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第九章
憤怒の悪魔1
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「人間の食べ物……美味しいね」
「そうね。私もあまり食べ物なんて要求したことなかったけどこれなら要求してくればよかったわ」
サタンの城もすぐに着くような場所にはなかった。
生きていればお腹も空いてしまう。
疲れもするので休憩をする。
圭たちは食事を摂るのだが悪魔は別に何も食べなくても生きていける。
けれどもシャリンが食事する圭のことを穴が開くほどに見つめるので少し離れてほしいという意味もあって食料を分けてあげた。
特別に今回は船の中で提供されたものを出した。
不思議なことに亜空間は時間の流れが外部と遮断されているらしくて取り出した料理はまだ熱を持ったままであった。
常識では考えられないけれども魔道具を常識で測ることもできないのだからラッキーぐらいで圭はそれを受け入れた。
料理を食べたシャリンは目を輝かせた。
食事を必要ともしない悪魔であり、今現在の人間世界は神々のゲームのせいで進出できる悪魔も力を持った悪魔のみとかなり限られた状況にもなっている。
そのために昔のように適当に悪魔を呼び出すなんてことはほとんどなくなり人の食べ物を入手できる機会も減っていた。
悪魔として生まれて日の浅いシャリンが人に呼び出されることなんてなかったので人の食べ物を食べるのも初めてだった。
まして圭からもらったものとなれば味は格別だ。
クォカドオーンは準魔王レベルの力を持った悪魔であって人間に呼び出されたこともある。
ただそんな悪魔が食べ物寄越せと要求するわけもなくクォカドオーンも人の食べ物を食べたのは初めてであった。
もし次に呼び出されることがあったら山ほどの食べ物を要求してもよさそうだとクォカドオーンは思った。
「こんなものがたくさんあるの?」
「んー、まあ特別美味しい方かな。他にはこうしたものもあるよ」
船の中で出された料理は世界を見ても上の方に入る美味しいものだろう。
それを基準とされても少し困ると圭は保存食の方もいくつか取り出す。
「うん、これも美味しい!」
料理ほどではなくとも最近の保存食はかなりクオリティが上がっている。
ご飯系のものもちょっとした甘いもの系のものもシャリンは嬉しそうに食べていた。
「……人間の世界、楽しそうだな」
ーーーーー
「あれがサタンの城……」
第二階層よりも少し暗めな第四階層を進んでいくと遠くにお城が見えてきた。
ベルゼブブの城よりは小さいがすごく荘厳さを感じさせる立派なお城であった。
「魔界においても古い城の一つだ。見たら分かると思うがわざわざ人間の世界からちゃんとした石を運ばせて作っている」
「ああ、確かに」
違和感があるなと思った。
ルシファーの言葉を聞いてようやく違和感の正体に気がついた。
サタンの城は黒くないのだ。
この世界の建物は形こそ人間のものを真似ていて見た目はそれっぽくできているのだが材料がないためにそこらにある黒い土や岩を利用している。
だから建物は全体的に黒いのだ。
対してサタンの城は普通の岩を切り出したもので出来ているようでどこかで見たようなお城がそのまんま再現されている。
周りが黒っぽいこの世界では余計に白く見える。
「あの城の裏手に門があるんだな」
「そのはずよ」
「……近づいても大丈夫なのか?」
今のところサタンの城はなんの変哲もないただの城に見える。
特に見張りなんかもおらず近づくだけなら大丈夫そうにも思えた。
「分からん。あやつがどうするかはあやつしか分からんからな。気づいてるのか気づいてないのか……興味もなく放置しているのか、あるいはこちらに悟られぬように注視してるやもしれん」
サタンの城がありサタンの領域であるがよほどのことがない限り領域を封鎖して他の悪魔を締め出すことはない。
支配は及ぶが魔界は悪魔全体のものなのである。
だから圭たちがサタンの居城に近づいても何も言われない可能性もある。
サタンが周りの悪魔に一切注意を払わず圭たちの存在を全く気にしないなんてこともあり得る。
一方でサタンが圭たちに気づいていて泳がせていることや静かにただ見ている可能性もあった。
サタンが圭たちに気づいているのかも分からない。
気づいていたとしてどんな行動を取るのかと分からない。
「とりあえず距離を保ったまま城の後ろを見てみようか」
「その方がいいな」
城の裏手に門があるという。
ならば裏に回れば門が見えるはず。
圭たちは城との距離を保ったまま裏の方に回り込んでいく。
「あれが門かな?」
「そのようだな」
城から少し離れたところに古びた巨大な門があった。
城とは違う石で作られていて異質な感じが強い。
「門番がいるな」
門の前に座り込んでいる悪魔がいてダンテは目を細めた。
ヤギのような頭が二つあり座っていても圭たちよりも大きそうな巨大を持った悪魔であった。
いる場所といい、ゲームなら確実にボスクラスの雰囲気があるなと圭は感じていた。
一筋縄ではいかなそうだが第二階層の門と違って紫の煙が上がったりなんかしていない。
「話……通じるかな?」
門を使わせてもらえるなら今ある食料を全部渡してもいい。
交渉で終われるならそれが一番いい。
「そうね。私もあまり食べ物なんて要求したことなかったけどこれなら要求してくればよかったわ」
サタンの城もすぐに着くような場所にはなかった。
生きていればお腹も空いてしまう。
疲れもするので休憩をする。
圭たちは食事を摂るのだが悪魔は別に何も食べなくても生きていける。
けれどもシャリンが食事する圭のことを穴が開くほどに見つめるので少し離れてほしいという意味もあって食料を分けてあげた。
特別に今回は船の中で提供されたものを出した。
不思議なことに亜空間は時間の流れが外部と遮断されているらしくて取り出した料理はまだ熱を持ったままであった。
常識では考えられないけれども魔道具を常識で測ることもできないのだからラッキーぐらいで圭はそれを受け入れた。
料理を食べたシャリンは目を輝かせた。
食事を必要ともしない悪魔であり、今現在の人間世界は神々のゲームのせいで進出できる悪魔も力を持った悪魔のみとかなり限られた状況にもなっている。
そのために昔のように適当に悪魔を呼び出すなんてことはほとんどなくなり人の食べ物を入手できる機会も減っていた。
悪魔として生まれて日の浅いシャリンが人に呼び出されることなんてなかったので人の食べ物を食べるのも初めてだった。
まして圭からもらったものとなれば味は格別だ。
クォカドオーンは準魔王レベルの力を持った悪魔であって人間に呼び出されたこともある。
ただそんな悪魔が食べ物寄越せと要求するわけもなくクォカドオーンも人の食べ物を食べたのは初めてであった。
もし次に呼び出されることがあったら山ほどの食べ物を要求してもよさそうだとクォカドオーンは思った。
「こんなものがたくさんあるの?」
「んー、まあ特別美味しい方かな。他にはこうしたものもあるよ」
船の中で出された料理は世界を見ても上の方に入る美味しいものだろう。
それを基準とされても少し困ると圭は保存食の方もいくつか取り出す。
「うん、これも美味しい!」
料理ほどではなくとも最近の保存食はかなりクオリティが上がっている。
ご飯系のものもちょっとした甘いもの系のものもシャリンは嬉しそうに食べていた。
「……人間の世界、楽しそうだな」
ーーーーー
「あれがサタンの城……」
第二階層よりも少し暗めな第四階層を進んでいくと遠くにお城が見えてきた。
ベルゼブブの城よりは小さいがすごく荘厳さを感じさせる立派なお城であった。
「魔界においても古い城の一つだ。見たら分かると思うがわざわざ人間の世界からちゃんとした石を運ばせて作っている」
「ああ、確かに」
違和感があるなと思った。
ルシファーの言葉を聞いてようやく違和感の正体に気がついた。
サタンの城は黒くないのだ。
この世界の建物は形こそ人間のものを真似ていて見た目はそれっぽくできているのだが材料がないためにそこらにある黒い土や岩を利用している。
だから建物は全体的に黒いのだ。
対してサタンの城は普通の岩を切り出したもので出来ているようでどこかで見たようなお城がそのまんま再現されている。
周りが黒っぽいこの世界では余計に白く見える。
「あの城の裏手に門があるんだな」
「そのはずよ」
「……近づいても大丈夫なのか?」
今のところサタンの城はなんの変哲もないただの城に見える。
特に見張りなんかもおらず近づくだけなら大丈夫そうにも思えた。
「分からん。あやつがどうするかはあやつしか分からんからな。気づいてるのか気づいてないのか……興味もなく放置しているのか、あるいはこちらに悟られぬように注視してるやもしれん」
サタンの城がありサタンの領域であるがよほどのことがない限り領域を封鎖して他の悪魔を締め出すことはない。
支配は及ぶが魔界は悪魔全体のものなのである。
だから圭たちがサタンの居城に近づいても何も言われない可能性もある。
サタンが周りの悪魔に一切注意を払わず圭たちの存在を全く気にしないなんてこともあり得る。
一方でサタンが圭たちに気づいていて泳がせていることや静かにただ見ている可能性もあった。
サタンが圭たちに気づいているのかも分からない。
気づいていたとしてどんな行動を取るのかと分からない。
「とりあえず距離を保ったまま城の後ろを見てみようか」
「その方がいいな」
城の裏手に門があるという。
ならば裏に回れば門が見えるはず。
圭たちは城との距離を保ったまま裏の方に回り込んでいく。
「あれが門かな?」
「そのようだな」
城から少し離れたところに古びた巨大な門があった。
城とは違う石で作られていて異質な感じが強い。
「門番がいるな」
門の前に座り込んでいる悪魔がいてダンテは目を細めた。
ヤギのような頭が二つあり座っていても圭たちよりも大きそうな巨大を持った悪魔であった。
いる場所といい、ゲームなら確実にボスクラスの雰囲気があるなと圭は感じていた。
一筋縄ではいかなそうだが第二階層の門と違って紫の煙が上がったりなんかしていない。
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