42 / 301
第一章
ゴブリンは女王に捕まりました1
しおりを挟む
「クソッ……災難続きだな」
ドゥゼアは引きずられていた。
抵抗したくてもできない。
なぜなら全身を白い糸でぐるぐる巻きにされているからである。
ドゥゼアを引きずっているのは大きなクモだ。
「なあ、どこにいくんだよ?」
話しかけてもクモから返事はない。
ジジイからは逃げられたようなのにこれでは危機的なことに変わりがない。
こうなったのは少し前のこと。
ひたすらに逃げていたのだけど途中でジジイが追って来ていないことにドゥゼアは気がついた。
だから少し立ち止まり息を整えがてら肩に刺さったままだった矢を抜いた。
興奮状態にあるためかそんなに痛みも感じず抜くことができたが立ち止まってしまうと急に足がガクガクと疲労で震え出した。
もうちょっとだけ休もうと木に寄りかかった。
手に何かが触れた。
それはクモの糸だった。
ハッと気がついた時にはもう遅かった。
木の上からクモたちが降りてきてドゥゼアに糸を吹きかけた。
あっという間にドゥゼアの糸巻きの完成である。
そこからクモに引きずられて今に至る。
「宙吊りかぁ……」
明らかに周りにクモの糸が増えてきた。
顔しか動かせないからただ見ているしか出来ない。
巣についたみたいでドゥゼアはそのまま張られた糸にぶら下げられた。
「ドゥゼア!」
「ん?
おっ、みんないたか」
懐かしの声がしたので頑張って体を回転させるとそこにレビスやユリディカもいた。
どうやらみんなも捕まってしまったらしい。
やはり方角的に合流しそうだと思っていたのは間違いではなかった。
こんな合流の仕方は一切想定していなかったけれど。
「大丈夫?」
「あんまり大丈夫じゃないな」
ひとまずドゥゼアの心配をしてくれるレビスであるがみんなも同じく糸でぐるぐる巻きにされて吊るされている。
「せっかくダンジョンから出たのにここで死んじゃうのー!」
ユリディカがどうにかしようと暴れるけど糸が揺れてビヨンビヨンするだけでなんの効果もない。
「とりあえず無事でよかったよ」
「ドゥゼアも」
「これが無事なんて言えないでしょうがー!」
状況的に無事ではないが生きてる間は希望は捨てないので無事であると言ってもいい。
まずはみんな生きていたということを喜ぼうとドゥゼアは思う。
どうせ他に出来ることなんてない。
「なんでそんなに余裕なの……?」
文字通り手も足も出ないのにドゥゼアはいつもと変わらない。
「糸の中って暖かくて眠くなるな」
「ちょっとー!」
「ユリディカ」
「なに?」
「今ここで俺たちに出来ることはない。
だからそう焦らずに体力を温存しておくんだ」
いくら暴れたって疲れるだけである。
ならば少しでも今は逃げるのに消耗した体力を回復させることに努めるべきである。
そしてドゥゼアには1つの確信があった。
きっと今すぐ殺されて食われることはないという自信があるのである。
肩の傷も治さねばならない。
本当に糸の中は暖かいし囚われているということはさらに他の外敵に襲われることもない。
ここは冷静さを保ち体力を温存して相手を刺激しないようにするのが1番である。
「むむぅー!」
ユリディカは不満そうだけど何もしないことが最善なのだからしょうがない。
「分かった、寝る」
「えぇー!
それでいいの、レビス!」
「ドゥゼアがそう言うから」
レビスはドゥゼアの言うことに全幅の信頼を置いている。
休めと言うなら今は休んだ方がいい。
確かにそう考えて糸の中にいると意外と心地も悪くないと思った。
ユリディカはまだちょっと信じられないと思って揺れていたがやがて諦めて疲労に任せて寝ることにした。
ーーーーー
寝て、起きても同じ状況。
人に戻りもしなければ糸に巻かれたままである。
「あらぁ?
静かなのね?」
暇だから吊り下げられたままクルクルと回って周りを確認していたら目の前に逆さまの女の顔が現れた。
ちょっとびっくり。
「ようやくお出ましか」
少し視線を上げてみるとその正体はすぐに分かった。
あたかも普通の人のように見えるのは体の半分だけ。
顔から視線を上げていくと胸があり腹があり腹の下が境目となってそこから形が変わる。
クモである。
彼女の下半身は人ではなくクモの形をしているのであった。
「アラクネの女王に会えて光栄だ」
この妖しく笑う女性は魔物である。
アラクネという上半身が女性で、下半身がクモである強力な魔物。
クモ系の魔物を率いる女王。
知能も高くて残忍で狡猾。
大規模なクモの根城なのでアラクネの巣なのでないかという予想はしていた。
燃えるような真っ赤な髪の毛を垂れ下がらせてアラクネはドゥゼアの顔を覗き込む。
顔の造形としては非常に美人である。
アラクネでもいいなんて言い出すやつが出てきそうなぐらいには整った顔をしている。
「ふぅん?
あなたのおかげで静かなのね?」
大体捕まえられた魔物というやつは騒がしい。
当然のことで助けてくれと叫んでいたり無駄に抵抗して糸を解こうとしたりする。
そのためにうるさいのだけどドゥゼアたちは騒がない。
体力を温存するためにジッと耐え、さらには寝ている始末なのである。
ドゥゼアは引きずられていた。
抵抗したくてもできない。
なぜなら全身を白い糸でぐるぐる巻きにされているからである。
ドゥゼアを引きずっているのは大きなクモだ。
「なあ、どこにいくんだよ?」
話しかけてもクモから返事はない。
ジジイからは逃げられたようなのにこれでは危機的なことに変わりがない。
こうなったのは少し前のこと。
ひたすらに逃げていたのだけど途中でジジイが追って来ていないことにドゥゼアは気がついた。
だから少し立ち止まり息を整えがてら肩に刺さったままだった矢を抜いた。
興奮状態にあるためかそんなに痛みも感じず抜くことができたが立ち止まってしまうと急に足がガクガクと疲労で震え出した。
もうちょっとだけ休もうと木に寄りかかった。
手に何かが触れた。
それはクモの糸だった。
ハッと気がついた時にはもう遅かった。
木の上からクモたちが降りてきてドゥゼアに糸を吹きかけた。
あっという間にドゥゼアの糸巻きの完成である。
そこからクモに引きずられて今に至る。
「宙吊りかぁ……」
明らかに周りにクモの糸が増えてきた。
顔しか動かせないからただ見ているしか出来ない。
巣についたみたいでドゥゼアはそのまま張られた糸にぶら下げられた。
「ドゥゼア!」
「ん?
おっ、みんないたか」
懐かしの声がしたので頑張って体を回転させるとそこにレビスやユリディカもいた。
どうやらみんなも捕まってしまったらしい。
やはり方角的に合流しそうだと思っていたのは間違いではなかった。
こんな合流の仕方は一切想定していなかったけれど。
「大丈夫?」
「あんまり大丈夫じゃないな」
ひとまずドゥゼアの心配をしてくれるレビスであるがみんなも同じく糸でぐるぐる巻きにされて吊るされている。
「せっかくダンジョンから出たのにここで死んじゃうのー!」
ユリディカがどうにかしようと暴れるけど糸が揺れてビヨンビヨンするだけでなんの効果もない。
「とりあえず無事でよかったよ」
「ドゥゼアも」
「これが無事なんて言えないでしょうがー!」
状況的に無事ではないが生きてる間は希望は捨てないので無事であると言ってもいい。
まずはみんな生きていたということを喜ぼうとドゥゼアは思う。
どうせ他に出来ることなんてない。
「なんでそんなに余裕なの……?」
文字通り手も足も出ないのにドゥゼアはいつもと変わらない。
「糸の中って暖かくて眠くなるな」
「ちょっとー!」
「ユリディカ」
「なに?」
「今ここで俺たちに出来ることはない。
だからそう焦らずに体力を温存しておくんだ」
いくら暴れたって疲れるだけである。
ならば少しでも今は逃げるのに消耗した体力を回復させることに努めるべきである。
そしてドゥゼアには1つの確信があった。
きっと今すぐ殺されて食われることはないという自信があるのである。
肩の傷も治さねばならない。
本当に糸の中は暖かいし囚われているということはさらに他の外敵に襲われることもない。
ここは冷静さを保ち体力を温存して相手を刺激しないようにするのが1番である。
「むむぅー!」
ユリディカは不満そうだけど何もしないことが最善なのだからしょうがない。
「分かった、寝る」
「えぇー!
それでいいの、レビス!」
「ドゥゼアがそう言うから」
レビスはドゥゼアの言うことに全幅の信頼を置いている。
休めと言うなら今は休んだ方がいい。
確かにそう考えて糸の中にいると意外と心地も悪くないと思った。
ユリディカはまだちょっと信じられないと思って揺れていたがやがて諦めて疲労に任せて寝ることにした。
ーーーーー
寝て、起きても同じ状況。
人に戻りもしなければ糸に巻かれたままである。
「あらぁ?
静かなのね?」
暇だから吊り下げられたままクルクルと回って周りを確認していたら目の前に逆さまの女の顔が現れた。
ちょっとびっくり。
「ようやくお出ましか」
少し視線を上げてみるとその正体はすぐに分かった。
あたかも普通の人のように見えるのは体の半分だけ。
顔から視線を上げていくと胸があり腹があり腹の下が境目となってそこから形が変わる。
クモである。
彼女の下半身は人ではなくクモの形をしているのであった。
「アラクネの女王に会えて光栄だ」
この妖しく笑う女性は魔物である。
アラクネという上半身が女性で、下半身がクモである強力な魔物。
クモ系の魔物を率いる女王。
知能も高くて残忍で狡猾。
大規模なクモの根城なのでアラクネの巣なのでないかという予想はしていた。
燃えるような真っ赤な髪の毛を垂れ下がらせてアラクネはドゥゼアの顔を覗き込む。
顔の造形としては非常に美人である。
アラクネでもいいなんて言い出すやつが出てきそうなぐらいには整った顔をしている。
「ふぅん?
あなたのおかげで静かなのね?」
大体捕まえられた魔物というやつは騒がしい。
当然のことで助けてくれと叫んでいたり無駄に抵抗して糸を解こうとしたりする。
そのためにうるさいのだけどドゥゼアたちは騒がない。
体力を温存するためにジッと耐え、さらには寝ている始末なのである。
23
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
リメイク先:「視線が合っただけで美少女が俺に溺れる。異世界で最強のハーレムを作って楽に暮らす」
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる