人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

文字の大きさ
461 / 515
第九章

憤怒の悪魔2

しおりを挟む
 少し様子を見ていてもみじろぎ一つする気配もないので圭たちは双頭の悪魔に近づいてみることにした。

「門に近づくな!」

 空気が振動していることが感じられるほどの低い声が響き渡る。
 双頭の悪魔が四つの目を開いて圭たちのことを見る。

「門はサタン様の管理下にある。利用はおろか近づくことも許されてはいない」

「悪魔がそんなルールに従うとでも?」

「サタン様のお怒りを買いたいなら好きにするがいい」

「少し門を見てみたいだけなんです。それもダメなんですか?」

「遠くから眺めるといい。それぐらいお許しになられる」

 双頭の悪魔はいかにも融通が効かなそうな雰囲気がある。

「これでどうですか? 人間の食べ物です」

 なんとなく無駄かもしれないと思いながら食べ物を出して見せてみる。
 ほんのわずかに目を細めたもののこれまで他の悪魔が見せてきたような高揚したようなリアクションは見られない。

 興味がないわけではなさそうだけどよほどサタンからの命令が大事なようだ。
 もう少し食べ物を追加して近づくだけならサタンにもバレないと説得を試みてみるが、双頭の悪魔はそれでも門に近づくことはダメだという。

「ダメそうだな」

「ここまでで一番頑なだ」

 ルシファーは思わずため息をつき、ダンテはやれやれと首を振った。

「ケイがこんなにお願いしてるのに……」

 圭が帰ってしまうのは嫌だけど、圭がお願いしているのに無視する双頭の悪魔も許せないとシャリンは怖い目をしている。

「相手の強さ的にはどうだ?」

「準魔王レベルに劣るぐらいかの」

 こうなったら強行突破しかない。
 倒す、あるいは倒せなくとも門まで辿り着ければ鍵を使って門を開けることができるかもしれない。

「どうにか突破してみようか」

 仕切り直して作戦を練ろうにも城の裏手は身を隠すようなものがなく結局正面突破になってしまう。
 あとでやろうと今やろうと変わりがないのならさっさと帰りたい。

「……サタン様を恐れぬ不遜者め」

 圭たちが武器を抜いて双頭の悪魔も戦うつもりなことを察する。
 双頭の悪魔が背負っていた二つの斧を手に取り立ち上がる。

 立つと双頭の悪魔はよりデカい。

「ケイ、やる?」

「うん、あいつを倒そうと思うんだ」

「任せて」

「サタン様に逆らおうとする不届ものがこの……」

 チュン、と音がした。
 それはシャリンが拳を振るった時に発せられた音で、双頭の悪魔は斧を振り上げたまま上半身が消し飛んでしまっていた。

「どう? すごい?」

「…………す、すごいな……」

「魔王レベルと準魔王レベルには大きな差がある。さらには準魔王レベルよりもしたなら勝てるはずがないだろうな」

 勝てるとかそんな次元の話ではない。
 拳一振りで強そうだった悪魔が消し飛んだのだ、圭はあまりのことに呆然としてしまった。

「褒めて褒めて!」

 シャリンが頭を差し出してきたので圭は呆然としながら頭を撫でてあげた。
 ダンテとジャンもシャリンの凄まじい破壊力に言葉もない。

「ピピ! フィーネモデキル!」

 そしてなぜかフィーネだけは対抗心を燃やしていた。

「と、とりあえず門番はいなくなったな」

 ぼんやりとしていても時間がもったいない。
 もしかしたらサタンにバレる可能性もあるので早くここから逃げ出してしまおうと圭たちは双頭の悪魔の下半身の奥に見える門に向かった。

「ええと……鍵を使うって……」

「お前ら何者だ」

「くっ!?」

「なんだ……!」

 門の前までやってきて、鍵をどう使えば門を開けられるのだろうかと悩んでいると急に上から押さえつけられるような圧力を感じた。
 圭のみならずダンテとジャン、クォカドオーンまで膝を屈して苦しそうな顔をしている。

 そんな中で平然としているのはシャリンとフィーネだけであった。

「ケイ、大丈夫?」

「マスター!」

 シャリンとフィーネが圭の心配をするけれど圭は顔を上げるどころか声すら発することができない。

「我が城の敷地を荒らしているのは何者だ」

 サタンの城の上から何かが降りてきた。
 高そうなスーツを着たシルバーカラーの髪をしたダンディーな年配の男性で、倒れた双頭の悪魔の下半身を見てわずかに眉をひそめた。

「サタンだ」

 圭の耳元でルシファーがささやいた。

「あれが……」

 なんとか顔を上げてサタンの姿を見る。
 品の良いおじさまという感じで悪魔には見えない。

 だが抗えぬ圧力に魔王級の悪魔であるということは間違いないと思えた。

「何が目的でこのようなことをした」

 サタンはシャリンのことを見ている。
 この中で一番強いのはシャリンであり、会話に応じるべきは一番強いシャリンであると思っている。

「あれ使わせて」

 シャリンは門を指差した。

「門を? なぜ?」

「人の世界に行く」

「はっ……門は単体では機能しない。門を開けるための鍵が必要なのだ」

「構わない。使わせて」

「……貴様、私が何者か分かっているのか?」

「知らない」

「……くく……あははっ!」

 魔王たる座を与えられたサタンを相手に乱雑な言葉遣いで知らないと言い放った。
 それが妙に面白くてサタンは笑った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

焔の幽閉者!自由を求めて最強への道を歩む!!

雷覇
ファンタジー
とある出来事で自身も所属する焔木一族から幽閉された男「焔木海人」。 その幽閉生活も一人の少女の来訪により終わりを迎える。 主人公は一族に自身の力を認めさせるため最強の力を求め続ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

処理中です...