるだろうて」
ようするに悪魔に対して賄賂を渡して情報を引き出そうということなのである。
「なるほど、確かにそれなら話してくれそうですね」
正面から話を聞いてダメなら少し贈り物をしてやればいい。
こんなところにいる悪魔に責任感なんてものはないから賄賂を渡せば通ることはともかく話は聞かせてくれる。
「食料はまだあるから試してみようか」
封鎖をしている悪魔も事情を知らない可能性もある。
ダメで元々ぐらいのつもりで賄賂作戦を実行してみることにした。
悪魔が集まっているところは避けて他の悪魔がいない封鎖を狙う。
「なんだ、貴様!」
近づいてくる圭を見て悪魔が顔を険しくする。
四つ目がある猿のような顔をした体つきのいい悪魔で、ここまでくるとモンスターとの違いも分からなくなってくると圭は思った。
狭い通路なので封鎖をしている悪魔はこの猿の悪魔一体しかいない。
「門で何が起きてるんですか?」
「何もない! さっさと立ち去れ!」
「教えてくださるならタダでとは言いません」
「……むっ?」
そう言いながら圭が取り出したのはカンパンであった。
小さめの缶に入ったカンパンで長期保存もきくために袋の中に入れてあった。
「それは……」
「人間の食べ物です」
猿の悪魔が思わず生唾を飲んだのを圭は見逃さなかった。
「教えてくださるならこれを……二つ差し上げます」
「ふ、二つもだと……」
動揺した猿の悪魔はペロリと舌で口を舐める。
人間の食べ物の味を想像したのだ。
「……いらないなら」
「いや待て!」
「もし。もしそれを渡されたら俺は独り言を呟いてしまうかもしれない」
誰も見ていないと油断はできない。
しかし人間の食べ物が欲しい猿の悪魔は機会を逃すこともできなかった。
「これは聞いた話で……今俺はただ独り言を言っているだけだ」
圭からカンパンの缶を二つ受け取った猿の悪魔はニヤニヤとしながら大声で独り言を言い始めた。
「少し前、急に門の様子がおかしくなった。ガタガタと門が揺れ出して内側から何かがぶつかるような音がしていたんだ。調べてみるとどこかのバカが現世と魔界繋げ、その通り道を崩壊させたらしい」
どこかのバカってベルゼブブのことだろうなと圭は思った。
「現世と繋がる通り道が崩壊したことで同じく現世に繋がる門にも影響が出ていたんだ。何が起きてるのか分からなかったが……あまりにも門の中から音がするものでモルデベルド様が門を開けて確認しようとしたんだ」
「それで?」
「門を開けてみると中からデカい金属の塊が飛び出してきたんだ。なんだったか……人間の…………船? だがなんだかの残骸らしい。飛び出してきた時に巻き込まれて死んだ奴もいる」
「ふむ。流入現象が門の方にも起きていたらしいな」
「そして門の中からあの紫の奇妙な魔力が漏れ出している。あれも門の一部らしくて触れると途端に体がどこかに飛んでしまう。今門は現世にも繋がっているが不安定で魔界全体のどこかにも繋がっている状態なんだ。だから他の悪魔を近づけさせない」
ベルゼブブが作り出した現世と魔界の繋がりが崩壊した。
一応感覚的には現世と魔界の間にも空間というか、世界のような狭間があるらしい。
ベルゼブブが作り出した入り口にも現世と魔界の狭間があって、現世と繋がる門の中にも狭間がある。
そしてその狭間はどちらのものも繋がっているらしくてベルゼブブが作り出した方の狭間の崩壊の影響を門が受けていた。
結果としてベルゼブブの作り出した入り口で吸い込まれた船の残骸が門から飛び出してきたのである。
そして崩壊した狭間は門の外にも漏れ出した。
紫の雲が狭間の一部で触れると魔界や現世に飛ばされてしまうようだった。
「原因は分からない。モルデベルド様にもだ。だから原因が分かってどうにかできるか、あれが収まるまで門には近づけない」
なぜ狭間が崩壊を起こし、なぜ狭間が漏れ出して、なぜ狭間に触れるとどこかに飛ばされてしまうのか。
全てが初めてのことで悪魔たちにもその原因は分かっていなかった。
ただ触れると飛ばされるのは触れた部分だけになって腕が消し飛んだ悪魔なんてものもいて、流石に危険極まりないようである。
「門にも詳しい魔学者が来て調査してる……その話では人間時間で100年もあれば元に戻るらしい」
「100年!?」
悪魔はなんでこともないように100年などと口にしたが圭たちにとって100年など生きてはいられない。
「でもあいつらは何も話してくれませんよ? 周りにいる悪魔は何も知らないようですし」
力づくでの突破は最終手段である。
封鎖の中で何が起きているかも分からないのに無理に突破していくことはできない。
やはり情報が必要であるとルシファーは言う。
しかしここまで封鎖されているところを回ってきてどこも様子は同じで、封鎖の近くにいる悪魔に声をかけても封鎖している悪魔に声をかけても情報は得られなかった。
「いかに真面目に仕事しているように見えても悪魔は悪魔。人とは違う」
「どういうことですか?」
「圭、まだ食料はあるよな?」
「もちろん、たくさんありますよ」
「いくらかくれてやればいい。人ならば応じないものもいるだろうけど悪魔なら応じてくれるだろうて」
ようするに悪魔に対して賄賂を渡して情報を引き出そうということなのである。
「なるほど、確かにそれなら話してくれそうですね」
正面から話を聞いてダメなら少し贈り物をしてやればいい。
こんなところにいる悪魔に責任感なんてものはないから賄賂を渡せば通ることはともかく話は聞かせてくれる。
「食料はまだあるから試してみようか」
封鎖をしている悪魔も事情を知らない可能性もある。
ダメで元々ぐらいのつもりで賄賂作戦を実行してみることにした。
悪魔が集まっているところは避けて他の悪魔がいない封鎖を狙う。
「なんだ、貴様!」
近づいてくる圭を見て悪魔が顔を険しくする。
四つ目がある猿のような顔をした体つきのいい悪魔で、ここまでくるとモンスターとの違いも分からなくなってくると圭は思った。
狭い通路なので封鎖をしている悪魔はこの猿の悪魔一体しかいない。
「門で何が起きてるんですか?」
「何もない! さっさと立ち去れ!」
「教えてくださるならタダでとは言いません」
「……むっ?」
そう言いながら圭が取り出したのはカンパンであった。
小さめの缶に入ったカンパンで長期保存もきくために袋の中に入れてあった。
「それは……」
「人間の食べ物です」
猿の悪魔が思わず生唾を飲んだのを圭は見逃さなかった。
「教えてくださるならこれを……二つ差し上げます」
「ふ、二つもだと……」
動揺した猿の悪魔はペロリと舌で口を舐める。
人間の食べ物の味を想像したのだ。
「……いらないなら」
「いや待て!」
「もし。もしそれを渡されたら俺は独り言を呟いてしまうかもしれない」
誰も見ていないと油断はできない。
しかし人間の食べ物が欲しい猿の悪魔は機会を逃すこともできなかった。
「これは聞いた話で……今俺はただ独り言を言っているだけだ」
圭からカンパンの缶を二つ受け取った猿の悪魔はニヤニヤとしながら大声で独り言を言い始めた。
「少し前、急に門の様子がおかしくなった。ガタガタと門が揺れ出して内側から何かがぶつかるような音がしていたんだ。調べてみるとどこかのバカが現世と魔界繋げ、その通り道を崩壊させたらしい」
どこかのバカってベルゼブブのことだろうなと圭は思った。
「現世と繋がる通り道が崩壊したことで同じく現世に繋がる門にも影響が出ていたんだ。何が起きてるのか分からなかったが……あまりにも門の中から音がするものでモルデベルド様が門を開けて確認しようとしたんだ」
「それで?」
「門を開けてみると中からデカい金属の塊が飛び出してきたんだ。なんだったか……人間の…………船? だがなんだかの残骸らしい。飛び出してきた時に巻き込まれて死んだ奴もいる」
「ふむ。流入現象が門の方にも起きていたらしいな」
「そして門の中からあの紫の奇妙な魔力が漏れ出している。あれも門の一部らしくて触れると途端に体がどこかに飛んでしまう。今門は現世にも繋がっているが不安定で魔界全体のどこかにも繋がっている状態なんだ。だから他の悪魔を近づけさせない」
ベルゼブブが作り出した現世と魔界の繋がりが崩壊した。
一応感覚的には現世と魔界の間にも空間というか、世界のような狭間があるらしい。
ベルゼブブが作り出した入り口にも現世と魔界の狭間があって、現世と繋がる門の中にも狭間がある。
そしてその狭間はどちらのものも繋がっているらしくてベルゼブブが作り出した方の狭間の崩壊の影響を門が受けていた。
結果としてベルゼブブの作り出した入り口で吸い込まれた船の残骸が門から飛び出してきたのである。
そして崩壊した狭間は門の外にも漏れ出した。
紫の雲が狭間の一部で触れると魔界や現世に飛ばされてしまうようだった。
「原因は分からない。モルデベルド様にもだ。だから原因が分かってどうにかできるか、あれが収まるまで門には近づけない」
なぜ狭間が崩壊を起こし、なぜ狭間が漏れ出して、なぜ狭間に触れるとどこかに飛ばされてしまうのか。
全てが初めてのことで悪魔たちにもその原因は分かっていなかった。
ただ触れると飛ばされるのは触れた部分だけになって腕が消し飛んだ悪魔なんてものもいて、流石に危険極まりないようである。
「門にも詳しい魔学者が来て調査してる……その話では人間時間で100年もあれば元に戻るらしい」
「100年!?」
悪魔はなんでこともないように100年などと口にしたが圭たちにとって100年など生きてはいられない。
14
あなたにおすすめの小説
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!
雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。
その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。
主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる